作:永井愛(二兎社)、演出:黒岩亮 の、平成9年度芸術祭大賞受賞作品の再演です。
私は永井愛さんの大ファンです。戯曲本を集めちゃってるほど。本多劇場が通路まで満員の初日でした。見るからに役者さんがいっぱい。勉強しに来てるのかなー。
舞台は明治44年、日清・日露戦争に勝利して欧米諸国を手本とした体制をますます整えんとする日本。
「飛行機が空を飛ぶ時代。女性も飛ばにゃならんのです。」
女子師範学校で新しい日本を展望するエリート女学生たちがそれぞれの夢をつかむべく立ち上がるが・・・。
私はこの作品の戯曲本を読んでいたので、オープニングの音楽が流れて幕が上がっただけでほろりと来てしまいました~。だって、あの初々しくてはつらつとした明治の女学生たちがここに出てくるんだ!と思っただけでウキウキわくわく。そしてその期待は裏切られませんでした。もー暗転のたびに涙ポロポロですよ。客席も鼻をすする音でいっぱい。
ありのままであるということは、どういうことなのか。自分の生きたいように生きるとはどういうことなのか。自分は1人の人間であるということに気づき、同時にその自分は世界・国家・社会の中に在るのだと知らされます。若さゆえの好奇心と熱狂、そしてもろさ。でもその輝きは何事にも替えられない奇跡なのです。ハッピーともアンハッピーともとれるエンディングは永井さんの戯曲の特徴だと思います。
ここからネタバレします。
ラブシーンがすごくロマンチックで、胸が切なく震える刹那の恋にときめきました。さすが女性劇作家。衝撃的な接吻(キスではなくて接吻)シーンと底なしにプラトニックなプロポーズ。いや~ん赤面。
いわゆるシチュエーション・コメディー的リアルな舞台なのですが、ラストシーンは演劇的な余裕(遊び)のあるシーンになってましてそこの演出は私の予想と全然違っていて、すごく良かったです。潔くて、切なくて、優しくて、甘酸っぱくて。そして、決別のシーンで笑えると思わなかった。腰から頭までじ~んときながら涙流しながらのカーテンコール。あぁ永井さん(脚本)、黒岩さん(演出)、ありがとう!
タイトル『見よ、飛行機の高く飛べるを』は夏目漱石の詩から引用されているそうです。
劇団青年座:http://www.seinenza.com/
Posted by shinobu at 2003年01月23日 23:17 | TrackBack (0)