パルコ・トライアル・シリーズVOL.1『ダブル・スタンダード』ということで翻訳モノの短編を2本立てでした。
1本目のウィリアム・サローヤン作「おーい、救けてくれ!」は、アメリカはテキサスの牢屋が舞台。ある旅の男が人妻にだまされて牢屋に入れられ、その牢屋のまかないの17歳の少女と出会い・・・。設定とテーマはテネシー・ウィリアムズ作『地獄のオルフェ』とほぼ同じかな。閉鎖的なアメリカの田舎町での悲劇。いわゆる差別とか虐待とか、ね。せつないし、笑えるし、主張もあるし、面白い脚本だと思いました。
でも、自転車キンクリートストアの鈴木裕美さんの演出は、あまり良くなかったです。まず照明が甘いと思いました。音響もしっくりこなかった。装置はあえてシンプルということで、可も無く不可も無く、というところ。役者さんの演技もまだまだでしたね。意味を伝えるだけに終わっていました。感情が伝わってこなかった。翻訳モノでしかも短編となると、どうしてもtptと比べちゃうからな~。
村上淳さん。気持ちの変化に説得力がなかったな。体の動きが単調。声はからさないように気をつけて欲しいです。ま、カッコいいから許される部分はあります。最後は泣けました。
西尾まりさん。いつも思いますがナーバス過ぎ。コミカルなシーンを笑えなくしてしまっていました。でも、そういうお人柄でいらっしゃるのでしょうけど。正直さとひたむきさは大好きです。
秋本菜津子さんが出ていらして嬉しかった。彼女のおかげで作品が締まりました。
2本目はエドワード・オールビー作「動物園物語」。1958年の作品です。
ある日曜日の午後。セントラルパークの片隅のベンチ。読書をしている中年の男に、知らない男が話し掛けてくる。その不気味な見知らぬ男が話す無意味な雑談は、だんだんと人間の愛の核心に迫ってきて・・・。
私は途中で眠くなっちゃった。そして大音量の音響効果でびくっと目が覚めました。あの奇抜な音は冒険しすぎでしょう。作品に不必要な意味を増やしていると思います。いや、もし必要で使っているのならダサイと思います。舞台で起こることと同じような音は説明になってしまうから。
それにしてもパルコ劇場を使って様々な舞台演出をされていましたね。そういうお遊びは大歓迎なんだけど、まずは脚本の意味を伝えることを最優先にして欲しいです。色々やってはくださいましたが、どっちにしろセリフが伝わってこないので単調で曖昧だと感じてしまいました。てゆーかさぁ~・・・・あの舞台の使い方はパルコには合ってないよぉ。もっと狭いところでやんなきゃ成立しないんじゃないでしょうか。
パルコ・トライアル・シリーズということで、「トライアル(挑戦)」ですもんね。これでいいのかな。でも今回は2作品とも脚本は良いのに演出でそれを生かせなかった、ということで。辛口御免。次回に期待してます。
今日の客席には小泉今日子さん、小林聡美さんなど、TVや映画関係の人がたくさんいらっしゃいました。私のお気に入り役者さんの山本尚明さん(reset-N?)を発見!そっか。もうすぐ「動物園物語」やられるんですよね。
パルコ劇場HP : http://www.parco-city.co.jp/play/
Posted by shinobu at 2002年10月15日 23:00 | TrackBack (0)