『モーツァルト!』で文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、読売演劇大賞 優秀男優賞&杉村春子賞を受賞された中川晃教さんを目撃したいがためにチケットを取りました。
前作と同じく小池修一郎(脚本・演出)とのコンビ作品。
評判どおりでした。歌が素晴らしい。中川さんの声を聴ければ、彼の存在を確かめられれば、満足と言えるでしょう。『モーツァルト!』でダブルキャストだった井上芳雄さんの歌声は、まっすぐ、やわらかく響く感じですが、中川さんの歌い方はソウルフルでパンチがあります。そして声量がすごい。体にびんびん来るほど力強いです。演技も熱くてお上手でした。かつ舌(かつぜつ)が良くってセリフも歌の歌詞もしっかり聞こえてきました。言葉に嘘がないんだと思います。
ミュージカル自体は『ロミオとジュリエット』が題材になっていまして、展開としては『ウエストサイド・ストーリー』にそっくりでした。・・・面白くなかったですね~。つらかった。ストーリーが破綻しているんです。めちゃくちゃ不自然。いわゆる「ありえない展開」の連続です。主人公(中川晃教)がユキ(大和田美帆)と恋に落ちる瞬間や、プロデューサー(NIRO)がユキを好きになる理由が全く描けていませんでした。突然に「命がけの恋」にのめりこまれても、おいおい、嘘だろ~って思っちゃって、全く臨場感がないです。
あと、いくら『ロミジュリ』が原作とは言え、ラストがああなのはどうかと思いますね。唖然ですよ、客席全部。そりゃないだろうって思います。私は「え~・・・・」と、ため息にまじって声が出てしまいました。
美術は手抜きだな~と思いましたが、きっとあの電球がいっぱいついた幕、というか、スクリーンが高いんだろうなー。コンピュータ制御ですよね?すごい装置がどんどん生まれているんですね。
ジュリエット役とのそれこそPUREなやりとりは良かったです。中川さんの歌と真摯な演技がそれを成立させます。プラネタリウムで愛を確かめ合う二人、という構図はいや~ん♪と思うほどピュアですし刑務所の面会室での二人のデュエットには泣けました。こういうのは好き。
終演後に30分間ほどのトークショーがあり、フジテレビのアナウンサーがとても上手に場を作ってくれました。
中川さんの本業は、役者というよりはミュージシャン寄りなんですね。彼自身が自分を役者だとまだ思えていないようでした。舞台出演はまだ2度目ですものね。どうやらすごく真面目な方のよう。終始照れくさそうにしながら素直に正直に、言葉をたくさん使ってお話されるのがキュートでした。
アナ「中川さんの、理想の異性のタイプは?」 →場内期待むんむん
中川「黒木瞳さん。僕の理想のお母さんですね。」 →場内爆笑
アナ「中川さんはミュージシャンでいらっしゃいますが、
音楽を作る時に思い浮かべる女性はいますか?いるのでしたら、それは誰?」
中川「黒木瞳さん。」 →やっぱりかいっ
アナ「中川さんにとってのPURE LOVEとは?」
中川「パンフレットには他人への思いやり、とか書きましたが、それはちょっと背伸びしていました。いつ誰に対しても、例えば今、インタビューを受けていてそれについて答える時でも、決して嘘がないこと。これが僕のPURE LOVEじゃないかな。」
素朴で真面目な好青年でした。すっかりファンになっちゃいましたね。いやファンというよりは、応援したくなった、というか。もー・・・母性本能をくすぐられた、ということでしょう。だってあまりに真面目で不器用なんだもん(笑)。
12月にクリスマス・コンサートを控えていらっしゃいます。ぜひまた歌声を聞きたいし、お会いしたいです。
原作 ウィリアム・シェイクスピア(ロミオ&ジュリエットより) 脚本・演出 小池修一郎 音楽 島健 美術 堀尾幸夫 衣裳 有村淳
アートスフィアHP : http://www.tennoz.co.jp/sphere/normal.htm