2001年04月29日
扉座『アゲイン-怪人二十面相の優しい夜-』04/26-05/03紀伊國屋サザンシアター
近藤正臣さんに泣かされてしまいました・・・。
横内謙介さんの脚本も良かった・・・。
扉座で泣くなんて。 驚き。
タイトル通り、江戸川乱歩先生の代表作「怪人二十面相」のパロディーです。本をよく読んでいたらもっと楽しめただろうなー。
「怪人二十面相は少年探偵団のことを・・・・・(ネタバレ)と思っていたのだ。」
という解釈はもちろん横内さんの独自のものなのですが、絶対そうに違いないと思ってしまうぐらい説得力があり、感動的でした。
セリフも美しかった~・・・。
「時代がどんなに変わっても美は永遠だ。誇りは不滅だ。」
「永遠というのはまさしくその刹那を言うのだ。」
もちろん近藤正臣さん扮する二十面相のセリフです。今回は下ネタもほとんど無くて本当に良かった~。
看板役者(になりつつある)山中たかシさんがめちゃくちゃカッコ良かった。全然私の好みじゃないのに(失敬っ)目が離せませんでした。足が長いのがすごく効果的なの。スーツって体型がわかりますよね~。扉座で一番お気に入りの伴美奈子さんはやっぱりステキでした♪ 扉座以外で観たいです。
相変わらず客入れはホントうるさいですねー。かなりヒきます。「私達、この劇団で頑張ってます!!」というパフォーマンスは見たくない。芝居を観たいんです。
2001年04月26日
劇団 一跡二跳『海のてっぺん』04/25-29紀伊国屋ホール
劇団 一跡二跳(いっせきにちょう)第44回公演、初見です。
作・演出の古城十忍さんという方が有名な人のようですね。原作本が多数、販売されていました。
海のそばの新築一軒家の工事現場。その持ち主は結婚を間近に控えた若いカップル。
二人の愛の巣になるべくピカピカの木造新居が建設されるなか、
夫の母親と同居しなければならないことになり、その上、その母親の再婚まで判明し・・・。
よくできたお話でした。「家」を媒体にして様々な考察がなされていていました。
神戸出身の新婦の生い立ちと重なるシーンは面白く拝見いたしました。
が、やっぱり「神戸」って、ね。
阪神淡路大震災のエピソードが必ず出て来るんです。そういうの最近増えてきましたよね。
震災の話には弱いんです。必ず泣いてしまいます。
最初のシーンで主役カップルの顔があまりにひきつっていて観ていられませんでした。初日だったからな?
後になるほど良くなってはきましたが、それにしても役者さんに華が無かったですねー。
華が無いといえば、あんなに閑散とした紀伊国屋ホールのロビーは初めてでした。
ほんと、花が無かったの。初日なのにねー。
劇団 一跡二跳HP : http://www.isseki.com/
2001年04月16日
新派『婦系図』国立劇場 大劇場04/04-25
「婦系図(おんなけいず)」は明治40年(1907年)に泉鏡花によって書かれた長編小説で、初演は翌年の明治41年。およそ100年経った今でもそのまま上演されているんですね~。感動♪
純愛物語であると同時に復讐劇でもある原作を、純愛の方に比重を置いて脚色されたのが今の脚本だそうです。原作にはない場面を鏡花が書き足して、そこが名場面として単独でも上演されるとか。今では新派屈指の財産演目になっているそうです。
泣きました。もーボロボロ。鼻水ダーダー。すみません。もー・・・何をどう言えばいいのか。観てよかった。観なきゃだめだった。
本物の純愛の、悲恋でした。貞節、忠誠心、義理人情。その他にも山盛りてんこ盛り。日本人の精神のまさに基礎になる部分を立体的に教えていただいたような。
所作も素晴らしかったです。あれが日本人なんですねー。
私、国立劇場は生まれて初めてだったんです。最高裁判所の隣りにあるんですねー。お日様の気持ちの良い照り具合に皇居の新緑がめちゃくちゃきれいで嬉しさヒトシオ。
残念ながらお弁当は美味しくなかったです。盛りそばを注文してらしたご夫婦。よくご存知なのねー。
2001年04月14日
燐光群『ララミー・プロジェクト』04/05-17ザ・スズナリ
坂手洋二さんの劇団、燐光群(りんこうぐん)、やっと観に行けました。
坂手さんは新国立劇場で上演された「ピカドン・キジムナー」の脚本を書かれた方です。
「ララミー・プロジェクト」のララミーとは、アメリカのワイオミング州の中にある街の名前。その平和な田舎町で実際に起こった殺人事件をもとにした、ドキュメンタリー風芝居でした。
良くも悪くもアメリカ、ですね。当然ですが日本人じゃないんですよ。登場人物はほぼ全てララミーの街の人ですからね。役者さんがあまりに達者すぎて(?)本当にアメリカ人みたいになっていて、なんか、日本人なのにアメリカ人だから魂が感じられないというか。発声は素晴らしかったです。でも怒鳴るのが多くてしんどかった。
ストーリーはゲイ、エイズ、貧富の差、など。差別の話です。大切なことですよね。でも感情移入できなかった。アメリカ(異国)だからだと思います(強引ですみません)。なんか遠かった。
舞台、美しかったです。スズナリがめちゃくちゃ広く見えました。あの木、どうやって作ったのでしょう・・・。すごい。
2001年04月05日
新国立劇場演劇『紙屋町さくらホテル』04/04-25新国立劇場 中劇場
3年半前に新国立劇場のこけら落としに上演された作品の再演です。「再演」自体が新国立劇場演劇が始まって以来初めてのこと。それくらい再演のリクエストが多かったそうです。
舞台写真はこちら(2006/07/31追記)。
パンフレットに新国立劇場 芸術監督の栗山民也さんの文章がありました。
「これからも演劇が我々の人間という存在にとって、絶対に必要なものだということを、一つ一つの作品によって広く示していかねばなりません。」
このお芝居によってそのことが鮮やかに描き出され、私の心の中にまっすぐに染み込みました。
昭和20年(1945年)5月、終戦(原爆投下)間近の非常時下の広島。移動演劇隊「さくら隊」が停泊する紙屋町ホテルでの3日間。さくら隊を指揮する有名映画俳優、アメリカ移民2世と見張りの特高、そして天皇の密命を帯びた海軍軍人とそれを追う陸軍軍人・・・。
正確な時代描写のもと、人生の意味とは、戦争責任とは、などの重いテーマを上品な笑いとともに優しく、厳しく伝えます。
お芝居が始まって間もなくの、ピアノに合わせてみんなで合唱するシーンで、どうしようもなく涙が溢れました。自分でもなぜなのかわからないほど。セリフも全然ないし、ただ芝居(劇中劇)のお稽古として歌を歌っているだけなんですよ。なのに、ものすごく伝わってくるものがあったんです。そう、姿勢というか。
心から演劇(お芝居)が好きで、歌が好きで、自分が舞台に立っていることを楽しんでいて、お客様に感謝していて、今、この瞬間を本気で生きている。舞台上の役者さん達がそのように感じながら演技をしている(歌を歌っている)のが、私に伝わってきたからだと思います。
舞台装置、やっぱりすごかったです。美術は私が大ファンの堀尾幸男さん。今日は初日だったのでお姿をお見かけできてうれしかったです♪
ただ一つだけ私がひっかかってしまったのは、戦争責任についての作者の意見を登場人物の心情・意見として言わせたこと。あれは私にはいただけませんでした。
でも、その分を差し引いたとしてもお薦めの作品です。素晴らしいセリフがたくさんありました。何度も泣かされました。明日、目が腫れるのが心配です。
新国立劇場 : http://www.nntt.jac.go.jp/
レビューに続いたエントリーより
「紙屋町さくらホテル」空席あります!4/4-25
> 堀尾さんの美術も素晴らしい。回転舞台の良さが良く引き出された演出で、面白い。オススメです。
始まる前は全く何も無い舞台だったのでちょっと心配しつつも「一体どんなことをしてくれるんだろう!?」とわくわくして待っていたら、なんと、あんな・・・・(内緒)とは!!抑制からじわ~っと緩和。そして華々しく、しかし奥ゆかしく。
堀尾さんの舞台って私はいつもブルーを感じます。色としてではなく、空気として。か細くてひんやりした一条の光が常に差し込んでいて、その世界をそっと照らしているような。
> ただ残念なことに、今日は木曜日だったせいか空席がだいぶありました。
実は初日もガラガラでした。すごく寂しかった。25日までやってます。23日以降はまだS席さえある状態。今ならインターネットからも購入できます。→新国立劇場HPへ お時間のある方はぜひぜひ足を運んで欲しいです!
> 新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999
新国立劇場 : http://www.nntt.jac.go.jp/