2002年10月20日
ジンジャントロプスボイセイ『ハムレット・マシーン』神宮前EX'REALM10/14-20
ジンジャントロプスボイセイ、通称ジンジャン(故・渋谷ジァンジァンみたい)。私が学生の頃、違う劇団名だった時に2度ぐらい観に行ったことがあります。その時はストーリーものをやってらしたんですけど、今ではほとんどアート・パフォーマンス集団というイメージですよね。
私はこういうアートを全面に出した公演ってはっきり言って苦手なんですが、最後まできちんと観ましたね。楽しい空気だったんです。シリアスな演技やセリフと同時並行に、滑稽さで笑いを誘うような演出が見え隠れして。
『ハムレット・マシーン』はドイツの演出家ハイナー・ミュラー氏の代表作です。「上演不可能」とされるこの演目、6ページしかない作品なんですが、すごく難解。哲学的、形而上学的な真面目なセリフ。情景描写がそのまま登場人物(?)になっていたりぱっと見は、まるで不条理なんですが、伝わってくるものの深さに感服です。
きれいなギャラリーに『ハムレット・マシーン』脚本の文字をコラージュしたパネルを展示。6台のTVが天井から吊り下げられ、コンピュータ制御された映像・画像が流れます。透明ビニールが敷き詰めれられた舞台には、ところどころに土の山が。白い天使のようでちょっとグランジな衣装をまとい、芸術的メイクを施された役者たち。こわれたレコードが何度も同じ個所を繰り返すような音響。演出家の「はいっ。」という声と手拍子とともに演技が開始します。まるでお稽古みたいに。徐々に土にまみれて泥だらけになっていくパフォーマー。開演してから客の前でメイク&着替えをしつづける女優。黒装束の女が赤いドレスの金髪娼婦に変身。
象徴的なシーンをところどころ手拍子で休止させ、その積み重ねによって切り取られた『瞬間』を表し、女優の着替えを見せ続けることで、継続している『時間』を体感させます。さらにそれらの共存の中に観客を参加させることに成功していました。それが私が一番楽しんだところ。
ジンジャン主宰の中島諒人さん曰く今回の公演は、『映像作家集団のart unit GOLDENSHITと、音楽家のスズキ クリさんと、ジンジャンが、 この戯曲から想像する(連想する)ことを形にしたもの』ということで、特に脚本どおりの作りではなく、色んな部分の集合体のような空間でした。コラボレーティブ・パフォーマンスというのかな?う~ん、名称はわかりませんが濃厚&奇抜な2時間弱でした。
私、おそらく主宰の中島さんの笑顔と心配りが一番好きだったかも。だから最後まで楽しめたんだと思います。ありがとうございました。次回は青山円形劇場で『RとJ(ロミオとジュリエット)』だそうです。楽しみです。
ジンジャントロプスボイセイHP : http://www.zinjan.jp/index.html
神宮前エクスレルムHP : http://www.exrealm.com/index.html
(↑ここのHPはかなりカッコいーですよ!)