活動を休止していた遊園地再生事業団の3年ぶりの新作公演。
竹中直人さんらとラジカル・ガジベリンバ・システムなどをやってらした宮沢章夫さん作・演出です。
イープラスの宣伝によると「戯曲、パフォーミング、映像がコラボレートした作品」とのこと。確かにそうでした。
口をあんぐりさせられるようなビックリの連続。
こっそり足の裏をくすぐられるような、快感を伴う小さな笑いとエロス。
軽やかにしたたかに知的好奇心を満たす斬新でクールなアイデア。
劇場という小空間の視座から肌で感じる刺激を通じて、東京、地球、宇宙へと無理なく広がる人間の想い。
今までに私が体験したことがなかった演劇公演でした。
そして、なんだろ、あの客席の熱気。
一緒に舞台を作っている気持ち。
主体的、能動的な、客。
初日だったからかな。
かなりコアな宮沢さんファンが集まったのかもしれません。
でも、そうだとしても、あの客席は楽しかった。
現代詩のアンサンブルというのでしょうか、棒読みのセリフの堂々とした羅列。不条理劇のような、だけどコントのような。
一応(決して「一応」じゃないと思いますが)ストーリーはあります。両目を失明した元教師の中年男性が、家出をして行方不明中の娘、鳥子(とりこ)を探して東京へ行く。なぜか、元教え子たちに会い、一緒に鳥子を探すのだけれど・・・。いや、でも、探さないんですよね。
目的があってそこ(TOKYO)にいるのだけれど、いつの間にかその目的なんて忘れてしまって、感情や欲望のままに、ほとんど無意識に、浮遊している。それがTOKYO。
スズナリでのリーディング公演を観ていたので、演出の面白さを堪能しました。リーディングははっきりいって面白くなかったんです。寝ちゃってた(笑)。「あのセリフをあんな風に言わせたら、これほど笑えるなんて!」など、目をぱちくり、カラダをビリビリさせられる出し物の連続!
舞台装置。チラシがそのままパネルになっているのはすごく良かった。そうですよ、東京の体に触れるんですよね。赤・青・黄のお馴染みのパターンが使われていたことについて最初はどうかと思ったのですが、大きな画面が現れてそれに慣れてきたら、実はそれさえもパロディーだったんだと思えて、かっこ良いと思いました。
お芝居が進むのをそのまま録画して、それがそのままスクリーンに映されます。演技をしている場所が柱でほとんど隠されていて、隙間からしか覗けないんです。それがものすごく面白い。あれは新しいし、楽しいし、問題提議でもあります。すごい。
思わず声を出して笑った(笑いそうになったのをこらえた)ところ↓
離婚届に判を押せ、と言い合っているところで元教師が男を平手打ち。レスリング。カーテンコールの女の子。
心に残しておきたいと思ったセリフ↓
「絶望ではない。癒しでもない。破壊への希望だ。」
えんげきのページの1行レビューでどなたかが
「これはテンポを極端に落として2時間に引き伸ばした1曲のダンス。」と表現していらっしゃいましたが、私もその感覚があります。
あと、本当に長いと感じましたね(笑)。19:30開演で劇場を出たら22:05でした。
遊園地再生事業団HP : http://www.u-ench.com/
(宮沢さんの赤裸々な日記があります。観た人、ぜひ読んでみてください。)