2003年02月23日
ジンジャントロプスボイセイ『RとJ』02/21-23青山円形劇場
ジンジャントロプスボイセイは中島諒人(なかしま・まこと)さんが構成・演出されるパフォーマンス集団です。
「最近のジンジャンの活動の集大成として自信を持ってご覧いただけるものになりそうです。」との宣伝文句に惹かれて今回も拝見。
原作からイメージされるそれぞれ独立したシーンの組み合わせ。美術、衣装、照明、音響、パフォーマー、テキスト(脚本)を総合的に使ったアート時空間。いわゆるストーリーがあって起承転結のある演劇ではありません。パフォーマンス作品です。
全ての役者さんが役者としてでなくあくまでも舞台表現の1要素として存在しています。つまりそれがパフォーマーなんですよね、役者じゃなくて。どんな際どい身体表現も笑えるセリフも、そのセリフを発した人から出ていると感じるのではなく作品として存在しているのが体感できます。役者の属人性にとらわれがちな現在の日本の舞台作品とは一線を画していると思います。
衣装が良かったなー。あのAラインは本当に可愛らしいです。仕掛けにも心躍ります。
低予算(だと思う)で効果的な舞台美術でした。ダンボール箱の中の色と衣装の色を合わせていたのがキュート。
ギターの生演奏にも力を感じました。
以下、内容を少しネタバレします。(でも読んでから観られてもOKだと思います。)
「ロミオとジュリエット」のストーリーを群舞のみでミニマムに表現。
シェイクスピア作「ロミオとジュリエット」から引用・選出された日本語のセリフ(誰の訳かは不明)の羅列。
ゴミ袋に入れられて吊るされるパフォーマー。
1本のナイフが色んなものに変身。存在の不確かさと雄弁さ。
男と女のかかわりの象徴として抽象化されたSexの表現。コミカル。などなど・・・。
特にセリフやストーリーでの主張がないので、一つ一つのシーンで観客それぞれが浮かべたイメージを持って帰ることになると思います。それがすごく多種多様でしかも多数になると思うんです。
私は手袋が一番好き。2匹(?)の手袋ロミオと手袋ジュリエットがお互いを探してさまよい歩きます。ほほえましく、笑えました。
十数個の携帯から、か細い音で時報が流れる中、手袋たちが生まれて、生きて、死んで・・・のシーンでは泣きました。
中島さんよりの宣伝メールの文章より↓
「『生きる』を『死ぬ』のすぐ隣に置いて、『生きる』を普段とは少し違った角度で
眺めて考えてみるという経験かな、と思いました。」
当日パンフに大きくNO MINDLESS WARSとありました。
ジンジャンHP : http://zinjan.jp/