歌舞伎役者の松本幸四郎さんが立ち上げたシアターナインスの第4回公演。今回の脚本家はドラマ「ロケットボーイ」のラーメン屋の店長役でも強烈な印象を残した(笑)、岩松了さんです。翻訳・脚本・演出家なんですよね。岸田國士戯曲賞や日本アカデミー賞なども受賞されています。
松本紀保(まつもと・きお)さん、松たか子さんとその父、幸四郎さんの家族競演。長男の市川染五郎さんは今回はお休み。パンフレットには彼の文章と4人一緒の写真が載っていました。・・・すごい家族だなー。
私は岩松作品が苦手な方なのですが、予想外に、面白かったです。ラスト近くの見せ場では泣かされてしまいました。もしかしてこれは、岩松さんの罠にすっかりはめられた、のかな・・・?くやしっ。
一人一人の役者さんが力のある方々だったから、というのもあるかとは思いますが、なんだか、とっても、バラバラでした。それが全てあのシーンのための布石だった・・・??それにしてもひとつのお芝居としての一体感がなさすぎだと思いますねー・・・。
あと、松本幸四郎一家という枠組みが最後まで頭から離れてくれませんでした。
松本幸四郎さん。大きかったです。体も存在感も。ちょっと怖いくらい。歌舞伎口調というのか、のどを使った特徴のある発声はちょっと耳につくともありました。
松たか子さん。私が今まで観た中では一番良かったですね。とうとうおみ足を拝見(笑)。意地悪な感じとかが自然でした。セリフが一番よく通って意味もはっきり聞こえました。
松本紀保さん。役が彼女の性格には合ってないんでしょうねー。単にハマってませんでした。優しい人なんだろうな。それにしても足がめちゃくちゃきれい!白くて細くて・・・見とれてしまいました(笑)。
串田和美さんは誰とも対話してない感じ。いつもそうですよね。
岩崎加根子さんもなんか浮いてました。あんなオバサンいないよねって思っちゃう。
岩松了さんはスパイス的役割を果たされてました。
舞台装置については「鏡に映っているみたい」と表現されたアーチがとてもよかった。でも、その中央のライラックの木の後ろの幕は黒であってはいけなかったと思います。非常に写実的に作りこんだ舞台なのに、昼下がりの中庭から見える空が黒色なんて。
うーん・・・一言で言い表すのが難しい公演ですねー。岩松さんの脚本は登場人物が日本人らしくないですね。西洋人みたいな人ばかり。この脚本を他のキャストで観てみたい、かな。
ここからネタバレします。
チェーホフが大好きなんですねー・・・岩松さん。チェーホフ作品の翻訳・演出もされているだけあって、そこら中にチェーホフ・ネタが振りまいてありました。きっとこの「夏ホテル」自体もチェーホフ作品らしきものだったのだと思います。
実際に舞台に登場している人物以外に全く人影が感じられなかった。ドイツ郊外のホテルが舞台なのですから、他の宿泊客の匂いがしないとね。
前半75分で休憩15分をはさみ、後半が70分。全てがあのラストに向かっての確信犯だったとしたら(きっとそうなのでしょう)、長すぎたと思います。
パルコ劇場 : http://www.parco-city.co.jp/play/
Posted by shinobu at 2001年05月09日 16:42 | TrackBack (0)