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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2003年10月26日

カンパニー・マギー・マラン『拍手は食べられない』10/23-26世田谷パブリックシアター

 チラシに惹かれてチケットを取りました。ダンスの世界も非常に奥深いので、演劇で埋まっている時期はなるべくダンスのチラシなどは目に入れないようにしているのですがあまりに素敵だったので、つい。

 でも、チラシどおりでした。チラシ以上でも以下でもなかった(笑)。生で観るのだから、チラシの世界を越えてくれないと困るんですけどねー。45分で飽きちゃいましたねー。寝不足だったら10分で寝てたかも。あのすだれのような幕は楽しめましたが、それだけじゃー物足りないですよ。やっぱり。私のまわりの席では寝る人続出。とりあえず両隣りと前の2人はすごく早くから眠りに落ちていました。

 なにしろ繰り返しが多いです。
 まったく同じ振付というのではなく、コンセプトというか、根本がずーっと変わらないんです。

 歩き方や立ち姿、衣裳については普段着のスタイル。かっこつけたり、優雅にふるまったりしないんです。普段着でどかどか、づかづか、と自分の家の近くを何も考えずに散歩しているような歩き方。他人に全く気を使わない、ひょうひょうとした佇まい。

 音楽はほぼ全編にわたってノイズ音楽。ノイズだけじゃなくて音楽にはなっていましたが、車が通り過ぎる音や、爆弾の爆撃音のような、現代の具体的な現象を表すノイズだったように思いました。照明は単調でした。明るくなったり暗くなったりのグラデーションがゆっくりと繰り返されるだけ。エンディング以外は。

 色使いが素晴らしかったです。これにひっかかって観に行っちゃったぐらいですからね。オレンジ、水色、黄土色、茶色、サーモン・ピンク、紫・・・あざやかで、ちょっとメローな配色のすだれ。衣裳もそれに順ずる色使いでした。形はかっこ良いとは思えなかったけど、色は良かった。

 全体を通して、私が感じたのは以下。
 「これは戦争を表しているなー・・・。戦争に限らず人間同士のぶつかり合いかも。ばったり出会ったら、互いの様子を見つつ一方が誰かを巻き込んで、相手一人だけをいじめる。ある一人(国)が倒れたら、知らないところでもう一人(国)が倒れる。突然抱き合ったり、突然殴りあったり。だけど、何事もなかったように素早く立ち去る。互いに同じ行動(振付)をするけれど、あくまでも調和ではなく、暗黙のルールに乗っ取って互いを見張りつつ動く。・・・」
 などなどです。

 後からチラシの裏を読んでみたら、本当にそういう感じのことを意図していたようなんですよね。私としては、それを超えて、そこから何が始まるのか、さらに、そこで幸せになるまでを表して欲しいと思います。

 世田谷パブリックシアター : http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/

Posted by shinobu at 17:07