2001年10月19日
bird's-eye view『Package』10/19-21三鷹市芸術文化センター
仲良くしていただいているバーズ・アイ・ビューという劇団の第5回公演です。
今、ノりにノっている若い劇団(平均年齢23.8歳)で、ビジュアル系路線がかなり前面に打ち出されています。まずヘアメイクがおしゃれ!そして衣装はインディーズブランド"Future eyes"が担当しています。
今回・・・・私、感動しました!
ラストは泣いてしまった!!
なんか、その・・・・これが「若さ」なんだ!って、思い知らされました。
今、この瞬間が、ずーっと続いて欲しい。だから写真に撮って形にして、永遠に自分のものにする。でも、それはただのモノでしかなく、また、その時にだけ存在したモノでしかない。だから、その時が去ってしまった今では、もうあの瞬間はココには無い。
そんなテーマだったと思います。ありきたりのことですよね。当たり前のこと。でも、その表現の仕方が新しいんです。いや、新しくは無いかもしれない。誰かが既にやっていたことかもしれない。でもそんなことどうでもいいんです。観た人が新しいと感じたら、新しいんですから!初めて観た!と思ったらそれは驚きなんだから!
なんか、純粋でした。清らかでした。輝いていました。それで十分ですよね。それで人生変わりますよね。
舞台、よく作ってありましたねー。星のホールをとっても上手に使われていたと思います。照明も、ムービングとかって使い方によって効果が違いますからね。良かったと思います。選曲も好き。あー・・・バーズだな~♪って。ポップで浮遊してて無機質で、でも静かに熱くて。オープニングのあの音だけ、そう、あれだけはちょっと私的にはNGでした。
柏原直人さん、泣きながらお願いするセリフ、もう胸キューンだぜぃ(笑)。たまんなかったです。美、です。
杉浦理史さん、相変わらずツッコミ上手で、気持ちよかった!折込チラシにまた爆笑。
大呑智恵さん、かわいい!ボブカット最高です!押さえた演技がまた魅力的なんだなー。
松下好さん、登場シーンは確かに少なかったんですが、ラストシーン素敵でした。
猫のホテル主宰の千葉雅子さんが客演していらっしゃったのですがそもそも劇団員と年齢が倍近く違うわけで、融合なんてできるわけがないんだから融合しない線で彼女を使っていたのはすごく賢いなーと思いました。(えらそうですみません。)
構成・演出・主宰の内藤達也さん、腰低すぎ。素敵です。
bird's-eye viewのHP : http://www.b-ev.net/
2001年10月16日
THE SHAMPOO HAT『蝿男』10/10-14ザ・スズナリ
舞台美術の福田暢秀さん(F.A.T.studio)のお仕事を拝見しに行きました。
シャンプーハットは2度目なんですが、前回公演の「アメリカ」ではボロボロに泣かされたので、今回は如何!?とけっこう意気込んで挑みました。
ちょいとシュールで退廃的で、ブラックジョークを含みつつ基本的には怖い作品でした。ハードな脚本ですよね。予想外だったかも。でも苦手なほどではなかったです。押さえて押さえて作ってあったので。上手だなーと思いました。
前回同様すごくリアルな汚らしいセットの中、鼻の奥にツーン匂ってきそうな演技と間。登場人物が「あっちい」と連呼するんですが、本当に暑かった。汗の匂いがしました。
リアル、か。
リアルって必要なのかな。
必要じゃないんじゃないかな。
リアルって観客が自分で受け取る(作り出す)気がします。
だから、発表する側がリアルにしてくれなくてもいい気がしちゃう。
ただ、前回の「アメリカ」についてはそのリアルが必要だったと思います。フェイクが存在するために。
今回の「蝿男」については不要だったかな、と。
ザ・シャンプー・ハットHP : http://www33.ocn.ne.jp/~shampoohat/ (2006/03/20追加)
文学座『崩れた石垣、のぼる鮭たち』10/16-25紀伊國屋サザンシアター
MONOの作・演出家である土田英生さんの書き下ろしです。
30~50年ぐらい未来の日本。ちょっぴり田舎の古びた旅館のロビー。地球温暖化の影響で雨は毎日土砂降り状態。少しずつ国が水没しつつあり、日本もあと1年の命といわれる中、クラス会を開いた中年男女8名。プラスα。
泣けましたねー・・・。
やっぱり土田さんの脚本はすごい。
模擬建築された嘘の城。中州に取り残されて死んだ中学生時代の友人。密室の極限状態。それらを上手に絡ませて、心地よく笑いも織り交ぜて、最後は甘すぎず、辛すぎず締めくくる。登場人物の一人一人の背景がすごく細やかに、でも簡潔に表現されていることが土田さんの脚本の魅力じゃないかな、と思います。
終演後、劇場の窓から外を見た時に雨が降っていないことを知って驚きました。そう、それくらいお芝居の中にどっぷり浸かることができていたんですね。
脚本は良かったですが、演出がいまいち。選曲は古い。役者さんはいかにも文学座~って感じでした。
ク・ナウカ『トリスタンとイゾルデ』10/12-18青山円形劇場
私のいちおしシアターカンパニー、ク・ナウカの新作です。スピーカーとムーバーの2人で1役という独自のスタイルを築いています。
「トリスタンとイゾルデ」はドイツを代表する作曲家、リヒャルト・ワーグナー脚本・作曲のオペラ。壮大な男女の愛の悲劇がク・ナウカ主宰の宮城聰さんの手によってどう変わるかが見所ですよね。
堪能しました・・・息が詰まるほど集中して観ました。なるほど、なんとも艶めかしい演出で・・・はぁ~・・・・思い出すだけでうっとり恍惚のため息でございます。ドキドキしてきゅーんとなって、ふっと体がゆるんだ時にまた、ハッとして。
スピーカーの発する言葉が明瞭で易しくて、そして美しい。オペラで観た時にはわかっていなかった意味がわかった気がしました。宮城さんの台本は本当に丁寧で繊細で、心に染み入ります。
看板女優(ムーバー)の美加理の美しさに心を奪われ、終演後しばらくは動けなかったです。
照明がまたスゴイ。シンプルだけど大胆。ラストは涙が出そうになりました。
生演奏なのにマイクを通していた(ように感じた)のがちょっと寂しかったかな。
衣装には「王女メディア」の時のようにかなり政治的要素が含まれていましたね。
ク・ナウカを一度もご覧になったことの無い方、ぜひぜひ体験してもらいたいです。
ク・ナウカ : http://www.kunauka.or.jp/
2001年10月11日
パルコ『バッド・ニュース☆グッド・タイミング』10/08-11/11パルコ劇場
笑いました。すっごく気持ちよく。まず「携帯電話の電源をお切りください」等の前説からもうほほえましいし、最高にWELCOMEな気持ちで迎えてくれているのがビシビシ伝わってきました。
結婚を決めたカップル(生瀬勝久&沢口靖子)がいます。互いの父親同士が昔、漫才コンビを組んでいたのだけれど、10年前に解散して以来、絶縁状態。無事に結婚式を挙げようと必死に説得(?)しようとするのだけれど、次々と誤解&トラブルが起こって・・・。
セリフが全てしっくりくるんです。無理がない。無駄も無い。ただ、最後の方はさすがにちょっとイライラしたかな。同じ展開が多かったから少し飽きたのかも。
舞台は都内最高級ホテルのロビー。エレベーター・ホールと喫茶店。モデルはきっと新宿のパークハイヤット・ホテルですね。竹とか窓とかそっくりなんだもん。中央にある大きな階段と舞台の右半分を占めるエレベーター。ありそうでなかった設定ですよね。ホテルの壁をPARCO劇場の壁とぴったり合わせて作ってあるのにしびれました!・・・と思っていたら、やっぱり美術は堀尾幸男さん。三谷作品には常連のようです。
沢口靖子さん、声がきれいだしスタイルいいし、そのお人形さんのような容姿を思いっきり利用して可愛いけどバカな女というのを素直に演じられていました。好き♪
生瀬勝久さん、いつもちょっと意地悪そうなのが心に刺さっていたのですが、今回はそのトゲがありませんでした。今までで一番好きな生瀬さんだった。
伊藤四郎さん&角野卓造さんコンビは・・・年の功、というか・・・・。完璧。魅せられました。
でも、今回の私のお気に入りはウェイター役の八嶋智人さん(カムカムミニキーナ)!カムカムではいつも主役級で時々鼻につく感じがしていたのですが、全然違いました。巧い!
三谷さんは役者さんを使うのが本当に上手だなー。それこそが演出家の手腕なんでしょうねー。もちろん、脚本も完成度が高いと思います。笑う頻度の高いシチュエーション・コメディーを書かせたら日本一なんじゃないかな。今更わたしが言うことでもないですよね(笑)。
Bad News☆Good Timing
出演:沢口靖子/生瀬勝久/久野綾希子/伊藤正之/八嶋智人/角野卓造/伊東四朗
作・演出:三谷幸喜 美術:堀尾幸男、照明:服部基、衣裳:黒須はな子、音響:井上正弘、舞台監督:松坂哲生、宣伝美術:高橋雅之、宣伝写真:野口博、イラストレーション:橋本聡 企画:コードリー、製作:パルコ
パルコ劇場=http://www.parco-city.co.jp/play/
公式=http://www.parco-play.com/web/play/bad_good/
2001年10月09日
動物電気『細腕繁盛期 女傑・おパンチさん』10/05-08三鷹市芸術文化センター 星のホール
動物電気、初見です。
ハイレグ・ジーザスにも所属されている政岡泰志さん作・演出で、看板役者は小林健一さんと辻脩人さん。
それにしてもすごいタイトル。ものすごいインパクト。好き。
体を張っているとか力技だとかいう噂は聞いていたのですが、本当に体を張っていました。
ゲンコツでもハリセンでも殴られるし、フンドシ姿になるし、おっぱいをもみしだくし。
役者の皆様、千秋楽までご無事でよかったです。
ストーリーはあまり重要じゃないですね。
あくまでも大道芸人的な見世物という感じ。
割ったばかりの生卵を飲んで男女間で口移しなんて、想像だにしませんでした。
ただ、劇場がお芝居の内容に合ってませんでした。
下北沢駅前劇場とかならすっごく楽しめたかもしれませんが
電車ではるばる三鷹まで行って駅から更に15分歩いた後に現れた
すごく美しい劇場の豪華な全席指定シートに座って観るモンじゃないと思います。
間近で気軽に観たいですよね。そういう生もの系のネタって。
男優さんはキャラクターがすんごくはっきりしてました。熱かった。
女優さんはきれいだし上手かったです。
2001年10月05日
CAB DRIVER『肌の融点』10/03-08中野ザ・ポケット
CAB DRIVER初見です。柳田由香さんと竹井亮介さん(親族代表)が出演されるので観に行きました。
「僕らはドラマを独り占めしにいく」というのがこの劇団のキャッチフレーズのようです。なるほど、そんな感じ。ちゃんとした「ドラマ」でした。インターネットの出会いサイトで知り合った男女。ちょっとリアルなラブ・シーン有り。恋人、家族、子供って何?「人間がそこに居る」ってどういうこと?という問いかけ等。
しっかりした物語のお芝居。舞台装置、凝ってましたね~。同じ場所なのに色々変身して。役者さんの半分が客演の人でした。いつもそういうプロデュース・スタイルみたい。主宰&役者の矢柴俊博さんは雰囲気のある男優さんでした。キザなことをサラっとできるような。
今回の「肌の融点」を書かれた日下由子さんは座付き脚本家で(脚本家も度々変わるようです)、彼女が書いた「七部袖、ほくろ」という作品でパルテノン多摩演劇フェスティバルでグランプリを獲ったそうです。すんごい良かったらしい。観たかったな~。
TOPのひとことモノローグにも書きましたが、突然主役になった柳田さんは、2日徹夜でセリフと段取りを覚えたそうな・・・。想像しただけで身震いと涙が襲ってきました。鳥肌&感動。
「柳田さん、前と全然違うなー。こんなキュートな女優さんだったなんて知らなかったー。」と思っていたのです。死ぬような思いをしたゆえに、死ぬほど成長された・・・のかも??女優って、大変な職業なんですね。
CAB DRIVER : http://www.CABDRIVER.jp/
2001年10月02日
月影十番勝負『世にも素敵なネバー・エンディング・ストーリー』青山円形劇場09/28-10/8
ハイレグ・ジーザス総代の河原雅彦さんの作・演出です。
そもそも月影十番勝負というユニットは劇団☆新感線の看板女優、高田聖子さんを中心として公演のたびに作・演出家や他の俳優さんを集める形のようですね。
つまんなかった・・・・。けっこう強烈に。
企画がきちっと出来てしまい、劇場と出演者が揃ってしまったから、仕方なく脚本を仕上げ、なんとか力技で幕を開けたという空気に満ち満ちていました。
遊び、ですね、コレは。高田聖子さんも。木野花さんも。もちろん下手じゃないんだけどね。
でもこんな公演、なくてもいいのでは・・・・って思っちゃった。
河原さん、叫んだりするのに観ていて引かないのは魅力ですね。
青山円形劇場HP : http://www.aoyama.org/