初めて観た作品が好みでなかったため遠ざかっていた少年社中ですが、今回はけっこう楽しませていただきました。途中でちょっとだるくなっちゃいましたが後半で盛り返し、最後はのめり込みました。
少年社中の作品にはエンタテインメント中心バージョンと演劇色中心バージョンがあるそうで、今回は後者の方。私はそっちの方が好みだったというわけです。
東京の「新宿解放区」と呼ばれる区域だけ50年前から同じ時間(24時間)が繰り返されている。私立探偵とその部下は、ある女から「あそこの時間を普通の時間に戻して欲しい」との依頼を受け、危険を承知でその地に入り込む。全ての原因と思われる映画の撮影現場(=シアターモリエール)に2人はたどり着くが・・・。
中盤以降、私立探偵自身の過去に迫ってくる辺りからどんどんと激しい場面展開になり、そこからクライマックスおよび全ての種あかしにいたるまでは、息つく暇なく楽しませて頂きました。ラストは好きでしたねー。完全に収縮していく感じにみせかけて、実は爆発!っていうのは元気をもらえます。
この劇団の演技や演出のクセに慣れるまで1時間ぐらいかかりました。いつどこで舞台写真を撮られてもOK!といわんばかりに、一瞬一瞬が絵になるようなポーズの動きの連続で肝心のお芝居の流れはプチプチ切れまくっている状態。そういう演出意図なのでしょう。そして役者さんの声色や演技が、演技演技してるっていうか、ぶっちゃけクサイっていうか。でもそれが狙いにハマってくると面白くなってきました。こういうカラーなんでしょうか。
映画の有名なシーンやセリフが沢山ちりばめられていましたが、決して粋じゃないんですよね。思いっきり正面からやっちゃうから、ギャグになるならいいんだけど、ならないとだいぶんつらい。私の好みではないですが、他のお客様にはけっこう受けていました。
音楽はオリジナルで作られているのが多いみたい。派手な感じ。椎名林檎の歌をあれだけ流しても、なんとかなっていたのはすごかった。そういえば『YELLOW』という作品でも林檎ちゃんの歌が効果的に使われていました。音楽が流れるタイミングはちょっと・・・かっこ良くないのが多かったです。
照明が良かったーっ。それこそ絵になるポーズと絵になる色で、瞬間瞬間が見せ場。豪華だったなー。衣裳も良かったです。ゴミゴミ&ぐちゃぐちゃしてそうでいて、実はカッティングに凝っている感じ。真ん中に扉がある美術も好き。劇画タッチな演技にもぴったり。
杉浦理史ことピエールさん。ピエールさんの自然な演技のおかげで素直にお芝居に入っていけました。やっぱり笑いとか上手いですね。終盤のシリアスシーンも白熱していて良かったです。
開演前に大画面で映画が流されているんですが、やっぱり「ニュー・シネマ・パラダイス」は最高。これからご覧になる方、後ろの方の席が全体を観られていいと思います。
少年社中HP : http://www.shachu.com/
Posted by shinobu at 2003年11月18日 12:20