和田憲明さんが作・演出を手がけるお芝居をプロデュースするウォーキング・スタッフ。
和田さんは読売演劇大賞も受賞している方で最近だと藤原紀香さん主演『OVERSEAS』の脚本を書かれていました。
前回の『SPACER』がめちゃくちゃ面白かったから今回も期待して劇場へ。
ものすごく計算されて作られたサスペンス・ドラマでした。
何から書き始めてもネタバレになってしまう、非常にテクニカルな構成で、ハードな内容。
和田さんは舞台や設定はどうあれ非常にオンタイムなテーマで本を書かれてると思います。
(詳しくは下記ネタバレ感想に書きます。)
役者さんはそれぞれの役柄について深く掘り下げて、キャラクターを作り上げられたんだと思います。
でも、全員が全般的にちょっとナーバスすぎるんじゃないかなー。
そういう演出なのでしょうが、もうちょっと作り物っぽくしていただけると、より臨場感が出る気がします。
雛形あきこさん。ずーっとナーバスでしたね。でもそういう役だとも言えますよね。すごくがんばってらっしゃいました。
確か巨乳アイドル・・・でいらっしゃいましたよね?そんなイメージは吹っ飛びました。目に美しいのは力です。
池田有希子さん。占いをする時の演技が良かった。けんか腰で話すシーンでは終始にこやかで、それがすごくリアルでした。
渡辺慶さん。大阪弁でしゃべる若い“なんでも屋”役。
あー、関西の人だーって、しみじみ聞き入りました。顔とかも。反射神経が良くて軽快ですね。
ネタバレします。
まず、ラストシーンから始まるんです。暗転するとスライド映像で「THE END」。これがオープニング。
そして30分前、1時間前、1週前・・・と、どんどん時間をさかのぼり、全ての発端となる出来事のシーンでお芝居が終わります。
でもシーン自体は時間の経過のままに上演されますよね(当然ですが)、それが面白い。
タイムマシーンで少しずつ昔へと旅していき、真相が暴かれていくと想像してもらえるといいですね。
姉のお葬式の日から始まり、“なんでも屋”による姉の殺人現場、妹が姉の殺人を依頼・・・と続き
占い師(妹の主人の浮気相手)と妹の出会いのシーンまでが描かれます。
2度観られたら、いろんな伏線がわかってもっと面白いと思います。
“SOLO”とは「一人。一人の~」の意味。
人間って一人ですよね。生まれた時から一人ぼっちです。でも自由であるとも言えます。
他人に気を使ったり、束縛されていると感じているのは自分自身であって
「自分は自由なんだ」って信じたら本当に、完璧に自由なんですよね。
でもその瞬間、孤独になります。それは避けられない。それがこのお芝居の“SOLO”の意味だと思います。
少年犯罪が増えている昨今、記憶に新しいのは
「恋人同士2人で暮らしていきたいから家族が邪魔。だから殺した」という事件。
まさにその精神状態を表しているのではないでしょうか。
人間は孤独です。一人一人は完全に別々に生きている動物です。
それに気づいた時に自分というものが、存在自体が一つの奇跡となって輝きます。
でも、それはスタートなんだと思います。独立した個人同士がつながって生きていくのが人間なんだと思います。
そうじゃなきゃ、戦争は決して終らないですよね。
ラストシーンとしては最高のハッピーエンドでしたが、物語の顛末はアンハッピーな“THE END”でした。
やっぱり和田さんってすごい人だと思います。
次回は2004年4月。濃密で上質な演劇世界へ、どうぞ足を踏み入れてください。
企画製作 ウォーキング・スタッフ お問い合わせ 03-3462-1868(石井光三オフィス)
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Posted by shinobu at 2003年11月16日 11:51