THE SHAMPOO HATがプロデュースするエスラボ第1回公演の客演メンバー・バージョンです。シャンプー・バージョンを観た後で拝見しました。
シャンプーとコンディショナーっていうネーミングは可愛いですね。
警察官の独身寮(おそらく女子禁制)の古びたビルの屋上。元旦だというのに里帰りをしない独り者たちがつどう。それぞれに問題(個性)をかかえた登場人物たちの可笑しくて悲しい休日。
チケットがお得だったので昼夜連続で2バージョン拝見したのですが、別の日に観れば良かったなぁとちょっぴり後悔しました。全く同じ脚本・舞台美術で違うキャストですから、どうしても比べてしまいます。筋書きを知らないまま観るのと知ってから観るのとでは、先に観る方が断然が楽しめますので、そういう意味でもこの作品はちょっと残念でした。
いわゆるプロデュース公演の弊害が顕著に現れてしまった例の一つだと思います。役者一人ひとりがバラバラに点在していて、たまたま接点が現れた(接してしまった)ために互いに影響しあうけれど、対話をするのはその瞬間だけで、すぐにまた自分の場所に自動的に戻ってしまうのです。ナンセンス芝居といいますか、瞬間的な爆発や意外性を楽しむことに留まってしまいます。
痴漢をしてクビになった警官(児玉信夫)がビルの屋上から飛び降り自殺をしようとして同僚を脅すのですが、体が全然ビビっていないので、ビルの高さを感じませんでした。高さがあったとしても2階か3階建てみたい。それだと、歌を歌いながら突然にビルから飛び降りた一般人(ぼくもとさきこ)が、後から何事もなかったかのように屋上に戻ってきても驚きがないんですよね。されに、ぼくもとさんご自身が元々がひょうひょうとした佇まいで、無表情で無機質な感じの人物になっているので、何をやってもあまり意外性がないんです。普通に通り過ぎてしまう。
洗濯物を干す警官(菅原永二)が実はゲイで、クビになった警官(児玉信夫)にひそかに思いを寄せていたとわかった後に、二人が体を抱き合うようにぶつかり合うのが、シャンプー・バージョンよりずっと激しかったので笑えました。
音楽はシャンプー・バージョンではトム・ウェイツでしたが、ここではオペラ『カルメン』のアリアが流れました。これまた不条理劇っぽい。
作・演出 赤掘雅秋
THE CONDISHONER VERSION出演者:なすび(なす我儘) 小池竹見(双数姉妹) 児玉信夫(KOtoDAMA企画) 玉置孝匡 菅原永二(猫のホテル) ぼくもとさきこ(ペンギンプルペイルパイルズ)
舞台監督:高橋大輔(至福団) 照明:杉本公亮 音響:井上直裕(atSound) 舞台美術:福田暢秀 舞台製作:F.A.T STUDIO 宣伝美術:斉藤いづみ 宣伝PD:野中孝光 舞台写真:引地信彦 演出助手:佐藤俊文 黒田大輔 制作助手:市川絵美 相田英子 滝沢恵 岩堀美紀 制作:HOT LIPS 企画:エスラボ 製作:THE SHAMPOO HAT
ザ・シャンプーハット : http://plaza24.mbn.or.jp/~shampoohat/