タイトルもそのまま『新・明暗』ということで、夏目漱石の未完成の小説「明暗」を二兎社の永井愛さんが脚色したものです。
暗い話でした。やっぱ夏目漱石ですよね。うん。ステキなセリフがいっぱいありました。さすが夏目漱石ですね。はい。でもラストは永井さんの完全オリジナルです。これがまた泣ける!しっかりと「明暗」を読み込んでその意味をしっかり咀嚼し、舞台として見応えがあるようにドラマティックな見せ場も作って、さすが、永井愛。と、うならせる結末でした。
佐々木蔵之介さんが主人公の「津田」役なのですが、とっても良かった。カッコよさとか若さとか勢いとか顔芸とか、ピスタチオ時代からの蔵之介さんの個性を今も持ち味としてちゃんと使いつつ、基本をしっかり押さえた巧い役者さんだと思いました。というか、あの陰気でヤな性格の津田が、3時間という長い芝居の間ちゃんと主役として観客に支持されたのは蔵之介さんのおかげだと思います。ナイス・キャスティング。
現代の話に置き換えられていましたし、永井さんの皮肉たっぷりの笑いの演出で退屈せずに最後まで観られましたが私は終始、舞台装置が気になってしまいました。そのせいで完成度が明らかに下がっていると思います。あれは・・・・「失敗」ですよね。センスにしても装置の構造にしても。二兎社(永井愛)ファンとしては残念というより悔しい。口惜しい。あと選曲も。安直というか、ダサイというか・・・・まあ二兎社だしな、と思えば耐えられますが。客層が客層ですし。
終演後のアフタートークがとても面白かった!この作品についての永井愛さんご自身による解説はもちろんのこと永井さんと木野花さんの赤裸々な恋愛論が展開されて、場内爆笑。あ~面白かった♪永井さんが恋愛につまづいたとき(笑)、さまざまな恋愛論を読みふけった結果、いきついたのがフロムの「愛について」だそうです。お芝居の中にもその文章が引用されていました。女性陣、必読ですよね♪
☆後から判明したことですが、主演女優の山本郁子さんが上演中に足を怪我されました。アキレス腱が切れたのかな?そのまま公演は続行されました。たまたま私は怪我をされた瞬間に居合わせたようです。
原作:夏目漱石「明暗」
作・演出:永井 愛
出演:佐々木蔵之介/山本郁子/木野花/下総源太朗/小山萌子/土屋良太/山本龍二/中村方隆
二兎社HP : http://www.nitosha.net/