早稲田大学のお友達が出演されるため早稲田の学館まで伺いました。私自身も大学の時に学内の劇場でお芝居をしていたので、立て看板や客席の瑞々しい雰囲気などにふんわり郷愁など感じます。
コマツ企画は、こまつみちるさんという女性が作・演出をしている劇団で、前回は一人の男優さんが全裸で学内を走り、それを背後からビデオで追いかけて劇場生中継したそうです。それに比べると今回は相当ソフトでした。作風はいわゆる「早稲田っぽい」ものだったと思います。
ストーリーがすごくしっかりしていて、最後まで「どうなるのかな~」と集中して観られました。チラシのビジュアルが「戦争」なのですが、舞台は現代日本のとある家族のお話だったのでホっとしました。普通に生きていると思っているこの日常こそが、そもそも「戦い」なんだ、という考え方にはうなづけるところもありました。
物語のクライマックスで主宰のこまつみちるさん(ババア役)が、長くしなびた手作りおっぱいを客席にブン投げながら色々がんばって主張をし始めたのには驚きました。言ってる内容やタイミングはどうであれ注目せずにはいられないし、ものすごく愛嬌のある女性だなーと思いましたが、それまでみっちり作り上げてきた舞台空間がすっかり真っ白になっちゃったというか、ゼロになりましたね。私はもったいないと思いました。コレをやりたいためだけに演劇やってるのかなって思っちゃうほどのインパクトですから。
終演後に5分間の休憩をはさんで“恒例のおまけ”というのがあったのも、本編のイメージが消えてしまう原因です。コント集のような、にぎやかしイベントのような20分強。私は本編だけで相当疲れていたので、若い人のはしゃぎっぷりをただ受身で流しました。なるほどねー学生さんですねー。楽しそうでいいんじゃないでしょうか。こんなことなかなかできませんし。笑ってくれる観客も学館ならではでしょう。それにしても前から2列目のベンチシートで観るものじゃないですね。披露困憊です。
選曲センスが私好みでした。きっと世代がかぶっているんだと思います。荒井由美の“あの日に帰りたい”のカバー曲がかなり作品に合ってたと思いますし、カーテンコール後の松任谷由美の“春よ”も良かった。筋肉少女隊とかも効果的でした。
前売り料金1,000円であそこまで美術と照明を作れるって、ものすごいと思いました。早稲田出身の劇団が総じて美術・音響・照明などがウリのところが多いのも納得です。大学に入ったばかりの10代の頃からこんなにレベルの高いものを観ているんだから、これが当たり前だと思うんでしょうね。素晴らしいことだと思います。ただ、作風が偏ってくるというリスクもあると思いますが。
明石修平さん(オードブル)。電車恐怖症の息子役。静かな佇まいの美形でした。クールなおとぼけで笑わせて頂けて嬉しかった。bird's-eye viewで何度かお見かけしていたのですが、本領発揮という感じ。
浦井大輔さん(劇団まくらまくら)。介護バイト役。心が清らか。今時めずらしい若者な気がします。貴重。“おまけ”の時の司会がお上手で驚きました。
宇田川千珠子さん(サッカリンサーカス)。今回は出番が少なく、しかも前に拝見したのと同じように女学生の役だったので残念。でもやっぱり可愛いです。
舞台監督:佐藤恵(てあとろ’50) 舞台美術:加藤真由子 照明:工藤雅弘(サッカリンサーカス)音響:角張正雄(SoundCube) 映像:平井真貴、鎌鼬 宣伝美術:風見尚子(innocentsphere) 制作:コマツ企画
出演:本井博之 佐々木香与子(東京ネジ) 佐々木富貴子(東京ネジ) 明石修平(オードブル) アイハラミホ 川島潤哉 須貝英(てあとろ’50) 浦井大輔(劇団まくらまくら) 宇留野佳織 渡辺多恵子(劇団P.P.P) 折原敬一(バングラッシー) 宇田川千珠子(サッカリンサーカス) 白井三紀子(劇団森) こまつみちる
コマツ企画 : http://www.babu.jp/~komatu/
Posted by shinobu at 2004年01月24日 11:45