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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年02月20日

天然ロボット『ホルマリンの少女』02/18-23中野MOMO

 天然ロボットは湯澤幸一郎さん主宰の劇団です。湯澤さんというとカウンター・テナーの歌声をお持ちのひと癖もふた癖もある俳優さん。宮田慶子 演出『エレファントマン』での美声と麗しい女装姿が記憶に新しいです。チラシを見るからに、かなりコアなデカダン・ムード。ちょっと怖いもの見たさの心持ちで劇場にたどりつきました。

 面白かった!わくわくした!うっとりした!ある猟奇殺人事件を題材にしっかりと作り込まれた推理モノなんですよ。ギドーの原作を現代の日本を舞台に置き換えて湯澤さんが脚色・演出されています。倒錯した性的嗜好と美少女退廃エロスを耽美に描き、そこに大人のウィットと軽快なギャグを適度に注ぎ込んで、不思議な統一感のある作品になっていました。湯澤さんテイストってこういうことなのでしょうか。一歩間違うと悪趣味なだけになりがちの題材ですが、しっかりした世界観でコントロールされていたので、完全に心を預けて観ていられました。

 マッチ売り(?)の少女からマッチを買うシーン。ものすごくエロティックでした。ベビードール風の濃紺のワンピースのすそから見えるペチコートの白いレース。そしてその下ではガーターベルト用のストッキングが太ももを締め付けています。
 「絶対に触っちゃだめよ。」
 絶妙のチラリズムが芳しく危険な色香を放って観客の目をくぎづけにするんですね。さらに、それを成立させたのは湯澤さんの演技にほかなりません。
 「やめて!触らないでって言ったでしょ」「白状したね」のやりとりには萌えました(赤面~っ)。
 柔らかい動線を描いて伸びる手や足が、驚くほど力強い所作をとる。気高さにうっとりしてしまいます。

 新谷真弓さん(NYLON100℃)。突き放した演技が魅力的でした。1つだけ残念だったのはヘア・メイクです。もうちょっとこだわって欲しかったな。初日だったからかもしれませんが。
 湯澤幸一郎さん。かっこいいし美しい。高いようで太い声が胸に響きます。手が届きそうなほど近くで彼のHot&Coolな演技を味わえるこの機会を、ぜひ逃さないで欲しいです。

 天然ロボット : http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Screen/7887/


≪ひとことモノローグより≫

◆ 『ホルマリンの少女』
  update: 2003.02.19 (Wed)

湯澤幸一郎さんの劇団、天然ロボットを観に行ってまいりました。
面白かった!!
大人向けのロリータ・エロスと謎解きサスペンスです。
新谷真弓さん(NYLON100℃)、加藤直美さん(ベターポーヅ)出演。

Posted by shinobu at 23:00 | TrackBack

シベリア少女鉄道『遥か遠く同じ空の下で君に贈る声援』01/24-02/02王子小劇場

 シベリア少女鉄道はインターネット演劇界では非常に人気の劇団です。とにかく脚本のアイデアがすごいです。非常に計算高くて緻密。そしてそれをやりきる演出もすごい。公演が終わっているのでネタばれしちゃいます。

 今回は「競馬」でした。

 ある、ちょっぴりさびれた喫茶店が舞台。へなちょこ・ほんわかな装置が適度にフレンドリーな雰囲気をかもし出します。登場人物はマスター、ウェイトレス、常連客のおじさん、別れそうな(?)カップルとその友人、その他もろもろ。

 登場人物の一人一人がおのおの決めゼリフを持っていて、何かあるごとにそのセリフを言います。「ぜんぜんわかんない」「いらっしゃいませ」「まじかよ、おい」みたいな簡単な言葉を振付つきで連呼。客は何のことだかよくわかんないまま物語は進みます。

 「彼氏が実は浮気をしていて、その浮気相手がこの喫茶店のウェイトレス!?」というどたばたが佳境になってくる頃に「あ、虹が出てるわ」と、突然、舞台奥の上部に虹のパネルが出現。赤、だいだい、黄、緑・・・と縦に並ぶストライプの右端には馬のぬいぐるみが並んで張り付いています。そう・・・それは競馬場・・・・!

 登場人物それぞれが1匹の馬。決めゼリフが馬の名前。「ナンテコトデショウ」とか。(言葉は確かではないです)そしてその名前を呼ばれる度にゴールに向かって1コマずつ進むというルールだったんです!「ぜんぜんわかんない!」ぬいぐるみが1コマ進む。「ぜんぜん・・・わかんない?」さらに1コマ進む、というように。
 名前の他にも競馬の実況アナウンスなどの競馬関連のワードを絶妙にとりまぜて、どたばたラブコメディーと競馬のレースを完全同時進行させます。あぁー・・・・ヤラれた。競馬用語の独特さと日本語の柔軟さを堪能。言葉についての知的好奇心が満腹。

 当日パンフが6種類あって勝ち馬投票券になっているとか、細かい技がまた憎い!『遥か遠く同じ空の下で君に贈る声援』というタイトルもわかってから読むと味わい深いですよね。実はチラシのキャッチコピーにもちゃんとネタが仕込まれていて見れば見るほど楽しめます。綿密なんですよね。

 あと、シベリア少女鉄道について声を大にして言いたい・・・女優さんが可愛いぞ!!
 渋谷景子さん。「ウレシインザスカイ!」の振付をまっすぐにやり続ける姿には女の私でも胸きゅんです。
 秋澤弥里さん。ウェイトレス姿で甘えられるとどんな男性でも参っちゃいますよ。
 土屋亮一さん。作・演出・出演。「いらっしゃいませ」のタイミングが絶妙。彼独特の憎めないふてぶてしさは貴重だと思います。

 今は小劇場で小劇場的に観るしかない(快適な客席ではない)のですが、やっぱり観たいと思わせる劇団ですね。

シベリア少女鉄道HP : http://www.siberia.jp/

Posted by shinobu at 22:19 | TrackBack

AGAPE Store #7『BIGGER BIZ』02/15-23紀伊国屋ホール

 後藤ひろひとさんの脚本をG2さんが演出された『BIG BIZ』の続編です。前作に比べるとキャラクター勝負というよりはストーリーに重点がおかれていました。
 私は今回のほうが好きです。断然笑えました。でも前作を見ておかないと楽しみは半減だと思います。キャラクター設定が非常にしっかりしている、というか、濃いので。

 内容はどたばた乱痴気騒ぎですが、徐々にはらはらどきどきのサスペンスになっていき、最後は大どんでん返しが気持ちいい。よくできた脚本だと思います。勘違いが勘違いを呼んでさらにひどい勘違いのためにひどい目にあう・・・。どたばたコメディーの王道をしっかり押さえて、しかもビジネス界のシビアな戦いも楽しく描いています。

 三上市朗さん。役作りのために太られたのかしら?と思うほどヤなおやじ系でっぷり体格。なのにすごくセクシー!うっとり見とれるほど。パワースーツがお似合いでした。クールに決めているのに大ピンチに陥って役柄が本性を現すときも、決して生っぽくならない。最初から最後までその役になりきってらっしゃいました。それが最高に滑稽でいいんです。

 こういうお芝居ってそういう演技であってほしいと思いますね。計算しつくされたコメディーであるためには何重にもお客をだましてほしい。八十田勇一さんも感情の移り変わりをしっかり見せてくださって、思いっきり笑わせていただきました。
 松永玲子さん(ナイロン100℃)。ナイスバディーを拝むのを待ち望んでいました。その甲斐あり(笑)。
 出てないはずの粟根まことさん(劇団☆新感線)がカーテンコールに出ていらしてびっくり!ラッキーなおまけでした。

 当日パンフの役者写真の衣装がすごく豪華。なんとブランド物なんです。時の流れを感じました。演出のG2さんもパンフに載られるようになりましたね。終演後ロビーにいらっしゃったのですが、すごく痩せてらっしゃいました。

G2プロデュースHP : http://www.g2produce.com/

Posted by shinobu at 15:09 | TrackBack