和田憲明さんが作・演出をするプロデュース公演です。読売演劇大賞最優秀作品賞の受賞経験のある方で、その芝居作りには定評があるのでしょう。私は初見です。
あのチラシとタイトル、キャッチコピーにだまされた・・・大人向けの恋愛モノだと思ってたのに、良質の本格派SFホラーでした(泣)。ネタバレしたくないのであまり深くは書けませんが、とにかくリアルでバイオレント。心理サスペンスでもあり盛り沢山です。実は某有名SF映画にそっくり。それに感づき始めたときシラけちゃいそうになったんですが、物語の結末に心に響くメッセージが秘められていて、それはそれは感心させられました。
人間、どっか間違っちゃったんじゃないかな。つまらないことを消費して浪費して不満でキレて。朝の目覚まし用缶コーヒー、女性用のむやみな体型矯正下着、想像力不要の動画TVゲーム。そしてテロ。戦争。マイナスに考えるのではなくあくまでもプラスに考えられると思うんです。これから変ればいいんだって。そして実行ですよね。
爆発とか放電とかガラスが割れたりとか、もーその他いろいろ消えモノも満載。とにかくこんな小空間でばっちりやられちゃうと前売4,200円は安いと思えました。壮絶です。
植本潤さん(花組芝居)。ちゃんと不気味でした。オープニングのナレーションやラストの映像での話し方などは、やはり技術のある方だと思える落ち着きがあってメッセージをちゃんと受け取ることができました。
内田滋啓さん。美しいですよねー。美しいゆえか悲惨な役が多い気がするのは私だけ?もっと出番があったらよかったのにな~。
伊達暁さん(阿佐ヶ谷スパイダース)。いつも脇を固めるキャラとして存在することの多い方なので、ファンとしては大満足でした。演出の和田さんが伊達さんの魅力を十分に引き出し、発揮させてくださったんだと思います(えらそうですみません)。得体の知れない飄々とした風貌で時には不気味に、時には冷静沈着に笑みを浮かべて迷演技をしたかと思えば、熱い感情的な表現も極度の緊張のガス抜きになる笑いも秀逸。反射神経もすごくいいんですよね。動きで目を奪われます。最初は脇役でだんだんと主役になっていく持っていき方も良かった。構成がうまいんだと思います。
他の役者さんは皆さんリアルですごかったです。ただバーテンダー役の鈴木省吾さん、笑い方が単調だった気がしますね。でもそれぐらいですが。
シアタートップス : http://theatertops.tripod.co.jp/
Posted by shinobu at 2003年03月13日 22:21 | TrackBack (0)