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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2002年12月10日

竹中直人の会『月光のつゝしみ』12/05-29本多劇場

 『月光のつゝしみ』っていうタイトル、素敵。

 岩松了さんの作・演出というと、私はあまり得意ではないのですが、桃井かおりさんが出演されるのでチケットを取りました。

 今まで私が観た岩松作品の中で一番笑いました。今まで私が観た岩松作品の中で、岩松ワールドが最もよく伝わってきた気がします。「あぁ、これが岩松さんの世界なんだ。私、初めてちゃんと味わったのかも・・・」という気持ち。

 それもこれもみんな桃井かおりさんのおかげです。スカっとするほどユーモアのセンスのある、超賢くって、かっちょいい女優さんなんだな。もぉほんっと気持ちいいぐらい面白い。いや、笑えるという意味で面白いというのではなくて、自由奔放さと正確さが両方成立している演技のすごさという意味で面白いんです。あの多彩なアイデアはどこから湧き出てくるのでしょうか。とにかく彼女はすごい。

 雪が降り続ける田舎の山小屋。ロリコン、自殺未遂、近親相姦、等の題材がぱらぱらと。アブノーマルな空気の中、淡々と起こる出来事は全て不連続。会話もほぼ全てが一方通行。「私をわかって欲しい」と強く望むがゆえにすれ違う合う、頑固で弱い寂しがり屋たち。それを「不器用な人だ」と一言で切り捨てずに、これでもかというほどしつこくその不器用さを描いて面白がって芝居にしてしまいます。岩松さんが「人間って悲しいな。でも人間って可愛いな。」という愛ある目で見てくれているのを感じました。

 竹中直人さん。いつもどおりな感じ。ちょっと私にはマンネリかも。
 村上一輝さん。声が苦手です。
 坂井真紀さん。雰囲気のある人でした。たたずまいは中嶋朋子さんに似てるかも。足も手も細い。
 篠原ともえさん。若い。かわいい。それだけで十分です。声もかわいい。
 岩松了さん。演技はあいかわらず絶品。俳優さんとしては大好きです。「日本演劇界のヒッチコック」というフレーズがぴったり。

 本多劇場グループ : http://www.honda-geki.com/

Posted by shinobu at 2002年12月10日 11:29 | TrackBack (0)