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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年04月18日

サッカリンサーカス『南国熱帯蝶々挽歌 ナツノユメチャンチキツキヨ』04/16-25新宿サンモールスタジオ

 サッカリンサーカスは伊地知ナナコさんが作・演出をする早稲田大学系の劇団です。
 笑いと毒が盛り込まれたストーリーに、歌や踊りがいっぱい。若さみなぎる作品、というイメージです。

 舞台はアジアのどこか、南国熱帯雨林に囲まれた村。男は30歳になると「男の夢を食べて走る」女夢魔の住む島へと消えてゆく。夢を失った一人の男がその島に訪れたことをきっかけに、秘められた“祭り”の謎が解き明かされていく・・・。

 サンモールスタジオの客席のひな壇を取り払って空間全体を使った大掛かりな舞台装置でした。観客は舞台上の暗い通路を通って席に着くので、最初から熱帯雨林のムード満点です。深い森の緑を思わせる巨大なカーテン(幕)を上下させて場面転換するのは圧巻でした。ただ、美術を使う凝りに凝った演出があまりうまく運んでいない様子でした。初日だったからでしょうね、残念です。

 これで終わるのか?と驚くほど、暗い話でしたね~。島の祭りの秘密があんなに物騒なものだとわかってからは、どんどんと悲壮な空気が流れ始め、女夢魔“蝶々”の正体が明かされる頃にはどろどろしたアングラっぽい香りが立ち込めていました。そういえば前作『オクスリオペラ』でもラストに向かうに従って暗い感じになり、隠されていた目を覆うような真実が明かされるという顛末だった気がします。それなのに、最後にパーっと踊るのが爽快です。若さってすごい。

 “蝶々/カリョウ”(今里真)が話す言葉がとてもきれいでした。ああいうセリフは非常に女性作家っぽいと思います。
 夢を失った男(酒井和哉)の“血塗られた”過去をほのめかす程度にしてあったのが良かったです。
 船頭のリン(内藤綾子)が弱かったです。設定上はおそらくヒロインになるようですが、何が原因なのかはよくわからないけど、ずっと脇のままでした。

 小谷心平さん。最後に夢占いで島に連れて行かれることになった男の弟、ロウ役。純粋無垢でおバカなキャラクターを最初から最後まできっちりと演じきっていらっしゃいました。目がきれい。

作・演出:伊地知ナナコ
出演:今里真 宇田川千珠子 小谷心平 内藤綾子 酒井和哉 森野温子 堀口茉純 魚住和伸(激弾スペースノイド) 甲斐大介(激弾スペースノイド) 永野麻由美(Rel-ay)  船串奈津子(絶対安全ピン) 小島綾乃(早稲田大学演劇倶楽部)
舞台監督:杣谷昌洋 照明:工藤雅弘 音響:宮坂佳奈 衣装:鈴木美和子 美術:加藤真由子 宣伝美術:クワタナオえ 小道具:吉村紀美子 企画制作:香西章子(サッカリンサービス) 水落智彦(サッカリンサービス) 吉田直美(サンモールスタジオ)
制作協力:早川あゆ プロデューサー:佐山泰三(サンモールスタジオ)
サッカリンサーカス:http://www.h3.dion.ne.jp/~saccarin/

Posted by shinobu at 2004年04月18日 12:25