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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年01月25日

遊園地再生事業団『トーキョー・ボディ』01/22-02/02シアタートラム

 活動を休止していた遊園地再生事業団の3年ぶりの新作公演。
 竹中直人さんらとラジカル・ガジベリンバ・システムなどをやってらした宮沢章夫さん作・演出です。
 イープラスの宣伝によると「戯曲、パフォーミング、映像がコラボレートした作品」とのこと。確かにそうでした。

 口をあんぐりさせられるようなビックリの連続。
 こっそり足の裏をくすぐられるような、快感を伴う小さな笑いとエロス。
 軽やかにしたたかに知的好奇心を満たす斬新でクールなアイデア。
 劇場という小空間の視座から肌で感じる刺激を通じて、東京、地球、宇宙へと無理なく広がる人間の想い。
 今までに私が体験したことがなかった演劇公演でした。

 そして、なんだろ、あの客席の熱気。
 一緒に舞台を作っている気持ち。
 主体的、能動的な、客。
 初日だったからかな。
 かなりコアな宮沢さんファンが集まったのかもしれません。
 でも、そうだとしても、あの客席は楽しかった。

 現代詩のアンサンブルというのでしょうか、棒読みのセリフの堂々とした羅列。不条理劇のような、だけどコントのような。
 一応(決して「一応」じゃないと思いますが)ストーリーはあります。両目を失明した元教師の中年男性が、家出をして行方不明中の娘、鳥子(とりこ)を探して東京へ行く。なぜか、元教え子たちに会い、一緒に鳥子を探すのだけれど・・・。いや、でも、探さないんですよね。
 目的があってそこ(TOKYO)にいるのだけれど、いつの間にかその目的なんて忘れてしまって、感情や欲望のままに、ほとんど無意識に、浮遊している。それがTOKYO。

 スズナリでのリーディング公演を観ていたので、演出の面白さを堪能しました。リーディングははっきりいって面白くなかったんです。寝ちゃってた(笑)。「あのセリフをあんな風に言わせたら、これほど笑えるなんて!」など、目をぱちくり、カラダをビリビリさせられる出し物の連続!

 舞台装置。チラシがそのままパネルになっているのはすごく良かった。そうですよ、東京の体に触れるんですよね。赤・青・黄のお馴染みのパターンが使われていたことについて最初はどうかと思ったのですが、大きな画面が現れてそれに慣れてきたら、実はそれさえもパロディーだったんだと思えて、かっこ良いと思いました。
 お芝居が進むのをそのまま録画して、それがそのままスクリーンに映されます。演技をしている場所が柱でほとんど隠されていて、隙間からしか覗けないんです。それがものすごく面白い。あれは新しいし、楽しいし、問題提議でもあります。すごい。

 思わず声を出して笑った(笑いそうになったのをこらえた)ところ↓
 離婚届に判を押せ、と言い合っているところで元教師が男を平手打ち。レスリング。カーテンコールの女の子。
 心に残しておきたいと思ったセリフ↓
 「絶望ではない。癒しでもない。破壊への希望だ。」

 えんげきのページの1行レビューでどなたかが
 「これはテンポを極端に落として2時間に引き伸ばした1曲のダンス。」と表現していらっしゃいましたが、私もその感覚があります。
 あと、本当に長いと感じましたね(笑)。19:30開演で劇場を出たら22:05でした。

 遊園地再生事業団HP : http://www.u-ench.com/
 (宮沢さんの赤裸々な日記があります。観た人、ぜひ読んでみてください。)

Posted by shinobu at 2003年01月25日 23:21 | TrackBack (0)