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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年04月09日

ちからわざ『ポウズ~さきわうためにできること<改訂版>~』03/30-04/04THEATER/TOPS

 俳優の佐藤二朗さんが主宰される劇団です。
 私はTSUTSUMI'S LINK『ISHIKARI』で佐藤さんのことを拝見したことがありますが、堤監督の映画やドラマに出てらっしゃる方なのでしょう。かなりクセのある(笑)、眺めているだけで笑えるような怪優さんのようです。

 全体的にあまりつながりのない短編コント集のように見せかけて、最後には全部つながっているというタイプでした。最初と最後は同じ登場人物が出てきて、実は全て一人の男の夢(頭)の中の話だった、といういわゆる“夢おち”になります。

 おそらく笑いを狙っていたと思うのですが、笑えなかったな~。最後のオチがナンセンスに逃げ込むというか、暗くなっちゃって終わるんです。脈絡のないものにありがちですが、一つ一つがちょっと長いし、数も多いし、観ていて疲れちゃいました。また、心を病んだ人たちが入っている更生所というのが設定に出て来るのはつらいです。

 佐藤二朗さんご自身が主演で脚本も書かれていますので、完全に「佐藤二朗ワールド」なのでしょうね。佐藤さんの早口はすっごく面白かったです。しゃべる内容も凝って凝って凝り固まってまして(笑)、ただただ圧倒されることもしばしば。でも言葉の繰り返しは多すぎるんじゃないかしら。
 終演後、他のお客様の声が聞こえてきたのでご紹介します↓
 「すっげー面白かった。俺、めちゃくちゃわかるんだよね。これって鬱の話だよね?書いた人、絶対に鬱だよ。俺が昔そうだったからわかるもん。」
 ・・・鬱だと完全に言い切ってらっしゃるのにちょっぴり驚きですが、それに近い世界観なのかもしれません。

 装置が面白かったです。銀の針金で出来た不思議なヘルメットを役者さんみんなで被るシーンがあるのですが、美術自体もそのヘルメットの形をしているんです。銀の棒の間から出入りする感じで。つまり起こる事はすべて頭の中で、という表現ですよね。
 大道具や小道具をわざわざゴミ袋に包んでから出し入れするのは、とても退廃的というか、全てゴミ溜め!という雰囲気をかもし出して、さらに暗さを盛り上げていたというか(笑)。面白いと思いました。

 桑原裕子さん(KAKUTA)。可愛いし面白いし、清潔で賢いし、最高でした。どんなヘンな格好もセリフもやりすぎることがありません。

作・佐藤二朗/演出・堤泰之(プラチナペーパーズ)
舞台監督/赤坂有紀子 照明/森規幸 音響/樋口亜弓 衣裳/矢部真希子 宣伝美術・写真/鈴木雅巳 撮影協力/晩酌くらぶ 制作/中村文重(中村ステージプロダクション)
出演:佐藤二朗・藤本喜久子(無名塾)・石井英明(演劇集団円)・本間 剛・瓜生和成(東京タンバリン)・桑原裕子(kAKUTA)・梁島美保・佐藤 愛(散歩道楽)・阪田美和・内田慈・佐藤至亮(桜丘社中)・鎌倉康太郎・関口喜一郎
ちからわざ:http://www.h5.dion.ne.jp/~j-zone/

Posted by shinobu at 2004年04月09日 15:17