サッカリンサーカスは伊地知ナナコさんが作・演出する早稲田大学系の劇団です。
ワンステージのみのイベントでしたね。(昼間に公開ゲネがあったみたいです。)
『毛皮のマリー』は寺山修司さんの超有名な作品です。美輪明宏さんのオハコですし、篠井英介さんも数年前に演じられています。公演のたびに美少年役が誰なのかが話題になりますが(え?ならない?私にとってはそれが最重要事項です!)、私が観たのは美輪さんVS及川光博さんでした。武田真治さんも及川さんの前に演じられていますよね。篠井さんの時は内田滋啓さんでした。
作品について。ひとことで言うと荒かったです。準備不足、だったのでしょう。主役のマリー役の倉持健吾さんはほんの数日前まで他のお芝居(本多劇場)で本番中だったそうです。なるほど何度もセリフを間違ってましたしね。噛むだけじゃなく飛ばしたり。かなきり声を張り上げてばかりの発声とあせるばかりの所作では、マリーにはなれないんじゃないかな。力の有る俳優さんだと思うので、とても残念な気持ちでした。
ロックンロール&シャウト系の演出でした。たまにベタにメランコリックな音楽が流れたりしましたが。時々、禁断の恍惚感覚も感じられたのですが、あと2ステージ後ぐらいに観られれば全体的にしっくり来たかもしれません。ただし、女の子が股をおっぴろげ過ぎです。あれじゃぁエロスがありません。はっきりと言葉を伝えられる女優さんだったので悲しいです。松葉杖をつかれていましたが本当に骨折されていたそうです。どうぞお大事に。
1回きりの120名様限定公演で、内輪の客しか来ないという見通しだったからか、制作まわりもちょっと手抜きでしたね。まず、チケットも整理券もありませんでした。受付した順番にちゃんと並ばせてくれなかったので、苦情(のつもり)を言ったのですが、「今いらっしゃるお客様のお席は確実にありますので」のひと言で済まされてしまいました。うーん・・・私は良い席に座るために受付開始前に劇場前に行ったんです。「次もサッカリンサーカスを観に行きたい」と思わせるには、不親切すぎたんじゃないでしょうか。内輪客ばかりだとしても、誰にでもオープンな公演であるべきだと思うのです。でないと、せっかく新しくファンになったお客様を取り逃がしてしまいます。
明石修平さん(オードブル)。マリーに監禁される美少年役。私は明石さん目当てで伺いましたので、そういう意味では大満足でした。在り方がごく自然です。ナチュラル(天才)と言えるのかもしれません。美しいだけではなく、壊れそうで狂っていました。好色女に襲われる姿は悩ましく、襲い掛かる姿は痛ましく、すごくセクシーでした。胸元が広く開いた純白のドレスも似合いすぎで、悩殺されそうでした(笑)。危険・必見な男優さんです。
作・寺山修司 演出:伊地知ナナコ
出演:倉持健吾(流山児★事務所) 佐藤華子(流山児★事務所)田辺幸太郎(少年社中) 明石修平(オードブル) 酒井和哉(サッカリンサーカス) 伊地知ナナコ(サッカリンサーカス) 内木明子
舞台監督:杣谷昌洋 照明:工藤雅弘(サッカリンサーカス) 音響:宮坂佳奈(Sound Cube) 演出助手:平野智子 衣裳:鈴木美和子 舞台美術:水落智彦
(サッカリンサーカス) 宣伝美術:クワタナヲえ 企画制作:香西章子(サッカリンサーカス) 水落智彦(サッカリンサーカス)
サッカリンサーカス:http://www.h3.dion.ne.jp/~saccarin/