2003年07月11日
アトリエ・ダンカン プロデュース『阿国』07/08-27ル テアトル銀座
『阿 OKUNI 国』は江戸時代の河原桟敷の踊り子、出雲の阿国の物語。木の実ナナさんが主役のミュージカルです。音楽は上々颱風の曲にオリジナルの歌詞をつけたもの。初演は13年前で今回が8年ぶりの上演。4度目の再演だそうです。私は初見。
400年前の日本人の心意気を描いた元気はつらつエロティック・ミュージカルでした。これ以上ないほどの豪華さと猥雑さ。大人向けの作品ですね。それにしてもド真ん中エロ、でしたね~。照れてる場合じゃないです。観客も本気で向き合わなきゃ。そこに真実がある。
「ほんとうにきもちいいこと。きっとある。」
ラッパ屋の鈴木聡さん31歳の時の脚本なんですね。あけっぴろげな下町スケベ話と心の底にずしんと伝わる深いメッセージが、ごった混ぜで面白かったです。胸を打つセリフがいっぱいでした。戯曲本が欲しいぐらい。
「芸人はなぜ舞台に上がるのか。そこにお客がいるからだ!」
「あたしが踊る場所が都になるんだ。」
生と死が一緒に存在している場所。そこには宴がある。日本の祭りなんですよね。ある侍が徳川家への謀反をたくらんで、お上の行列に立ち向かって行くが斬られて死んでしまうシーンと阿国一座が行列の見物人たちの前で盛大な見世物をやるシーンが、同時に表現されるのは圧巻でした。『涙の谷、銀河の丘』でも感じましたが、栗山民也さんの演出はそのミクスチャーが絶妙だと思います。
『阿国』を何度も体験されている方がおっしゃっていました。「ル テアトル銀座はやっぱり銀座の客。お上品すぎる。渋谷のシアターコクーンの方が合ってるよね。」わかる気がします。たしかに卑猥な言葉とかじゃんじゃん言いますし、濡れ場もあっけらかんとありますしね。渋谷で観る方が観客もノって行けたと思います。
木の実ナナさん。間近で観るとちょっと怖かったですが、大劇場でも見劣りしないオーラのある方なのでしょうね。お色気、姐御気質はもちろんお手の物ですが、コメディエンヌぶりも見事。でも、さすがにこんなハードな舞台は年齢的に大変なんじゃないかなって、観ていて感じました。
池畑慎之介さん(ピーター)。めっちゃくちゃかっこいい!!いつも女形のイメージだったのですが色男全開。着物の着こなしも所作もプロ。殺陣も強いし、うっとり見つめちゃうほどの色気。
上々颱風のボーカルの女性2人と作詞・作曲家の紅龍さんが、阿国一座として出演しています。もー・・・・最高!!大好き!!!ボーカルの背の高い方の人、女優より美しいです。方言がまた色っぽい。MCもめちゃくちゃ面白かった。カーテンコールで「愛よりも青い海」のフルコーラスを生で聞けました。涙出た。
ル テアトル銀座 : http://www.theatres.co.jp/letheatre/