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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2002年01月30日

劇団桃唄309『ダウザーの娘』01/24-28ザ・ポケット

 ぴあに写真入りで載っていたので、当日券で伺いました。前から行きたかったんですよね、桃唄309(ももうた・さんまるきゅう)。

 アメリカ、でした・・・・。
 いわゆるロードムービーのような。

 極シンプル&抽象的な舞台でリアルな演技。登場人物が突然ストーリー・テラーになったり、衣装を着替えて出てきた時は他の役になっていたり。燐光群の「ララミー・プロジェクト」に似てました。アメリカだし。

 作・演出の長谷基弘さんがアメリカ留学から帰ってきてから初めての公演ということで、まさにアメリカで、アメリカを描いたものなんですよね。匂いも空気も声のトーンも言葉も。役者さんももちろんアメリカン・テイスト。アメリカ人。アメリカ人と日本人とのハーフ。アメリカ留学経験のある若者。アメリカを旅行する日本人。ヒッチハイク、ハイウェイ、モーテル、ハンバーガー、マクドナルド、シーユー、ハバナイスデイ・・・。

 ダウザーというのは水の在りかを調べる職業の人のこと。アメリカ中を旅しながら水を掘り出すことで食べているダウザーを父に持った、ある女性の半生。彼女の名前である「エリザベス」と名づけられた水車を見つけるシーンはもっと感動的にやって欲しかった。すごく拍子抜けしました。

 これは本っ当に個人的なことですが、私、アメリカって苦手なんです。だから、わざわざリアルなアメリカを日本の芝居で観る必要ないんですよね。私にとっては。うん、とても「リアル」でした。

劇団桃唄309 : http://www.momouta.org/

Posted by shinobu at 21:39 | TrackBack

山の手事情社[カタログ・シリーズVol.7]「ぴん2002」青山円形劇場01/23-27

 山の手事情社、初見です。
 でも本公演ではないんですよね。
 役者さんが『ぴん(たった一人)』で舞台に立ってネタを披露するというシリーズの第7回目。

 皆様、芸達者だなーと思いました。ほんと。心底。
 役者って与えられたセリフを読んだり、演出家に言われた通りに動いたりするだけではなくて自分で脚本を作らなきゃだめなんですよね。起承転結を作って作品に仕上げなきゃだめなんですよね。365日、24時間営業なんだなーと思いました。

 山の手事情社での役者の稽古の方法を披露してくださったということでも私にとっては非常に有意義な時間でした。
 ただ、思いっきりブサイクな顔とかは見苦しいと感じました。

劇団山の手事情社HP : http://www.yamanote-j.org/

Posted by shinobu at 18:17 | TrackBack

2002年01月21日

パルコ『彦馬がゆく』パルコ劇場01/08-02/03

 三谷幸喜さんの東京サンシャインボーイズ時代の名作の再演です。
 もー・・・ぼろぼろに泣かされまくりでしたー・・・・・。

 オープニングの筒井康隆さんのセリフだけで涙が出てきちゃって。何なんでしょうねー・・・芝居じゃないんですよー・・・TVっていうか、映画っていうか・・・・。『三谷』作品、なんでしょうね。これが。

 神田彦馬(小日向)という人が経営する写真館に幕末の獅子達が集う、という設定で坂本竜馬や高杉晋作、桂小五郎、西郷隆盛、そして新撰組も出てきます。何が正義で何が悪なのか、何を信じて生きていけばいいのか、先の全く見えない開国後の激動の日本。登場人物の一人一人が自分の人生を模索しながらも、めっぽう明るく、舞台上で生きていました。

 とにかく笑いが満載♪ネタとしても面白いけれど、演技の演出として秀逸なものがほとんど。さすが三谷さんですね。

 役者さんはどの人もステキ。上手いか下手か、という議論は全く必要ないと思います。だってその人そのものなんだもの。客がそう感じてしまうんだもの。

 愛、ですね。
 人間への愛。演劇への愛。観客(私)への愛。
 三谷さん、ありがとう!

 3月にル・テアトル銀座でも公演があります。
 チケット争奪戦はもう始まっています。


≪掲示板時代のレビューですので、返答形式になっています≫

森さん、いらっしゃいませ!

> 私のデスクトップ壁紙は坂本竜馬です。
おやおや。
ここにも幕末フリークが(笑)。

> 久しぶりに、入り込んで見てました。3年ぶりくらいです。でもTVを見ているような感覚。
そう!そうなの!!TVみたいなの!でもTVではないの!!

> やっと、しのぶさんの掲示板に投稿したくなるような芝居でした。
そうそう、久し振りに来て下さいましたよね。嬉しいです。
また森さんが書き込みたくなるようなお芝居があることを切に望んでいます。

> PS、高野しのぶ、最初の3分で泣いていました。ふふん。
だって・・・・だってだってさ~・・・・あれ、すごいって。
あんなに堂々と、なかなか成功できないって。
あんな優しさ、なかなかめぐり合えないって。

パルコ劇場HP : http://www.parco-city.co.jp/play/


≪ひとことモノローグより≫

「彦馬がゆく」@パルコ劇場
  update: 2002.01.16 (Wed)

三谷幸喜 作・演出の「彦馬がゆく」、最高でした・・・!!

もー泣いて泣いて・・・・連れが女の子で本当に良かった。
目を泣き腫らしてパルコ劇場を後にしました。

いやー・・・「温水夫妻」以来の三谷ヒットです♪

Posted by shinobu at 12:02 | TrackBack

2002年01月17日

串田和美・緒形拳 出演『ゴドーを待ちながら』01/15-27シアターコクーン内特設劇場

 串田和美さん、緒形拳さん主演の『ゴドーを待ちながら』、私は2度目です。ラッキー役にサモ・アリナンズの小松和重さんが出演されるのでチケットを取りました。

 前回よりは、面白かったかも。こなれていて遊びもアドリブもあったので。2度目の方に軍配、ですかね。まぁその程度。

 小松さんはさすがでした。めちゃウマ。あの長いセリフをあのスピードで完璧にこなし、そして動きも計算されていてグー。

 シアターコクーン内特設劇場THE PUPA(ピューパ)という場所だったのですが、つまりコクーンの舞台上にテントを作った感じ。客席はいっさい使わずに舞台スペースに舞台と客席が作られていました。去年の新国立劇場中劇場での太陽劇団「堤防の上の鼓手」と同じですね。

 衣装や舞台自体にはお金はかかってなさそうですが、他の部分にかかってそうですよねー。だって観客の誘導のためにわざわざ電光看板を設置したり、ロビーを作ったり。大変そう。

 私ははその面と、小松さんを思いっきり楽しませてもらいました。

文化村 : http://www.bunkamura.co.jp/

Posted by shinobu at 16:43 | TrackBack

2002年01月13日

新国立劇場演劇『かもめ』新国立劇場01/11-29

 「チェーホフ・魂の仕事」シリーズの記念すべき第1段の初日。
 劇団M.O.P.の座長マキノノゾミさんの演出です。NHKのドラマの脚本などでも大活躍の人ですね。

☆ひとことものろーぐ:「かもめ」初日報告
  update: 2002.01.12 (Sat)

 私がかねてからお薦めしておりましたマキノノゾミ演出「かもめ」@新国立劇場を観てまいりました。
 なんか肩透かし・・・・。
 役者を楽しむには十分足りるのですが作品自体に期待しても残念ながら報われない可能性大です。

☆ここからレビューです。

 ほんのちょっとネタバレします。
 すっごく期待していって、中盤までは引き込まれて、そして終わったら・・・残念ながら『がっかり』でした。それも憤りを覚えるほど。なんか『肩透かし』という言葉がぴったりなんですよね。

 まず開演前、舞台装置のアーティスティックな空間にすっごく期待させられた後、2人の役者のおしゃべりで始まるオープニングがあまりに未熟なため気持ちはどん底&ハラハラ。中盤までにベテラン俳優のバックアップでなんとか持ち直したのですが結果的には役者の未熟な演技と陳腐なTV的演出で自滅・・・。

 初日だと言うのに「カーテンコールが起こらないかも!?」というぐらい小さな拍手でした。演劇評論家や演劇通のうるさいお客様が多かったのかもしれませんが。それにしても寒かった。

 ラストのあの路傍の花へのスポットは何なんでしょうねー・・・ダサイよ。悲しいよ。
 そしてニーナ(田中里美)の演技。あんなにバカっぽくてガキっぽいニーナなんて・・・ありえないよ。
 アルカージナ(大女優)とトリゴーリン(小説家)との言い合いのシーンなんて独白&顔スポットですよ!そんなの・・・・誰がどう考えてもヘンだよ!!

 ま、満足すべきは個々の役者さんの活躍ですね。私の大本命の三田和代さん(アルカージナ)、ブラボーーーッッ!!セリフを言っているだけで涙がぼろぼろ。あぁ、貴方のおかげで芝居を観てます!
 そしてそのトレープレフ(大女優の息子)役の北村有起哉さん、キュートで卒倒♪♪またまたお気に入り男優を発見してしまいました。

シリーズ/チェーホフ・魂の仕事 Vol.1  "The Seagull"
出演=田中美里/北村有起哉/益岡徹/三田和代/鶴田忍/坂本あきら/塩田朋子/山野史人/洪仁順/奥田達士/なべきよしお
作=アントン・チェーホフ 英訳=マイケル・フレイン 翻訳=小田島雄志 演出=マキノノゾミ 美術=堀尾幸男 照明=中川隆一 衣裳=三大寺志保美 音響=堂岡俊弘 ヘアメイク=林裕子 演出助手=豊田めぐみ 舞台監督=菅野将機   
新国立劇場HP : http://www.nntt.jac.go.jp/

Posted by shinobu at 17:31 | TrackBack

風琴工房『ゼロの柩(ひつぎ)』ザ・スズナリ01/12-20

 ク・ナウカの阿部一徳さんが出演されるので観に行きました。

 暗い・・・いわゆる「古い」、小劇場演劇、じゃないですか?脚本も音響センスも転換も・・・怖いぐらい。

 なんであんな演技なんでしょう。
 なぜ棒読み?
 「コミュニケーションが出来ていない二人」という設定だとしても互いにコミュニケーションを取ろうとしている姿勢は必要だと思うんですよね。一方通行同士だとしても、ベクトルだけは出しているはず。なのに一人の世界でただ声を発しているだけでは・・・・演技っていうのでしょうか?

 ク・ナウカの阿部一徳さんは予想通りな感じでした。まー、ク・ナウカの感じそのまま。可も不可もなく、ということで。

 THE SHAMPOO HATの日比大介さんが最高に素晴らしくて、泣けちゃった。彼のおかげですっごく晴れ晴れとした気持ちで家に帰れました。

 風琴工房:http://windyharp.org/ 
 ※URLは2005年に追記。

Posted by shinobu at 00:01 | TrackBack

2002年01月06日

reset-N『Visions of Tokyo』シアタートラム01/05-07

 しのぶいちおしのreset-N(リセット・エヌ)の新作。とうとうシアタートラム!
 いやー・・・新年早々シビれましたねぇ・・・・。芯(しん)があるんです。髄(ずい)があるんです。夏井孝裕さんの脚本には。そう。私は叱咤激励されて身を震わせて泣いたのです。自分の人生を振り返り、今の自分を確認し、これからの人生の指針に含めたい。

 制作さんもおっしゃっていましたが、今回は今までとはちょっと違った感じでしたね。男性4人芝居ということで、女性が出てない影響がやっぱり大きいです。看板女優の町田カナさんが出てらっしゃらなくて残念。

 reset-Nといえば、歪んだ愛(ハードSMという形式を取ること多々)を描くことによって人間の心の奥底にある生の感情を、美しく残酷にあぶりだす・・・というようなスタイルが主流だったと思うのですが、今回は違いました。赤裸々で直接的なメッセージを投げかけていた、というか、直球でズバっと飛んできました。

 ストーリーやセリフの方に、より心を奪われていたせいかもしれませんが、いつもなら目頭に残って消えてくれないほど印象的なシーン、たとえば音響きっかけだけで胸がいっぱりになったりするような瞬間は残念ながら今回は少なかったですね。ラストはさすがにビリビリ来ましたけど♪

 あの緊張感の継続の中に、演技的に難易度の高い笑いがたくさんあったことには感服です。
 初日ゆえか、最初の30分ぐらいは固さを感じましたが、役者さん、皆さん本当に上手いです。4人全員のファンになっちゃいます。

 私が肩を震わせ、全身をこわばらせずにいられなかったセリフたち。
 「君はいい人でいようと思っていながら結局会社の都合でしか動いてないマシンだから、人間のフリしないでマシンらしくしててよ・・・。」
 「死んでる奴に死ぬなって言われると腹立つくんだよ。」
 (脚本より抜粋。劇場受付で1冊1000円で販売しています。)

 当日パンフレットの夏井さんの前書き、真摯に受け止めます。
 『この身が滅びても芸術がこの地球上に栄えているように、そのために私達は体を捧げています。』
 あー・・・私も生きなければ。責任を感じて。

 reset-N : http://www.reset-n.org/

Posted by shinobu at 00:50 | TrackBack

2002年01月03日

2001年しのぶの観劇ベストテン

 さて、2001年の締めくくり・・・・♪
 勝手極まりない「2001年しのぶの観劇ベスト10」の発表です!

 今年は悩みに悩んだ結果、ベスト10以外に数個、部門を設けました。
 特に勇気が要ったのは小劇場部門(3作品選出)を設けたこと。スポンサーがついていたり、大手のプロデュース公演だったりするものと同じ土俵に上げることは不可能だとの判断よりです。小劇場を愛する者の苦渋の決断です。どうぞお許しを・・・。

 216本の中から無理やり選んだ10本強。
 さぁ、いってみよっっ!

■芝居■
 ①大人計画「エロスの果て」本多劇場3/14-4/1

 ②永井 愛 作・演出「こんにちは、母さん」新国立劇場 小劇場3/12-31

 ③井上ひさし 作「夢の裂け目」新国立劇場 小劇場5/8-30

 ④福島三郎 作・演出「LOVER SOUL」シアタートップス
 ⑤コクーン歌舞伎「三人吉三」シアターコクーン6/5-27
 ⑥木山事務所公演「假名手本ハムレット」俳優座劇場3/2-6
 ⑦井上ひさし作・演出「紙屋町さくらホテル」新国立劇場 中劇場4/4-25
 ⑧ひょうご舞台芸術「プルーフ/証明」紀伊国屋サザンシアター6/7-17
 ⑨ピーター・ブルック演出「ハムレットの悲劇」世田谷パブリックシアター6/23-7/3
 ⑩reset-N「キリエ」スフィアメックス6/7-10

 ※次点 荻野アンナ 脚本・宮田慶子 演出「美女で野獣」新国立劇場12/10-27

■演出■
 鴻上尚史 演出「ウィンザーの陽気な女房たち」彩の国さいたま芸術劇場小ホール5/11-27
 ※次点 ク・ナウカ「トリスタンとイゾルデ」青山円形劇場10/12-18

■男優■
 野田秀樹
  (NODA MAP スペシャル・ステージ「2001人芝居」スパイラル・ホール2/3-28)

■女優■
 阿部聡子(青年団)
  (ポかリセット「煙の行方」駒場アゴラ劇場9/5-12 
   第一話目(夏井孝裕 脚本)での和服女性役)

■舞台(装置・美術・照明)■
 蜷川幸雄 演出・大竹しのぶ&唐沢寿明 出演 「マクベス」シアターコクーン3/30-4/30
 ※次点 ひょうご舞台芸術「ペギーからお電話?」博品館劇場11/29-12/9

■脚本■
 チェーホフ演劇祭「はぐらかされた わが幸せ」シアターX 11/21-27

●コメディー●
 陣内孝則 主演「おばかさんの夕食会」世田谷パブリックシアター9/21-30

●オペラ●
 小澤征爾オペラ・プロジェクトⅡ「コジ・ファン・トゥッテ」東京文化会館4/9-11

●話題●
 太陽劇団「堤防の上の鼓手」新国立劇場 中劇場9/7-22

★小劇場系(3作品 劇団名あいうえお順)★
 げんこつ団vol.22「真空ドリル」下北沢駅前劇場5/31-6/3
 bird's-eye view「Package」三鷹市芸術文化センター10/19-21
 ロリータ男爵「タナベさんが火を出した」下北沢駅前劇場6/20-24
 ※次点 演劇屋バンソウコウ3「re:set」中野ザ・ポケット2/7-12


注 : ひとつの作品が複数の部門に選ばれることがないように選出されています。
    団体、個人等についての表記は敬称略です。 

Posted by shinobu at 22:21