2003年01月23日
ペンギンプルペイルパイルズ『不満足な旅』OFF OFFシアター01/16-20
ペンギンプルペイルパイルズ、初見です。第3回公演ですね。
阿佐ヶ谷スパイダースの中山祐一朗さん目当てでチケットを取ったのですが相変わらずステキでした。ちょっと似たキャラが多いかなーとも思いましたが、満足。
ちょいヤバめの異国への旅行。熱狂パレード。密室。すっとんきょうな女神。キレる男。
小劇場的アングラっぽい匂いがふわ~っと漂うのですが、クールでコミカルに仕上げているので最後まで楽しんで拝見いたしました。ギャグもかなりマニアックで技巧的。演技も細かい。登場人物たちのしっちゃかめっちゃかな存在理由もすっと受け入れられました。
でも、それだけ・・・・。役者も脚本も上手いと思うんだけど、私の人生にはあまり必要のない時間だったかも・・・。ナイロン100℃と阿佐ヶ谷スパイダースを混ぜた感じ。あと、遊園地再生事業団も?
音楽が良かったです。知らない国の知らない祭りでなんだかトリップしちゃう感じがよく伝わりました。あの狭いオフオフ劇場の舞台が、ちゃんと異国の安宿の一室に感じられました。
う~む・・・。全て上手いと思うのですが、「だから、何?」と思っちゃいました。残念。
作・演出=倉持裕
出演=中山祐一朗/小林高鹿/ぼくもとさきこ/ほか
青年座『見よ、飛行機の高く飛べるを』01/22-26本多劇場
作:永井愛(二兎社)、演出:黒岩亮 の、平成9年度芸術祭大賞受賞作品の再演です。
私は永井愛さんの大ファンです。戯曲本を集めちゃってるほど。本多劇場が通路まで満員の初日でした。見るからに役者さんがいっぱい。勉強しに来てるのかなー。
舞台は明治44年、日清・日露戦争に勝利して欧米諸国を手本とした体制をますます整えんとする日本。
「飛行機が空を飛ぶ時代。女性も飛ばにゃならんのです。」
女子師範学校で新しい日本を展望するエリート女学生たちがそれぞれの夢をつかむべく立ち上がるが・・・。
私はこの作品の戯曲本を読んでいたので、オープニングの音楽が流れて幕が上がっただけでほろりと来てしまいました~。だって、あの初々しくてはつらつとした明治の女学生たちがここに出てくるんだ!と思っただけでウキウキわくわく。そしてその期待は裏切られませんでした。もー暗転のたびに涙ポロポロですよ。客席も鼻をすする音でいっぱい。
ありのままであるということは、どういうことなのか。自分の生きたいように生きるとはどういうことなのか。自分は1人の人間であるということに気づき、同時にその自分は世界・国家・社会の中に在るのだと知らされます。若さゆえの好奇心と熱狂、そしてもろさ。でもその輝きは何事にも替えられない奇跡なのです。ハッピーともアンハッピーともとれるエンディングは永井さんの戯曲の特徴だと思います。
ここからネタバレします。
ラブシーンがすごくロマンチックで、胸が切なく震える刹那の恋にときめきました。さすが女性劇作家。衝撃的な接吻(キスではなくて接吻)シーンと底なしにプラトニックなプロポーズ。いや~ん赤面。
いわゆるシチュエーション・コメディー的リアルな舞台なのですが、ラストシーンは演劇的な余裕(遊び)のあるシーンになってましてそこの演出は私の予想と全然違っていて、すごく良かったです。潔くて、切なくて、優しくて、甘酸っぱくて。そして、決別のシーンで笑えると思わなかった。腰から頭までじ~んときながら涙流しながらのカーテンコール。あぁ永井さん(脚本)、黒岩さん(演出)、ありがとう!
タイトル『見よ、飛行機の高く飛べるを』は夏目漱石の詩から引用されているそうです。
劇団青年座:http://www.seinenza.com/