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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年08月09日

パルコ・プロデュース『WEE THOMAS(ウィー・トーマス)』08/04-21パルコ劇場

 阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史さんが初の翻訳ものを演出するということで、小劇場の若手の役者さんがたくさん出演されています。若い力を世に出していくパルコ劇場のスタンスはすばらしいですね。

 WEE THOMAS(ウィー・トーマス)というのは主人公が飼っている猫の名前。原題は『The Lieutenant of Inishmore(イニシュモアの中尉)』です。原作はアイルランド人のマーティン・マクドナーさん。アイルランドの中の孤島が舞台。

 スプラッタ・ブラック・コメディーでした。長塚圭史さんの演出が的確だったなーと思いました。国が違って文化が違うから、もともとの脚本の意図どおりには全く伝わらない可能性が高いわけで。たとえばIRAとかとかINLAとかの本当の意味は、この短時間じゃわからないですものね。「愛のB級スプラッタ劇場」(パンフより)にするという目の付け所は本当に素晴らしいと思います。ひょうご舞台芸術で鵜山仁さん演出のマクドナー作『ロンサム・ウェスト』を拝見しましたが、あれでは笑えなかったんですよ。残酷すぎて。長塚さん、すごいと思います。

 それにしてもあまりにグロテスクすぎて劇場を出てしまったお客様がいたようですが、私は全然平気でしたね。阿佐ヶ谷スパイダースで慣れているのもあるかもしれませんが(笑)。腸をひっぱり出すところとかでちゃんと笑えました。ブラックユーモアが成立していました。

 気づかなかったんだけど美術が横田あつみさんでした。うーん。それほど良いとは思わなかったなー。

 北村有起哉さん。かっこいーーーー・・・♪ ほれぼれして見つめてしまいました。ほんっとに何をやられても柔軟ですよね。お坊ちゃまもゲス野郎(失敬)も思いのまま!乱暴・残酷でチョイきちがいだけど、母性本能をくすぐる単純で素直な面もあり、スラっと背が高くてノーブル。他にいませんよね、こんな空気を出せる若い男優さん。何度もあるキスシーンが自然で素敵でした。
 佐藤康恵さん。紅一点。少年のような風貌にめちゃくちゃ細くて長い首。美しいです。彼女がキュートだったからキスシーンがあんなに良かったんでしょうね。

 板尾創路さん。残念ながら最初の登場で誰なのかがわかりませんでした。パドレイクの父親だとわかったのはものすごく時間が経った後だったので、ちょっと残念。
 中山祐一朗さん。常に情けな~い顔をしてらっしゃいました。憎めない感じ。最後の最後のオチできちんと笑わせてくださったのはすごい。
 三宅弘城さん。巧い。何をされてもめちゃくちゃ安定してますよね。ほんっとにすごいと思います。
 加藤啓さん。加藤さんだってわからない人もいたんじゃないかなーと思うほどの変身振り。じーっと静止した立ち姿が、線が細くて清潔できれいでした。怖いヘアメイクだったのにね。

パルコ劇場HP : http://www.parco-city.co.jp/play/

Posted by shinobu at 01:02 | TrackBack