サードステージ所属の役者さん、横塚進之介さんが企画・演出・出演するユニットの第1弾。
脚本の鄭義信さんは映画の脚本も書かれている方ですね。ルビー・モレノさんと岸谷五朗さんが出演している映画『月はどっちに出ている』は面白かった覚えがあります。
中学、高校と野球部で一緒だったホモ4人のお話。それぞれの道を進みながらも毎年一度は懇親野球大会(同窓会)を開いている。カズ也とフジ夫は付き合って5年以上になるが最近うまくいっていない。カズ也は世間体や将来のことも考え、とうとう女性と結婚する決心をするが・・・。
「女みたいに約束があるわけじゃない」というセリフがありました。男同志の恋愛は拘束力が弱いんですよね。結婚とか子供とかがあるわけじゃないから(日本では)。そこが甘い蜜であり、つらいところですね。結婚式の前にカズ也(横塚進之介)が本心を告白するシーンが良かった。泣けちゃいました。「結婚して子供ができて、その子供がまた子供を生んで、家族がどんどん増えていって、俺は年をとっていく。そしていつか沢山の家族に囲まれながら、あいつのことを思い出すんだ。俺が本当に愛したのはあいつだけだったって。」(セリフは完全に正確ではありません)
野球場のロッカールーム(着替える部屋)が舞台でしたが、なぜいつもロッカールームなのかという必然性があまり感じられなかったです。他にも部員がいる設定ですが、それが感じられなかったのは残念。同窓会を開く記念日が野球部にいた仲間の命日だった、というのが最後の最後にわかりますが、もうちょっと早めから伏線を張っていた方が良かったんじゃないかなーと思います。
音響(選曲)がちょっと合ってなかったですね。デパートの伊勢丹でかかる音楽が流れてめちゃくちゃ気になりました。
役者さんは皆さんとても演技が上手な方ばかりで、一人一人の持ち味が生かされていました。小さな劇場で役者さんを贅沢に堪能できた気持ちです。
横塚進之介さん(サードステージ)。私にとっては「復活!」って感じです。初めて横塚さんを拝見したAtticTheater『クオリティー・オブ・ライフ』@池袋小劇場での、黒い瞳の輝きと悲しみをたたえた素朴な立ち姿をまた見ることができました。ちょっとフテくされてる役とか黙々とがんばっているキャラが似合いますよね。にこやかな好青年役とかおちゃらけキャラよりも。結婚式の直前の告白シーンでの存在感がすごかった。
佐賀野雅和さん(ヰタマキ)。弟分のゲイの役がぴったり。かわいらしいです。ヰタマキっぽいクサイめの演技がたまに出ましたが、気になりませんでした。
高橋拓自さん(サードステージ)。おねえ系オカマ役。動物電気でもお馴染みのマッチョな高橋さん。テンション高く、張り切り系の演技で盛り上げてくださいました。反射神経がするどくて芸も細かいし、笑いも上手だと思います。美形ですよね。
中川育男さん。素(す)かと思うほど自然な存在でした。優しいですね。
問い合わせ 横塚進之介の集い 070-5366-7259
Posted by shinobu at 2003年11月29日 16:24