2003年09月24日
『第13回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバル公開2次審査会』09/23スフィアメックス
ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルの公開2次審査会。
1次予選の約70組から選ばれた10組が10分間の生のプレゼンテーションを披露してくれます。
出る方は約6時間以上緊張しっぱなしで体にも心にも悪いイベントですが(笑)、観客は楽しいですね~。
以下、プレゼンテーションを発表した10組についての感想です。○付き番号が合格です。
①APE(エイプ)
セリフなしで表情や演技で楽しませるのは「水と油」っぽい。スーツを着ているのは「虎の子」っぽい。最初の5分はすごく良くてオープニングにふさわしかったです。だけど残りは退屈。あの曲(映画「オールウェイズ」で使われてるやつ)は使うとしてもジングル程度にして欲しかったですね~。
②チェルフィッチュ
演出家の岡田利規さんお一人でチェルフィッチュだそうです。「コンビニ」(『UBU7』企画での「ユビュ王」の一部)を上演。「こういう人、いるよね~」という人間の生態模写系。視点が非常に独特で面白い。審査員5人の5点満点。納得です。ぜひ本公演を拝見したい。
3.こどもとあそぶ
脚本が面白くなさ過ぎだったし役者も合っていなかった。プレゼンとして失敗した感じですね。 他にもいろんな種類の公演を打たれているようなので、残念。
4.劇団MCR
コント。残念ながら完成度が低かったですね。生の鶏肉を使っていたのは10劇団の中では独特。作・演出・主宰の桜井ドリルさんって本当にかっこいいなー。
5.ジュース
大阪から出場。大人数。ざわざわ。ひどいので全く見ませんでした。でも声が聞こえるのは避けられず、終るまで耐えました。
6.劇団かわいい子
バラバラに始まったそれぞれの物語が最後に融合するタイプ。中盤以降はつじつまを合わせるのに大変で、最後まで合わずじまい。アイデアはいいと思います。でもシベリア少女鉄道に全くおよばないですよねぇ。
7.初期型
自らの体(特にわきの下)を使って音を出す二人。黒いレオタード姿なのが滑稽で表情に味があります。最初の5分で終わっていれば選ばれたかも。
8.スペースノイド
暴力でした。私は始まって2分間はかなり面白いと思ったんですが、それ以降はずっと頭を伏せていました。坂手洋二さんがコーヒーをぶんなげたらしい。
9.PORT+PORTAIL(ポルトたすポルタイユ)
乙女チックなダンスとポエム。照明がきれい。映像不快。半分で観るのを止めました。女の子のがんばっちゃってる感は良くないですよね。質疑応答でイメージダウン。
⑩らくだ工務店
10分間のプレゼンとしては最も優れていました。スフィアメックスでやる作品の予告編になっているのも気が利いています。質疑応答ではメンバーのチームワークの良さがにじみ出ていました。こういう若い集団がある事が嬉しいですよね。
いやー・・・観に行ってよかったな~。1日で10劇団っていうのはお得ですよね。疲れますけど(笑)。
審査員がとっても豪華で、それも私にとっては目玉でした。
坂手洋二さん。燐光群の作・演出家。坂手さんの言葉の一つ一つに感動して必死で書きとめたため、当日パンフレットが真っ黒になりました。
天野天街さん。少年王者館の作・演出家。手短にお話されていました。その一言一言が重かった。ズボンがおしゃれでした。
堤広志さん。舞踏・演劇のジャーナリスト。舞台芸術の評論家が参加されているのは本当に喜ばしい事ですよね。素直で率直なご感想が伺えました。
ウニタモミイチさん。演劇エッセイスト。さすがの知識と的を得た発言で楽しませて頂きました。お好みが非常に個性的なのは亜流の劇団への救いですよね。
坂口真人さん。演劇ぶっく社代表。コメントが優しいです。私と同じ3劇団をお選びになって、それが的中。いえ~い。「普通の観客だったら誰を見たい?」という視点なんだと思います。
坂手さんが「シベリア少女鉄道をぜひ見たい」っておっしゃったのには驚きました。やっぱりかなりの噂になっているんですね。坂手さんがご覧になった感想をぜひ聞いてみたいです。
ガーディアンガーデン演劇フェスティバル :
http://www.dx.sakura.ne.jp/~nnn/play/gg03/official/index.html
2003年09月22日
ミュージカル『PURE LOVE(ピュア・ラヴ)-ロミオとジュリエットより-』09/18-25アートスフィア
『モーツァルト!』で文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、読売演劇大賞 優秀男優賞&杉村春子賞を受賞された中川晃教さんを目撃したいがためにチケットを取りました。
前作と同じく小池修一郎(脚本・演出)とのコンビ作品。
評判どおりでした。歌が素晴らしい。中川さんの声を聴ければ、彼の存在を確かめられれば、満足と言えるでしょう。『モーツァルト!』でダブルキャストだった井上芳雄さんの歌声は、まっすぐ、やわらかく響く感じですが、中川さんの歌い方はソウルフルでパンチがあります。そして声量がすごい。体にびんびん来るほど力強いです。演技も熱くてお上手でした。かつ舌(かつぜつ)が良くってセリフも歌の歌詞もしっかり聞こえてきました。言葉に嘘がないんだと思います。
ミュージカル自体は『ロミオとジュリエット』が題材になっていまして、展開としては『ウエストサイド・ストーリー』にそっくりでした。・・・面白くなかったですね~。つらかった。ストーリーが破綻しているんです。めちゃくちゃ不自然。いわゆる「ありえない展開」の連続です。主人公(中川晃教)がユキ(大和田美帆)と恋に落ちる瞬間や、プロデューサー(NIRO)がユキを好きになる理由が全く描けていませんでした。突然に「命がけの恋」にのめりこまれても、おいおい、嘘だろ~って思っちゃって、全く臨場感がないです。
あと、いくら『ロミジュリ』が原作とは言え、ラストがああなのはどうかと思いますね。唖然ですよ、客席全部。そりゃないだろうって思います。私は「え~・・・・」と、ため息にまじって声が出てしまいました。
美術は手抜きだな~と思いましたが、きっとあの電球がいっぱいついた幕、というか、スクリーンが高いんだろうなー。コンピュータ制御ですよね?すごい装置がどんどん生まれているんですね。
ジュリエット役とのそれこそPUREなやりとりは良かったです。中川さんの歌と真摯な演技がそれを成立させます。プラネタリウムで愛を確かめ合う二人、という構図はいや~ん♪と思うほどピュアですし刑務所の面会室での二人のデュエットには泣けました。こういうのは好き。
終演後に30分間ほどのトークショーがあり、フジテレビのアナウンサーがとても上手に場を作ってくれました。
中川さんの本業は、役者というよりはミュージシャン寄りなんですね。彼自身が自分を役者だとまだ思えていないようでした。舞台出演はまだ2度目ですものね。どうやらすごく真面目な方のよう。終始照れくさそうにしながら素直に正直に、言葉をたくさん使ってお話されるのがキュートでした。
アナ「中川さんの、理想の異性のタイプは?」 →場内期待むんむん
中川「黒木瞳さん。僕の理想のお母さんですね。」 →場内爆笑
アナ「中川さんはミュージシャンでいらっしゃいますが、
音楽を作る時に思い浮かべる女性はいますか?いるのでしたら、それは誰?」
中川「黒木瞳さん。」 →やっぱりかいっ
アナ「中川さんにとってのPURE LOVEとは?」
中川「パンフレットには他人への思いやり、とか書きましたが、それはちょっと背伸びしていました。いつ誰に対しても、例えば今、インタビューを受けていてそれについて答える時でも、決して嘘がないこと。これが僕のPURE LOVEじゃないかな。」
素朴で真面目な好青年でした。すっかりファンになっちゃいましたね。いやファンというよりは、応援したくなった、というか。もー・・・母性本能をくすぐられた、ということでしょう。だってあまりに真面目で不器用なんだもん(笑)。
12月にクリスマス・コンサートを控えていらっしゃいます。ぜひまた歌声を聞きたいし、お会いしたいです。
原作 ウィリアム・シェイクスピア(ロミオ&ジュリエットより) 脚本・演出 小池修一郎 音楽 島健 美術 堀尾幸夫 衣裳 有村淳
アートスフィアHP : http://www.tennoz.co.jp/sphere/normal.htm
2003年09月19日
bird's-eye view『UBU ROI dub』9/18-20法政大学学生会館大ホール
制作をやらせていただいたり、とても仲良くさせていただいているバーズ・アイ・ビュウ。
タイトル『UBU ROI dub』は(ユビュ・ロア・ダブ)と発音します。法政大学で発見したチラシによるとbird's-eye viewは「サブカルチャー・インディーズ・パフォーマンス・ユニット」だそうです。そうだったのか! なんだか納得!!
私がこの『ユビュ王』の企画を観るのはこれで3本目(劇団で数えると4本目)でした。だんだん目も肥えてきて細かいところの比較できるようになった、というか、もう真っさらな気持ちでは観られないですね。で、バーズは↓
若い!
とにかく若い!
若いってイイ!元気がある!ぴちぴちしてる!可愛い!!
そして・・・・・・バッカだな~♪
最初の感想はこんなところでした。
劇場に入ると、まずアトランダムに置かれた座席が目新しかった。といっても全席自由で早い者勝ちなので、とっとことっとこ椅子取り合戦にまず夢中になるんですけどね。椅子に落ち着いてから前を見ると、古いホールのだだっぴろい床に敷き詰められていたのは砂。そう、砂の上でパフォーマンスをするのです。
着物を羽織った役者さんが十数人ぐらい、観客に背中を向けて舞台の奥に立っていました。そろりとオープニング。きれいな砂の上を一歩一歩汚していく、着物姿の金髪男。彼がばったりと倒れた瞬間、奥に立っている役者の中の、一人の羽織がハラリと落ちました。なんと下着!白いブラとパンティー姿なんです。どんどんと床に落とされていく羽織。あらわになるスキャンティー姿の”女”たち。役者は男も女も全員、白いブラとパンティー!うわーぉキョーレツ!!
自転車で追いかけあうブラ&パンティーの女の子たち。
2階から色とりどりの風船がどっさり。
ユビュおやじ(大内真智)とユビュかあちゃん(山中郁)のSMシーン。
松下好さんが「うんこ、うんこ♪」と言いながらミニチュアの船で遊ぶシーン・・・(笑)。
公演が終わって2週間ほど経った今でも心に鮮やかに残っているシーンが多いです。バーズって、ビジュアルにダイレクトに訴えるパフォーマンス・グループだと思います。
ただ、上演時間は約80分と短めだったのですが、それでも長かったな~。たぶん舞踏シーンがネックだったんじゃないかな。必要だと感じられない繰り返しは効果的ではないと思います。また、拡声器のアイデアは好きなんですが、いかんせんセリフが聞こえなくて勿体なさすぎました。
総勢19人という出演者の中で、一人一人の演技の技術の差が目立ちました。オーディションで集めた役者さんとバーズ・メンバーとの差ではなくて、メンバーの中から群を抜いて上手い役者さんが出てきちゃったのが原因じゃないのかな。何をおいても作品にはハーモニーが大切だと思います。難しいものですよね。
大内真智さん。ユビュおやじ。主役。色気がある。殺気がある。プロだな~。
山中郁さん。ユビュかあちゃん。ジンジャンや三条会の役者さんとよく似たセリフまわしでした。はっきり、しっかり、味のある発声。
大内さんと山中さんのユビュ・カップルは静かに青い光を発しているように見え、確かな絆でつながっていました。
松下好さん(エル・カンパニー)。少女の夢のユビュおやじ。可愛い・・・・やっぱり可愛いっ。出て来てくれるだけで嬉しくなっちゃう。山中さんと松下さん、スタイル抜群!女の私が見とれました。
吉川和海さん(reset-N)。ネギをかじりながら意味不明の音を発するブーグルラス王子。めちゃくちゃキュートでした。セリフがゼロな分、たたずまいで全てを語っていました。
日栄洋祐さん(国民デパリ)。ボルデュール大尉役。役名は『しゃぶる女』。ワイルドでやんちゃで包容力があって、すごく男らしい方でした。
バーズ・アイ・ビュウ : http://www.b-ev.net/
UBU7サイト : http://www.ubu7.info/
2003年09月15日
Studio Life『LILIES』09/10-23紀伊國屋ホール
ここのところ前売りは必ず完売している美形男優集団スタジオ・ライフ。2002年に上演された作品の再演です。私は大沢健さん(客演)が主役を演じられるRougeバージョンを拝見しました。
この作品は1985年にカナダ初演。その後アメリカ、フランス、ベルギー、オランダ、メキシコ、ウルグアイ、オーストラリア、日本など多くの国々で上演されています。すごいですよね。
収容所の中。大司教の前でお芝居を演じる囚人達。実は大司教の冤罪をあばくためのもの。セルバンテスの『ラ・マンチャの男』のような劇中劇のスタイルです。クラシック音楽の流れるなか美しく、残酷に物語は進みます。
ボロボロ泣いちゃいました・・・・。愛、愛、愛。そう、愛なんですよね。人間を支えているのは。人間を人間たらしめているのは。そして真実の愛の前には、何もかも無力です。
倉田淳さんの演出は、いつも感じるのですが、内容重視なんですよね。照明や装置はストーリーを伝えるために最小限に抑えられていて、後は倉田さんご自身が脚色された脚本と、男優たちの演技にかかっています。
私が一番感動したのは伯爵夫人が自ら死を選んだ時のセリフです。
「演じるの。演じるのよ。自分の役割を。」(セリフは完全に正確ではありません。)
人間にしか出来ないことなんですよね。演じるってことは。彼女は決して品位を落とさず、自分というものを見失わない人だったのですね。実は自分を神の高みからコントロールできる立派な淑女だったんです。
違う角度から見ると、この作品は美形男優ばかり勢ぞろいで、しかもいわゆる“ホモもの”です。お約束ですよ。キスとかね。ヌードとかね。これほど熱狂的な人気があるわけだし、そりゃ観客サービスも必要だな~とは思います(私はかなり苦手なんですが)。ただ、そういう演出については最初は恥ずかしいんですが、だんだんとその意味が大きくなってきます。観客はそこに入りこむことが出来れば、その人にとってすごく感動的な作品になると思います。
役者さん、みんな背、高っっ!!紀伊国屋ホールの大きな舞台に巨人達がそびえ立っているようでした。
大沢健さん。シモン役。無実の罪で牢屋に30年間(40年?)入れられることとなる。残念ながら演技が硬くて「お決まりのコース」という印象を受けました。「美しすぎる」等、最高の形容詞をつけて呼ばれる役なのですが、それほどの輝きを感じられなかった。物語のシリアスな部分により重点を置かれていたのかもしれませんね。ただの囚人役をされている時が一番かっこ良かった気がします。
姜暢雄(きょう・のぶお)さん。シモンを愛するヴァリエ役。目が大きい。美形ですね~。背がめちゃくちゃ高い。声をあげて泣くシーンが可哀相で可愛くて、この人だからこんな風に胸キュンするんだな~と思いました。ただ、演技はまだまだこれからって感じですね。ヌードは・・・恥ずかしくって見られませんでした。
曽世海児(そぜ・かいじ)さん。夫に捨てられたフランスの伯爵夫人役。セリフの一つ一つが正確でずっしりと重く、演技が形式美としても完成されて来ているように思います。ダントツの存在感でした。息子ヴァリエ(姜暢雄)とのシーンで、必ずと言っていいほど泣かされました。
河内喜一朗さん。大司教役。いつも渋い存在感で作品を締めてくださっているんですが、最近はどうなんでしょ。演出のせいなのかしら、すっごくダルイです。セリフの間が不必要に長いんです。「どこむいてしゃべってるの?」と言いたくなるほど挙動不審なオープニングだったし。
もう一方のキャスト〈Blanc(ブラン)〉は、大沢さんの役が高根研一さん。姜さんの役が山本芳樹さん。大沢さんも違う役で登場されているそうなので、ファンとしてはぜひ観たんだけどな~。
[原作]ミシェル・マーク・ブシャルド [演出]倉田淳
〈Rouge(ルージュ)〉[出演]大沢健/姜暢雄/舟見和利/曽世海児/藤原啓児/他
〈Blanc(ブラン)〉[出演]高根研一/山本芳樹/奥田努/楢原秀佳/甲斐政彦/他
スタジオ・ライフ : http://www.studio-life.com/
ダンスプラネットNo.13『舞姫と牧神たちの午後』09/12-15新国立劇場 小劇場
キタサコ製作所さんによる「ジゼル」の衣裳を拝見したいのでチケットGETしました。
6組の男女のダンサー達の「ダンス・コンサート」でした。
演劇的に言うと新作短編のオムニバス、という感じかな。
つまり6組のカップルによる創作が楽しめるわけです。
私としては一番初めのカップルがダントツに良かったです。体が震えて涙が出ました。
それがたまたまお目当てのキタサコ製作所が衣裳を担当したカップルだったのはさらに幸い。
しかし、客席全体の反応と私の感想とが全く違った、というのが一番の驚き&勉強でした。
バレエ・ダンス界って実はコネばっかりの世界なんじゃないの??っていう疑問が湧き出ました。
そういう意味では演劇ってずいぶん自由で風通しが良い世界なのかも。貧乏だけど。
1.Giselle(軽部博美&島地保武)
「男」と「女」というジェンダー(性)への、根源的な疑問と戦い。
そのむなしくて悲しい、そして美しい結果を表現していたように思います。
人間は孤独です。男女の差はそれを補い合うように絶対的に存在します。
その性差がどんどんと無くなっていくように思われる現代において、
それから開放された喜びと、それに束縛されていた頃の幸せは両立できません。
しかし、どちらに転んでもやはり人間を二つに分断し続けるその運命と、もがきつづける私達。
真っ黒の舞台に残酷に落ちる青い照明の中、純白の衣裳をまとった男と女のダンサーが
無表情のまま激しく求め合い傷つけ合い、それは生と死の境目の愛に見えました。
衣裳は機能美と装飾美をそなえ、作品に重要な意味をもたらしていました。
音響も良かったです。Giselleのクラシック音楽とノイズが重なって、中世から現代、未来へと時間を超えました。
2.Expresso(内田香&古賀豊)
女王様気取りの女性ダンサーに怒りが込み上げました。一体お前は何様だっ!?藤原紀香か?!
演出も超ダサイです。お昼に再放送される昔のメロドラマみたい。なのにカーテンコールが3回!
3.弱法師(加賀屋香&森山開次)
寝ました・・・。演出がお涙頂戴的。シテが出てくること自体が興ざめ。
終演後、楽屋口で男のダンサーが取り巻きに囲まれていましたね~。
4.ロメオとジュリエットⅠ(イ・ユンキョン&リュ・ソックン)
第4回世界バレエ&モダンダンスコンクール モダンダンス部門 第1位金メダル・振付特別賞受賞作品だそうです。
さすが世界一、と納得させられるダンサーでした。スタミナも腕力も他のダンサーと比べようの無い差があり、
ひらひらと滑るように舞台上を舞う姿はまるでアイスダンスのよう。ただ、演出は王道でしたね。
5.ロメオとジュリエットⅡ(イ・ユンキョン&リュ・ソックン)
ロメオとジュリエットが結婚できていたとしたら?という設定で作られたダンス。
Giselleの次に感動したダンスでした。衣裳も良かったですね。
ただ、これもアイスダンスの自由演技部門みたいな感じで、私を体の底から震わせてはくれませんでした。
6.シャコンヌ(平山素子&能美健志)
男女ともにほぼ同じ動き、それもありふれた振りの繰り返し。とにかく繰り返しでした。
その繰り返しが意図的だとしても、ピナ・バウシュみたいに感動を呼ぶわけでもなく。
なのにこのカップルにだけ「ブラボー!」の掛け声が3度!なんで???
7.MAGUMA(蘭このみ&清水典人)
スペイン舞踊フラメンコとモダンダンスの融合?女性ダンサーが高齢で観ていてつらかった。
ただ、フラメンコの力は感じました。・・・大御所だからラストなの?
作品とは関係ないところの感想↓
『舞姫と牧神たちの午後』というタイトルがとにかく好き。
英語だと"Afternoon of Fauns and his Nymphs"。かっこい~。
最近の新国立のダンス&バレエのチラシのタイトル&キャッチコピーは最高ですよね!
新国立劇場 : http://www.nntt.jac.go.jp/
2003年09月08日
Chintao Records『夜ごと太る女のために』9/5-7三鷹市芸術文化センター 星のホール
Chintao Records(チンタオ・レコード)は岡本望さんが作・演出する劇団。SF色強めで詩的な脚本と、ミニマムで都会的な、特に映像を駆使した演出が魅力だと思います。
『夜ごと太る女のために』というタイトルが非常に意味深なのですごく期待を寄せていたのですが、ちょっと肩透かしだったな~。まあ「いままでとは一味違った作品」とDMメールにも書かれていたんですけどね。
やっぱりTHEATER/TOPSと比べて三鷹市芸術文化センターのあのだだっぴろい舞台はスカスカしていました。チンタオは緻密な空間作りがかっこ良いと思っているので、そこが既にしのびゅ好みではなかったです。
全体的にいつもの統一感がなかったような気がします。
たとえば役者さんがよくお召しになった、あの仮面。他の衣裳や美術は極めて抽象的なデザインなのに、仮面だけは西洋風というか、「オペラ座の怪人」がつけているような、オーソドックスなものばかりでしたよね。あと、クラシック・ピアノ音楽が何度もかかったのですが、ちょっとベタっとしちゃった気がします。
全体的にもっと匿名性のものとして物語を受け止めたかったですね。あえてロマンチックなもの、わいわいがやがやしたもの、などを取り入れられたのかなーと思いますが私としては成功しているとは思いませんでした。
山中崇さん。声がきれい・・・。いつも聞きほれます。発音も好きだな。
諌山幸治さん。悪魔(?)が姿をあらわす時、ものすごくかっこよかった。悪い男ってイイですよね。
青島レコードHP : http://www.chintao.com/
2003年09月04日
俳優座プロデュース『高き彼物(たかきかのもの)』09/1-6俳優座劇場
脚本はマキノノゾミさん。(第4回鶴屋南北戯曲賞 受賞)
演出は鈴木裕美さん。(第35回紀伊國屋演劇賞 個人賞、第8回読売演劇大賞 優秀演出家賞 受賞)
2000年初演、2002年再演で今回が3演目。私は念願の初見です。
バイクの事故で友人を失った高校生の少年と、心に傷を持つ元・高校教師とその家族とのふれあい。昭和53年(西暦1978年)の夏休みの1週間の物語。それはジュリー(沢田研二)が流行っていて、薬師丸ひろ子のデビュー映画『野生の証明』がヒットした頃。舞台は静岡の田舎町の雑貨屋。玄関はいつも開けっ放し。いつでも誰でも「こんにちはー」と大きく挨拶して家の中に入って来る。
もー・・・懐かしくて恥ずかしくて温かくて、舞台美術を見るだけで胸に熱いものが込み上げました。あの頃、私の家はもちろんのこと、友達の家もこの舞台となった家と同じような造りでした。床の間になぜか木彫りの置き物(クマとかコケシとか)がいっぱい置いてあって、壁にはカレンダーや家の鍵が無造作に吊り下げられていて、電話台の上にはちょこんと黒電話。おしゃれとはかけはなれた、生活感丸出しの素朴な家。
人についても今ほどファッション(外見)重視ではなかったですよね。走るのが速いとか頭がいいか歌がうまいとか、そういう個性を見て人を判断したり、好きになっていました。今よりももっともっと素直で無防備でいられた時代でした。きっと私は幸せだったんだと思います。
脱線が過ぎましたね。さて内容について。
かたくなだった少年は徐々に心を開いていき、やがて元・教師も、15年もの間、自分を苦しめてきた事実を家族に打ち明けるが・・・。マキノさんは「清らかなものを描きたかった」とこの作品について述べられています。登場人物一人一人の優しさが、痛くなるほどいとおしくて、私の心は温いものでいっぱいになりました。その清らかなものを私はしっかりと受け取り、その素朴さとそれゆえの荘厳さに胸を震わせて、次から次にこぼれ落ちる涙をぬぐう間もなく、舞台に熱中していました。
ストーリーについてはうまく事が運びすぎだとも言えますが、それはさして重要ではないと思います。人間というのは変わることができる。それを素直に受け入れれば良いのだと思います。
高橋長英さん。元・高校教師役。ものすごく優しくて、渋かったです。いつも確実な演技で彼のいる夢の世界へと私と連れて行ってくれますが、今回ほど見とれてしまったのは初めてでした。すごく好きになってしまった。元・教師のおじさんを。
浅野雅博さん。少年役。も~・・・久しぶりにティーンネイジャーのようにトキメいてしまいました。いわゆる胸キュンです(笑)。いい男すぎです。浅野さんの実年齢は30歳のはず。なのに 高校生の役を自然に出来てしまうのは演技について緻密な計算をし尽くされているからだと思います。「はい」という返事ひとつで笑わせたり泣かせたり、私も色々な気持ちにさせられました。
松島正芳さん(俳優座)。さわやかエリート青年役。ぴったりでした。この役を初演では増沢望さんが演じられてたんですよね~。観たかったな。
大人必見の舞台です。
まだご覧になってない方、再々々演を待ちましょう!
俳優座劇場HP : http://www.haiyuzagekijou.co.jp/