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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2002年10月29日

動物電気『プロレタリアート演劇 人、人にパンチ』10/24-27三鷹市芸術文化センター星のホール

 「プロレタリアート演劇」というキャッチフレーズに爆笑していたのですが、本当に「労働階級」の人たちのお芝居だったのでちょっとがっかり。まぐろ漁船のお話。再演だそうです。

 んー・・・退屈でしたね。いつものお約束ネタですが、パワーが足りなかったというか。衣装の速水さんが作られる全身タイツの新作もお約束ということで、今回はネクタイ付き。かわいかった。

 ハイレグ・ジーザスの「謎のマスクマン」さんが出演されていたのですが、マスクしていない普通のお顔だと普通の役者さんですよね。当たり前か(笑)。ねじりハチマキ(タオル)が一番よくお似合いでした。

 伊藤美穂さん目当てで通う動物電気ですが、今回は出番が少なくてすごく残念。でもやっぱりセクシー。次はげんこつ団に客演ですね。楽しみです。

Posted by shinobu at 23:07 | TrackBack

2002年10月27日

燐光群『最後の一人までが全体である』ザ・スズナリ10/03-20

 木場勝巳さんと神野三鈴さんが出演されているし、タイトルに惹かれたので観に行きました。坂手洋二さんの脚本は素晴らしいと思いますし。ただ、かなりハードな内容なので行くかどうか毎回迷うんですよ、燐光群は。

 1987年と2002年を行き交うお芝居。なんと学生自治の話!私、実体験したよぉ(脂汗)。おぉ、年がバレてしまう。(でも1987年はまだ私は大学生じゃなかったよっ)学友会、学生自治による文化祭、寮の閉鎖問題、等・・・。あのしゃべり方。あの対立の仕方。ああいう感情の盛り上げ方。全部あの頃のまま。ぞっとするほどぴったり、そっくりでした。・・・・個人的にきつかったです。身に沁みるというか。ああいうコミュニケーションは決して人間関係がうまくいかないんですよ。結果、成果も出ない。成功しない。

 ・・・古いよな~。敢えてやってらっしゃるのはわかるけど。
 『バンカラ』
 この一言です。この作品に捧げるのは。
 思いっきりコレ、です。

 さすが坂手さん!とうならせる演出も多々有りましたが、私は観ててつらかった。だから燐光群って観るかどうかいつも躊躇しちゃうんですよね~。でも次回公演の『阿部定と睦夫』は観に行きます。だって手塚とおるさんが出るんだもん♪

燐光群内 : http://www.alles.or.jp/~rinkogun/

Posted by shinobu at 15:28 | TrackBack

2002年10月23日

世田谷パブリックシアター企画制作『月の向こう側』世田谷パブリックシアター10/19-21,23-27

 原題(英語)は"the far side of the moon "です。
 カナダ人のロベール・ルパージュさんが一人で作・演出・出演をされていた演目です。1年前ごろからイブ・ジャックさんを俳優として迎え、世界の色んなところで上演されています。

 一言でいうと、一人芝居なんです。ある対照的な兄弟のお話。弟が月の表側だとしたら兄は裏側(=むこう側)。地球から直接は絶対に見えない部分。その兄と弟の役を1人でやるんです(他にもちょい役がありますが)。

 壁に映し出された映像と演技との絶妙のコンビネーションで、ある種のイリュージョンを見せてくれます。巨大な鏡がぐるっとまわる装置はすごいアイデアですね。役者のイブ・ジャックさん、うまかった。演じ分け方も面白かった。

 「ルパージュ・マジック」というものが見たいと思ってそれだけを期待していたからストーリーものだと知って驚きでした。実は、かなり寝ちゃったの~・・・(涙)。ラストは感動しましたよ。しみじみ「よかったね~」って。あの演出は夢があって好きです。こういう瞬間にこそ、人間は飛べるんだと思います。想像力という翼でもって。

 野村萬斎さんと主演のイブ・ジャックさんを迎えてのアフタートークがあったのですが面白くなかったな。もうちょっと質問とか考えた方がいいと思います。相手は外国人だしね。

主催=(財)世田谷区コミュニティ振興交流財団/特定非営利活動法人アートネットワーク・ジャパン(NPO-ANJ)
世田谷パブリックシアター内:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/02-2-16-1.html

Posted by shinobu at 23:29 | TrackBack

2002年10月20日

ジンジャントロプスボイセイ『ハムレット・マシーン』神宮前EX'REALM10/14-20

 ジンジャントロプスボイセイ、通称ジンジャン(故・渋谷ジァンジァンみたい)。私が学生の頃、違う劇団名だった時に2度ぐらい観に行ったことがあります。その時はストーリーものをやってらしたんですけど、今ではほとんどアート・パフォーマンス集団というイメージですよね。

 私はこういうアートを全面に出した公演ってはっきり言って苦手なんですが、最後まできちんと観ましたね。楽しい空気だったんです。シリアスな演技やセリフと同時並行に、滑稽さで笑いを誘うような演出が見え隠れして。

『ハムレット・マシーン』はドイツの演出家ハイナー・ミュラー氏の代表作です。「上演不可能」とされるこの演目、6ページしかない作品なんですが、すごく難解。哲学的、形而上学的な真面目なセリフ。情景描写がそのまま登場人物(?)になっていたりぱっと見は、まるで不条理なんですが、伝わってくるものの深さに感服です。

 きれいなギャラリーに『ハムレット・マシーン』脚本の文字をコラージュしたパネルを展示。6台のTVが天井から吊り下げられ、コンピュータ制御された映像・画像が流れます。透明ビニールが敷き詰めれられた舞台には、ところどころに土の山が。白い天使のようでちょっとグランジな衣装をまとい、芸術的メイクを施された役者たち。こわれたレコードが何度も同じ個所を繰り返すような音響。演出家の「はいっ。」という声と手拍子とともに演技が開始します。まるでお稽古みたいに。徐々に土にまみれて泥だらけになっていくパフォーマー。開演してから客の前でメイク&着替えをしつづける女優。黒装束の女が赤いドレスの金髪娼婦に変身。

 象徴的なシーンをところどころ手拍子で休止させ、その積み重ねによって切り取られた『瞬間』を表し、女優の着替えを見せ続けることで、継続している『時間』を体感させます。さらにそれらの共存の中に観客を参加させることに成功していました。それが私が一番楽しんだところ。

 ジンジャン主宰の中島諒人さん曰く今回の公演は、『映像作家集団のart unit GOLDENSHITと、音楽家のスズキ クリさんと、ジンジャンが、 この戯曲から想像する(連想する)ことを形にしたもの』ということで、特に脚本どおりの作りではなく、色んな部分の集合体のような空間でした。コラボレーティブ・パフォーマンスというのかな?う~ん、名称はわかりませんが濃厚&奇抜な2時間弱でした。

 私、おそらく主宰の中島さんの笑顔と心配りが一番好きだったかも。だから最後まで楽しめたんだと思います。ありがとうございました。次回は青山円形劇場で『RとJ(ロミオとジュリエット)』だそうです。楽しみです。

ジンジャントロプスボイセイHP : http://www.zinjan.jp/index.html
神宮前エクスレルムHP : http://www.exrealm.com/index.html
  (↑ここのHPはかなりカッコいーですよ!)

Posted by shinobu at 17:07 | TrackBack

2002年10月18日

大人計画・日本総合悲劇協会vol.3『業音』草月ホール10/9-26

 大人計画の作・演出家・主宰の松尾スズキさんが客演の役者さんを集めてのプロデュース公演。テーマは悲劇。

 すごかった・・・・。
 期待以上でした・・・・衝撃。
 びっくりした。慰められた。説教された。元気付けられた。涙出た。
 「どうせコンビニ人生なんだろ?なりふりかまわず生きていこう。」

 売れない歌手・荻野目慶子は自分の母親の老人介護をしながらタレント家業。借金のかたにマネージャーと肉体関係。ただ金だけのために売春も。松尾の妻を車で轢いてしまった荻野目慶子。妻は植物人間に。代わりに松尾と結婚する荻野目慶子。携帯メール、オーディション、売春、ホモ、フラダンス、脳、エイズ、便器、うんこ・・・・etc.
 残酷非道で悲劇的なストーリーに極端なキーワードたち。てんで先の見えない展開。でも最後にはこれらを昇華させて観客に何かを気づかせる。松尾さんは間違いなく天才です。

 荻野目慶子さん、体当たり。いや「体当たり」とかいう紋切り型ではすませられない見世物でした。最初はあまりに演技が下手なのでどうなることかと思いましたが、もうどうでもイイ。すごいです。頭のてっぺんからなにかポン!ってはじけちゃった。キレイな幻を見た。

 松尾スズキさん。いい男すぎ。その存在がもうオトコ。フェロモン出しすぎです。へにゃへにゃだけど、決めるとこは決める。はすに構えてるように見せかけつつ正論をぶっつけて、自分のバカをさらけ出す。柔らかさと硬さが完全に入り混じって同居。優しくて厳しい。いやらしくてストイック。イヤだ!こんな男!惚れるなと言われても惚れる以外にないよ!!

 片桐はいりさん。ギャグもシリアスもお手のもの。切れ味の良い動き。「私は誰だ?誰なんだ?」そんな重たくてクサいセリフを堂々と言ってのけ、しかも心にぐさっと刺さります。

 大人計画の役者さん、皆さんすごかった。「すごかった」なんて安易な言葉でごめんなさい。でも本当にすごかったんです。とにかくどんなブサイクな格好しててもかっこいいんです。はっちゃけてても冷静。意図的にキチガイ。お客様へのサービス精神過多で自分(の肉体)には厳しくて。TVや映画など色々なところで皆さんが活躍されるのがわかる気がしました。

 舞台装置もすごかったな~・・・・象徴的なんですよね。ドス黒く赤茶けたあの、穴。あぁ何を書いてもネタバレになっちゃう。もう書けないよ・・・。

 この作品をお洋服のブランドで例えるとポリシーはモスキーノ。字模様はミッソーニ。奇形な感じがマサキ・マツシマ。明るさはジュンヤ・ワタナベ。力強さは・・・着物。博多の泥大島。

 草月ホール、期待通りでした。ビルの中を見物するだけでも価値があります。

大人計画HP : http://www9.big.or.jp/~otona/

Posted by shinobu at 00:21 | TrackBack

2002年10月15日

パルコ・トライアル・シリーズVOL.1『ダブル・スタンダード』PARCO劇場10/15-16

 パルコ・トライアル・シリーズVOL.1『ダブル・スタンダード』ということで翻訳モノの短編を2本立てでした。

 1本目のウィリアム・サローヤン作「おーい、救けてくれ!」は、アメリカはテキサスの牢屋が舞台。ある旅の男が人妻にだまされて牢屋に入れられ、その牢屋のまかないの17歳の少女と出会い・・・。設定とテーマはテネシー・ウィリアムズ作『地獄のオルフェ』とほぼ同じかな。閉鎖的なアメリカの田舎町での悲劇。いわゆる差別とか虐待とか、ね。せつないし、笑えるし、主張もあるし、面白い脚本だと思いました。

 でも、自転車キンクリートストアの鈴木裕美さんの演出は、あまり良くなかったです。まず照明が甘いと思いました。音響もしっくりこなかった。装置はあえてシンプルということで、可も無く不可も無く、というところ。役者さんの演技もまだまだでしたね。意味を伝えるだけに終わっていました。感情が伝わってこなかった。翻訳モノでしかも短編となると、どうしてもtptと比べちゃうからな~。

 村上淳さん。気持ちの変化に説得力がなかったな。体の動きが単調。声はからさないように気をつけて欲しいです。ま、カッコいいから許される部分はあります。最後は泣けました。
 西尾まりさん。いつも思いますがナーバス過ぎ。コミカルなシーンを笑えなくしてしまっていました。でも、そういうお人柄でいらっしゃるのでしょうけど。正直さとひたむきさは大好きです。
 秋本菜津子さんが出ていらして嬉しかった。彼女のおかげで作品が締まりました。


 2本目はエドワード・オールビー作「動物園物語」。1958年の作品です。
 ある日曜日の午後。セントラルパークの片隅のベンチ。読書をしている中年の男に、知らない男が話し掛けてくる。その不気味な見知らぬ男が話す無意味な雑談は、だんだんと人間の愛の核心に迫ってきて・・・。

 私は途中で眠くなっちゃった。そして大音量の音響効果でびくっと目が覚めました。あの奇抜な音は冒険しすぎでしょう。作品に不必要な意味を増やしていると思います。いや、もし必要で使っているのならダサイと思います。舞台で起こることと同じような音は説明になってしまうから。

 それにしてもパルコ劇場を使って様々な舞台演出をされていましたね。そういうお遊びは大歓迎なんだけど、まずは脚本の意味を伝えることを最優先にして欲しいです。色々やってはくださいましたが、どっちにしろセリフが伝わってこないので単調で曖昧だと感じてしまいました。てゆーかさぁ~・・・・あの舞台の使い方はパルコには合ってないよぉ。もっと狭いところでやんなきゃ成立しないんじゃないでしょうか。

 パルコ・トライアル・シリーズということで、「トライアル(挑戦)」ですもんね。これでいいのかな。でも今回は2作品とも脚本は良いのに演出でそれを生かせなかった、ということで。辛口御免。次回に期待してます。

 今日の客席には小泉今日子さん、小林聡美さんなど、TVや映画関係の人がたくさんいらっしゃいました。私のお気に入り役者さんの山本尚明さん(reset-N?)を発見!そっか。もうすぐ「動物園物語」やられるんですよね。

 パルコ劇場HP : http://www.parco-city.co.jp/play/

Posted by shinobu at 23:00 | TrackBack

tpt『蜘蛛女のキス』ベニサン・ピット10/09-20

 『蜘蛛女のキス Kiss of the Spider Woman』はマヌエル・プイグ作のベストセラー
小説(1979年)をご本人が戯曲化したものです。男2人の獄中密室劇。1985年にはウィリアム・ハート主演で映画化されアカデミー主演男優賞を受賞しました。
 tptでは1981年に初演、今回で通算4度目の上演となります。モリーナ(中年のゲイ)役に山本亨さん、ヴァレンティン(若い反政府活動家)役は北村有起哉さん。おふたりとも私のお気に入り男優さんです。

 前回(2000年・山本亨&高橋和也 版)もとても良かったのですが、今回はもっと良
かった。というか、目が見えなくなるぐらい涙がポロポロあふれて、客席では私以外にも鼻をすする音が何度も。感動的な作品でした。また人間の素晴らしさに気づかされました。プイグさん、ありがとう。

 軍事政権下のアルゼンチンはブエノスアイレス。それぞれの罪によって収容所の同室
に入れられている2人。劣悪な衛生状態のブタ箱で、生涯ここから出られないかもしれない、いつ殺されてもしょうがないという恐怖の中、飢えに耐えながら、どん底の崖ップチにいる男2人は徐々に心を通わせていきます。そしてそんな極限状況で、2人は愛という境地を発見するのです。

 モリーナに反発するばかりだったヴァレンティンは、獄中で精神的・肉体的拷問を受
けるうちに、だんだんとモリーナに気持ちを打ち明けるようになり、自分の中の矛盾に気づき始めます。若さゆえの過ち。激情。それと背中合わせの純粋さと気高さ。北村有起哉さんが時には乱暴に、時にはキュートに演じます。ステキ♪

 モリーナは最初はおそらく肉体目当てにヴァレンティンを誘惑しようとしていたので
しょうが徐々にヴァレンティンに惹かれていき、とうとう報われない恋に落ちてしまいます。モリーナがホモにしか見えなかったら、ただの段取りになってしまうけれど、女ならではの恥じらいや細やかな心配り、なめらかで優しい声など、本当の女性に見えたんです。女になりえない本物の女の悲劇。劇中で語られる映画『キャットピープル』と重なります。山本亨さん、モリーナはもうあなたの役ですね。

 前回と比べて演出に大々的な変化はなかったのですが、よりコミカルな面がクローズアップされて親しみやすくなったし、なんと言ってもモリーナが女に見えたというのは今回の演出家の薛珠麗(せつ・しゅれい)さんの功績だと思います(後から聞いたのですが、ロバート・アラン・アッカーマンさんが初日の前に演出をされたそうです)。

 男とか女とか、ホモとかレズとか、反政府とかブルジョワとか、そんなのは全く関係ない。ただ安心できること。心が平安なこと。「目の前にいる人間は自分の味方なのだ」と信じ、また、お互いがそれを信じあっていると確信できる状態。それが愛。そこにこそ人としての尊厳が在るのだと思います。

 10/20(日)まで森下(両国)でやってます。ぜひぜひ観てもらいたい芸術的傑作です。

 tpt:http://www.tpt.co.jp

Posted by shinobu at 18:55 | TrackBack

2002年10月07日

二兎社『新・明暗』10/5-24シアタートラム

 タイトルもそのまま『新・明暗』ということで、夏目漱石の未完成の小説「明暗」を二兎社の永井愛さんが脚色したものです。

 暗い話でした。やっぱ夏目漱石ですよね。うん。ステキなセリフがいっぱいありました。さすが夏目漱石ですね。はい。でもラストは永井さんの完全オリジナルです。これがまた泣ける!しっかりと「明暗」を読み込んでその意味をしっかり咀嚼し、舞台として見応えがあるようにドラマティックな見せ場も作って、さすが、永井愛。と、うならせる結末でした。

 佐々木蔵之介さんが主人公の「津田」役なのですが、とっても良かった。カッコよさとか若さとか勢いとか顔芸とか、ピスタチオ時代からの蔵之介さんの個性を今も持ち味としてちゃんと使いつつ、基本をしっかり押さえた巧い役者さんだと思いました。というか、あの陰気でヤな性格の津田が、3時間という長い芝居の間ちゃんと主役として観客に支持されたのは蔵之介さんのおかげだと思います。ナイス・キャスティング。

 現代の話に置き換えられていましたし、永井さんの皮肉たっぷりの笑いの演出で退屈せずに最後まで観られましたが私は終始、舞台装置が気になってしまいました。そのせいで完成度が明らかに下がっていると思います。あれは・・・・「失敗」ですよね。センスにしても装置の構造にしても。二兎社(永井愛)ファンとしては残念というより悔しい。口惜しい。あと選曲も。安直というか、ダサイというか・・・・まあ二兎社だしな、と思えば耐えられますが。客層が客層ですし。

 終演後のアフタートークがとても面白かった!この作品についての永井愛さんご自身による解説はもちろんのこと永井さんと木野花さんの赤裸々な恋愛論が展開されて、場内爆笑。あ~面白かった♪永井さんが恋愛につまづいたとき(笑)、さまざまな恋愛論を読みふけった結果、いきついたのがフロムの「愛について」だそうです。お芝居の中にもその文章が引用されていました。女性陣、必読ですよね♪

 ☆後から判明したことですが、主演女優の山本郁子さんが上演中に足を怪我されました。アキレス腱が切れたのかな?そのまま公演は続行されました。たまたま私は怪我をされた瞬間に居合わせたようです。

原作:夏目漱石「明暗」
作・演出:永井 愛
出演:佐々木蔵之介/山本郁子/木野花/下総源太朗/小山萌子/土屋良太/山本龍二/中村方隆
二兎社HP : http://www.nitosha.net/

Posted by shinobu at 10:30 | TrackBack

2002年10月05日

reset-N『reset-N rare-track COVER』10/01-06ギャラリー・ル・デコ

 しのぶいちおしのリセット・エヌ。今回は1役だけダブルキャストだったのですが、お友達の坂本弓子さんが出演される日に行きました。

 いや~・・・歪んだラブ、濃密でした。緊張の65分間。レズビアンのカップルが住むあるアパートの一室を舞台(基本)に、そこにやってくるオカしい人たち。皆、自分なりに正当性を持って行動しているけれど、ほぼ全てが常軌を逸しています。でもその異常さは世の中と安易につながり合うことが出来ない人たちの精一杯の証しなんです。その不器用さとそれゆえの痛さを飽和状態ぎりぎりのセリフと演技で見せてくれます。

 セリフとしては病院でのやりとりがすごく良かったです。自己完結って実は一番残酷なコミュニケーションですよね。みんな気づかない内にその地獄にはまっています。病床の彼が初めて彼女の名前を呼ぶところで涙が出ちゃいました。そうなのよね。やっぱり人間はつながっていると感じたいんです。嘘だとうすうす気づきつつも。

 今回、役者さんの中ではレズの2人を脅す盗聴&侵入者の原田紀行さんがお気に入り♪いい男がああいうワルをやるとホントに怖い。でもその狂気がぞくぞくと気持ちよかった!これがreset-Nの演技&演出なんだよね~。だからやめられません。

 狭いギャラリーをうまく使ってらっしゃいました。音響ブースを柱の後ろに設置したところがにくい!座席によってはオペをしている音響さんが非常によく見えるのですが、それもまた「演劇をやっているんだ」とわかる演出として効果的だったと思います。オペが鶴牧さんだしね(笑)。照明も良かったですね。美術としても効果としても。主宰の夏井さん自らのオペ、さすがに冴えてました。静かで繊細な感じがいい。

 装置としての赤いソファ、マガジンラック、病院のベッド、水槽、ガラスブロック、スピーカーたちは、それぞれが大切な役割を果たし、それでいて不要な時は存在を消してくれる。舞台美術として家具を使用するシンプルでスマートな方法の1例だと思います。ただ、あの赤いゴミ箱だけはしのぶ的にNGでした。赤はないよな~・・・カゴにするとか白にするとか、何かなかったかな~。病院とアパートとの境界線だったからでしょうけど、ちょっと選択の難しいところですよね。

 あと、私の運が悪かったと思うしかないのですが、オープニングで光漏れ&ラスト間際の良いシーンで携帯の着信音(泣)。これはツラかった。こんなに静かで緊張感のあるお芝居なのですから、マナーを守らせるための更なる対応が必要かもしれません。

リセット・エヌ : http://www.reset-n.org/

■ひとことモノローグより
「reset-N "COVER" 明日まで!」

しのぶいちおしのリセット・エヌ観てきました。
いや~・・・・泣いたし、○○だし、も~いろいろ。
明日の夜に追加公演が決定したそうです。
ぜひ65分間の緻密でCOOLな空間を体験してください!
COOLというよりKOOLかも・・・・♪

reset-N "COVER" 緊急追加公演決定!!
日時:10月6日(日)18:30開演(17:30受付開始/18:00開場)
会場:ギャラリー・ルデコ3F 
 渋谷駅より徒歩5分、詳細はお問合せ下さい。
ご予約方法
 ・reset@lucy.ne.jpにメール
 ・090-4600-5903(制作・秋本)へお電話

Posted by shinobu at 23:29 | TrackBack