強烈に感動。
観てください。お願い。死ぬから。もー生まれ変わるから。
アルモドバル監督の「ライブ・フレッシュ」という映画を観た時と同じ。最後の字幕スーパーが流れ出した途端、涙が溢れて顔がくしゃくしゃになってボロボロ止まらなくなった感じの完全な再現。
松尾スズキ氏にプラトニックにぞっこん。
えーそーなんです。私ってそういう人間なんです。
本当に、エロスの果てまで添い遂げました。
■大人計画「エロスの果て」ネタバレあり感想(頭でっかち編)■
一つのもの、を観せられました。
ストーリーも登場人物も、舞台装置も音響も照明も役者さん達も、それぞれ全てがこの作品のための不可欠な一要素でした。
全体的に赤くて近未来調の舞台は元 惑星ピスタチオのにそっくりだったし、円形にくり抜かれた舞台が回るのって寺山修二が最初にやったものらしい(友人・談)し、私もその手法は夢の遊眠社「半神」で観たことがありました。
照明を四角くあてて、その部分を廊下やエレベーターの個室などの狭い空間として表現する方法もよくあることです。
舞台を前っ面とその奥とに分けて2つの空間として同時進行させることとか、登場人物が物語の進行途中でストーリー・テラーのように昔話をし始めること、そして昔と今とが交錯することなど、かなり演劇ではポピュラーなやり方がいっぱいでした。
つまり、観てて目新しいことなんてなかったと言えばなかったと思います。
で も、それを敢えて実行して、ストーリー(内容)重視の一つの作品に仕上げていることが素晴らしいと思いました。核となる理念を真ん中に堂々と据えた作品が少ないなか、今、絶好調の松尾スズキさんの大人計画がそれをやることがとても意味のあることだったと私は思いました。
とにかく不思議で得体の知れない雰囲気を終始かもし出す。
とにかく奇抜なことをやって知名度を上げる。
とにかく流行に乗っておしゃれに作り上げる。
そんなことだけで新しい文化が造られるわけがないと思うのです。
「エロスの果て」などというほぼ哲学的テーマを大人のおとぎ話に作り変え、笑いとエスプリとお色気たっぷりの刺激的エンターテイメント作品に仕上げてこそ、大衆は観たいと思うし観て楽しいし、観た後それを記憶するし、それによって思考します。
具 体的数値や学問は、あらゆる情報が氾濫する昨今、ゴシップになるだけで終わる可能性が高い気がするのです。個人的な考えですが、現代人には物語が必要なのでは、と感じています。
えんぺニュースでの評判がイマイチで、ちょっと驚いている私です。特に「これって演劇じゃん」などという感じの感想を持っていらっしゃる方が多いようで。大人計画の作品、それも松尾スズキさんのを観たのはこれが初めてなのでそう感じる理由がわからないのが残念なのですが、私は敢えて演劇である、物語があって起承転結がある、という所が好きです。
タイトルが天井から降りてきて、それがチラシのフォントとそっくりに作られていたのがすごく良かった。さすがにあのチラシはあまり人に見せられたものじゃなかったので(笑)。(元 女流棋士の林葉直子さんがスリップ姿で足を正面に広げ、台所の床に座っている)雰囲気やイメージだけのチラシなのかなーと思っていたのですが、そうじゃなかった(そうじゃなく、した)のが嬉しかった。
■大人計画「エロスの果て」ネタバレあり感想(ミーハー編)■
阿部サダヲさんの声って本当にきれい・・・。最初のセリフ、阿部さんだってわかりませんでした。あんまりきれいで澄んでいたので(笑)。ごめんなさい。やっぱり私、大ファンです。
宮藤官九郎さんがHシーンの時にセリフを間違えたんですが(かんだ、という感じ)、あれは明らかに女性の股の間に腰を入れて動かすことに戸惑って素に帰ってしまい、あせってしまったがゆえだとわかりました。観客もわかってましたねー、すごくほほえましくって(笑)。なんか、嬉しくなってしまった。
客演の秋本菜津子さん、めちゃくちゃスタイルいいですねーっ。足が細い!折れそう!なめちゃいたい!嘘です!いやほんと、美しい女優さんでした。こんなにきれいな人があんなことを・・・ってのがそそりましたねー(笑)。去年、「メオト綺想曲」@スズナリで拝見したときはあまりなんとも思わなかったのですが、今回は全然違う「女優」さんでした。6月のひょうご舞台芸術「プルーフ」に出演されます。楽しみです。
松尾スズキさん。うーん。すごかった。めちゃくちゃ優しい人だと思いました。全てわかっていて。
ギャグはいっぱいありましたが、私の一番は「冗談で買ったズボンしかなかったよーっ」でした。
大人計画HP : http://www9.big.or.jp/~otona/
Posted by shinobu at 2001年03月15日 16:04 | TrackBack (0)