2003年02月04日
宮本亜門 演出『ファンタスティックス』01/30-02/11世田谷パブリックシアター
『ファンタスティックス』は40年以上世界中でロングランされているミュージカルの原点的作品だそうです。『モーツァルト』で注目された井上芳雄くん観たさにチケットをGETしました。観に行って良かった・・・!
宮本亜門さんのミュージカルは一度途中で帰ったことがあるのでちょっと不安だったのですが、「この世界的な財産と言える作品を観られて良かった!」とすがすがしい気持ちで帰ることができました。
ここからネタバレします。
隣りに住む少年と少女。2人は両想いなんだけれど互いの父親に反対されているため、隠れて愛をささやきあっている。だけどそれは、2人を結婚させたいと思っている父親同士の企てだった。引き離せば引き離すほど2人は愛し合うだろうと見込んでいた父親たちは、最後の仕上げとばかりに流れ者エル・ヨガにひと仕事依頼してある事件を起こし、2人はめでたく恋人同士となったけれど・・・。
前半が完全な前振りで後半に本編が、全てが凝縮されていると思いました。前半は寝ちゃってですねぇ(すみません。)・・・。後半はオープニングからわくわくドキドキ。前半とえらい違い。
この作品は作詞が素晴らしいと思いました。そこが超ロングランの理由ですよね。父親2人に依頼されて若い2人を騙す、流れ者エル・ガヨの歌。言葉足らずですがちょっとご紹介。
「この涙で充分です。この小さな雫だけで。」
「人はなぜ成長するときに何かを葬らなければならないのか」「それは矛盾に満ちた逆説。パラドックス。」
黒い舞台装置の上に現れる黒い衣装の出演者たち。そこからカラフルな衣装に着替えていくオープニングは躍動的でフレッシュ。宮本亜門さんらしい感じ。照明の使い方もモダンでよかったな。現代的な演出はフィットさせることが難しいと思うんですが合ってたと思います。
イデビアン・クルーの井手茂太さんが振付ということですがあまり目立ってなかったかな。井手さん独特のユーモアを理解していたのが、少女の父親役の斎藤暁さんだけだったような。斎藤さん、素敵でした。
井上芳雄くん、きれいでした。若いって素敵。この若さでこのやる気って宝物ですよね。声量はまだまだこれからってとこかな。でも主役にぴったりです。清楚でさわやかで。ファンになれそう。そう、誰にもお薦めのミュージカル・スターだと思います。
ヒロインの高橋恵理子さん。スタイルいいし顔かわいいし技術も在るのでしょうけど、私は無理。苦手。なんか、ちょっと、品がないんですよね・・・井上くんが惚れる少女役には不適。わお、断言しちゃった、すみません。NHKの「歌えリコーダー」という小学生向け教育番組に出ていらっしゃる人なんですよ。私、見た事あるんです。操り人形みたいな演技をするアナウンサーっていうか。演技が非常に紋切り型。意図なしに大げさ。同じNHKだったら茂森あゆみさんの方が良かったんじゃないかなー、ってそんな問題じゃないか。
物語としても、何も知らない大人しい少女が危険に魅了されて足を1歩踏み込んでしまう・・・という方がドラマチックだと思うんです。もともと勇み足の子がじゃんじゃん走り込んでも、それは普通です。というか見た目に美しくないと思うんですよね。そこは私の個人的好みだと思います。亜門さんはけっこうパワフルな女優さんが好きですよね。
エル・ガヨ役の山路和弘さん。素晴らしかった。色気があってふところ深くって。この役の意味をしっかり咀嚼してその上、自分の魅力もプラスされていたと思います。
追加公演では、井上芳雄くんのアフタートークがあるそうです。
世田谷パブリックシアターHP : http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/02-2-25-1.html