2003年11月30日
スクエア『打つ手なし』11/27-30下北沢駅前劇場
大阪の劇団です。関西風の上質なコメディー芝居をやる劇団だと演劇フリークのお友達から噂は聞いていたのですが、東京進出3回目にしてやっと観に行けました。
警察の取調室。お笑いコンビ”ホールドアップ”の一人が相方をアパートのベランダから突き落とした容疑で尋問されている。事件前に”ホールドアップ”の二人が激しい言い合いをするようになる過程と、取調室でだんだんと真相が明かされていく様子が交互に展開されます。もちろん笑いがメイン。
ボケつっこみという基本はもちろんですが、演技で笑えたのが一番嬉しかったし楽しかったです。よくできた脚本ですし演出が細かくてハズレが少ない。登場人物一人一人のキャラクターをきちんと作りこんでいるから出来るんですよね。
演出は上田一軒さん、脚本は森澤匡晴さんです(お二人とも出演もされています)。脚本と演出がきちんと分担されているから、こんなに奥行きのあるコメディーになるんじゃないかな。東京の小劇場関係だとヰタマキがそうですよね。
いいお芝居を観せてもらったなーと思います。絶賛とまでは行かないですけどね。1時間30分を過ぎた頃からちょっとクドくて疲れちゃいました。
転換が見事でしたね。暗転時間は長かったけど、ラジオのブースと取調室が入れ替わる仕組みが最後までわかりませんでした。
西田シャトナーさん(元・惑星ピスタチオ)。お笑いコンビ”ホールドアップ”の容疑者役。
声が柔らくて穏やかで、つっこみがすごく気持ち良いです。いろんな種類のつっこみを見せてくださいました。ラジオ生放送のトークをする演技も、ものすごくうまいと思います。脚本だけじゃなくて役者としても上手なんだなーと感心しました。
北村守さん。お笑いコンビ”ホールドアップ”の大ファンの土門刑事役。
演技がめちゃくちゃうまいですね。初めて出てきた時からこの人だけに目が奪われ続けました。またぜひ観たい役者さんです。
スクエア : http://www2.odn.ne.jp/~square/
2003年11月29日
RUP『つかこうへいダブルス2003「飛龍伝」』11/27-12/7青山劇場
おもしろかったーっ!
泣いたーっっ!!
つか芝居炸裂!
やっぱりこうでなきゃ!
役者さん一人一人が主役になっているお芝居って久しぶりでした。その場にいない、名前だけが読み上げられるような役でさえ、その存在を実感できるほどに人間が生き生きと鮮やかに存在していました。叫ぶばかりでセリフが全然聞こえなかったんですが、それさえ吹っ飛びました。
『飛龍伝』は、男が男らしくあることがそれだけでかっこいいってことを教えてくれる最高の見世物ですよね。『蒲田行進曲』同様、日本の演劇の古典になっていると思います。オペラを楽しむのと同様に、観客はお約束の踊りや歌を楽しみに待っているんです。ああ、あの振り付け!ああ、あの歌!!大好きだーっ! おなじみの白いタキシードのカーテンコールは最高です。あれを観ると女で良かったって思えます。男って本当にかっこ良いんだもの。
お決まりのセリフもこの作品独特の魅力です。敵か見方か、愛か憎か、くるくると変貌し続ける人の気持ち。けれどその底には決して変わることなく、とうとうと流れつづける若い、熱い心意気があるんです。それをどういう解釈でどう言いこなすかが、毎回抜擢される役者さんの勝負どころですよね。
照明にしびれましたね~。あの堂々とした配色とダイナミックかつ大胆な展開は、まるでつか芝居に出演する一人の体を張った役者のようです。人の手のぬくもりと情熱を感じる照明オペレーションでした。装置なんていらない!?って思わせられるぐらい感動しました。
JAE(ジャパン・アクション・エンタテインメント)の人たちの華麗な殺陣やアクロバットに目も心も奪われました。そうなのよっ、アクションはそれ自体でエンタテインメントなんです!かっこ良いいものをかっこ良く見せてくれるつかさんの演出に感激。
選曲が面白かったです。「もう一つの土曜日」「マイウェイ」や、他にも「ああ、よく聴いたし口ずさめるんだけど、タイトルが思い出せないっ!」というような名曲たちのオンパレード。懐かしくって胸キュンです。主要人物(広末、筧、春田等)がマイクを持ってカラオケのように歌うシーンが何度もありました。普通なら考えられないような演出ですが、つかマジックですね。うっとり聞き入ってしまいます。
広末さんと筧さんの二人のやりとりは『幕末純情伝』でも拝見しましたが、今回は凄みがありました。二人とも真っ黒で地味な衣装なんだけど、最高にセクシー。ただ、広末さんについてはちょっと慣れてしまった感がありましたね。なんとなく安心して立ってらっしゃるようで、その意味では『幕末・・・』の方が気合を感じられて良かったです。
広末涼子さん。全共闘委員長 神林美智子役。哀しくてか弱い立ち姿で堂々とたんかを切るのが心に詰まりました。なんて可愛い人なんだろう。愛する男に尽くして殴られる女よりも、自分を愛してくれる男を蹴倒す女の方が似合っていました。
広末さんの高くてキュートな歌声はまるで妖精のそれのよう。マイクを持って何度も歌を歌われましたが、元歌の歌声の上から歌うので巧いかどうかはわかりませんでした(笑)。でも可愛いからイイ!声優とかも出来そう。
筧利夫さん。機動隊長 山崎一平役。かつ舌がすごい。鍛えられた体が熱い。アドリブが楽しくってしょうがなかったです。広末さんとのキスシーンが長すぎたのもご一興。1分ぐらいキスしたままの静止状態でしたね(笑)。広末さんは笑いを止めるのに必死でした。
神林美智子(広末涼子)が死んで数年後のシーン。狂った一平(筧利夫)を見て桂木(春田純一)が「いつからだ?(いつから狂っているんだ)?」と聞くと、横にいた男が答えます。「自分の女房を打ち殺して正気でいられるかい!打ったその日から狂っとるんじゃ!」で、初めて泣けました。一平が美智子を本当に愛していたのが伝わっていたから成立したんだと思います。
久しぶりに青山劇場をすっきり爽快な気持ちで出ることが出来ました。つか先生、ありがとう!
気になった出演者=赤塚篤紀/チョウソンハ
つかこうへい事務所 : http://www.tsuka.co.jp/
RUP : http://www.rup.co.jp/
アビー・マン 作・鵜山仁 演出『ニュルンベルク裁判』11/20-28紀伊国屋サザンシアター
アメリカでの初演は2001年で今公演が日本初演です。第二次世界大戦終結後、ドイツのニュルンベルクで開かれた軍事裁判をもとに書かれたドラマ(フィクション)です。1961年に映画化され、脚本家のアビー・マンさんはその年のアカデミー最優秀脚色賞を受賞しています。
第2次大戦中のドイツというとナチスによるユダヤ人等の大虐殺のイメージが強いですが、なぜそんなことが起こってしまったのかについての一つの解釈が述べられていました。
戦争によって家や食糧はもちろんのこと、家族をはじめ健康も名誉も何もかも失った人間は、何かにすがらなければ明日を生きる気持ちになれない。「そこにやってきたのがヒットラーだった。彼はアウトバーンを作ってドイツ人に仕事を与えた。(他人種と差別化することにより)ドイツ人に名誉を与えた。」「ドイツを愛して止まない気持ちがヒットラーを総統にし、オーストリアを侵略させ、ユダヤ人等を虐殺する結果を生んでしまったのだ。」これらの説明には納得させられました。やってしまった罪は決して軽くなるわけではありませんが、ドイツを極限状態に陥れた国々(人々)にも責任があるように思いました。
最終判決を下す前の判事の言葉に感動しました。「今、私たちが心に呼び返すべきは、正義と、真実と、人間一人の命の重さです(言葉は完全に正確ではありません)。」
涙がとうとうと流れ落ちました。無実の人間を1人殺すのと、同じく無実の人間を100万人殺すのとではどちらが悪いのか、なんて議論にならないのです。日本が自衛隊をイラクに派遣するのかどうかが大きなテーマとなっている今、人間の幸せとは何なのか、罪とは何なのかについて、もう一度自分で考えなければと思いました。
舞台美術(島次郎さん)が素晴らしかったです。舞台奥には上袖から下袖まで、床から天井までびっしりと椅子が並べられています。背後からの照明で黒いシルエットだけだった椅子たちは、裁判が進んでどんどんと真実が炙り出されていくとともに前からの照明が当てられて、その色や風合いが徐々に表れてきます。一脚一脚のイスは裁判を見守るドイツ国民、または殺されたユダヤ人達を表しているんですね。赤ちゃんが座る木馬も並んでいて胸が苦しくなります。
黒い板状の幕が舞台袖から上手、下手へと平行移動し、映像を写すためのスクリーンになったり、部屋や空間を仕切る壁の役割を果たしていました。シンプルでスマートです。前半と後半で裁判所の配置が90度移動したのがとても効果的でした。さすが鵜山仁さん(演出)だと思います。
音楽は穏やかなクラシック音楽オンリー。私は詳しくないのでわかりませんが、おそらくドイツの音楽だと思います。美しい音色です。
中嶋しゅうさん。アメリカから呼ばれた判事役。めちゃくちゃ穏やかで暖かい人でした。弱いところも優しさとして表れていました。この人が主人公でよかった。
鈴木瑞穂さん。被告の元・裁判官。弁護人をたしなめて自ら弁論を始めたシーンの迫真の演技は、このお芝居の最大の見所だと思います。
今井朋彦さん。「彼ら(元・裁判官)を裁くのは、すなわちドイツ全体を裁くことだ」と考え、必死に被告を弁護する弁護人役。こういうエリートの役は今井さんに限りますね。ちょっとヤな奴風になるのがさらに良い(笑)。
この裁判(および東京裁判)によって「平和に対する罪」「人道に対する罪」という新しい罪が国際的に認められる結果となり、それがその後の世界に大きな問題を残したことはここでは語られていませんが、このお芝居で重要なのは人間一人の命の重さを論理的に、易しく実感できることだと思います。裁判劇としてももちろん面白いです。
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横塚進之介の集い『カップルズ 冬のサボテン』11/21-23荻窪アールコリン
サードステージ所属の役者さん、横塚進之介さんが企画・演出・出演するユニットの第1弾。
脚本の鄭義信さんは映画の脚本も書かれている方ですね。ルビー・モレノさんと岸谷五朗さんが出演している映画『月はどっちに出ている』は面白かった覚えがあります。
中学、高校と野球部で一緒だったホモ4人のお話。それぞれの道を進みながらも毎年一度は懇親野球大会(同窓会)を開いている。カズ也とフジ夫は付き合って5年以上になるが最近うまくいっていない。カズ也は世間体や将来のことも考え、とうとう女性と結婚する決心をするが・・・。
「女みたいに約束があるわけじゃない」というセリフがありました。男同志の恋愛は拘束力が弱いんですよね。結婚とか子供とかがあるわけじゃないから(日本では)。そこが甘い蜜であり、つらいところですね。結婚式の前にカズ也(横塚進之介)が本心を告白するシーンが良かった。泣けちゃいました。「結婚して子供ができて、その子供がまた子供を生んで、家族がどんどん増えていって、俺は年をとっていく。そしていつか沢山の家族に囲まれながら、あいつのことを思い出すんだ。俺が本当に愛したのはあいつだけだったって。」(セリフは完全に正確ではありません)
野球場のロッカールーム(着替える部屋)が舞台でしたが、なぜいつもロッカールームなのかという必然性があまり感じられなかったです。他にも部員がいる設定ですが、それが感じられなかったのは残念。同窓会を開く記念日が野球部にいた仲間の命日だった、というのが最後の最後にわかりますが、もうちょっと早めから伏線を張っていた方が良かったんじゃないかなーと思います。
音響(選曲)がちょっと合ってなかったですね。デパートの伊勢丹でかかる音楽が流れてめちゃくちゃ気になりました。
役者さんは皆さんとても演技が上手な方ばかりで、一人一人の持ち味が生かされていました。小さな劇場で役者さんを贅沢に堪能できた気持ちです。
横塚進之介さん(サードステージ)。私にとっては「復活!」って感じです。初めて横塚さんを拝見したAtticTheater『クオリティー・オブ・ライフ』@池袋小劇場での、黒い瞳の輝きと悲しみをたたえた素朴な立ち姿をまた見ることができました。ちょっとフテくされてる役とか黙々とがんばっているキャラが似合いますよね。にこやかな好青年役とかおちゃらけキャラよりも。結婚式の直前の告白シーンでの存在感がすごかった。
佐賀野雅和さん(ヰタマキ)。弟分のゲイの役がぴったり。かわいらしいです。ヰタマキっぽいクサイめの演技がたまに出ましたが、気になりませんでした。
高橋拓自さん(サードステージ)。おねえ系オカマ役。動物電気でもお馴染みのマッチョな高橋さん。テンション高く、張り切り系の演技で盛り上げてくださいました。反射神経がするどくて芸も細かいし、笑いも上手だと思います。美形ですよね。
中川育男さん。素(す)かと思うほど自然な存在でした。優しいですね。
問い合わせ 横塚進之介の集い 070-5366-7259
オッホ『LIFE & TECHNOLOGY』11/19-30THEATER/TOPS
黒川麻衣さんが作・演出をつとめるオッホ。知的な毒と緊張感ある間合いが独特な劇団だと思います。シアタートップスで常に公演があり、オッホといえばトップスです。こういうの好きです。
とある工場。精密機械を作っているらしい。コンベヤーで単調な作業をしている従業員たち。それぞれに大切なプライベートがあり、ことあるごとにサボろうとする。そこに短期間就業する研修生がやってきて・・・。
黒川さんの脚本は、日常というサバイバルな環境で、小気味よく残酷で意地悪で、ちょっとエロチックです。私はいつも心の隅っこの方でスカッとします。
1本ものではなく、短編が途中で混ざっていました。1本ずーっと同じストーリーになるよりも軽くて良かった気がします。
能天気兄弟(みたいな名前)の2人組が出てくる度に笑いを取っていましたが、私はそんなに好きじゃなかったですね。
今回も選曲と照明が私好みでした。カットインする感じも好き。「アンケートにご協力ください」のお約束エンディングも好き。
これもまたいつも感じる事なのですが、役者さんがナーバスすぎると思います。そういう演出意図なのかもしれませんけど。オープニングであんなに恐い顔で緊張した様子だと、観客まで緊張しちゃって笑えないんですよね。コントなのかどうかもわからない。中盤以降は慣れてきましたが、今回はなんだか最後まで世界は融合せず、バラバラなままで終ってしまった感がありました。
工場長に横恋慕するオタフク顔の女優さんがすごくキュートでした。
オッホHP : http://www.ojo.gr.jp/
2003年11月27日
Bunkamura主催・蜷川幸雄 演出『ハムレット』11/16-12/14シアターコクーン
藤原竜也さんがハムレットを演じます。それだけでプラチナ・チケット公演。
はー・・・これは、出演者の誰かのファンなら観る価値ありますが、そうでないなら観なくて良い『ハムレット』だと思います。『ハムレット』の意味を思いつきで違うものに変えていますから。演出の蜷川幸雄さんの手法がお好きな方は存分に楽しまれると良いと思います。ただ、アングラ・テイストの方ですよ。和風民話調じゃなくて。
ネタバレします。
まず舞台が客席に挟まれた島舞台でした。4面全部ではなく2面から挟まれる形で、客席から観ると横に長い舞台です。灰色一色の何もない舞台は、4方を金網で完全に覆われていました。前半はずーっとその金網越しに役者さんを観る状態。後半からその金網が取り除かれました。あいかわらず意地悪だよ、蜷川さん。基本的に上手と下手に平行移動する動線になるんですよね。ちょっと退屈。客席の後ろから登場するのも沢山ありました。それはそれで観客サービスだなーと思いました。私は通路側の席だったので藤原さんや井上さんが真横を通るのはそりゃー楽しかったっすよ。二人とも背が高いのねー。
まず、藤原竜也さんと高橋洋さん以外はちゃんとセリフをしゃべってない気がしました。(井上芳雄さんは部分的に伝わるところもありました。)上っ面だけなんですよね。そして役者さんの演技が皆さん、叫び系なんです。何でもまっすぐ馬鹿正直に怒鳴るような。つかこうへいさんのお芝居みたいな。(つかさんの手法はあれで成立していると思いますが『ハムレット』でそれはないと思います。)役者さんがそういう状態である上にさらに、様々な”思い付き”の演出が加わって、本来伝わってくるべき意味がどんどんと違うものになったり、ぼやけて伝わらなかったりしました。まあ、そういうことは演出意図にはないのでしょう。
蜷川幸雄大先生お得意のラストでした。もう慣れましたよ。ちゃんとコートを被って舞台が見えないようにしてましたから。後継者をトレンチコート・マフィアにしたかったのねー。あのアメリカのコロンバイン高校の。だからフォーティンブラスだけ妙な衣装だったのねー。あの銀の鎧は防弾チョッキ?そしてエンディングは銃声や大砲の爆音とともにいつも使われる音楽ですよ、「カノン」をモチーフにしたコーラスの。ああ気持ち悪い。でも私はちゃんと音が心まで響かないように、耳に「準備」というバリケードをしてましたから。『真情あふれる軽薄さ2001』の時のように劇場内で芝居の最中にタバコを吸おうとするような失態にはなりませんでしたよ。人間は学習するのね。
衣装(前田文子さん)は・・・なんとなくトンチンカンだった気がします。デンマーク城の人たちは、分厚い冬服用の生地でできた大きなスモッグのような衣装で、お坊さんのようでした。蜷川幸雄演出・野村萬斎主演の『オイディプス王』のコロスの衣装に似てます。服に体が埋もれてしまってちょっと笑える。旅の役者たちはなぜカラフルなアジア風の民族衣装だったんでしょう。ああ、思い出すだけでうつむきたくなる劇中劇のシーン。男が脱ぎすぎるのは蜷川芝居のお約束ですが、私はあれが苦手でしょうがない。あと、気になったのは靴です。オフィーリアのあの編み上げブーツはどういう意図?レアティーズの茶色の革靴は色が明るすぎるし、靴の裏が目立って気になりました。好きだったのはガートルード王妃の寝室での白いワンピース。ガートルードはヘアスタイルも何度か適度に変化があって良かったです。
音楽はまず、ジャズは合わないと思います。「カノン」っぽい音楽もさることながら、とにかく音楽がヘンに目立ってヘンな意味を付加していたため、物語には入り込めませんでした。単に私の好みじゃないだけかもしれませんが。
藤原竜也さん。ハムレット役。いつもの藤原節が健在でした。彼が出てくると舞台に注目できました。やっぱり光っています。でも、いつも通りなんですよね。欲を言わせていただくと、もっと演技のバリエーションを増やしていって欲しいです。
鈴木杏さん。オフィーリア役。『奇跡の人』のヘレン・ケラー役がすばらしかったので今回は楽しみだったんですが、なるほど、セリフがダメなんですね。気が狂ってから走って登場するところは鳥肌が立つほど良かったですが、とにかくセリフがねー。でも声はきれいなのでこれからも続けていっていただければ注目の女優さんだと思います。篠原涼子さんよりは良かったです。
井上芳雄さん。レアティーズ役。狂ったオフィーリアを初めて見て驚愕し、絶望する演技は良かったです。声がやっぱりきれいだし。でもハムレットとの決闘の後の態度の変わり様はちょっと説得力なかったですね。彼はやっぱり歌ですよ。
高橋恵子さん。ガートルード王妃役。きれいだけどきれいなだけでした。浅いですね。あまり考えてなさそう。篠井英介さんのオフィーリアとどうしても比べちゃうのよね。
たかお鷹さん。ポローニアス役。流れちゃってます。ところどころ良かったけど。
沢竜二さん。旅芸人の看板役者役はダメでしたねー。型ばかりで上っ面でした。墓堀り人夫はまあまあ良かったですが、お約束の立ちまわりはもう観たいとは思えないんですよね。
高橋洋さん。ホレーシオ役。予想通り良かったです。でもちょっと光が足りなかったなー。熱血系の演技ばかりが目立ちます。もうちょっと抑え目なのも観たい。
西岡徳馬さん。王および亡霊役。・・・ガートルードと同じです。浅いと思います。
小栗旬さん。フォーティンブラス役。やらされちゃったってことで。キスまで。大変ですね。華のある人だと思います。
有名な演目に出演するって大変なことですね。役自体が超有名人だからどんどん比べられちゃって。
文化村 : http://www.bunkamura.co.jp/
2003年11月25日
現代能楽集Ⅰ『AOI/KOMACHI』11/14-30シアタートラム
世田谷パブリックシアター芸術監督の野村萬斎さんがプロデュースする現代能楽集という企画の第1段。能の演目の『葵』を基にした『AOI』と、同じく『卒塔婆小町』を元にした『KOMACHI』の二本立てです。麻実れいさんをシアタートラムで見られるだけでもかなりお得でしょう。
作・演出は川村毅さん。第三エロチカの方ですね。私は初めて拝見しました。
言葉がキレてます。しゃべる内容は下品だったり猥褻だったりするのですが、とても上品に伝わってきます。役者さんを美しく見せることに成功している演出なんですね。殺人シーンとかセックスシーンとかはかなりリアルですし、やることがけっこう激しいのにすごいです。
美術は堀尾幸男さん。ダムタイプみたいな空間でした。近未来的というか空想の世界というか『2001年宇宙の旅』の1シーンのような。クールでかっこ良いです。台形の舞台で、真っ白でつるつるの巨大な壁に2辺が囲まれています。その2枚の壁全面に大きな映像が映るのは迫力でした(『KOMACHI』)。2枚の壁の間から鏡が現れるのは面白い(『AOI』)。照明で青白い白からきなり色に変化する壁がきれいでした。
『AOI』
「何者でもないあなたを愛していた」の”何者でもない”という意味がすごく好きでした。”何者でもない者”から”男”になり、”人間”になっていった光を責める六条の気持ちに私も同感できます。女って、もっともっと男の原点を愛している気がするんです。○○に所属する、○○を所有する、○○と呼ばれる”光”ではなくて、ただ”光”である光を大切にしていたんじゃないかな。
麻実れいさん。かっこいい!!めちゃくちゃ渋い!トレンチコートはこの人のためにあるんじゃないかと思うほど。tpt『Long after Love』でも六条役をされていましたが、今回のほうが激しいしセクシーだし笑えるしで、目が離せませんでした。
森ほさちさん。葵役。演技の種類はちょっと私の好みじゃないですね。まだまだ宝塚色が抜けていないというか。でも美しい人です。
長谷川博己さん。tpt『BENT』でメガネをかけたゲイの少年の役でした。『ゴロブリョフ家の人々』ではかわいらしい弟役で、今回はナルシストな光役。キャラクターが全然違う役だけどすっかりフィットしていました。麻実れいさんとの激しいラブシーンも無理なく拝見できました。これからが楽しみな男優さんですね。ハンサムだし。
蟹江一平さん。私がちょっぴり注目している青年座の俳優さんです。やっぱり感触が残る人ですね。立ち姿のバリエーションが多い気がします。素直で柔軟だけど、質感がぶ厚くて力強いです。
『KOMACHI』
演劇というよりはパフォーマンスのような楽しみ方をしました。手塚とおるさんのセリフも詩のように流れていって、ダンスのBGMのようでした。映像が怖すぎたなー。リアル過ぎました。トリックもありましたね。
銀幕を離れた大昔の大女優とその取り巻きの老人と、たまたまその棲家に入り込んだ若い男という設定は、映画『サンセット大通り』ですね。私も大好きな映画です。
手塚とおるさん。一人でしゃべり続けていらっしゃいました。朗読もお上手だなーと思います。一人であれだけ見せられるんですものね。すごいです。
福士惠ニさん。転び方が最高。
笠井叡さん。日本では大御所のダンサーさんですね。滑稽な感覚があるのは楽しいんですが、どうしても表情が気になっちゃいますね。
世田谷パブリックシアターHP : http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/
2003年11月21日
reset-N『パンセ』11/20-25スフィアメックス
私の好きな劇団、リセット・エヌ。作・演出の夏井孝裕さんの世界観をスタイリッシュ&ミニマムに表現する演劇スタイルです。『パンセ』は去年朗読で拝聴いたしました。未完でしたが。
う~ん・・・初日だからか、残念ながら色んなミスが目立ちましたね。(公開ゲネがあったはずですが)全体的に自信のなさが伝わってきたように思います。何かトラブルがあったのかなーとか、脚本が遅かったのかなーとか、思いましたが、それでももっとババン!と堂々とやってもらえる方がお客様にとっては良いんですよね。
交通事故で死んでしまったカップル。男は出版社に勤める編集者だった。仕事仲間が遺品確認のために警察に呼ばれる。なぜ彼は自殺したのか。隣りの女はいったい誰なのか。
死んでしまった男は新しく作る雑誌の編集長で、その雑誌の名前が「パンセ」でした。「パンセ」はパスカルの著書のタイトルです。日本語では「随想録」と訳されたりしていたはず。(高校の世界史の記憶では・・・)「人間は考える葦である」という言葉が有名ですよね。その言葉の意味を説明するシーンがあって、いたく感動いたしました。
「reset-Nの"思想"」というのがキャッチコピーにもありましたが、まさに今、夏井さんが考えてらっしゃることを少しずつ、小さな声で、でも一つもこぼれ落とさないように、丁寧に、届けようとしていたんじゃないかな、と思いました。そういう意味では朗読劇で観た時の方が良かったなー。ゆっくり考える余裕がありました。
男と一緒に死ぬ女の存在が大きすぎて、肝心の主人公(男)が薄くなっていた気がします。最後はあっけないというよりは、ここで、これで終わらせてしまうことが悲しかったです。
スフィアメックスの色や設備を思う存分に使った舞台装置でした。照明が面白い。でもちょっと単調過ぎたかなー。もっと赤とか青とか観たかった。衣装は、赤&黒グループと青&白グループに分かれていたのがきれいでした。美術とぴったりでした。でもちょっと狙いがあからさま過ぎかなーとも思いました。
町田カナさん。死んだ男の仕事仲間役。今回は地味な役でしたね。もっと派手なカナさんが好きなのでちょっと残念でした。
坂本弓子さん。背の高い女役。セクシーっ。ヘアメイクも衣装もとても良かったです。言葉がきれいに光っていました。清らかな演技が残酷さと悲しさを一層深いものにしていました。この「女」の論理は、私には決して受け入れられないし、許されないと感じるものなのですが一番リアルでした。舞台上で、短い命が輝いていました。
天王洲・スフィアメックス http://www.tennoz.co.jp/sphere/
リセット・エヌ : http://www.reset-n.org/
2003年11月19日
RUP『月影十番勝負第八番 ダブルアルバム』11/19-24スペース・ゼロ
月影十番勝負は劇団☆新感線の女優、高田聖子さん主演で毎年1本のペースでやっているお芝居ユニットです。
私は何年か前に『世にも不思議なアメージング・ストーリー』というのを拝見しました。『ダブルアルバム』は二兎社の永井愛さんの脚本ですが、もともとは10年前に「る・ばる」という俳優ユニット(松金よね子・岡本龍・田岡由美子)と一緒に作り上げた作品だそうです。
女二人と男一人の三人芝居です。あらすじを一言で言い表すと「異母姉妹の謎と葛藤を描いた物語」だそうですが、その「謎」と「葛藤」が私の心には痛くて痛くて、涙が何度も搾り出されるように流れ落ちました。登場人物一人一人の悲しみがセリフの一言一言に溢れかえっていました。
コメディーなので劇場には笑いがいっぱいでしたが、私には胸にグサグサと切り込むような言葉ばかりで、ホっとはするけれど笑えはしませんでした。そういう笑いを誘う行動にすら、やんごとない悲しみをたたえているように感じたんです。永井さんは人の心の痛み、その痛みから生まれる怒り、そしてその怒りゆえの滑稽な行動が見える方なんですね。
演出は木野花さんです。新感線や二兎社の舞台に出演され女優としての活躍が目立っていましたが、この作品であらためて演出家として力を見させていただきました。
女の脚本家だからこそ書ける、心の底の底をあけっぴろげにしていく残酷な言い争い。女の演出家だからこそ、それをあそこまできめ細かく柔らかく表すことができたんだと思います。
タイトルの「ダブル」は二重にダブルになっているんですね。現在の風景と過去(40年前)の風景という意味と、姉と妹のそれぞれの視点から見た家族の歴史という意味。過去と現在が交錯していく中で、姉と妹のそれぞれの母親との確執と憧憬が顕わになっていきます。
舞台美術(川口夏江さん)が良かった~。スペース・ゼロで初めてじゃないかな、美術に心を奪われてそこがスペース・ゼロだということを忘れられたのは。後ろにある大きな木、あれは何だったんだろう。ディズニーランドにあるような質感のへちまの実がいっぱいなっていました。
音楽も良かったです。先日拝見したMONO『京都11区』と同じく、暗転中BGMが鳴り響く間に涙が溢れてきました。
高田聖子さん。着物姿が美しかったー。母親役も娘役もどちらも堂々としてらして圧巻でした。
内田春菊さん。ロシアの民族衣装を着てしゃべる時と事務服を着ている時とで全く人格が変わっていました。なんとなくおぼつかないのが味わいがあって良かったです。
大森博史さん。大森さんのおかげでこんなにまとまったコメディー作品になっていたんでしょうね。
RUP : http://www.rup.co.jp/
2003年11月18日
RUP『つかこうへいダブルス2003「幕末純情伝」』11/14-23青山劇場
つかこうへいさんのお芝居を2本続けて上演。
しかも広末涼子さんと筧利夫さんが連続出演するというびっくりな企画。私は広末さん目当てで2本とも観に行くことにしました。
で、結果。目的達成です。
ヒロスエさいこーーーーーーーーーーーっに、
かわいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!
それだけでいい。
それ以上は望みません。
ええ、2時間半休憩なしのほとんど暴力のような環境でしたが、それでも満足だと言いきろうじゃありませんか。
広末さんがあんなに可愛いかったんだから。
筧さんが相変わらずスゴかったんだから。
つかさんの素敵なセリフを3個ぐらい味わえたんだから。
それでいい!それでいいの!!
『幕末純情伝』は初見です。まずストーリーは、はちゃめちゃです。設定から流れから全部めちゃくちゃ。幕末ものが好きなので、こういうの、受け入れづらいです。
脚本はつかこうへいさんですが、この演目については演出は杉田成道さんという方。今60歳でTVのドラマなどを作られている方のようです。最初の方で新撰組の旗が降りてくるところは良かったなー。でもそれ以外はほぼ全てが私にとってはNG。男同士の裸のラブシーンをあんなに頻繁に、うじゃうじゃ、誰が見たいんじゃいっ!
音楽がねー・・・B'Zとかエレカシを堂々と大音量で何曲も聴かされるとは・・・。カラオケじゃないんだからさー。いったい何を狙ったんだろう。ただ好きなだけじゃないの?照明もねー・・・昔の場末のキャバレーのような・・・。なんであんなペカペカな色なんだ?
広末涼子さん。深い森の中の秘密の涌き水のように清らかで凛としていて、折れそうなほどか弱くって、もー・・・立ってるだけで悲しいの。切ないの。そして、可愛い・・・(ため息)。おっぱい大きいのもGOOD。
筧利夫さん。早口すぎ。パワフル。まっすぐ。かなわないなーこの人にはっ!って思わせてくれます。広末さんとのキスシーン、背の高さが同じ(か、筧さんの方が低い)だったけど良かった。
山本亨さん。出てるって知らなかったから、出てきてすごく嬉しかった。でも棒読みだなー。そういう芝居とはいえ、物足りなかった。
そうそう、みんな広末さんのおっぱい触りすぎ!てゆーか、揉むな!!抱きつくな!!ハラハラしました。客席の皆様もそうでしょう?
素敵だったセリフを一つだけご紹介します。(完全に正確ではありません。)
「この世で一番恐ろしいのは、狂った女と男の嫉妬だ。」
ふぅ・・・何はともあれ『飛龍伝』が楽しみです。
つかこうへい事務所 : http://www.tsuka.co.jp/
RUP : http://www.rup.co.jp/
少年社中『DEAD TECH WORLD #2「フィルムスター」』11/15-23新宿シアターモリエール
初めて観た作品が好みでなかったため遠ざかっていた少年社中ですが、今回はけっこう楽しませていただきました。途中でちょっとだるくなっちゃいましたが後半で盛り返し、最後はのめり込みました。
少年社中の作品にはエンタテインメント中心バージョンと演劇色中心バージョンがあるそうで、今回は後者の方。私はそっちの方が好みだったというわけです。
東京の「新宿解放区」と呼ばれる区域だけ50年前から同じ時間(24時間)が繰り返されている。私立探偵とその部下は、ある女から「あそこの時間を普通の時間に戻して欲しい」との依頼を受け、危険を承知でその地に入り込む。全ての原因と思われる映画の撮影現場(=シアターモリエール)に2人はたどり着くが・・・。
中盤以降、私立探偵自身の過去に迫ってくる辺りからどんどんと激しい場面展開になり、そこからクライマックスおよび全ての種あかしにいたるまでは、息つく暇なく楽しませて頂きました。ラストは好きでしたねー。完全に収縮していく感じにみせかけて、実は爆発!っていうのは元気をもらえます。
この劇団の演技や演出のクセに慣れるまで1時間ぐらいかかりました。いつどこで舞台写真を撮られてもOK!といわんばかりに、一瞬一瞬が絵になるようなポーズの動きの連続で肝心のお芝居の流れはプチプチ切れまくっている状態。そういう演出意図なのでしょう。そして役者さんの声色や演技が、演技演技してるっていうか、ぶっちゃけクサイっていうか。でもそれが狙いにハマってくると面白くなってきました。こういうカラーなんでしょうか。
映画の有名なシーンやセリフが沢山ちりばめられていましたが、決して粋じゃないんですよね。思いっきり正面からやっちゃうから、ギャグになるならいいんだけど、ならないとだいぶんつらい。私の好みではないですが、他のお客様にはけっこう受けていました。
音楽はオリジナルで作られているのが多いみたい。派手な感じ。椎名林檎の歌をあれだけ流しても、なんとかなっていたのはすごかった。そういえば『YELLOW』という作品でも林檎ちゃんの歌が効果的に使われていました。音楽が流れるタイミングはちょっと・・・かっこ良くないのが多かったです。
照明が良かったーっ。それこそ絵になるポーズと絵になる色で、瞬間瞬間が見せ場。豪華だったなー。衣裳も良かったです。ゴミゴミ&ぐちゃぐちゃしてそうでいて、実はカッティングに凝っている感じ。真ん中に扉がある美術も好き。劇画タッチな演技にもぴったり。
杉浦理史ことピエールさん。ピエールさんの自然な演技のおかげで素直にお芝居に入っていけました。やっぱり笑いとか上手いですね。終盤のシリアスシーンも白熱していて良かったです。
開演前に大画面で映画が流されているんですが、やっぱり「ニュー・シネマ・パラダイス」は最高。これからご覧になる方、後ろの方の席が全体を観られていいと思います。
少年社中HP : http://www.shachu.com/
2003年11月16日
ウォーキング・スタッフ・プロデュース『SOLO ソロ』11/7-16THEATER/TOPS
和田憲明さんが作・演出を手がけるお芝居をプロデュースするウォーキング・スタッフ。
和田さんは読売演劇大賞も受賞している方で最近だと藤原紀香さん主演『OVERSEAS』の脚本を書かれていました。
前回の『SPACER』がめちゃくちゃ面白かったから今回も期待して劇場へ。
ものすごく計算されて作られたサスペンス・ドラマでした。
何から書き始めてもネタバレになってしまう、非常にテクニカルな構成で、ハードな内容。
和田さんは舞台や設定はどうあれ非常にオンタイムなテーマで本を書かれてると思います。
(詳しくは下記ネタバレ感想に書きます。)
役者さんはそれぞれの役柄について深く掘り下げて、キャラクターを作り上げられたんだと思います。
でも、全員が全般的にちょっとナーバスすぎるんじゃないかなー。
そういう演出なのでしょうが、もうちょっと作り物っぽくしていただけると、より臨場感が出る気がします。
雛形あきこさん。ずーっとナーバスでしたね。でもそういう役だとも言えますよね。すごくがんばってらっしゃいました。
確か巨乳アイドル・・・でいらっしゃいましたよね?そんなイメージは吹っ飛びました。目に美しいのは力です。
池田有希子さん。占いをする時の演技が良かった。けんか腰で話すシーンでは終始にこやかで、それがすごくリアルでした。
渡辺慶さん。大阪弁でしゃべる若い“なんでも屋”役。
あー、関西の人だーって、しみじみ聞き入りました。顔とかも。反射神経が良くて軽快ですね。
ネタバレします。
まず、ラストシーンから始まるんです。暗転するとスライド映像で「THE END」。これがオープニング。
そして30分前、1時間前、1週前・・・と、どんどん時間をさかのぼり、全ての発端となる出来事のシーンでお芝居が終わります。
でもシーン自体は時間の経過のままに上演されますよね(当然ですが)、それが面白い。
タイムマシーンで少しずつ昔へと旅していき、真相が暴かれていくと想像してもらえるといいですね。
姉のお葬式の日から始まり、“なんでも屋”による姉の殺人現場、妹が姉の殺人を依頼・・・と続き
占い師(妹の主人の浮気相手)と妹の出会いのシーンまでが描かれます。
2度観られたら、いろんな伏線がわかってもっと面白いと思います。
“SOLO”とは「一人。一人の~」の意味。
人間って一人ですよね。生まれた時から一人ぼっちです。でも自由であるとも言えます。
他人に気を使ったり、束縛されていると感じているのは自分自身であって
「自分は自由なんだ」って信じたら本当に、完璧に自由なんですよね。
でもその瞬間、孤独になります。それは避けられない。それがこのお芝居の“SOLO”の意味だと思います。
少年犯罪が増えている昨今、記憶に新しいのは
「恋人同士2人で暮らしていきたいから家族が邪魔。だから殺した」という事件。
まさにその精神状態を表しているのではないでしょうか。
人間は孤独です。一人一人は完全に別々に生きている動物です。
それに気づいた時に自分というものが、存在自体が一つの奇跡となって輝きます。
でも、それはスタートなんだと思います。独立した個人同士がつながって生きていくのが人間なんだと思います。
そうじゃなきゃ、戦争は決して終らないですよね。
ラストシーンとしては最高のハッピーエンドでしたが、物語の顛末はアンハッピーな“THE END”でした。
やっぱり和田さんってすごい人だと思います。
次回は2004年4月。濃密で上質な演劇世界へ、どうぞ足を踏み入れてください。
企画製作 ウォーキング・スタッフ お問い合わせ 03-3462-1868(石井光三オフィス)
THEATER/TOPS : http://members.at.infoseek.co.jp/theatertops/
2003年11月12日
プッチーニ作曲『トスカ』11/9-16新国立劇場オペラ劇場
『トスカ』はプッチーニがどうしても作曲したくて、ねばり勝ちで手に入れた作品だそうです。
こんなに情熱的で残酷なお話だとは知りませんでした。今も昔も変わらず、人間の心は熱いと思います。
私がオペラを観るたびに必ず涙してしまうのは、その素直さからです。特に恋慕う気持ちが素直に歌い上げられると、それだけで感謝の気持ちが湧いてきます。ここは現代の舞台作品とはちょっと違うところですよね。新しいタイプのお芝居を観ている時などは、屈折すればするほど面白くてゾクゾクしたりします。それはそれで感涙もの。
トスカがスカルピオ(悪徳総統)をナイフで刺し殺し、逃げようとするけれど、スカルピオの死体がストールの上に乗っかってしまって、なかなかストールを引っ張り出せない、という演出は非常に効果的でした。そこで逃げられないまま幕が下りるのも素敵です。
牢屋から処刑台へと移る演出は新国立のオペラ劇場の装置だからこそ出来る仕組みだとか。演劇で見慣れているので特に気にならなかったのですが、舞台が互い違いに上下するというのはオペラでは珍しいのかも。かっこ良かったです。
名曲「歌に生き、恋に生き」をやっと生で聴くことができました。あー・・・感涙。これを聴くために観客は待ってたという感じですね。『トスカ』ではソプラノのアリアがこの曲しかないそうです。
マリア・カラスの一番の当たり役が『トスカ』だとか。
新国立劇場 : http://www.nntt.jac.go.jp/
2003年11月11日
アトリエ・ダンカン『欲望という名の電車』11/07-30青山円形劇場
テネシー・ウィリアムズ作の有名な戯曲です。(以下、タイトルは『欲望』と省略します。)篠井英介さんが日本で男性として初めて主役ブランチを演じた作品で、今回が初めての再演です。妹ステラ役は初演と同じく久世星佳さん、ステラの夫スタンリー役に古田新太さんという超豪華キャスト。
遊びも多くてかなりリラックスした『欲望』でした。演出は鈴木勝秀さん。私にとっては「アイデア」どまりでしたね~。ところどころがポコボコ出っ張っているようなイメージの『欲望』でした。
舞台美術は50年代から60年代のアメリカンスタイル。今はやりのミッドセンチュリーものの家具ばかり。ひとつひとつは魅力的だけど、作品全体と溶け込んでいなかった気がします。天井から屋根状の大きな板が降りてくる演出は、タイミングがあからさますぎてヤだったなー。照明が透けてとおるのは雰囲気があってとっても良かったんですけどね。残念。
衣裳も軽い感じでしたがブランチの衣裳だけは一風変わっていましたね。ずーっと黒い衣装でした。デザインはまあまあ。材質が良くなかったですね。ピラピラしちゃってる。私の好みではないです。黒装束だったブランチが最後に白のドレスになり、カラフルな衣装だった他の役者は全員黒の衣裳になる、というアイデアは面白いですがブランチは登場シーンで白、退場シーンでは青の衣裳だという風に脚本に書かれているはずなんですよね。私はどんな白かどんな青か、どんな形なのか、とかを楽しみにしていたので最初に黒い服で篠井さんが出てきてびっくりしました。
音響は悪かったなー。選曲という意味ではなく音として。スピーカーとかの問題なんじゃないのかな。円形劇場ってすごく難しいそうです。
フランス語を話す若い男を場面転換で登場させたり、花売りの女役をさせたりして、物語を外から客観視する人間を置くことでより死のイメージを際立たせていたように感じました。
篠井英介さん。初演でも評判でしたが、念願のブランチということで、気合の入り方はすごかったですね。全体的に流れるような(浪曲のような)セリフ回しをされるのはいつものことで、(あまり好みではないです)それ以外のしっかり止まりながらのセリフは演技の方が胸にどっしり来ました。ミッチに過去を告白するあたりでは圧倒されました。でもねー。なんだか派手すぎる感じがする。演出がそうなのかもしれませんが、大衆受けを狙い過ぎなんじゃないかな。
古田新太さん。うーん・・・・私には彼をスタンリーだと思うことが出来ませんでした。まずルックスが受け入れられない。スタンリーって”いい男”だと思うんですよ。古田さんは”いいヤツ”なんですよね。ラブ・ロマンスがらみで古田さんを見るのはもしかすると初めてだったかも。残念ながら正視できませんでした。
久世星佳さん。ブランチの妹のステラ役。上手いんだけど・・・いい人過ぎる気がします。もっとブランチに対して憎しみを持っていいはず。キャラクターが薄い。スタンリーとの愛が見えませんでした。キスシーンもなんだかとってつけた感じだし。古田スタンリーを受け入れられなかった私が原因なのかもしれませんが。
田中哲司さん。ブランチと恋に落ちるミッチ役。ミッチもスタンリーのように乱暴で単細胞な南部男だった、という展開かと思いきや、この演出ではミッチがとても良い人でした。ブランチのことが本気で好きだけど、どうしても許せない。だから苦しみながらも拒絶する、という演技でしたね。可愛いです。悩める若い青年。でも、本当はこんな素敵な恋の形じゃないと思う。もっと残酷なはず。
山﨑康一さん(Studio Life)。スペイン語を話す、スタンリー達のポーカー仲間の役。かなり好きな役者さんです。うっすらと生やされた髭も良かった。演技もシンプルかつリアルで良かったです。
「こんな『欲望』もあっていいんじゃない?」という一つの提案だと受け止めました。私個人としては「『欲望』といえば、この作品!」とはなりませんね。
青山円形劇場HP : http://www.aoyama.org/
2003年11月09日
げんこつ団『ルール(extra number!!)』11/6-9下北沢駅前劇場
毎回、笑わせられつつ、うならせられつつ、ほれぼれと女優さんたちに見とれています。
今回はちょっとパワーが減少気味でしたね。ダンスがうまかったな~。かっこ良かった。2時間20分ぐらいあった気がします。コント集ですから長すぎですね、やっぱり(笑)。
アメリカ人の男の子と宇宙人の男の子がソラ(宇宙)を見上げてるシーンで爆笑。こんなにお腹抱えて、のけぞって、涙流して笑ったのは久しぶり。
オープニングで「ブルガリア人に協力してもらっています」という意味が判明した時は度肝抜かれました。
アカデミー賞授賞式をパロったネタでは、アメリカ人の偽者っぷりがすごかった。
一応今回はextra number!!ということでラストに「役者への質問タイム」が設けられていたんですが、なんともげんこつ団らしくって。可愛いい。好き。
植木早苗さん。ハンサム女優さん。やっぱりこの人だなー。この人がげんこつ団の顔だなー。大好きです。
いや、劇団員さんは全員好き。だってみんな最高にクールなんだもん。
次回は総集編第2弾だそうです。絶対行く。
げんこつ団 : http://www.genkotu-dan.com/
2003年11月08日
ロリータ男爵プロデュースやきいもの会『お待たせしました!タナベさんが水を漏らした』11/5-11しもきた空間リバティ
めちゃくちゃ面白かった『タナベさんが火を出した』の続編(?)ということで、とても楽しみにしていたんですが今回は・・・なんか汚かったですね。浮浪者とアカとゴミと・・・。
主宰のタナベさんが水道工事でミスして漏水させてしまった事件をネタにコントやショートストーリーが繰り広げられました。全編を通して水がテーマになっていて、映像はもちろん、舞台上でもじゃんじゃん水を使うんです。その水が舞台から床にこぼれて客席側にポトポト水が落ちていて、ちょっと気が気じゃなかったですね。また漏水!?みたいな(笑)。
客いじり(観客を舞台上に上げて、観客に何かをさせる等)はやっぱり上手だと思いますがあそこまでやるのはちょっとつらいかなー。もっと根本的に盛り上がっていたらOKかもしれませんが。ちょっとね。笑いも少なかったし。つらかった。全般的にコントのネタが難しかったと思います。練りに練った、凝りに凝った、という感じで。感心するけど笑いづらかった。
肉太鼓は・・・やりすぎかな、と。まず臭いし。がんばってお稽古されたんだと思いますが長く感じました。なにしろ臭いし(笑)。浮浪者役とかは格好だけだけど、お肉は本物だからどうしても不潔ですよね。不潔は恐い。
斎藤マリさん。どんなシチュエーションでも、どんな役でも成立させてしまう女優さん。プロレスラー、アイドル、浮浪者など、全部すごかった。でも私は汚れ役よりもキュートなところをもっと見たいですね。
役者松尾マリオさん。『鎖の工場』に出ていた浮浪者キャラで登場。あの衣裳はすごい。キャラもぴったり。
衣裳といえば「はたらくくるま」に出てきたNIKE人間にはびっくり。何かを越えちゃっていました。そういう飛びっぷりがロリータ男爵のすごいところだと思います。
ロリータ男爵 : http://www.lolidan.com/
2003年11月07日
サードステージ『天使は瞳を閉じて ミュージカル』11/6-30ル・テアトル銀座
1885年初演。「第三舞台」という、今となっては伝説的な劇団の代表作の一つです。イギリスのエジンバラ演劇祭でも上演されました。
うーん・・・退屈はしなかったけど、楽しくなかったですね。ミュージカルにする意味があるかどうかを語るより「面白くない」ということに尽きる気がします。
ストーリーが今の時代には合ってないんじゃないかなー。題材がタイムリーすぎて笑えないんですよね。15年前なら「人類が滅亡した後の世界」と言ってもファンタジーに成り得たけど、今はシャレじゃないですからねー。明日そうなるかもしれないっていうリアルなものですから。オープニングでいきなり「テロ」とか「爆弾」とか「放射能」の歌を歌うなんて、恐いですよ。現実が襲ってきてミュージカルの夢の世界へなんて全く行けませんでした。
あと、ストーリー展開の重要なポイントにクスリ(麻薬・覚せい剤のたぐい)が出てくるのはもうねー・・・やり尽くされてますからねー・・・。80年代は良かったかもしれないけどもう21世紀ですから。役名もちょっとね。「電通太郎」とか悲しくなりますよね。
作・演出・作詞は鴻上尚史さん。「みんなが大好きだったあの作品がミュージカルになって帰って来たよ!!」と、高らかに叫んでいるような演出でした。それって内輪ウケですよね。私は冷めちゃいました。そもそも、ものすごく暗い話をミュージカルにすること自体がかなりの冒険なわけです。歌と音楽と踊りを加えて、アイドル芝居にして、見た目もパーっと派手にして、笑えるネタも入れて、ストーリーの質も高くして、それで常連の演劇ファンと一般客の両方にウケる作品にする、なんてちょっと欲張りすぎじゃないかな。結果、何もかもが散漫な作品になってしまっていたように思います。
衣裳と美術が蛍光色でビッカビカでした。ドぎつい虹色や目がチカチカしちゃう色あわせが大きな舞台全面に。出てくる小道具などもギラギラしていて、キッチュでもなくカワイくもなかった。美術は松井るみさんだし衣裳は原まさみさんだし、二人とも上質なストレートプレイ等もやりつくしている方々ですから、意図的にやってるんですよね?鴻上さんの好みってこういう系統なの??・・・って確かめたくなるぐらい悪趣味でした。オープニングの着ぐるみが特につらかった。
そして、その広い舞台が埋まらないんです。空洞でした。私が勝手に想像するに、鴻上さんの作りたい世界がちゃんと役者&スタッフに伝わっていないじゃないかなー。役者さんたち自身がこの作品が面白いのかどうか不安になっている感じがしました。歌が始まる瞬間に居心地が悪いことも多かったですし。
芸能人の舞台作品にありがちなネタが多かったです。キャイ~ンの天野さんが出ているから「キャイ~ン」ポーズとかね。色んな人が何度もやってました。客席からは笑い声が聞こえましたが、こんなにも込み入ったハードなストーリーなんだし、私としてはそういうノリはやめる方向に持って行ってもらいたかったです。
天野ひろゆきさん(キャイ~ン)。声がきれい!歌がうまい!純名りささんとのデュエット、風花舞さんとのデュエットがとても良かった。
辺見えみりさん。ハスキー・ボイスが素敵。お色気満載の歌が一番良かったです。
橋本さとしさんと京晋佑さん。がんばり過ぎで引いちゃいました。他のメンツを盛り上げようとハッスルされていたのかな。
大高洋夫さん。これに出るために『夢の泪』に出なかったのかしら?だったらちょっと悲しい。
私は初日に拝見いたしました。もう2週間は経ってますから内容がブラッシュアップされている可能性大です。
サードステージ : http://www.thirdstage.com/
ホリプロ内公演公式サイト : http://www.horipro.co.jp/tenshi/
2003年11月06日
燐光群『CVR チャーリー・ビクター・ロミオ』11/5-24ザ・スズナリ
演出=坂手洋二+ロバート・バーガー+パトリック・ダニエルズ+アービン・グレゴリー
音響デザイン=ジェイミー・メレネス
協力=国土交通省 航空局 HASM(羽田航空宇宙科学館推進会議)
去年の話題作の一つ。内容が内容なのでどうしても観る気になれず、結局観に行かなかったんですが早々と再演してくれたので行くことにしました。
合計6話のオムニバスです。
落ちる(墜落しかける)直前の飛行機のコックピット内のドキュメンタリー劇。あの、500人もの人が山の中で亡くなった日航機の事故のエピソードもあります。
1話目。・・・途中でどうしても帰りたくて帰りたくてしょうがなくなって、「どうやってここから抜け出そうか!?」と必死に通路を探したんですが、スズナリですもん。全く無理。出られない。それでそのまま2話に突入。うえーん。本気で泣きそうでした。ほとんど耳をふさいでいるような状態でなんとか2話目を耐えて持ちこたえたら、なんと最後まで座っていられました。慣れるんですよ、人間って。素晴らしい。
せっかくこんなつらい思いをして観るんだから何か持って帰らなきゃと欲張ったんですが、がんばってよかったです。国民性が出ますよねー。日本人は寡黙。アメリカ人はおしゃべり。役者さん。演技上手すぎ。臨場感ありすぎ。恐いよ。切ないよ。つらいよ。音すごい。リアル。ほんとに飛んでるみたい。ほんとに落ちてるみたい・・・。
あんなに多くの人(約200人)が死んだその原因が“養生テープのはがし忘れ”だったのが最も衝撃的でした。そのエピソード(事故)の役者さんの演技が一番すごかったと思いました。(とにかくテンパってしゃべり続けていた)
一度は観ておいた方がいいかな、という演目です。私はもう行きたくないけど。
燐光群 : http://www.alles.or.jp/~rinkogun/
2003年11月03日
スパーキング・カンパニー『ドラマリーディング"ラ・ロンド"』10/30-11/3 STスポット
STスポットという横浜にある劇場のプロデュース公演第1弾だそうです。
アルトゥル・シュニッツラー作『輪舞』は10話から成る男と女の短編オムニバス。tptでの内野聖陽&秋本菜津子の二人芝居『ブルールーム』が記憶に新しいですね。
5人の演出家がそれぞれ2本ずつ担当して合計10本となる豪華企画。オーガナイザーは倉迫康史さん(Ort-d.dプロジェクトリーダー)です。ものすごいキャスティングはこの人の仕業。tptのは現代風に脚色されていましたがこちらは脚本は一応そのままのようですね(『輪舞』岩淵達治訳 現代思潮新社刊)。でも演出によっては全く違う風合いになっていました。
ものすごく濃密な時間でした・・・。帰り道ふらふら。横浜から渋谷までの記憶がない・・・。「これ、観た人お得!!」と断言できる公演でしたね。
■第一景 娼婦と兵卒 & 第二景 兵卒と女中
演出:鈴木史朗(A.C.O.A./主宰)
今振り返ってみると、実は私はこれが一番好きだったかもしれません。
「あなただったらタダで抱かれてあげる」と言う娼婦と「だったら抱くよ」と簡単に乗ってくる兵卒。兵卒役は2人で本を持って棒読み。娼婦は1人で本を持たずに情熱的な演技。全員男性です。今でも第一景の娼婦役の男優さんが忘れられない。ものすごく深いまなざしでした。途中休憩の時に関係者の人に伺ってみたら、なんとその男優さんは演出家の鈴木さんでした。昔は演技を勉強されていたけど今は演出一本で、今回はものすごく久しぶりの出演だったそうです。ラッキー!!
■第三景 女中と若様 & 第四景 若様と若い人妻
演出:わたなべなおこ(あなざーわーくす/主宰)
引きましたね。最初は。女の捨て身のギャグって見苦しいですから。でもだんだんと持っていかれました。客いじりもキュートです。前の出演者たちとのからみもあって、劇場空間自体が良い雰囲気だったんだと思います。
■第五景 若い人妻と夫 & 第六景 夫とかわい娘ちゃん
演出:明神慈(ポかリン記憶舎/舎長)
もったいなかった!いつものポかリンじゃなかったですね。手法は女性ならではのしっとりエロスでびんびんゾクゾク来ますが、演技が激しくて生々し過ぎました。観てられなかった。とても残念(初日は最高だったそうです)。でも衣装も女優さんも抜群に美しかったな~。男優さんは・・・いやらしくて良い!
■第七景 かわい娘ちゃんと詩人 & 第八景 詩人と女優
演出:中野成樹(中野成樹とフランケンズ代表・POOL-5所属)
驚きのラップ調。はずすかと思いきやバッチリでした。笑ったなー。濃いものの連続だったから休憩後の清涼剤でした。といってもこれも相当キャラが濃いですが。POOL-5を観たくなりました。
■第九景 女優と伯爵 & 第十景 伯爵と娼婦
演出:関美能留(三条会/主宰)
これは・・・中央から観なくちゃ面白さ半減だったようです。でも味わいは極上。一歩も二歩も、一周も二周も上をゆく関さんのコンセプト。やられっぱなしです。演出によって脚本は全く別のものになってしまうとはよく言われることですが、三条会にこそその言葉は当てはまる気がします。それにしてもちょっと役者さんの顔が恐かったな。もうちょっとソフトに作っていただけるとありがたいな、と。
STスポット : http://www.jade.dti.ne.jp/~stspot/index2.html
Ort-d.d : http://ort.m78.com/
2003年11月01日
ブラボー・カンパニー『天晴スープレックス3』10/28-11/3下北沢OFF OFFシアター
ブラボー・カンパニー初見です。(イベントでご一緒したことはありますが)『天晴(あっぱれ)スープレックス3』っていうタイトルが好き。これはコント公演シリーズだそうです。
脚本・演出・主宰の福田雄一さんがTVの放送作家でらっしゃるようで(連続ドラマの脚本なども書かれています)TVネタが多かったです。しのびゅはTVは見ないので楽しめなかったですね。まあいつものことなんですが。すみません。
「殉職する主婦」が一番良かった。ダントツ。佐藤正和さんですね。その後、殉職ネタがどんどん続かなかったら、もっと鮮やかな印象だったんですけどね。まあ殉職ものはカッパ(野村啓介さん)も面白かったです。
「SM議員」のSM議員役の太田恭輔さんは芸達者な方だなーと思いました。ひきこもり講座(のようなタイトル)の司会の山本泰弘さんのつっこみの声がきれい。
最後のネタに着ぐるみ大集合!圧巻です!よくもあれだけ作れらたなーって感心しました。男の人が着てるのもイイ。
固定ファンがしっかりついていらっしゃるようで確実に笑いは起きていましたけど残念ながらしのびゅ好みの笑いではなかったですね。あと、長いです。単発コントのみで2時間はちょっとつらいかなー、と。
役者さんが皆さんすごく疲れてらっしゃるように見えたんですが、そういう演出なのかしら。ゆら~り気楽そうにやってる雰囲気にしてるとか?
来年のパルテノン多摩演劇フェスティバル出場決定だそうです。
ブラボー・カンパニー : http://www.bravo-company.com/