2003年01月14日
鴻上尚史作・演出『ピルグリム』01/14-02/02新国立劇場
『ピルグリム』は第三舞台の1989年初演の作品です。
オンタイムな内容に鴻上尚史さん自ら書き換えての上演。
新国立で観たくはないタイプのオープニング。えええぇぇ・・・・・って感じ。のっけからイヤんなりました。でも、どんどんと鴻上さんのセリフに引き込まれて、震えて、最後には大拍手。とうとう鴻上さんでヒットですよ。今まで長かったな~。
「オアシス」を求めて旅をする人々。色んな試練(邪魔)が入ります。
いきなり可愛い女の子が踊って歌います。「帰れ。裏切られたふるさとへ」。この歌でまずじ~んと来てしまいました。辿り着いたそこはオアシスだったのか?ここじゃないとすればオアシスは一体どこに?
目に見える自分と目に見えない自分がいる。その片方が片方を殺そうとしている。殺したところにオアシスが・・・?私も大事な人がよく言っていたことを思い出しました。「アクセルとブレーキを同時に踏んでいる」と。自分で自分にSTOPをかけている。自分で自分を否定している。自分で自分を殺しているんですね。
「死んでも何にもならないよ」「死んじゃだめだ」。そんな率直な言葉に言葉そのままの力がありました。 ラストのセリフ、「したたかに、狂ってしまおう。次の旅が始まる。」あぁ恍惚。
役者を吊るのって私は正直好きじゃないんです。だってだいたい吊ってる線が見えちゃってるので夢に入れないし。でも、このお芝居ではそれも成立していました。おもちゃ主役のおとぎ話のような要素がいっぱいなので。
いかにも照明効果ですといわんばかりの派手で機械的な照明に久々に感動しました。演劇の醍醐味だよなー。照明そのものの力を感じられました。
それにしても舞台装置や衣装はなんであんなにチャチに見えるのでしょうかねぇ・・・。単に座席が最前列だったのが致命的だったかも(苦笑)。でも私好みじゃなかったです。色合いもあんまり。
衣装は材質が悪いんだよねー。あと、キュートな動物着ぐるみはもうそろそろ時代遅れだと思うんですが。私だけ?
選曲は、私が今まで観た鴻上さんの芝居の中で一番良かったです。優しくPOPな中に死を感じさせる音。
市川右近さん。仮面をつけての演技で、声がすごく良かった。さすが歌舞伎役者。
富田靖子さん。安心して観られます。若いなー。
山本耕史さん。オープニング以降、この人のおかげで楽しくなってきました。さすがの華。
山下裕子さん。最初の演技にはひきましたが、どんどんと凄みを増していって女優の力を見せられました。
大森博さん(黒マント)。最高。めちゃくちゃ遊んでてかっこいい。最後シビれた。
・・・とにかく、なんと言い表せばいいのか全くわからない高揚を感じました。震えて顔がしばれて涙が流れました。そうなるともう装置とか衣装とかどうでもよくなっちゃうんですよ(笑)。80年代、熱狂的人気があった頃の第三舞台の空気ってこういうのだったのかも?と思いました。
鴻上さん、発売初日にチケット売り切れないどころか今も俄然チケット余ってます。
もったいない!コレ、面白いです。
ぜひぜひお時間のある方は観に行ってみてください。
新国立劇場HP : http://www.nntt.jac.go.jp/
2002年しのぶの観劇ベストテン
2002年のしのぶの観劇シーンはいかがなものだったのか・・・?
「2002年観劇ベスト10」の発表です!
2002年は2001年に比べて観劇本数が減ったことも原因かと思いますが、ベスト9と10については該当作品なしです。悲しいかな。
去年に引続きベスト10以外に数個、部門を設けました。
しのぶが偏屈になって来ているのでしょうか・・・いや、そうじゃない!きっと!!
今年もアマチュア視点でいきますよっっ!
さ、いってみよっ!
■芝居■
①大人計画<日本総合悲劇協会vol.3>『業音』草月ホール10/9-26
②三谷幸喜 作・演出『彦馬がゆく』パルコ劇場1/8-2/3
③tpt『蜘蛛女のキス』ベニサンピット10/9-20
④NYLON100℃『フローズン・ビーチ』紀伊國屋ホール7/12-28
⑤土田英生 作・演出『南半球の渦』シアタートラム11/28-12/10
⑥蜷川幸雄 演出『夏の夜の夢』シアターコクーン8/16-9/1
⑦ひょうご舞台芸術第26回公演『ジェイプス』パルコ劇場7/26-8/4
⑧ク・ナウカ『欲望という名の電車』ザ・スズナリ10/31-11/10
⑨、⑩該当作品なし
■演出■
宮城聰
(ク・ナウカ『欲望という名の電車』ザ・スズナリ10/31-11/10)
※次点 宮田慶子 (ひょうご舞台芸術『ジェイプス』パルコ劇場7/26-8/4)
■男優■
八嶋智人
(シス・カンパニー・プロデュース『おかしな2人(女編)』パルコ劇場8/31-10/14)
■女優■
美加理
(ク・ナウカ『欲望という名の電車』ザ・スズナリ10/31-11/10)
■脚本■
高羽泰雄
(SPARKO『PLAY SET』中野ザ・ポケット7/24-28
SPARKO『Ex-Sight-Seeing(エキサイト・シーイング)』しもきた空間リバティ11/7-10)
■美術■
横田あつみ
(ひょうご舞台芸術第26回公演『ジェイプス』パルコ劇場7/26-8/4)
※次点 松井るみ
(フィリップ・リドリー作『ピッチ・フォーク・ディズニー』シアタートラム5/24-6/23)
■衣装■
前田文子
(蜷川幸雄 演出『オイディプス王』シアターコクーン6/7-30
チェーホフ作・栗山民也 演出『櫻の園』新国立劇場・小劇場6/21-7/21)
※次点 壺会『エトワール探偵団』武蔵野芸能劇場6/28-30
■ヘア・メイク■
林 裕子
(チェーホフ作・栗山民也 演出『櫻の園』新国立劇場・小劇場6/21-7/21)
●オペラ●
ボローニャ歌劇場『清教徒』東京文化会館5/29-6/11
●実験的作品●
ジンジャントロプスボイセイ『ハムレット・マシーン』神宮前EX'REALM10/14-20
★小劇場系(3作品 劇団名あいうえお順)★
青島レコード『FAT OLD SUN』シアタートップス8/7-11
むっちりみえっぱり『その男 浮く』王子小劇場5/3-6
ロリータ男爵『愛探偵 天乃川学-RETURNS-』下北沢駅前劇場12/5-9
※ 団体、個人等についての表記は敬称略です。