元・東京サンシャインボーイズの俳優 近藤芳正さん率いる劇団です。中井貴一さんと井手茂太(振付)目当てでチケットを取りました。
コント55号が流行っていてバナナがまだ少々高級品だった時代。風景を描いた舞台奥の幕にはアドバルーンが飛んでたり。なつかしい昭和の日本の、ある家族のお話でした。
お父さん(中井貴一)は包丁の店頭販売、お母さん(いしのようこ)は内職をして家計を助けている。さえない息子(温水洋一)は小学5年生。イヌ(酒井敏也)を飼っているが、そこに野良犬(山西惇)も出入りする。友達の女子高生(粟田麗)は詩人を目指すちょっと変わった女の子。虚言壁のあるお父さんと、実直なお母さんとの関係にひびが入っていく。
1961年生まれの近藤芳正さんや中井貴一さんの子供時代が舞台なのでしょう。だからその世代にぴったりの観客にとってはものすごく親しみやすいし共感できる設定だったと思います。初日だったのも大きいですが、観客がすごく舞台に近かった気がします。何でも笑ってくるというか、内輪受けに近いというか。
息子が言います。「お父さんが言ってることは全部本当なんでしょう?そして、お母さんはお父さんの嘘が信じられないんだね?」この言葉がすごく良かった。お父さんにとってははファンタジー、お母さんにとってはただの嘘。これは男と女の根本的な違いであり、そこでずっと戦い続けてきたのが男女の歴史のような気がしています。
お父さんがついた“嘘”をどんどん“本当”していく劇中劇シーンで、結局またお母さんを置いてきぼりにしていくという見せ方はすごく胸に届きました。
ただ、中井貴一さんの“橋幸夫”ものまねカラオケって・・・会場はバカ受け手拍子状態でしたが私はあまり楽しめなかったですね。井手茂太の振付のダンスが、あんな風にしか使われてないのが残念です。別に井手さんじゃなくてもいいじゃないか!って思います。そりゃぁすごく楽しいダンスだったんですけどね。女子高生役の粟田麗さんが特にお上手でした。ビヨークみたいだった。
また、円形劇場なのにプロセニアム(額縁)形式なのはあまり嬉しくないんです。円形劇場でやらなくてもって思います。クドイですが、井手さんの振付を青山円形で♪って思ったからチケット取ったのもあるで。
中井貴一さん。自分がついた真っ赤な嘘を本当だと思い込んでしまうトボけたお父さん役。巧い・・・演技うますぎ。いちいち感動します。中井さんを堪能できたという意味で満足できます。
いしのようこさん。何でも笑って許してきたお母さん役。普通ならもっとムっとしたり、嫌みでも言いたくなるでしょう!?と思うところを、優しく柔らかく見せてくださいました。線が細くて弱くてきれい。
作:大森寿美男&ダンダンブエノ 演出:近藤芳正 振付:井手茂太
出演:中井貴一 いしのようこ 酒井敏也 山西惇 粟田麗 温水洋一 近藤芳正
美術:伊藤保恵 照明:吉澤耕一 音響:鹿野英之 スタイリスト:花谷律子 演出助手:山田美紀 舞台監督:村岡晋 宣伝美術:高橋雅之 宣伝写真:小木曽威夫 Web:川村公一 酒井元舟 制作:大西規世子 千葉博実 尾崎裕子 中村真由美
制作/ジーツープロデュース 制作協力/ユニマテ 企画・製作/劇団♪ダンダンブエノ
劇団♪ダンダンブエノ:http://www.dandanbueno.com/
G2プロデュース:http://www.g2produce.com/