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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年09月15日

ダンスプラネットNo.13『舞姫と牧神たちの午後』09/12-15新国立劇場 小劇場

キタサコ製作所さんによる「ジゼル」の衣裳を拝見したいのでチケットGETしました。

6組の男女のダンサー達の「ダンス・コンサート」でした。
演劇的に言うと新作短編のオムニバス、という感じかな。
つまり6組のカップルによる創作が楽しめるわけです。

私としては一番初めのカップルがダントツに良かったです。体が震えて涙が出ました。
それがたまたまお目当てのキタサコ製作所が衣裳を担当したカップルだったのはさらに幸い。

しかし、客席全体の反応と私の感想とが全く違った、というのが一番の驚き&勉強でした。
バレエ・ダンス界って実はコネばっかりの世界なんじゃないの??っていう疑問が湧き出ました。
そういう意味では演劇ってずいぶん自由で風通しが良い世界なのかも。貧乏だけど。

1.Giselle(軽部博美&島地保武)
 「男」と「女」というジェンダー(性)への、根源的な疑問と戦い。
 そのむなしくて悲しい、そして美しい結果を表現していたように思います。
 人間は孤独です。男女の差はそれを補い合うように絶対的に存在します。
 その性差がどんどんと無くなっていくように思われる現代において、
 それから開放された喜びと、それに束縛されていた頃の幸せは両立できません。
 しかし、どちらに転んでもやはり人間を二つに分断し続けるその運命と、もがきつづける私達。
 真っ黒の舞台に残酷に落ちる青い照明の中、純白の衣裳をまとった男と女のダンサーが
 無表情のまま激しく求め合い傷つけ合い、それは生と死の境目の愛に見えました。
 衣裳は機能美と装飾美をそなえ、作品に重要な意味をもたらしていました。
 音響も良かったです。Giselleのクラシック音楽とノイズが重なって、中世から現代、未来へと時間を超えました。

2.Expresso(内田香&古賀豊)
 女王様気取りの女性ダンサーに怒りが込み上げました。一体お前は何様だっ!?藤原紀香か?!
 演出も超ダサイです。お昼に再放送される昔のメロドラマみたい。なのにカーテンコールが3回!

3.弱法師(加賀屋香&森山開次)
 寝ました・・・。演出がお涙頂戴的。シテが出てくること自体が興ざめ。
 終演後、楽屋口で男のダンサーが取り巻きに囲まれていましたね~。
 
4.ロメオとジュリエットⅠ(イ・ユンキョン&リュ・ソックン)
 第4回世界バレエ&モダンダンスコンクール モダンダンス部門 第1位金メダル・振付特別賞受賞作品だそうです。
 さすが世界一、と納得させられるダンサーでした。スタミナも腕力も他のダンサーと比べようの無い差があり、
 ひらひらと滑るように舞台上を舞う姿はまるでアイスダンスのよう。ただ、演出は王道でしたね。

5.ロメオとジュリエットⅡ(イ・ユンキョン&リュ・ソックン)
 ロメオとジュリエットが結婚できていたとしたら?という設定で作られたダンス。
 Giselleの次に感動したダンスでした。衣裳も良かったですね。
 ただ、これもアイスダンスの自由演技部門みたいな感じで、私を体の底から震わせてはくれませんでした。
 
6.シャコンヌ(平山素子&能美健志)
 男女ともにほぼ同じ動き、それもありふれた振りの繰り返し。とにかく繰り返しでした。
 その繰り返しが意図的だとしても、ピナ・バウシュみたいに感動を呼ぶわけでもなく。
 なのにこのカップルにだけ「ブラボー!」の掛け声が3度!なんで???

7.MAGUMA(蘭このみ&清水典人)
 スペイン舞踊フラメンコとモダンダンスの融合?女性ダンサーが高齢で観ていてつらかった。
 ただ、フラメンコの力は感じました。・・・大御所だからラストなの?


作品とは関係ないところの感想↓
『舞姫と牧神たちの午後』というタイトルがとにかく好き。
英語だと"Afternoon of Fauns and his Nymphs"。かっこい~。
最近の新国立のダンス&バレエのチラシのタイトル&キャッチコピーは最高ですよね!

新国立劇場 : http://www.nntt.jac.go.jp/

Posted by shinobu at 2003年09月15日 16:48