お友達が関わっているので観にいきました。私は初・早稲田観劇!カンパ制も初めて♪
※カンパ制とは、チケットは買わずに観終わってから好きな額をカンパする形式。0円でも100万円でもOK。
前回の『鶯(うぐいす)』という作品に比べると、全てが数段レベルアップしていましたね。
まず舞台美術(菅原あや)がきれい!未来のお話ということで、全体が白で統一されていました。石膏や自然素材系の布を使っているので温かみがあり、テカテカの未来ものにするよりも、かえって臨場感がありました。ラストに壁が開くのも効果的。低予算を乗り越えて、世界をしっかり作り上げていました。
衣裳もカラフルで楽しげでした。(ほぼ)無料公演なのによくあんなに作ったな~と思いました。デザインもちゃんと未来のランナーのイメージを具現化できていました。
照明はシンプルの極地でしたね。舞台が白で衣裳が原色カラフルだったからちょうど良かった気がします。
音楽はダメでしたね~。どこかで聞いたことのあるようなメジャーな曲ばかりでしかもかなりダサイ選曲でした。
役者さんは前回に比べると途方もなく上手くなっていたと思います。セリフを忘れちゃっている人もいましたけど、それはまあ可愛い女の子だし、学生のカンパ公演(無料)だし、ご愛嬌。
脚本は前回とは全く違うステージに入っていました。いきなりアクション・エンタテインメントでしたね。しかもかなりちゃんとしてる。クライマックス近くでロボットが出て来るくだりはちょっとイケてないと思いましたけど。楽しいセリフもいくつかありました。
「うすらバカ!おたんこナス!」
「不可能インポッシブル」
「アロイを漢字で書くと・・・」
「子供産みたい。卵でもいい。産卵したい。」
とにかく感じたのは、若いってスゴイ!!!ってこと。経験がないから、こだわりがないんですよね。プライドがない。だからそれまでの自分を簡単に壊して、次の自分を作り出すことができるんです。しかも体力と希望があるから、そのスピードがべらぼうに早い。かなり元気をもらいました。
・・・・というのが、公演が終わった直後の感想でした。でも、その数時間後、全てが崩れ去りました。友達が言ったんです。
「あれ、『破壊ランナー』まんまだよね。」
・・・・え? なにそれ??
劇団まくらまくら : http://shinjuku.cool.ne.jp/makura2/
続き。『破壊ランナー』とは?
『破壊ランナー』は、今は亡き劇団”惑星ピスタチオ”の代表作の一つで、西田シャトナーさん作の未来SFアクション大作です。
1993年初演で1995年に再演、1999年の再々演ではシアターアプルで14ステージという大規模公演。
惑星ピスタチオ年表 http://www.appricot-bus.com/pistaccio/
まねきねこさんのHP「演劇◎定点カメラ」内
惑星ピスタチオ『破壊ランナー』シアターアプル(1999年6月)のレビュー
http://homepage1.nifty.com/mneko/play/WA/19990613M.htm
水銀灯さんのHP「Heaven's Gate」内→Air Gate →
惑星ピスタチオ「破壊ランナー」レビュー 【ソニック・ランは何処までも】
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/3576/scrap/scrap019.html
『破壊ランナー』を劇場で観た友人によると、ストーリーの顛末はもちろん、オープニングで司会者風の男が人間の走行速度の歴史について述べることや黄色い衣裳を着た役者2人がTVの実況中継すること、エンディングで一人一人の役者が観客に配られた走行速度の歴史を1行ずつ読むこと等が一緒で主役の「豹二郎ダイアモンド」やライバル・キャラの「ライデン」「キャデラック」等の名前もそのまま使っているとのこと。「ソニック・ラン」についてもそう。ということは、完全コピーなの・・・?脚本は、アレンジもしてないってこと?私はオリジナルを観ていないので、想像ばかりが膨らんでしまいます。
この『フリーバード』のチラシと当日パンフレットには”脚本・演出 山崎悟”と書かれいて、『破壊ランナー』関連のことは全く書かれていません。HPも同様です。昔の作品を上演することは、とっても素晴らしいことだと思うしどんどんやってもらいたい、挑戦してもらいたいって思います。でも「自分が作り出したものではない」ってことは、ちゃんと言わなきゃ。観た人に嘘をつくことになります。もちろん西田シャトナーさんにも失礼です。それどころか泥棒になっちゃうよね。
学生が大学内で上演するカンパ公演だから・・・・ということで上演許可をもらわないでやっちゃう、というのはよくあるのかもしれません(絶対しちゃだめだけど)。明治大学の劇団の同じくカンパ公演のチラシで、夢の遊眠社(野田秀樹)の作品を何度か目にしています。でもそれには”作・野田秀樹”って書いてありました。(上演許可は取ってないと思いますが)だから、この劇団も一筆「西田シャトナー作『破壊ランナー』より」とか書けばよかったんですよね。チラシに間に合わなかったなら、せめて当日パンフレットに。
このお芝居に関わっていた私の知り合いは、幸か不幸か、このことを知らなかったようでその人自身がすごくショックを受けていました。このお芝居に見合うと思った額をカンパした私も相当悲しいです。
これから、この劇団だけでなく他の場面でも、こんなことが起こらないように強く願います。あえて長々と書かせていただきました。
ご参考までに下記。私よりも説得力があるはず。
佐藤治彦さんのHP『H(アッシュ)』 : http://www5e.biglobe.ne.jp/~haruhiko/
コラム「感激の記録」内 “「猫のホテル」千葉雅子の勇気を称える”