REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2004年08月26日

ナイロン100℃『男性の好きなスポーツ』08/21-09/12本多劇場

 “男性の好きなスポーツ”=セックスをテーマにした作品でした。キャストをよく見てみたら、大倉孝二さんと犬山イヌコさんと三宅弘城さんと峯村リエさんがいないんですよね。でもナイロン100℃メンバーだけでも豪華キャストです。すごい劇団だな~。
 上演時間は休憩10分を挟んで3時間30分でした。長いのはちょっときつかったけど、クーラー効き過ぎて激寒だったのが何よりもつらかったです。

 ○ェラ○オとか○ンコとか○ンボウとか(あぁ私のサイトは一体何のサイトなんだっっ!!)放送禁止用語の嵐。そしてセックスシーンがいっぱいです。女優さんが簡単に下着姿になります。

 ラストはなんだか投げちゃってましたねぇ。私も、もうストーリーとかどうでも良かったな~。シリアスとかホラーとか出てきても「またエッチなシーンにならないかな~」って待ってました(笑)。そりゃーもー目の前で、やばいくらいエロなんですから。会場中がシ~ンとなりますからっっ(笑)。

 特に松永玲子さんと京晋佑さんのSMプレイ(←この単語ヤバイ)のシーンがすごい。えっと、その、「京さん本当にサドでしょっ!?」って思いますよ(笑)。松永さん、う~・・・ん、美しい!!
 ロマンチカのセクシーダンサーズはほんっとにスタイル良くって露出サービス度が高くって、目が離せなかったです。やっぱり私は裸婦が好きですね、ハイ。

 というわけで、もうエッチだったことしかほぼ覚えていません(笑)。あ、あと笑いは相変わらず確実で、私は何度も楽しく笑わせていただきました。だから3時間半あっても面白いんだと思うんです。やっぱりナイロン100℃は凄いです。

 ゲストをゲストらしく使った配役でした。あぁこの人がゲストなんだなってわかるぐらい。
 小沢真珠さんが頭の悪い女の子役っていうのはすごいですね。大きな目がうつろに泳いでいるのがハマってました。
 長谷川朝晴さん。反射神経が発達してらっしゃる方だな~。モテる男ってこうなんですよね。強引なんですよ。そしてメゲない。
 京晋佑さん・・・怖かった・・・・。にっこり笑いながらソレって・・・・。いや、こんなにまともにサドされると気持ちいいです。かっこ良かったです。
 みのすけさん、役得ですね(笑)。大変だろうけど・・・。

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 美術:林巻子(ロマンチカ)
出演:みのすけ、松永玲子/新谷真弓、村岡希美 廣川三憲、藤田秀世、長田奈麻、安澤千草 大山鎬則、喜安浩平、吉増裕士、杉山薫 植木夏十、眼鏡太郎、佐藤竜之慎、皆戸麻衣、廻飛雄、柚木幹斗 /長谷川朝晴、小沢真珠、すほうれいこ、京晋佑
ダンス:ロマンチカ( 横町慶子、池田明結未、山田絵美子、佐藤奈々子、曽我桃代)
《地方公演→札幌》
ナイロン100℃:http://www.sillywalk.com/nylon/

Posted by shinobu at 00:44 | TrackBack

2004年08月25日

We Love Dance実行委員会『WE LOVE DANCE FESTIVAL』08/17-08/29パークタワーホール、全労災ホール スペースゼロ

 私はチェルフィッチュ目当てで『ユーモアinダンス 東西バトル編Aプログラム』08/23パークタワーホールに行きました。4組が出場しており、それぞれが25分間ぐらいの作品を披露します。

①ズンチャチャ『ラムネ』from 岡山
 出演:江口久美子、大高真砂子、斉藤佳子、須原由光、西本千奈美、松永亜紀子、山口佳子、山田暢子
 小学生の夏休みのイメージのコラージュ。炭酸ドリンクのラムネ、高校野球など。なんで関西の人たちはこういう手法になっちゃうんだろう・・・。自分が関西出身なのでしみじみと悲しくなります。「ほら、あなたもこう思うでしょ?」「ね、ね、こんな気持ちってわかるでしょ?」と人懐っこくヅカヅカ迫られると引きます。あと、女の子はブサイクにならないでください。

②まことクラヴ『ニッポニア・ニッポン』from 東京
 出演:江戸川卍丸、遠田誠、太田博久、斉藤栄治、長井江里奈
 全員スーツを着ていてちょっとクール&シュールでした。スーツ・フェチの私にはど真ん中です(笑)。カフェでお茶した後に男二人で請求書を取り合いするのが面白かった。ダンスだけでなく普通に劇場でコントもやられているようです。

③北村成美『ラベンダー』from 大阪
 ラベンダーの花を表現するダンスでした。ひっそりと育ってやっと咲いた可憐なラベンダーは、咲いた途端に露出狂のように自己顕示欲の塊になります(客席まで行ってデカパンツとゴージャス・ブラを披露しちゃう)。だけどそんな華やかな時期はたちまち過ぎ去り、花は衰えていくんですよね。じわじわと身震いしながら枯れていく様はかっこ良かった。
 女の子がたった一人でコレだけがんばってたら、そりゃ拍手もしたくなるよねって思いました。でもまた観たいとは思わないなぁ。あ、やっぱり関西の人だ・・・。

④チェルフィッチュ『クーラー』from 横浜
 作・演出:岡田利規 出演:山崎ルキノ 山縣太一
 チラシの作品解説が完璧なので引用します↓
 「ある男女の、際どさも切なさもない単に弛緩した20分間を描く、台詞のたくさんある、普通のお芝居みたいな、しかし見方によってはダンスに見えなくもない、そしてほんの一瞬ではあるがはっきりとしたダンスでもある、ダンス作品。」
 オフィスの冷房の効きすぎを訴えるOLと、それにサラリと受け流すサラリーマン。「設定が23度で強風なんておかしい」VS「てゆーか暑いっすよね」の延々と続くやりとり。繰り返しすぎ~っ。不毛~っ。あーイライラした。あー楽しかった。
 ダンサー(役者)さん、こんなに膨大な繰り返しのセリフと振付をよく覚えられるなぁ~と感心します。
 京都公演でもウケてたそうです。どんどんチェルフィッチュが好きになっていく私。

平成16年度文化庁国際芸術交流支援事業
主催:We Love Dance実行委員会 提携:全労済ホール/スペース・ゼロ 助成:フィンランド外務省 協力:京都造形芸術大学舞台芸術研究センター、彩都IMI大学院スクール 会場協力:パークタワーホール、オリベホール、ART COMPLEX1928 後援:フィンランド大使館、フィンランドセンター、アメリカ合衆国大使館 会場:パークタワーホール、全労済ホール/スペース・ゼロ、オリベホール、日本体育大学第2体育館 京都芸術劇場春秋座、アートコンプレックス1928
《地方公演→京都》
フェスティバル公式サイト:http://www.welovedance.com
チェルフィッチュ:http://homepage2.nifty.com/chelfitsch/

Posted by shinobu at 01:31 | TrackBack

tpt『シカゴの性倒錯/カモの変奏曲』08/12-29ベニサン・ピット

 アメリカの劇作家デヴィッド・マメット作の短編の2本立てです。
 男2人 VS 女2人のセクシーで知的な現代の会話劇です。笑いもいっぱいあって、大人の最高の娯楽時間を過ごせました。だからtptは絶対に見逃せないんです。

『カモの変奏曲』
 訳:広田敦郎 演出:木内宏昌
 出演:松本きょうじ 山本亨

 シカゴの公園のベンチ。目の前には湖がある。二人の男が対してどうということもない会話を続けている。お昼から夕方までずっと二人っきりで。

 短編集のようなつくりになっており、一つの話のやりとりが終わるとチェンバロの優しい音楽が流れて、次の話の最初のセリフの文章が舞台奥の壁に映写されます。カモにまつわるさまざまな話は人間の姿を現しており、かなり聞き応えがありました。

 二人が登場してなんだか山本さんの目が泳いでいるように見えました。セリフも「間違ったのかな?」と思う瞬間がちらほら。うーん集中できなかったですねー・・・。上演中、何度かウトウトしてしまいました。
 一人芝居よりも二人芝居の方が演じるのが大変だと言われる所以が解った気がしました。観てる方も結構緊張しますね。

 コミカルなやりとりも楽しかったです。山本さんはタバコを一本だけ持っている。だけどライターがない。松本さんはライターは持っているが、タバコは切らしてしまった。最後に山本さんのタバコに松本さんが火をつけてあげようとするのだけど、油が足りなくて点火しない・・・。


 ~15分の休憩~
 あぁ、なんて豪華な客席なんだ・・・・!!千葉哲也さん、北村有起哉さん、長谷川博さん、池下重大さん等、tpt出演歴のある役者さんが勢ぞろい。目移りしながら、いつものドーナツとホットコーヒーで腹ごしらえ。


『シカゴの性倒錯』
 訳:青井陽治 演出:アリ・エデルソン
 出演:真中瞳 小山萌子 山本亨 松本きょうじ

 遊び人のバーナード(松本きょうじ)と奥手のダン(山本亨)。二人は同じ職場(おそらく図書館?)の同僚で親友。ある日、調べ物をしているデボラ(真中瞳)に声をかけ、二人は恋に落ちた。デボラは小学校女教師のジョウン(小山萌子)と同居していたが、引っ越してダンと同棲を始めるが・・・。

 『カモの・・・』とは全く違う雰囲気のオープニング。軽い!思わず吹き出しそうになりました。特に山本さんのキャラクターの変化にはヤラれちゃったな~。重々しい頑固そうな中年男から28歳の青年に早代わり!なんて可愛いんだっ!

 ダンがデボラに声をかけるシーン、つまり男から女にモーションをかける手順を見るのはめちゃくちゃウキウキします。こっそり覗き見している気分です。真中さんは清潔感があってキリっとした理性も光って本当に魅力的な女性に映りましたし、山本さんはどぎまぎした初々しい感じが出ていて、本当に上手いと思いました。2人の初めての夜のベッドでの会話が微笑ましくて胸きゅんでした。

 2人のベッドシーンは、テレビで活躍されている女優さんにとっては、いわゆる“体当たりのベッドシーン”と表現されてもおかしくない激しさでした。あんなことして、こんなことやっちゃって・・・んもうっ、私だったらR-18にしちゃうわっ(笑)。でも、ちょっと欲張りを言えば、もっと激しく大胆な方がリアルだったんじゃないかとも思いました。同じくtptの『ブルールーム』での秋本菜津子さん VS 内野聖陽さんのめくるめくラブシーンは圧巻でしたからね~。真中さんは表情がちょっと硬いし、山本さんには遠慮が見えました。まあ、恥じらいがあったことも良かったのかもしれませんけど♪

 ダンとバーナードが男2人っきりでビーチに行くシーンでは、女のおっぱいやお尻のことしかしゃべりません。なんとも潔いというか、苦笑の連続(笑)。そして、
 「見ろよ、あの尻!母親からの送金みたいだ」「うん。来ると安心する。」
というやりとりに爆笑。

 松本きょうじさん。両方の作品でのキャラクターが似てました。だから正直なところ物足りなかったです。松本さんは加藤健一事務所公演での“良い人”役もきっちり演じられる俳優さんなので、もっと色んな表情が見たかったです。
 山本亨さん。なんてステキなんでしょう・・・いつも見とれてしまいます。ただ、時々お顔に何か迷いのような物が見えた気がしました。全身全霊で役に向かっていっていないような。ちょっと疲れてらっしゃるのかな。椿組『一天地六』@花園神社が終わって間もないですものね。

 真中瞳さん。お顔がきれ~い。下着姿もきれ~い。目がぎらぎらしてるラブシーンが良~い。演技は十分にお上手なのですが、まだまだこれからももっと良くなる気配がします。青さがまぶしいです。ベージュ系に統一された洋服が美しかったです。
 小山萌子さんが完全にコミカルな役になってたのはちょっと退屈かな。それにしてもコメディエンヌとしての定着はすごい。『こんにちは、母さん』での中国人留学生の役に似てましたね。そして言葉がすごく正確に伝わってきます。難しいセリフを気持ちよいぐらい滑舌よく発音されます。BARで松本きょうじさんに口説かれる女役は、高飛車で色っぽい役として演じられても良かったのではないでしょうか。

作:デヴィッド・マメット
美術/松岡泉 照明/笠原俊幸 衣裳/原まさみ 音響/藤田赤目 舞台監督/久保勲生
出演:真中瞳 小山萌子 山本亨 松本きょうじ
tpt(シアター・プロジェクト・東京) :http://www.tpt.co.jp/

Posted by shinobu at 00:09 | TrackBack

2004年08月23日

青年座スタジオ公演『化粧する君の背中が小さく見えて僕はフタコブラクダと砂漠を渡る』08/20-26青年座劇場

 長いタイトルですね~。散歩道楽の太田善也さんの作・演出です。私は初見。青年座の佐野美幸さんの企画・製作で、新劇と小劇場の境を越えた公演のようです。

 決して裕福ではない、中流よりちょっと下の家。元・霊媒師のおじいちゃんのボケが進んでいる。面倒を見ているのは姉と弟。姉は銀座のホステス。弟は定時制高校に通っていて、友人と詐欺まがいの商売(?)をしている。

 日本を舞台にした現代劇ですが、普通の良い話ではなく、特にコレとわかる盛り上がりもありません。だからといって「静かな演劇」というジャンルには決して入りません。緩急が独特の間合いで作られます。

 出てくる人出てくる人、ちょっとクセがあってわがままです。まあ人間は誰しもそうなのかもしれませんね。ストーリーをどう進ませようとしているのか、全く予想がつかない登場人物たちばかりでした。今考えるとそれってすごいことだと思います。

 間が長すぎたところが多くて、私は何度も眠たくなってしまいました。上演時間が2時間20分ぐらいあったのもちょっとつらかったです。

 太田善也さんの作品について「上手いと思うけど、好みじゃない」というレビューを読んだ事があります。私もそうかもしれません。会話の間や空気の作り方にセンスを感じますし、太田さんの物事への視点は独特だと思うのですが、どこか上から見下ろしているようで、厭世的な香りがするのです。ただ、これは好みの問題です。登場人物のキャラクターがきちんと掘下げられた脚本ですし、細かいところまで行き届いた演出で、役者さんものびのびしていました。

 エッチなネタが大人向けで非常に良かったです。私はお芝居の初めの方の、台所の小さな窓から手しか見えないラブシーンがめちゃくちゃ好きでした。あの強引さに惚れます。あと、2段ベッドの上から生足がドロリと落ち、そこに赤い照明が当てられるオープニングも味がありました。 

 松田昌樹さん(KAKUTA)。金髪の弟役。松田さんというと気が弱くて優しくてちょっとドジなおにいちゃん、というイメージの役をよく拝見していたように思うのですが、今回のあの悪っぽさは、かっこよかったですね~。あんなにダメ男なのに、きらいになれない。もちものが良いのです。
 瓜生和成さん(東京タンバリン)。元・アイドル“ダッチ”役。面白い~っ!期待を裏切らない~っ!“情けない気弱キャラのようで、実は強引・傲慢だからちょっとムカつく、いじめられっ子タイプ”を自由自在に演じてくださいました。突発的に出現する度に笑いが起きていました。

[キャスト] 名取幸政、 吉本選江、 椿真由美、 佐野美幸、 高松潤、 黒崎照、豊田茂、 布施幾子 いしいせつこ(散歩道楽)、松田昌樹(KAKUTA)、瓜生和成(東京タンバリン)
[スタッフ] 作・演出:太田善也 装置:阿部一郎 照明:上村啓子 音響:オフィス新音 舞台装置:今村智宏 宣伝美術:川本裕之 宣伝写真:相川博昭 ポートレート撮影:北川大 制作協力:長尾純子 協力:散歩道楽 KAKUTA 東京タンバリン 企画・製作:佐野美幸
Myu2佐野美幸企画公演(公演オフィシャル)HP:http://www006.upp.so-net.ne.jp/myu-myu/kesyou/
青年座スタジオ公演:http://www.seinenza.com/performance/studio/

Posted by shinobu at 00:00 | TrackBack

2004年08月20日

ク・ナウカ『友達』08/19-22東京デザインセンター ガレリア

 深沢襟さんの演出による安部公房の『友達』です。出演者はク・ナウカの俳優と三村聡さん(山の手事情社) 。五反田の東京デザインセンターはいつ行ってもキレイだな~と思います。もっと早くに行ってお店を見たりしたかった。

 さて作品ですが・・・不快でつらかったです。そもそも私はこのストーリーがものすごく苦手なんですよ。『ジョジョの奇妙な冒険』で有名な荒木飛呂彦さんの漫画『魔少年B.T.(ビー・ティー)』で読んだんですよね。なるほど、あれはこの『友達』という戯曲をパクった話だったのか~って今さら知りました。

 突然、全く知らない連中が入り込んできて、家を乗っとってしまうお話なんです。ほんっとにヤです。不条理とかナンセンスとかそういうんじゃなくて、そのあつかましさにハラワタが煮えくり返っちゃうんです。会場の都合上、途中で出ることが出来なかったので我慢して最後まで居ました。

 演出(深沢襟)には、個性の強さを感じました。戯曲には難解な言葉や決して理路整然とはしていない展開があり、それを歌を歌って表現するのは良いアイデアだと思いました。場面転換も本当にいろんな種類があって、その都度じっくり味わえました。
 終盤になって乗っとり家族が軍服姿になっていったのはどうしてなのかな。大っぴらに戦争を表しているとしたらちょっと素直すぎで驚きですが、その方向性は好きです。匍匐(ほふく)前進をして登場したり敬礼をしたりするのも面白い。

 このように、演出のひとつひとつを取り上げてみると面白いと感じるところが沢山あったのですが、私は決して好きにはなれませんでした。開演前に戦隊ヒーローものの主題歌が流れていて、ガレリアに全く不似合いな空気を作り出していました。劇中で流れる「8時だよ!全員集合」の音楽もなんだか媚びているようで気が散りました。強烈にアンチなものを提示することで場の奇抜さや不可解さを体感させていたのかなぁと思いましたが、それって、私にはあんまり魅力ないです。

 役者さんの演技が全体的に生々しく暴力的だったので、見苦しいシーンが多かったです。きれいな朗読や群舞などで見せるところもいっぱいありましたので、全て計算されたものなのでしょう。私は観ていたいとは思いませんでした。だって美しくないんだもの。ガレリアでやることないと思います。それも敢えてやっているのでしょうけれど、私は悪趣味だと思います。

 三村聡さん(山の手事情社)。いつもどんな演技を見せてくださるのか楽しみな役者さんですが、今回はわざと喉の奥で出されている声が息苦しく感じました。あんなに激昂しているのならキチガイ家族を追い出せそうなものなのに、なぜか服従するので、観ていて納得できないんですよね。

 むむぅ・・・私はとにかくこの戯曲が苦手なのでしょうね。あの漫画のことはほとんどトラウマのように覚えているんですもの。ストーリーはもちろんのこと、コマ割から人物の表情までこと細かく。実は、大好きだったからなんですけどね。だって最後にB.T.は、華麗なテクニックで見事に彼らを追い払ってくれたから(笑)。原作とはえらい違いです。

作:安部公房 演出:深沢襟
出演:中村優子、野原有未、寺内亜矢子、加藤幸夫、牧野隆二、佐々木リクウ、高橋昭安、大沢由加子、三村聡(山の手事情社)
衣裳:忠内もも 美術:深沢襟 舞台監督:弘光哲也 音楽協力:Tomoya イラスト:三田秀夫 制作:久我晴子 大和田尚子 田中美季
ク・ナウカ:http://www.kunauka.or.jp
東京デザインセンター:http://www.design-center.co.jp/

Posted by shinobu at 23:39 | TrackBack

メルマガ号外 こまつ座『花よりタンゴ』

 こまつ座『花よりタンゴ』
 08/06-22紀伊国屋サザンシアター
 http://www.komatsuza.co.jp/kouen_new/tango.html

 レビューはこちら

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏

 “しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol. 6   2004.8.20  270部 発行

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp


   今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪


★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 こまつ座『花よりタンゴ』
  08/06-22紀伊国屋サザンシアター
  http://www.komatsuza.co.jp/kouen_new/tango.html
  ☆作:井上ひさし・演出:栗山民也コンビは必見。


 ◎コメント◎

  終戦直後の東京で、唯一の財産であるダンスホールを守りながら
  けなげに生きる4姉妹のお話。
  こまつ座ならではの暖かくて優しい笑いに心をゆだねながら、
  あの時代の普通の人々の生活に触れられます。

  愛する人や大切な宝物を無条件に奪われるという
  戦争の矛盾を、はじめて本当に実感できた気がしました。
  旺なつきさんのダンスや鈴木ほのかさんの歌も見どころです。
  私はミラーボールの夢のような輝きに涙が止まらなくなりました。

  空席が目立ちました。サザンシアターの後ろの方は列ごと空いてます。
  今週末の日曜日の昼公演が千秋楽です。

 《チケットについて》
  一般:前売5,250円(当日券の価格は不明。前売と同額かも。)
  学生:前売3,150円(こまつ座での販売のみ)

  お問い合わせはこちらへ↓
   紀伊国屋サザンシアター 電話03-5361-3321 
   こまつ座 電話03-3862-5941
   こまつ座 http://www.komatsuza.co.jp/ 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆ 【訂正とお詫び】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 前号のメルマガ号外 オペラ『指環を取りもどせ!』 の発行No.は、
 Vol. 4 ではなく、Vol. 5 の間違いでした。
 申し訳ございませんでした。お詫びして訂正いたします。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆ 【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 あぁ~・・・なんて暑いんだっっ!!
 私が小学生の頃とは明らかに違う種類の暑さになってる気がします。
 環境問題、マジでやばいっス。
 そうそう、「大江戸打ち水大作戦」をご存知ですか?
 http://www.uchimizu.jp/
 
 私も明日やろうっと!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆ 【このメルマガについての注意事項】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今回の配信は“号外”です。
 毎月1日発行のメルマガで、その月のお薦め舞台10本をご紹介します。
 サンプルはこちらでご覧ください。
    → http://www.shinobu-review.jp/melmaga.html


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 このメルマガは、高野しのぶの演劇への情熱で書かれています。
 沢山の人に演劇に触れてもらいたい!ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪

 ☆ご友人、お知り合いにどうぞこのメルマガをご紹介ください!
  (以下をそのまま転送してくださいね♪) 
   【今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台】
    ⇒ http://www.mag2.com/m/0000134861.htm

 ☆もしこのメルマガを観てお芝居に行かれたら、劇場でのアンケート用紙に
  「高野しのぶのメルマガで知った」等、書いていただけると嬉しいです♪

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ◎東京および関東近郊の情報に限らせていただいております。
 ◎掲載内容には細心の注意を払っておりますが、
  間違いがあることもあります。情報は主催者URLでご確認ください。
 ◎お薦めを観に行って面白くなかったらごめんなさい。

 ◎私の好みはこちらでご覧いただけます。
    → http://www.shinobu-review.jp/favorite.html
  プロフィールはこちらです。
    → http://www.shinobu-review.jp/intro.html

 ◎購読・解除はこちらから簡単にできます。
  まぐまぐ → http://www.mag2.com/m/0000134861.htm

////////////////////////////////////////////////////////////////

 メルマガ 『今、面白い演劇はコレ!年200本観劇人のお薦め舞台』
 発行人:高野しのぶ
 メルマガ サイト:http://www.shinobu-review.jp/melmaga.html
 Review サイト:http://www.shinobu-review.jp/
 Eメール:shinobu@mtr-standard.co.jp

 このメールマガジンは、まぐまぐから配信されています。
 まぐまぐ:http://www.mag2.com/

 Copyright(C)2004 MTR standard corporation. All rights reserved.
 許可無く転載することを禁じます。

////////////////////////////////////////////////////////////////

Posted by shinobu at 00:06 | TrackBack

2004年08月19日

こまつ座『花よりタンゴ』08/06-22紀伊国屋サザンシアター

 終戦直後の東京で、唯一の財産であるダンスホールを守りながら、けなげに生きる4姉妹のお話。
 メルマガ号外を出しました。

 戦争を知っている人も知らない人も、こまつ座ならではの暖かくて優しい笑いに心をゆだねながら、戦争のあった時を生きた人間の生活と心を、肌で感じられます。

 愛する人や大切な宝物を無条件に奪われるという戦争の矛盾を、はじめて本当に実感できた気がしました。

 旺なつきさんのダンスや鈴木ほのかさんの歌も見どころです。

 栗山民也さんの演出は本当に凄いと思うのです。場面転換中に、私はいつも感動に心と体を震わせます。ミラーボールの夢のような光に包まれて、幾度も涙が溢れました。

作:井上ひさし 演出:栗山民也
出演:小林勝也 旺なつき 鈴木ほのか 吉村直 三浦リカ 占部房子
音楽:宇野誠一郎 振付:謝球栄 美術:石井強司 照明:服部基 音響:深川定次 PA:大坪正仁 衣裳:岸井克己 歌唱指導:宮本貞子 アクション:渥美博 宣伝美術:安野光雅 演出助手:北則昭 舞台監督:菅野郁也 制作:井上都 高林真一 谷口泰寛
こまつ座内『花よりタンゴ』:http://www.komatsuza.co.jp/kouen_new/tango.html

Posted by shinobu at 23:50 | TrackBack

2004年08月18日

テレビ東京・カンバセーション『Kyupi Kyupi Grand Kayo Show CABAROTICA』08/18-30スパイラルホール

 ローマ字ばかりだとちょっと難しいタイトルですね。“キュピキュピ”という名前のパフォーマンス集団の、歌謡ショーで、公演タイトルが『キャバロティカ』です。
 オリジナル・カクテルやビールなど、ロビーでのお酒の販売が充実しています。これからご覧になる方は、ぜひぜひ飲んでから観られることをお薦めします。飲みながら鑑賞もOKです。

 形式としては“デジタル映像がいっぱい流れるコンサート”ですね。エロティック&ダイナミックな映像が流れる中、奇抜な衣裳のヴォーカリストがアレンジされた昭和歌謡を歌います。コミカルな被り物&コスチュームを着たダンサーが踊り狂い、京女のはんなりギャグも加わって、なかなか楽しいライブ空間でした。

 開場時間から舞台正面と左右の壁にある3つの巨大スクリーンに映像が流されています。おお、ほぼ全裸の女の人が踊っているっ!なるほど12才未満の入場お断り(R-12)なんですね。開演してから、さらにエロい映像になったので(ガラスにおっぱいを擦り付ける悩ましげな女2人等)、R-15まで上げた方がいい気がしました(笑)。げげ、こんなにエッチなパフォーマンスなの!?ついていけるかしら・・・と心配になったのですが、本編はそれほどエッチではなく、ホッとしたようながっかりしたような(笑)。

 ヴォーカルの分島麻実さんが、昭和歌謡(『黒猫のタンゴ』『おまつりマンボ』『メケメケ』等)を張りがあってドスの利いた声で軽やかに歌い上げます。歌って、ちょっぴりトークして休んで、また歌って・・・というように、ガンガンと連続してノっていくのではなく、一つ一つパッケージされているので、比較的ゆったり見られます。同時に、そんなにノリノリにはなれないってことなんですが。

 前半は東京初日というのもあってか、かなり硬~い感じでした。休憩20分を挟んで観客が十分にお酒を飲んでから後半へ。(オリジナルカクテルを販売していて、その販促も映像でたっぷりしていました) 後半の『黒猫のタンゴ』でやっとノリがつかめました。パッヘルベルの“カノン”にオリジナルの詩をつけた歌が良かったな~。映像が空、星、宇宙に広がって行ってすごく美しいの。“テキーラ きらきら~・・・宇宙遊泳”っていう歌詞だったから笑っちゃうんだけどね(笑)。笑うといえば『天城越へ』の映像には吹き出しましたっ。「AMAGI GOE」とかジャンジャン出てきて、その字が爆発するんだもの(笑)。

 公演公式サイトの団体紹介の文章に“ソフィスティケートされた関西系ギャグ”とありますが、ほんとにそうでした。関西のあの、ひとなつっこいベタな内容なのですが、ヴォーカルの分島さんの言い方や間がしっとりはんなり京都風で聞きやすかったです。

 踊りはちょっとワンパターンかな。曲によってもっと違う雰囲気になるとさらに楽しめるかも。パラノイア・ダンサー等、顔を隠しているダンサー達は完全にバックダンサーに徹していましたね。ちょっともったいない気がします。ヌードダンサーさん、美しかった。裸婦ってそれだけできれいです。

 公演公式サイト京都アートコンプレックス1928での『CABAROTICA』の舞台写真が載っています。あぁ、この劇場で観たかった~。天井がアーチになっているのは映像に最適です。それにスパイラルホールは大きすぎました。

【出演】Vocal:分島麻実 ダンサー:河村禎子 野川沙希 小森里子 Nude Dancer:かおり Fish Head:北川有己 Kayo-dancer, Percussion:高尾憲二
Kayo Gakudan:功刀丈弘(ヴァイオリン8/18-25)、古味寛康(コントラバス)、寺田ちはる(アコーディオン)、能澤洋子(ヴァイオリン8/26-30)
【スタッフ】構成:キュピキュピ グラフィックデザイン:江村耕市 造形:木村真束 演出・映像:石橋義正 スタイリスト:中西陽子、中西恵子
【テクニカルスタッフ】技術監督:關秀哉(RYU) 技術監督補:串本和也(RYU) 美術:斉藤正樹 佐藤誠、倉持充成(清水オクト) 映像:主藤芳郎(ビズテック) 照明:関口祐二(バランス) 菅原勇治(フルハウス) 宇佐見浩一(ユーケイストライクス) 音響:田中裕一(サウンドウェッジ) 舞台操作:丸目恵美 楽屋:佐野寿衛子 記録:野村沙希子 
【プロダクションスタッフ】テレビ東京 TV TOKYO 岩花太郎 伊江昌子 カンバセーション Conversation 制作チーフ:前田圭蔵 制作:服部聡子 川口真人 広報:久保風竹 制作補佐:福岡聡 菅川優子 田中智子
企画・製作:キュピキュピ/カンバセーション
キュピキュピ : http://www.kyupikyupi.com/

Posted by shinobu at 22:55 | TrackBack

2004年08月16日

TheStoneAge『観測史上、最高気温を記録しました。』JUNGLE in→dependent theatre08/12-15

 大阪の日本橋にあるJUNGLE in→dependent theatre(ジャングルインディペンデントシアター)がプロデュースする「極-KIWAMI-」という企画に参加している作品です。9劇団(およびユニット)が参加し、それぞれ同じ美術で作品を発表するので、できれば数本見比べたかったです。この企画についてfringe blogに書かせていただきました。→ 「劇場プロデュースの和室舞台」

 なんと劇場自体が日本家屋になっている!舞台は和室。すっごくリアルです。廊下を歩いて障子を開けて、客席に座ります。客席が対面式になっているのも不思議な臨場感があります。

 何も考えずに伺いましたが、ストーンエイジはE-1グランプリ2002-2003全国決勝大会@本多劇場で全国NO.3になってる劇団なんですね。 

 主人公は小学生の男の子。夏休みの宿題のために飼っているオタマジャクシ“たまちゃん”が行方不明になった。必死で探すが見つからない。やがてたまちゃん自ら家に帰ってきた。なんと自分と同じ大きさになっていて、人間の言葉を話す。

 ・・・苦しかったです。友人と一緒だったし、劇場のつくりも独特だったので途中で出るわけにもいかず、最後まで座っていましたが下を向きがちでした。

 まず、大の大人が小学生を演じるのはビジュアル的に絶対ムリですよね。演技力以前の問題です。ムリなくムリを成立させる方法をちゃんと見つけてから演じてもらいたいです。そして大人が子供を演じる時によく陥るミスは、知的障害を持つ成人に見えてしまうことです。この作品も漏れずにそうでした・・・。

 セリフが嘘臭くて、クドくて、長かった・・・・。なぜか大阪の劇団はこういう作品が多いように感じます。きっと最後に一歩、前に出すぎるのだと思います。最後はグッと身を引いて客観視できるかどうかが勝負なのではないでしょうか。小学生だった少年が最後に青年として出てくるのは演劇の構造として面白いですが、そこからが長すぎたので無くてもよかったです。あと、カーテンコールも長い。

 オタマジャクシの着ぐるみを着て、顔も黒く塗った男の人が出てきた時はさすがに笑えました。おバカで可愛いですし。あの役者さんは好きになれました。でもそれも出オチなので面白いのは最初だけなんですよね~。その後、次から次へとカエルだのヘビだの出てきますが、私は楽しめませんでした。

 あくまでも私個人の感想です。一緒に観に行った友人(大阪人)は「退屈しなかった」と言っていました。

作・演出:鮒田直也
出演:緒方晋、中井正樹、アサダタイキ、一明一人(高級社)、大北えつ(はちみつパイ) 野上マヤ、蓮森美どり(PEOPLE PURPLE)、森世まゆみ
舞台監督:青野守浩 舞台美術:西本卓也(Giant Grammy) 照明プラン:奥村誠志郎 (M.C.S.) 照明オペレーター:岩元さやか 音響:森達行 (もみあげフラメンコ) 衣裳・小道具:水野泰彰 (∧-Sura) 宣伝美術:森★直子 制作協力:坂本顕 山口知子 増田好宏 谷口美和子 サノノリアキ うまみえ
ストーン・エイジ:http://www.the-stoneage.com/

Posted by shinobu at 23:20 | TrackBack

非戦を選ぶ演劇人の会『ピースリーディングvol.6あきらめない、夏 2004』08/15紀伊国屋サザンシアター

 永井愛さん、渡辺えり子さんらが実行委員をつとめる“非戦を選ぶ演劇人の会”のリーディング公演です。私はこれで3度目になります。

第1部「パレスチナの声 イスラエルの声」台本構成:渡辺えり子
 テツandトモさんの“なんでだろう~”でオープニング。けっこう楽しいしあかぬけていて良かったと思います。「演劇人の会」ですが、こうやって異分野からどんどん参加者が増えると、もっともっと大きく広がる気がします。
 パレスチナ人、イスラエル人それぞれの声が朗読されます。復讐が復讐を呼ぶ悪循環。イラク戦争も同じですよね。毬谷友子さんの役柄になりきった朗読に感動。ただ、全体としては長すぎた気がします。
 名曲「ざわわ」を森山良子さんがギターを弾きながらしっとり歌ってくださって、しみじみと涙が溢れました。戸田恵子さんが歌われたのも素晴らしかったんですよ。次はまたどなたが歌ってくださるのか楽しみ。

第2部「日の丸・君が代 強制日誌」台本構成:永井愛
 ザ・ニュースペーパー(松下アキラ、福本ヒデ、他)による、おなじみ小泉首相に仮装してのコントは笑えます。
 私個人としては日本国旗のデザインは好きですし、歌として「君が代」は渋いメロディーがカッコいいと思っています。小さい頃から歌い親しんで来ましたので、起立・斉唱を強制されても、されなくても私には別段気にならなかったのですが、永井さんのこのレポート(日誌)を知り、考えを改めようと思いました。強制するのはおかしいですよね。あと、教育委員会(および日本政府)は説明責任を果たすべきだと思います。
 また、子供の教育にもっともっと親が注意を払う必要があると思いました。りぼん・ぷろじぇくとの『戦争のつくりかた』という文章に感動しました。

第3部「イラクの声」台本構成:関根信一
 関根信一さんは劇団フライングステージの主宰であり作・演出家の方です。実行委員でいらっしゃるのはよく存じ上げていましたが、台本構成まで手がけられるとは驚きました。とてもわかりやすく、真摯な内容だったと思います。
 キング牧師曰くの「善意の人の沈黙と無関心」。私はこれに対峙しなければならないと思っています。自分の力でできる範囲ですが、私なりに表現していきたいと思っています。
 山崎ハコさんの歌は、挿入する箇所がまずかったのではないでしょうか。意味が分からなくて必死で歌詞を聞き取ることに終始してしまいました。もうちょっと後の方だと、リーディングの内容とフィットしたのではと思います。パンフレットには深沢敦さんも歌われることになっていたようですが、歌われなかったですね。とっても残念。

 私は、毎日の忙しさにかまけて、大切なことを棚上げにして日々を過ごしてしまう人間の一人ですが、できる限り時間を作って、またこのピースリーディングの観客になろうと思っています。実行委員の方々、出演者の方々、ボランティアの方々、ありがとうございました。

 公演の運営について気になったことを書いておきます。次回からぜひぜひ改善していっていただきたいとの願いを込めて。開場時間が15分押しでした(開演は8分押し)。こまつ座のお昼の公演が終わってから小屋入り&リハーサルという強行スケジュールなので、遅くなることはある程度予想されていたことと思います。遅れないようには最善を尽くしてらっしゃるでしょうから、遅れた場合の対処についても、より計画を綿密に立てておく必要があるのではないでしょうか。

 特に紀伊国屋サザンシアターというキャパ468人の劇場で全席自由・整理番号付きのチケットを販売していて、当日券も完売の満員状態でしたから、少なくとも300人以上の観客が劇場前の通路に並ぶことは予想がつきます。それにしては並ばせるためのスタッフの数が少なすぎました。というか、並んでいる列の付近を専門に担当するスタッフが全くいませんでした。整理番号順に並ぶこと、299番までは左の列に、300番からは右の列に並ぶこと、開場が15分延期になったこと等のアナウンスは一度だけ言っておしまいではありません。開場して全ての観客が入場するまでは何度も繰り返してアナウンスし続ける必要があります。こういうことについては小劇場で制作をしている人がノウハウを持っていますので、そういう方に助っ人に来ていただいてはどうでしょうか?

総合演出:西川信廣 構成:関根信一、永井愛、渡辺えり子
出演予定者(五十音順):明樹由佳、麻丘めぐみ、新井純、市原悦子、宇梶剛士、大石静、大沢健、大森博史、岡田浩暉、加藤土代子、加藤治子、川辺久造、草笛光子、高橋長英、竹下景子、筒井康隆、テツandトモ、富田靖子、永島敏行、根岸季衣、深沢敦、風吹ジュン、松下砂稚子、毬谷友子、三田和代、森山良子、吉田日出子、渡辺えり子、ザ・ニュースペーパー(松下アキラ、福本ヒデ)、宇宙堂劇団員 他
非戦を選ぶ演劇人の会:http://hisen-engeki.com/

Posted by shinobu at 00:32 | TrackBack

2004年08月11日

テレビ東京・アートスフィア・ポイント東京『LIVE ACT himself』08/10-18アートスフィア

 帝劇『モーツァルト!』で一躍スターになられた中川晃教さん主演の音楽劇です。ミュージカルとコンサートの間ぐらいですね。中川さん(愛称:アッキー)の最新アルバム「himself」の楽曲を全編で使っています。

 本編はシェイクスピアの『ハムレット』を元に独自の解釈と見せ方で、中川さんの歌を聞かせることをメインに作られたもので、私にはちょっと受け入れづらいものでしたが、カーテンコールで大盛り上がり!どうやら急遽やることに決まったのかも??即興でダンサーが踊りまくり、中川さんシャウトしまくりで、ファンがキャーッ!!って悲鳴を上げるほどのサービスでした。私もかな~り楽しかったです。やっぱり彼の声量はすごい。

 本日初日でこれからの公演は空席アリだそうです。中川さんがひとこと、おちゃめに宣伝されていました。

 『ハムレット』の原作を大胆に省略して、新しい解釈もつけて、しかも全く関係ない音楽を間にじゃんじゃん挟んでいきますので、ハムレット!ギルデンスターン!とか原作どおりの名前で呼び合っているのが不思議になるぐらいミスマッチな感覚でした。途中休憩で帰ろうかな~と思ったんですが(苦笑)、中川さんの歌の魅力に負けました。ストーリーなんてどうでもいい!彼のパワフル&ソウルフル声が聞けるなら♪・・ってことです。で、最後まで残っていて本当に良かった!ライブが最高でした。

 さて内容について。まず幸せだった頃のハムレットを描くことから始まるのが最も原作からかけ離れた脚色でした。叔父のクローディアスとハムレットがすんごく仲良しで、ギルデンスターンとローゼンクランツがクローディアスに呼ばれる前から親友としてハムレットのそばにいて、オフィーリアと超ラブラブで幸せの絶頂にいて・・・そして、父王は狩りの最中にピストルで殺されてしまうという感じ。オフィーリアにモーションかける男の子たち、という構図はめちゃくちゃノリが良くって可愛かったです。

 オフィーリアが自殺するシーンは、ナイフで手首を切ってそのままバスルームで死んだことになっていました。気が狂うのも「知らない女性が見える!」と幻想を見てしまう風にしていたのが面白かったです。オフィーリアに自殺をそそのかす「女」が、黒装束でかっこよく踊りながら彼女を陥れていくシーンはきれいでした。

 演出はクレッグ・デールさん。ロビーでお見かけしましたが上品な白人男性でした。やっぱり色使いとか見せ場の持って来かたとか、ちょっと変わってると思いました。おおざっぱなんだけど盛り上がりは逃さない、というか。
 振付(MAYUMI)がとても良かったです。ダンスシーンが始まる度に嬉しかった。最近こういう型の決まったダンスで見とれることなかったので。

 歌は全て中川さんのアルバムから使われています。音域が広いしリズムが普通じゃないですので、ミュージカル用には向いてないですよね。歌う人によってはものすごいミスマッチで笑ってしまったりもしました。
 例えば、瑳川哲朗さんが英語で“Good bye for the loneliness...”などと、たどたどしく歌うのは、申し訳ないですが笑えました(笑)。それに『ハムレット』自体はきっと何度も演じたことがおありだと思うんですよね。戯曲がかなり省略&脚色されて、あきらかに違う解釈の平易なセリフをしゃべってらっしゃるのを見ると、それもまた笑えちゃうんです。クローディアス役なんですが、オフィーリアの遺体を墓穴に埋めている最中にフェンシングの試合の話をしちゃうし、剣のきっさきを尖らせておくだけでなく、毒を塗ることも彼が提案します(原作ではレアティーズが提案する)。

 中川さん、ピアノで弾き語りもされましたね。明らかにそのためだけにピアノが一台だけ舞台上に置かれていたのはちょっと苦笑ものでしたが、まあ中川さんのファンの集いのような公演ですし(私もそうですし)良いと思います。隣りに座ってらした50代ぐらいの奥様が立てノリで「アッキー!!」って叫んでらっしゃってびっくり。帝国劇場に年10回とか通ってらっしゃる方みたい。そっか「モーツァルト!」からのファンなんですね。

 新納慎也さん(元NIRO)。背高い!足長い!声きれい!ソウルフルに歌ってらっしゃいました。かっこいいっす。お色気もあるけど、私は基本的に笑い担当の新納さんが好きです。(演劇実験室◎万有引力『さよならの城』の時みたいな)
 中川賢さん。ホレーシオ役。踊りがめちゃくちゃ上手くてびっくり!バレエをされているようですね。ジャンプが見事でした。
 速水けんたろうさん。ポローニアス役。元・NHKの歌のお兄さんですよね。けっこう声量がおありだったので聞き応えがありました。

 開演前でも幕間でも物販スペースは閑散としていたのですが、あのアンコールのスペシャル・ライブが終わった後は黒山の人だかりでした。パンフレットはもちろんのこと、アルバム「himself」も売れていました。私ももう少しでダマされるところだった・・・あ、いえ、すみません!!・・・だってアッキーは絶対ライブ(生)がいいはずなんだもの!録音は遠慮しまっす(笑)。

原作:W.シェイクスピア「ハムレット」より  演出/グレッグ・デール 音楽/中川晃教 映像/奥秀太郎
出演:中川晃教 吉野圭吾 新納慎也 安藤希 速水けんたろう 中川賢 小野妃香里 香坂千晶 瑳川哲朗 大橋てつじ 後藤大 KAJI 坂元宏旬
音楽監督:久保こーじ 映像・美術:奥秀太郎 メイク:柳延人 衣裳:久保薗美鈴 照明:成瀬一裕 効果:増原健市 振付:MAYUMI 歌唱指導:島田久子 演出助手:石丸さち子 舞台監督:高橋良直 宣伝写真:大森克己 宣伝美術:采澤聰 プロデューサー:高屋潤子 企画製作:ポイント東京・スフィア 企画協力:ミュージックパーク
《東京の前に地方公演→仙台、大阪》
中川晃教オフィシャルサイト:http://www.akinori.jp/

Posted by shinobu at 01:19 | TrackBack

2004年08月10日

かもねぎショット+オフィスコットーネ公演『窓』08/07-15下北沢ザ・スズナリ

知的な推理劇として評判が高かった作品の再演ということで伺いました。かもねぎショット初見です。
面白かった~~~っ!!
難しいけど、それが面白いっていうか。
うぬぬ~っと唸りながら、はは~っと感心して、なんと!っとシビれちゃうほどかっこいい瞬間もありました。
→レビューは後ほどUPします。

Posted by shinobu at 00:00 | TrackBack

2004年08月08日

子供のためのシェイクスピアカンパニー『ハムレット』07/15-20世田谷パブリックシアター

 子供のためのシェイクスピアカンパニーは、私が心から敬愛する団体です。2000年から拝見していまして(『リア王』、『十二夜』、『リチャード二世』、『ヴェニスの商人』、『シンベリン』)、すっかりその魅力に取り付かれています。

 私が発行しているメルマガ創刊号のお薦めNo.1でした。おかげさまで私がわかっているだけでも10人以上の方がメルマガを読んでこの作品のことを知り、実際に観に行ったりチケットを買ってくださったりしています。ツアーファイナル東京凱旋公演は、北とぴあ・さくらホールで9/5(日)17時開演です。どうぞお見逃しなく♪

 今回も期待を裏切られませんでした。あぁ楽しい。あぁ感動。お友達を誘って4人で伺ったのですが、全員大満足でした。黒マント、手拍子、シェイクスピア人形などのお馴染みの演出も健在。イエローヘルメッツも定着してきましたよね(笑)。FAVORITEのページにも書いていますが「老若男女を問わない日本製シェイクスピア・エンターテインメント」だと思います。

 このシリーズの素晴らしい特徴は、子供も楽しめるということはもちろんのこと、優しい笑いで包みながら、シェイクスピア作品を咀嚼して大切な意味を抽出し、わかりやすく観客に伝えてくれることだと思います。

 今回は、ベルギーの王子フォーティンブラスのエピソードをお芝居の初めから数回にわたって差し込んでいることに最も惹かれました。「王位を継ぐのは、フォーティンブラス。それが死を迎えたハムレットの心だ」というハムレットのセリフの意味がようやくわかりました。自分の国デンマークのことを憂えている王子ハムレットは、自分の死後に国を治める者を選ぶことで後の混乱を防ぎましたし、身内からではなく外部から、なんと元・敵国の王子であるフォーティンブラスを選ぶという英断をするわけです。理由はただ一つ、フォーティンブラスが彼の目にかなった勇将だったから。だからラスト近くのフォーティンブラスのセリフ「彼(ハムレット)こそは、時を得れば、たぐいまれな名君ともなったであろうに」に説得力があるのです。

 「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」というハムレットの中でも最も有名なセリフが何度も繰り返されます。ハムレットが現状に甘んじないで、常に問題にまっすぐ向かっていく人物であることを表しています。ただ、父親を叔父に殺されて、母親もその叔父に奪われて・・・という苦境にいたから、その能力が発揮できなかったのだと思うのです。

 私はシェイクスピアの作品の中でも『ハムレット』がすごく好きで訳本も数回読んでいますが、読むたびに彼の長いセリフで感動していました。なのに“シェイクスピア作品の中で最も優柔不断なヒーロー”とか“実は父の復讐を果たせなかった弱虫”などと評されることが多く、私もそれにちゃんと反論することができずにいましたので、脚本・演出の山崎清介さんがこういう解釈を表されたのが嬉しくて仕方ないです。

 黒いマントの下に色鮮やかな衣裳を身に着けていて、マントを脱いだら誰かになっているというお馴染みの演出は、演劇の可能性をものすごく広げていると思います。一人が何役も演じられるのもすごく面白いです。だいたい、フォーティンブラス(ノルウェー王子)とギルデンスターン(ハムレットの友人)を同じ役者が演じるなんて有り得なくって笑えます(笑)。レアティーズ(オフィーリアの兄)役の方もバーナードかマーセラスを演じてましたよね。ハムレット役の植木さんもその他大勢の役を演じられていました。

 例えば去年、藤原達也さんが紀伊国屋演劇賞 個人賞を受賞した蜷川幸雄さん演出の『ハムレット』@シアターコクーンでは、誰がどの役をどのように演じるかが注目ポイントになりました。おそらく大半のシェイクスピア作品はそういう視点で評価されます。けれどもこの作品では一人の役者さんが数人を演じますので、一人の人物にそれほど気をとられることがなく、観客は作品が伝えようとしている意味や、作品全体の空気を感じ取る方へと触覚を向けることができるのです。

 子供が退屈しないように、ところどころにわかりやすいギャグを入れて、もともとの戯曲もかなり省かれています。アフタートークで植本さんもおっしゃっていましたが、ハムレットの7つの有名な長ゼリフについても、省略されたり、数人で分けて語ったりしていました。ただ、「子供のための」作品とはいえ小学校高学年以上が推奨年齢な気がします。悲劇はちょっと難しいかもしれませんね。私は今まで観た6作品の中で私は『十二夜』が一番好きでした。お子様には喜劇の方がお薦めかも。 

作:ウィリアム・シェイクスピア(小田島雄志翻訳による) 脚本・演出:山崎清介
出演:植本潤・岡まゆみ・福井貴一・伊沢磨紀・佐藤誓・間宮啓行・彩乃木崇之・戸谷昌弘・佐藤あかり・山崎清介
照明:山口暁 音響:近藤達史 美術:岡本謙治 衣裳:友好まり子 演出補:小笠原響 舞台監督:工藤静雄
《地方公演→新潟 宮城 山形 北海道 島根 茨城 岡山 福岡 大分 静岡 京都 大阪 神奈川 愛知 千葉 埼玉 東京(北とぴあ・さくらホール) 》
子供のためのシェイクスピアカンパニー:http://homepage1.nifty.com/j-ishikawa/c-ro.html

Posted by shinobu at 18:48 | TrackBack

Studio Life『DRACULA』06/09-27新宿シアターサンモール

 男優集団スタジオライフ。毎公演、完売御礼の大人気劇団です。
 今回は2バージョンあったのですが、私はLATITUDEバージョンを拝見しました。LONGITUDEは風邪で逃したのです・・・(泣)。ドラキュラ役に笠原浩夫さんと曽世海児さんですからね、そりゃ両バージョン観たかったですよー。

 休憩15分間を含む3時間10分でした。脚本・演出の倉田淳さんはいつも原作に忠実に作られるのですが、今回もまたそうだったようです。原作どおりにきちんと全てを追うと簡単にそれぐらい長時間になってしまうのでしょう。確かに長く感じましたが、私は熱狂的ではないけれど、しっかりしたスタジオライフ・ファンなので(笑)、役者さんの演技をじっくり楽しみました。

 ただ、ファンじゃなかったなら、つらかったかもしれません。ストーリーの説明シーンが多いし、暗転が多いし、美術はほぼ変化しないし。2つ以上のシーンが舞台上で同時進行することも、ほとんどなかったですしね。3時間の上演時間の中で演劇ならではの自由自在な演出が少なかったと思うのです。登場人物すなわち役者さん一人一人に思い入れの有る芝居だったと思いますが、そのせいで「一人で舞台正面で独白」とかが多くなっているのがちょっと弱いかな、と。言葉やストーリーを大切にされているのだとは思いますが、ビジュアル的な演出がもっと増えていくとさらにファン層が拡大される気がします。

 パンフレットに詳しく書いてありましたが、さすがスタジオライフ、と言いますが、脚本・演出にホモセクシュアルなニュアンスをプラスされていました。原作や作者のブラム・ストーカーの人生にもそういう匂いはあるようです。ジョナサン(甲斐政彦)のことを想うドラキュラ(笠原浩夫)のあのせつない顔が忘れられないんですよね~(笑)。

 舞台装置はいつもながらシンプル。ちょっと物足りなかったなぁ。スタジオライフの美術って、なんでいつも四角いんでしょうね。斜めにしたりイメージを断絶させたり、もっと冒険してもいいんじゃないかと思います。開演した時から気になっていたのですが、天井に棺おけがぶら下がっていました。「どうやって使うんだろう・・・」と思っていたら、最後にちょっと斜めに降りて来るだけでした。うーん・・・拍子抜けでしたね。だったら完全に隠しておいても良かったのではないでしょうか。

 音楽については選曲がいただけなかったですねぇ・・・。よく耳にするクラシック音楽を何度も流すのはなるべく避けて欲しいと思います。野田秀樹さんの作品でも感じるのですが、新しく選曲家を連れて来たらどうかしら・・・。

 中盤辺りから「なんだか観たことあるな~」と思っていたのですが、ラストシーン(ジョナサンの息子が彼の首に噛み付くところ)で確信しました。観ました、コレ!・・・ということはシアタートラムでの初演を観たんですね、私。その時に比べたら笠原さんってものすごい俳優になられましたよね。

 笠原浩夫さん。ドラキュラ伯爵役。大満足です。貴族をまともにやるのって本当に難しいですよね、今の時代の日本で。笠原さんは姿勢もいいし、言葉も美しいし、知的だし、文句なしです。マントを翻して登場する&去っていく姿に見とれます。
 甲斐政彦さん。ドラキュラ伯爵に愛されるジョナサン役。立つだけで、そこがどこなのかがわかる演技をしてくださいました。笑いも上品に作ってくださって、素晴らしかったです。
 舟見和利さん。ジョナサンの妻ミナ役。最近バージョン違いで見逃していたので、久しぶりの船見さんだ!と思ったら、いつの間にこんなしっとりした女形になられていたのでしょう!?一つ一つ細かく作られた、女らしい可憐な所作が絵になっていました。
 倉本徹さん。精神異常者レンフィールド役。リアルでした。倉本さんのおかげでホラーも味わえました。劇団しゅうくりー夢の主宰さんだったんですね(1993年退団)。
 河内喜一朗さん。有能な医師ヘルシング役。どうしちゃったのかなぁ・・・2年ぐらい前はすごく渋くて重厚な演技をされていたのに、最近はよくセリフを間違うし、NHKの朝ドラみたいな感じなんですよねぇ・・・。

 劇団内でワークショップや殺陣指導などの俳優養成をされていると聞きました。海外での演技の教室にも俳優を送り込んでいるそうです。だからあんなに役者さんが育っているんですね。演劇界にとっても観客にとっても嬉しいし、素晴らしいことだと思います。

 チラシやポスターは大きな“D”の文字の中にいる二人のドラキュラ、というビジュアルになっていますが、なんとあの“D”、わざわざ作成されたものだったんです。てっきりCGだと思ってたんですが、シアターサンモールの入り口の階段を下りるところに現物が飾ってありました。すごーい!!そりゃブロマイドも作りますよね。

原作/ブラム・ストーカー 脚本・演出/倉田淳
【LATITUDE】出演:笠原浩夫 甲斐政彦 舟見和利 山崎康一 吉田隆太(フレッシュ) 佐野考治 牧島進一 倉本 徹 河内喜一朗 下井顕太郎、萬代慶太、他劇団員
【LONGITUDE】出演:曽世海児 山本芳樹 及川 健 林 勇輔 深山洋貴 奥田 努 寺岡 哲 篠田仁志 船戸慎士 下井顕太郎、萬代慶太、他劇団員
美術:松野潤 照明:森田三郎 舞台監督:北条孝 土門眞哉 西村朗(ニケステージワークス) 音響:竹下亮(OFFICE my on) ヘアメイク:角田和子 衣裳:竹原典子 今村あずさ アクション:倉本徹 美術助手:小野寺綾乃 宣伝美術:河合恭誌 菅原可奈(VIA BO, RINK) 宣伝写真:峯村隆三 デスク:釣沢一衣 岡村和宏 水上知子 制作:稲田佳雄 中川月人 赤城由美子 CUBE STAFF プロデューサー:北牧裕幸 高橋典子 制作:北里美織子 宣伝:米田律子
スタジオ・ライフ:http://www.studio-life.com/

Posted by shinobu at 16:45 | TrackBack

2004年08月07日

劇団M.O.P.『虚飾の街に別れのキスを』08/06-12紀伊國屋ホール

 マキノノゾミさんが作・演出する劇団M.O.P.(エム・オー・ピー)の第39回公演です。
 〈黒いハンカチーフ・L.A.バージョン〉ということで、2001年に上演されて好評だった、詐欺師もの大どんでん返し娯楽作品『黒いハンカチーフ』の舞台を、日本からアメリカに変えて作り直された作品です。

 コン・ゲーム(詐欺師の騙しあい)といえばポール・ニューマンとロバート・レッドフォード主演の映画『STING(スティング)』が有名ですよね。『STING』みたいな作品を作りたいと思って、マキノさんが書かれたのが『黒いハンカチーフ』だったそうですので、とにかく男がかっこいい!そして、裏をかいて、さらにその裏をかいて・・・という脚本の巧さに舌鼓!

 そして役者さん皆さん、演技がお上手!軽やか&鮮やかに飛び回る詐欺師チームのイカシタ男たちに、最後までしっかりと魅せられてしまいました。中盤あたりから前作のストーリーを思い出したので、予想外のことが起こる楽しみ等はあまりなかったのですが、わかっているからこそ楽しめることも多かったです。

 初日に客席でお会いした何人かの知り合いの中からは、「前回の『黒い・・・』よりも面白かった」という声がよく聞こえてきましたね。私はどちらが良かったかは、よくわからないのですが、とにかく前回と同じように面白かったし、惚れ惚れしましたし、沢山の人にこの作品を観てもらいたいと思いました。
 たしかに詐欺師ものって日本よりも西洋の方がしっくりくる感じはありますよね。役者さんがおおげさにアメリカンな立ち居振る舞いをされるだけでも笑えますし(笑)。

 衣装(三大寺志保美)は色使いから何から全部1930年代のハリウッドスタイルで、みなさん華麗に見えました。
 美術(奥村泰彦)は前回と同じく可動式パーツで場面転換するダイナミックなものでした。前回のイメージを残しているところも憎い演出だな~と思います。

 こういう作品こそ演劇を知らない人に観てもらいたいです。そしてお芝居を好きになって欲しい。こんなに楽しくって、面白くって、そしてカッコいいんだよ!って♪

作・演出:マキノノゾミ
出演(予定): 三上市朗 小市慢太郎 林英世 酒井高陽 木下政治 奥田達士 勝平ともこ 白木三保 岡村宏懇 友久航 塩湯真弓 永滝元太郎 竹山あけ美 塩釜明子 岡森諦(扉座) 
田尻茂一(アクションクラブ) 権藤昌弘(飛ぶ劇場)  舞台美術:奥村泰彦 照明:大川貴啓 音響:堂岡俊弘 衣裳:三大寺志保美 ヘアメイク:武井優子 舞台監督:藤吉成三 制作: 山中歌子 渡辺裕子 橋本香苗  企画・製作: 劇団M.O.P. 宣伝デザイン:ヒネのデザイン事務所+森成燕三 写真: 山脇孝志 伊東和則
《東京の前に地方公演→大阪、京都》
劇団M.O.P.:http://www.g-mop.com/

Posted by shinobu at 19:37 | TrackBack

あなざ事情団『三人姉妹』08/06-8アトリエ春風舎

 “あなざーわーくす”と“山の手事情社”と“青年団”を合わせて「あなざ事情団」です。
 “お客さまに私たちと一緒に『三人姉妹』を作っていっていただく「観客参加型」です”と公言しているちょっと個性的な作品です。

 かなりドキドキしながら伺ったのですが、二人の女優さんに全身全霊でサービスしていただいて、思う存分参加(?)して、楽しませていただきました。私はペットボトルをずっと持ってました(笑)。以下、ネタバレします。

 客入れの時から自然な感じで女優さんお二人が迎えてくださって、座席にも案内してくれます。こういうのは入り口に入った瞬間が大切ですものね。心得てらっしゃいます。

 一番はじめに、ロシアの人々にとっての“モスクワ”について、“モスクワ塚”という爆笑オブジェを使って説明し、次に『三人姉妹』紙芝居であらすじ全てを教えてくれます。だから『三人姉妹』を知らなくても大丈夫。思いっきりくずした作品になっていますが(笑)ちゃんと楽しめると思います。

 そして『三人姉妹』の中から3つだけシーンを取り出して演じられます。それぞれの間に“休憩”が挟まれて3幕ものになっていました。休憩の時は、女優さんお二人が舞台のど真ん中に寝そべってダベったりするんです。それも全部ネタなんですけれど、わかってても面白いんだな~。アドリブももちろんあります。
 テレビ台の上に置く、テレビの向きを自由に変えるためのプレートを使っていたのが一番面白かったです。あれに体を乗せて回転するなんて・・・(笑)。役者はクリエイティブな職業だな~とつくづく思いました。いろんなアイデアと努力が結集して演劇は出来ていくんですよね。

 演出家のわたなべさんが客席で音響オペなどやってらして、時々小道具を役者さんに渡したりします。役者さんは汗びっしょりの全力投球で演技されています。そういうのが手の届きそうな間近にあって、全部丸見えで、さらに自分も他の観客も参加しているので、なんだか劇場の中にいる人たちが全員友達になったような、不思議な連帯感が生まれていました。

 心に残るのは女優さんお二人の優しさです。観客をうまく中に引き込んでいき、常に親切・丁寧な態度で、決して礼儀を忘れずに接してくださいます。だから色々やらされても全く不快ではないし、不快どころか楽しいんです。

 ひとつだけ難を言わせていただくと、役者さんと一緒になって楽しんだので、めちゃくちゃ疲れました(笑)。1時間10分ぐらいの上演時間だったと思うのですが。終わってみると疲労困憊していました。それほどに役者さんが熱演でしたし、観客も本気で楽しんでいたのだと思います。

出演:倉品淳子(山の手事情社) 松田弘子(青年団)
構成・演出:わたなべ・なおこ(あなざーわーくす)
照明:岩城保 制作協力:菊川朝子(Hula-Hooper)紙芝居の絵:松田弘子 マトリョーシカ提供:倉品淳子
公演公式サイト:http://www.letre.co.jp/~hiroko/threesisters/

Posted by shinobu at 18:59 | TrackBack

2004年08月06日

青島レコード『SLAPHAPPY』08/04-08THEATER/TOPS

 青島(チンタオ)レコードは岡田望(おかだ・ぼう)さんが作・演出する劇団です。看板俳優の山中崇さんがNODA MAPや劇団☆新感線に出演されるなど活躍の幅を広げていらっしゃいます。劇団も次回はシアタートラムに進出されます。

 休憩なしで2時間20分というのは、私はTHEATER/TOPSでは初めてだったかも。ぴあでは上演時間は1時間50分と書いてあったそうですので、予定よりも作品が長くなってしまったのでしょう。それで19時半開演だとちょっとつらいですね。

 今回は青島レコード初の再演ということでしたが、モチーフは同じで内容が3分の2ほど変わっていたそうです(私は初演を観ていないのでわかりません)。→以下ネタバレします。

 作家の桜井(山中崇)は、入院している妹の看病をしながら小説を書いている。彼は、とあるきっかけで自分の小説の中に入り込んでいくのだが、その世界では自分の書いたとおりに物語が進んでいなかった。なんと、自分のほかに“作家”がいて、その人物がすべてを握っているらしい。

 しとしとと、ずーっと雨が降り続ける芝居でした。ずーっと止まない雨ってどんよりしますよね。でも、少しホッとします。私は公演が終わって劇場から出る時も「外は雨だろう」と思い込んでいました(笑)。出て来たらきれいに晴れていたので、ちょっと驚いてから、ス~っと現実に戻りました。

 全体的に淡々と静かに進んでいきます。不覚にも2、3回ウトウトしてしまいました。退屈しちゃうシーンが何度かあったんですよね。あと、2時間以上あったので疲れが出たのかもしれません。

 私は、何かを自分でやり終えた時に、全て“予定どおり”だったと感じる瞬間がよくあります。人にはあらかじめ定められた運命があって、ただ決められた道を進んでいるだけなのかもしれない、と立ち止まることがあります。どんなにがんばっても、どんなに生み出しても「運命だ」と片付けられ、どんなにジタバタしても、所詮レールの上なのだと、根本的なところに引き戻されます。不思議なことに、それでも人は、自分の思いを、自分の言葉で、自分の望むとおりに伝えたいと思うし、自分がやりたいことを、自分で実現したいと思うんですよね。

 自ら前へ前へと進んで行きながらも、常に体の中に漠然とした不安を抱いている人間の、根源的な迷いと一寸の希望を表したのではないかと思いました。それを、疲れきった男(桜井)の心の揺れが生み出した、一瞬のまぼろしの中に閉じ込めたのが美しいと思います。まあ、それにしては上演時間が長すぎたかな、と(笑)。

 少々難解なので観る方ががんばらなきゃいけない脚本ですね。そして、演じるのも難しそう。セリフのひと言ひと言にクセがあって、含みもあるので、役者さんは大変なんじゃないかしら。あ、もちろん演出家ご自身も(笑)。

 照明(今村太志)の色を変えたり、光の当たる場所が変わることで場面転換するのがきれいでした。これについても役者さんは気持ちの切り替えとか大変かもな~と思います。その場に立ったまま、照明が変わったとたんに違うシーンになっていることが多かったので。

 衣装(キタサコ製作所)は全体的にほんのりメローな色使いで、現代服を少しずつアレンジした形でした。作業着シャツのパステルグリーンがすごくきれいでした。あと、あのチノパン風のズボン。ストレートで裾が太い目なのがカッコいいです。

 山中崇さん。期待通りの声と存在感。いつ観ても安心。ちょっと哀しげなのも魅力的。終盤あたりで、台の上に立って白い照明を浴びながら「自分の言葉で、自分で思うとおりに書く(セリフは正確ではありません)」と主張する演技が特に良かったです。
 扇田拓也さん。ムーディーブルースというバンド(?)の、不運なボーカル役。ヒンドゥー五千回という劇団の作・演出家さんなんですね。パワーを感じたので作品を観てみたくなりました。

作・演出:岡田望
出演:山中崇 扇田拓也 諌山幸治 中尾あや 大和広樹 斉藤直樹 奥瀬繁 結城久俊 加藤裕 服部絋二 西野まり 菅原永二(猫のホテル)
舞台監督:筒井昭春 高木啓吾 照明:大迫浩二 音響:サウンドクラフト(今村太志) 美術:盛永有理子 小道具:関根和佳子 寺田真理 衣装:キタサコ製作所 縫製:渡辺まり 宣伝意匠:山口直樹 制作:千田由香子
Chintao Records『SLAPHAPPY』:http://www.chintao.com/slaphappy/

Posted by shinobu at 00:23 | TrackBack

2004年08月05日

フジテレビ『ファミリーミュージカル ピッピ~「長くつ下のピッピ」より~』08/01-15世田谷パブリックシアター

 篠原ともえさん主演の子供向けミュージカルです。スタッフがあまりに豪華なので嬉しくなってチケットを取りました。
 TOPページでもお知らせしましたが、篠原さんの声がものすごく枯れていて、歌が歌になっていませんでした。彼女の良さが存分に発揮される演目だと思ったんですけどね~。演出も決して成功はしていませんでした。すごく残念。

 ピッピは10歳ぐらいの元気な女の子。ミスターネルソン(猿)と白い馬と一緒に、一人でざわざわ荘というあばら家に住んでいる。というのも、お母さんは死んでしまっているし、お父さんは海賊船の船長で、嵐で海に放り出されてから行方不明だから。そこに、みなし子のピッピを「こどもの家」に連れて行こうと、警官やおばさんたちがやってきて・・・。

 “子供向け”の作品って、何歳ぐらいをターゲットにしているのかをはっきりさせるべきだと思いました。この作品はたぶん幼稚園児から小学校低学年向けですね。大人はあまり楽しめません。例えばサーカスのシーンでは数人のジャグラーはすごい技を見せてくれましたが(でもけっこう失敗していたんです)、他は大したことないですので、子供は喜ぶかもしれないけど大人には物足りないと思います。また、ストーリー展開がどうも腑に落ちない。子供でも納得のいかないことが多かったと思います。見せ場の作り方もズレを感じました。

 主役のピッピ(篠原ともえ)の声がかすれて歌が歌えない状態だったからかもしれませんが、全体的におどおどしているというか、自信なさそうな演技・動作をされている役者さんが多い気がしました。あぁそれにしてももったいない。篠原さん、一瞬だけ復活したんですけどね~・・・持続しなかった。もともと声も通るし歌も上手い方なので、残念至極。演技もやはり声に引きずられて低調でした。

 後半に入って、ロングストッキング船長(力也)が出てくるとやっとホッとできました。想像通りの“船長”姿で、大きな体で堂々としていらっしゃるので。海賊メンバーが踊って歌うところで、はじめて「ミュージカルらしい」シーンになっていましたね。楽しかったです。

 井手茂太さんの振付がすごく楽しみだったのですが、こなれていないように見えました。お稽古が足りないのか、振付の意図があまり伝わっていないのか、揃っていないし面白いわけでもないんです。

 教育ママ風のおば様3人組が良い味を出していました。特に松金よね子さんは最高!観てるだけで笑えるし、意地悪さの裏のおおらかなコメディエンヌ魂を感じました。南谷朝子さんが3役で出てるのにこっそり爆笑。だってオープニングでは小学生の格好で踊ってらしたんですよ!
 親友役の高山璃奈さん。子役の女の子ですが、歌があまりに上手くてびっくりしました。演技は・・・私にはNG。


 さて、細かいつっこみを書きたいと思います。あくまでも私個人のアイデアです。

 行儀作法を全く知らないピッピがお茶会で恥をかくシーン。ピッピは、みんなに楽しんでもらいたい、笑ってもらいたいというサービス精神で、机の上に乗ったり、ケーキを独り占めしたりするのだと思います。あの演出では、自己主張が強くて聞き分けの無いダダっ子になっていました。主役がヤな奴に見えることは避けるべきですし、共感できるヒーローでないと子供は楽しめないと思います。

 クライマックスの火事のシーン。ピッピが少年を助けるために、一人で火がメラメラ燃えたぎっている家の中に入っていくのはカッコいいいのですが、「水を浸した毛布をかぶっていく」というのは普通すぎますよね。また、家に飛び込んでしばらくしてから、入った時と同じ入り口から普通に子供を救出して出て来ても・・・全然盛り上がらないです。装置がかっこ良かっただけにものすごい肩透かしでした。ここでこそフライングを使うべきだったと思います。2階の窓から飛び出して欲しかった。

 ピッピが父親と一緒に船旅に出ることになり、村の大人も子供もピッピにお別れを言うために、家の前に集まっているシーン。親友の2人が特に、ピッピと別れたくなくてブーたれていたのですが、手にどうやら手紙らしきものを持っている。ちゃんとピッピに向かい合い、一言↓
 「ボクたち、詩を書いたんだ」
 ・・・詩?詩だとぉ!?
 子供は“詩”なんて書かないっ!書くのは“手紙”だよっっ!!
 それに、みんなの前で読み上げたりしない!そんな恥ずかしいことはできない!

 そして、盛大にお別れをしたのに、船に乗ってからすぐに村にとんぼ返りしてくるのはみっともないでしょう。私だったら、親友2人からは手紙は受け取るだけ受け取って、船に乗ってから読むようにします。そして船の上でピッピが手紙を読んでいるのと同時に、手紙を書いた2人が客席に向かって内容を語りかければ、ピッピが村に戻ろうと決めたことに納得できますし、子供の友達を想う心に感動できたと思います。


原作=アストリッド・リンドグレーン 作詞=作曲:ゲオルグ・R・E・セバスチャン 脚本=スタフォン・イェーテスタム
演出=宮田慶子、翻訳=常田景子、日本語詞=竜真知子、振付=井手茂太 音楽=久米大作、美術=松井るみ、照明=勝柴次朗、衣裳=前田文子 舞台監督=澁谷壽久
出演=篠原ともえ/土居裕子/栁澤貴彦/高山璃奈/園山晴子/鈴木浩介/二瓶鮫一/松金よね子/力也 ほか
ピッピ公式サイト:http://www.pippi2004.com/
フジテレビ内:http://www.fujitv.co.jp/events/pippi/index.html
世田谷パブリックシアター:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/

Posted by shinobu at 18:38 | TrackBack

2004年08月04日

こまつ座『父と暮せば』07/27-08/01紀伊国屋サザンシアター

 広島で被爆した父と娘の二人芝居。1994年初演でもう9演目になります。さまざまな役者さんが演じられてきましたが、今回は西尾まりさんと辻萬長さんという、実際の親子のようにぴったりと年齢が離れたお二人です。
 原爆が落ちたあの瞬間が、二人の対話を通して目の前に鮮やかに描き出されます。

 舞台は原爆投下から3年後の広島。図書館で働きながら質素に暮らしている娘の前に、原爆で死んだ父の幽霊が現れる。娘の中にほのかな恋心が生まれた時に、自分も生まれたんだと父は言う。図書館に通ってくる青年と娘の仲を取り持とうと、父は必死で恋の応援団になるのだが・・・。

 父と娘の、互いを思いやる優しい気持ちに触れ、この舞台を作っている人たちの熱い思いに触れ、涙が止まりませんでした。カーテンコールで客席からのあれほど心のこもった拍手を味わったのは初めてでした。私も涙を流しながら精一杯の拍手を贈りました。
 上演時間は1時間半だったのですが、1時間弱しかなかったように感じました。内容が濃縮されていて、しかも面白かったから、あっという間に時間が過ぎていたのだと思います。

 私は小学校1年生の時に『原爆展』を見に行きました。てっきり飛行機とか爆弾の模型などが展示されているのだと思って行ったのです。しかしながら会場に入るや否や目に入ってきたのは、瞬間的に燃え尽きて、溶けて、影のように道にこびりついてしまった人(?)や、顔の形がもう残っていないあおむけの遺体などのむごたらしい写真の数々でした。7歳の子供が見るものではありません。それから何年も悪夢にうなされる日々を過ごしましたので、親を恨みました。そして、私はなるべく『原爆』に触れないで生きるようにしてきたのです。

 26歳の時にある本に出会って、私は今まで自分が義務教育で教えられてきた日本の近代の歴史が、自分の両親が教えられたものとはかけ離れていることを知りました。それがどのように違ったか、どれが正しいのかは、恥ずかしながら今でもきちんと説明はできないのですが、はっきりと感じたのは自分が無知だったということでした。それから私は、日本の歴史、特に戦争についての本や記事をなるべく読むようにしてきました。演劇にハマってからは、戦争を題材にした作品を逃さないようにチェックするようになったのです。その中で、井上ひさしさんに出会いました。

 今までに、こまつ座の『闇に咲く花』『連鎖街のひとびと』『雨』『人間合格』『兄おとうと』『頭痛肩こり樋口一葉』『太鼓たたいて笛ふいて』、新国立劇場の『紙屋町さくらホテル』『夢の裂け目』『夢の泪』を拝見いたしました。栗山民也さんいわく“ことばの巨人”である井上さんの、奥の奥まで考えつくされ、選び抜かれた優しい言葉に包まれながら、人間の肌の温かみの通った深い知識、および知恵をめいっぱい教えていただける井上作品に、私は心酔しています。井上さんと同じ時代を生きられていることに感謝の気持ちが沸いてきます。

 この作品でも目からうろこと言わんばかりに多くのことを教えていただきました。人間は知らないままでいたいと思えば、いくらでも無知でいられるのだなと、ブルーになります。原子爆弾は地上約500mの上空で爆発したということを、私は知りませんでした。てっきり地面に落ちたと思っていたのです。「二つの太陽をつくったんじゃ」はそういう意味だったんですね。そして太陽よりも熱い閃光の後に、猛烈な爆風が来たことも知らなかった。だから建物が倒れたんですね。何もかも焼けてなくなったんですね。

 この作品の英訳の戯曲本が発売されたそうです。ぜひ海外の劇場で、海外のキャストでの公演を実現していただきたいですね。 

作:井上ひさし 演出:鵜山 仁
出演:西尾まり 辻萬長
音楽:宇野誠一郎 美術:石井強司 照明:服部基 音響:深川定次 宣伝美術:和田誠 方言指導:大原穣子 演出助手:E-RUN 舞台監督:星野正弘 制作:井上都 高林真一 瀬川芳一
こまつ座:http://www.komatsuza.co.jp/

Posted by shinobu at 01:23 | TrackBack

2004年08月03日

加藤健一事務所『コミック・ポテンシャル』7/28-8/10本多劇場

 『コミック・ポテンシャル』はイギリスの有名な喜劇作家アラン・エイクボーンさんの作品です。
 私は以前に宮田慶子さん演出、高島政信さん&七瀬なつみさん主演で、ル テアトル銀座で上演されたものを拝見してそれがすごく楽しかったので、今回も伺ってみました。

 未来のテレビ局。そこではロボットの俳優(アクトロイド)が演技をして半自動的に番組が制作されている。テレビ局のオーナーの甥で脚本家志望の青年アダム(細見大輔)が、風変わりなアクトロイドのジェシーと恋に落ちて・・・。
 
 暗かったですね~・・・。前半はまだコメディーだと思って観られたのですが後半はクドイし、しめっぽいし、長いし、きつかったです。最後の30分はほぼ目をつぶっていました。とりあえず上演時間が長すぎました。休憩15分を挟んで2時間45分あったと思います。

 セットが全体的に薄汚れていて色使いもダーク系。ホテル、ブティック、レストランや女郎宿なども、どこかみすぼらしいんです。未来の都市だとは思えない。若い男女の恋のときめきをそのままに受け取れない。

 そして、選曲がひどい。オープニングに『冬のソナタ』のテーマ曲が流れたのはまだネタとして許せましたが、映画『プラトーン』の音楽がかかりましたよね?しかも3回以上。そんな、ベトナム戦争レベルの深刻な味付けをする必要ないと思います。加藤健一さんは、セリフだとは言え「おおげさな演技はだめだ」と舞台上で力説してらっしゃるのですから、音楽もそうしてもらいたいです。

 七瀬なつみさんのジェシーがめちゃくちゃ可愛らしくって、あれから私は七瀬さんのファンになったんですよね~。加藤忍さんのジェシーも可愛かったんですが、アダムが恋に落ちるような魅力的な女性には見えなかった。アダム役の細見大輔さんも一人っきりでしゃべってるようでしたから、二人の間にラブが見えなかったです。

 加藤忍さんのロボットとしての動きが素晴らしかった。カクカク、カッキーン、ピタッ!と止まるのが、小気味よいほどカッコ良かったです。それが観られたからOK、って感じですかね。

作/ アラン・エイクボーン 訳/ 小田島恒志 演出/ 加藤健一
出演:細見大輔(演劇集団 キャラメルボックス)  加藤忍 山下裕子 平栗あつみ(演劇集団 円) 小田豊 古坂るみ子(文学座) 加藤健一 横山利彦 横井伸明(しゅうくりー夢) 伊藤順 山崎明美 片山晃也 多根周作 伊原農 間美幸
美術:太田創 照明:布袋雅樹 音響:松本昭 衣裳:加納豊美 ヘアメイク:馮啓孝 舞台監督:飯塚幸之介 演出協力:久世龍之介 制作:阿部悦子 中島久仁子 北村浩子 熊谷公美子 長谷清香
加藤健一事務所:http://homepage2.nifty.com/katoken/

Posted by shinobu at 22:50 | TrackBack

パルコ『鈍獣 don-ju』07/31-08/22パルコ劇場

 “ねずみの三銃士(生瀬勝久さん・池田成志さん・古田新太さんのお三方のユニット)”の企画で、脚本に宮藤官九郎さん、演出に河原雅彦さん、そして可愛らしい女優さんを迎えてのお祭り騒ぎ、と申しましょうか。
 ・・・途中休憩の時点で帰ろうかと思ったのですが、友人と一緒だったので思いとどまったのが功を奏しました。後半は前半とは打って変わって、緊張感漂うサスペンス・ホラーになりました。

 制作発表の記者会見で、宮藤官九郎さんが「脚本が全然できてないんです」とおっしゃっていたので(笑)期待はしていなかったんですけどね。やっぱりおふざけが過ぎるのは観ていられないというか、私は笑えないし楽しめないんですよね。でも、前半終了の最後のセリフで本題に入られちゃったので、帰れなくなったんです(シテヤラレタリ!)。前半はほんとに「なんじゃこれ?」という感じだったんですが、後半は密度が増し、仕掛けも豪華になり、「これから一体どうなるんだろう!?」と入り込むことができました。(以下、少々ネタバレします)

 田舎のさびれたホストクラブが舞台。ホストクラブといってもナンバー1ホストの古田新太さん一人しかいないんだけど(笑)。小説家の凸山(デコヤマ:池田成志)が失踪し、彼を探している編集者の女(西田尚美)がホストクラブ“スーパーヘビー”にやってくるところから始まります。ホステスやチンピラがその編集者に事の次第を説明することで物語が進むのですが、編集者が見ている劇中劇の型式でやり続ける構成が面白かったです。でも、ラストはね・・・。スプラッター・ホラーって便利だよなって思いました。

 タイトル『鈍獣』が、問題になっている本(小説)の題名になっていたのは良いアイデアですよね。実際に目の前に居る男たちが『鈍いケモノ』なわけですし。

 生瀬勝久さん。冴えないチンピラ役で最初に登場した時、あまりに気持ち悪くて顔をゆがめてしまいました。すごいキャラクターづくり(笑)。
 池田成志さん。何度も繰り返し使うセリフの「おしまい?」「おぼえてないわぁ」が良かった。
 古田新太さん。“俺が一番ソング(タイトルは忘れました)”には笑いました。最後に“ヨコハマ~♪”って歌うんですが、ヨコハマ全然関係ない!!(爆笑)。劇中歌を収録したCDが売ってましたね。

作:宮藤官九郎 演出:河原雅彦
出演:生瀬勝久・池田成志・古田新太、西田尚美、乙葉、野波麻帆
音楽:岡崎 司/松崎雄一 照明:倉本泰史 衣裳:三大寺志保美 音響:大木裕介 ヘアメイク:西川直子 演出助手:菅野将機 舞台監督:福澤諭志+至福団 宣伝美術:河野真一 宣伝写真:岡田貴之 宣伝ヘアメイク:小島裕司 宣伝スタイリスト:藤井享子 製作:伊東 勇 プロデューサー:佐藤 玄 企画:ねずみの三銃士 プロデュース:パルコ
《地方公演→大阪、広島、福岡、神戸》
パルコ劇場内『鈍獣』サイト:http://www.parco-city.co.jp/play/don-ju/

Posted by shinobu at 15:53 | TrackBack

2004年08月02日

劇団BISHOP『時空寺』07/22-28ザムザ阿佐ヶ谷

 学生劇団時代に2000人を動員した劇団BISHOP(ビショップ)の8年ぶりの新作です。私は昔、役者として所属していました。あぁ懐かしい。
 2時間で56億年余を旅する壮大な世界観でした。

 天狗の力を借りて室町時代から約1000年後にタイムトリップした僧正の恵教(えきょう:山田伊久磨)と僧兵の常陸房(ひたちぼう:田中聡元)のお話。
 
 脚本が非常に面白かったです。仏教についての深い知識を語ってくださっていました。「すべてはフロイト、新約聖書に書いてある」というのには驚き。私はこの作品の意味を完全に理解できたわけではありませんが、世界は同じであり、人・生命はみな同じであること、そして全世界(全宇宙)への広い愛を伝えようとしているように感じました。

 当日パンフレットに掲載されていた作・演出の栗原さんの文章を抜粋・引用します。 
 「冷戦も終わりを告げ、ようやくひとつになった世界が、今後何にときめき、何を目指し、何を知り、何を知らずに生きていくのか、私たちは歴史の大きな転換点に立たされているように思います。自己と他者の文化をより深々と掘り下げ、今まで隔てられてた人々と巡り会えるように、そんな思いを込めて創りました。」
 演劇を通じてこのような気持ちを伝えようとされているのは貴重なことだと思います。次回も12月に公演が決まっているようですので楽しみです。

 エンディングがシンプルで衝撃的でした。もうちょっと暗転が長かったら良かったと思います。恵教が1000年後の世界(つまり2004年)に来るまでは比較的スローペースだったのですが、そこから世界旅行を経て、約56億年後の世界からラストまでの展開が速すぎて、「無」を味わう時間も余裕も無かったです。そして、カーテンコールをすべきでした。これは絶対にはずしてはいけないと私は思うのです。
 
 さまざまな分野の芸術が集められた公演でしたので、心に残ったことを書き留めてみます。
 ベリー・ダンスとバレエがありました。ベリー・ダンスの方は発表会になってしまって残念でしたが、後で出てきたバレエで挽回しましたね。あくまでも恵教と常陸房が世界を旅していることを表すものであるべきだったと思います。
 殺陣は型を見せるスタイルでした。オープニングにいきなり形式美から入ったので、いくらエッヘとラブリーヨーヨーというエンタテインメント系の役者さんが出ているとはいえ、リラックスするまではちょっと時間がかかりましたね(笑)。でも、見所があると思いました。
 雅楽の生演奏は聴き応えがありました。上手の袖で演奏していらっしゃったのですが、幕の後ろだったので全然見えなかったのが本当に残念。せっかく生演奏なのですから奏者の姿を見ていたかったです。作曲家であり笙(しょう)の演奏者の真鍋さん、この公演のために坊主頭にしていらしたらしいんですよ!観客からは見えないのに・・・気概を感じます。

 美術は舞台全体が真っ白な布に包まれただけの抽象的でシンプルなものでした。ビジュアル面の大半を担っているとも言える照明(松本大介)が素晴らしかったです。赤、黄、青などの原色を基調にじっくりとその色合いを見せます。時空寺の室内シーンで特に技術を感じました。最後に僧正とが天国(?)にたどりついた時は、ゆ~っくりと白く明るく輝いていくグラデーションが荘厳でした。

 動画が使われるのは知っていたのですが、まさか床に映すとは!ヤられたな~。タイムトリップのシーンはちょっと時間的に長い気がしましたが、ダイナミックで良かったです。

 役者さんは、全員が早口であせっているように見えました。しっかりじっくり見せて聞かせれば面白いところばかりでしたので、自信を持って臨んでもらいたいです。ギャグは特に、もうちょっと頑張ってもらいたかったです。また、役者さんの技術に差があり、主役以外は完全な脇役という風に感じられたのは残念なことでした。

 山田伊久磨さん(エッヘ)。見事な僧侶役でした。大量の難しいセリフをしっかりかみ締めて語られていたので、死を怖れない、証し(あかし)を得るために生きる主人公“恵教”そのものに見えました。他の舞台では、ほぼ全裸(ブリーフ姿)の伊久磨さんしか印象に無かったので(笑)、堂々たるお姿にずっと魅せられていました。お笑いやコント等で大変ご活躍ですが、これを機にストレートプレイの世界にも進出していって頂きたいです。
 田中聡元さん(ラブリーヨーヨー)。僧兵の常陸房役。根っからの目立ちたがり屋さんなのでしょうね。生き生きのびのびしてらっしゃいました。明るくって本当に素敵。
 ザンヨウコさん(危婦人)。キュートで包容力のある女優さんです。コメディセンスが抜群。ザンさんが出てくる度に嬉しくなりました。

作・演出/栗原明志 作曲/真鍋尚之
出演/山田伊久磨(エッヘ) 田中聡元(ラブリーヨーヨー) 土井俊和(劇団BISHOP) ザンヨウコ(危婦人) 鈴木勝比古  前里瑛一 宮久保祐紀 坂巻秀人 佐藤樹呼 黒田倫代
演奏 笙/真鍋尚之 打楽器/多田恵子・藤田一行 ダンス バレエ/市山美沙 ベリーダンス/高尾洋香・石神明子 スタッフ 総合美術監督/美澤修 演出補/スギタクミ(危婦人) 演出助手/土
井俊和・金野潤 殺陣指導/島口哲朗(剱伎衆かむゐ) ベリーダンス振付/海老原美代子 舞台監督/小野八着(Jet Stream) 音響/中村嘉宏(atSound) 照明/松本大介 衣装製作/ジョーメグミ(危婦人) 宣伝写真/コスガ・デスガ 書/鈴木康予 制作/小林千晶・タンタン・花田裕美・林愛華・渕上愛亜 プロデュース/猪川哲一朗 企画製作 office bishop
office bishop:http://www.office-bishop.com/

Posted by shinobu at 16:49 | TrackBack

2004年08月01日

道学先生『エキスポ』07/28-08/01紀伊国屋ホール

 劇団道学先生は今までも結構気になっていたのですが、なぜかご縁が無く、紀伊国屋ホール進出という機会でやっと伺えました。
 劇団の座付き作家である中島淳彦さんは色んなところに脚本提供されています。今回の演出は青年座の黒岩亮さんです。

 時は1970年、舞台は宮崎県のとある田舎の純和風の家の居間。奥の壁に白黒の幕(鯨幕)がかかっていて、喪服姿の女がバタバタと忙しそうに働いている。
 幕が開いた時に既に誰かが亡くなっていて、その人のお通夜からお葬式にかけてのシチュエーションコメディーというのは、演劇じゃなくてもよくある形式ですよね。色々予想通りの展開だったので中盤ぐらいまでは退屈でした。でも、終盤から”良く出来た形”がガラガラと崩れて行き、最後は名優・湯浅実さんがしっかりと締めてくださり、ほろりと涙できました。すごいですね~・・・こういうのを大人が安心して楽しめる作品というのでしょうか。

 亡くなった母親が連れ込み旅館(今でいうラブホテル)の女将だった、というのが上手い仕掛けですよね。誰にも言えない、隠されるべき、甘い秘密の宝庫ですから。

 九州男児って、こんな困ったちゃんばかりなのかしら・・・。私の周りにも九州出身の男性がたくさん居るんですが、ちょっと似てます(笑)。働かない、金もない、なのに口ばっかり達者で見栄っ張り(劇中の登場人物はこんな感じでした)。でも、憎めないんです。それどころかすごく可愛いんです。お世話したくなるんです。これだから女は負けっぱなしなんですよね~。

 エキスポとは、1970年に大阪で開かれた万国博覧会、略して万博(ばんぱく)のことです。私は大阪出身ですので岡本太郎氏が作られた“太陽の塔”にはすごく親しみが沸きます。三波春夫さんの“世界の国からこんにちは”は名曲ですよね!“月の石”が展示されていたというのは知りませんでした。

 キャッチコピーになっている「父ちゃん、人類の進歩と調和げな」という言葉は亡くなった母が最後に言った言葉で、何度もそのセリフが出てきます。70年代の日本で開かれた万博にはそういう気持ちが込められていたんですね。2000年代に入った世界は、変化のスピードがあまりに速く、しかも激しいので、そういう気持ちを味わう余裕がないというか、とどまる事ができづらい社会になっている気がします。でも、本当は自分で立ち止まって、自分から味わうべきなんじゃないかと思います。

 大西多摩恵さん。がんばって仕切る嫁役。ちゃきちゃき主婦を元気いっぱいに演じながら、作品全体を引っ張っていってくださっていたと思います。声がきれい。
 藤原啓児さん。東京で作曲家デビューした、妹の元・夫役。StudioLife公演でもすごく優しい演技をされているのですが、ここでもその優しさならではの滑稽さ・情けなさを楽しませてくださいました。

 まぼろしチャンネル内に「まぼろしの万博」ページがありました。

脚本:中島淳彦 演出:黒岩亮
出演:青山勝 辻勝八 藤原啓児 海堂亙 前田こうしん 東海林寿剛 照屋実 蒲田哲 田子裕史 本間剛 かんのひとみ 江間直子 大西多摩恵 湯浅実 
美術プラン:五郷順治 照明:大澤薫 舞台監督:尾花真 演出助手:齋藤理恵子 舞台監督助手:佐々木麻里 宣伝美術:いちのへ宏彰 美術:C-COM 制作:ジェイ・クリップ
劇団道学先生WEB:http://www.fan.hi-ho.ne.jp/doogaku/

Posted by shinobu at 20:07 | TrackBack

コットンクラブ『奪うこと』07/23-08/01THEATER/TOPS

 長塚圭史さんが“原案”だというのと、『ニュルンベルク裁判』@紀伊国屋サザンシアターで主演だった中嶋しゅうさんが気になっていたので伺いました。
 チラシのビジュアルやそういう前情報とは、かけ離れた内容だと感じました。私にはちょっと肩透かし、でしたね。

 癌を患う姉の治療のために仲間でお金を集めたのだけれど、なんと兄がその金で競馬をやり、全額スってしまった。パチンコ屋で働く妹が店の売り上げ金を盗もうと提案すると、みんな乗ってきて・・・。

 関わった仲間がそれぞれ個人的な理由でお金が入り用なのが微笑ましかったです。店の看板を新しくしたいとか、娘が医大に進学するための入学金が必要だとか。

 売り上げ金を持っていた男をゆするシーンで、「吐け!吐かないと○○するぞ!」という脅し文句に爆笑しました。「耳を切り落としたら血が耳の穴に入って、お前はもう耳が聞こえない」とか、「腹の上にねずみを置いてその上から鍋をかぶせる。その鍋をどんどん熱して、ねずみはすごく暑くなる。でも逃げられないからとうとうお前の腹を食い破って体の中に入って内臓を行ったりきたりするぞ!」とか(笑)。塩野谷正幸さんが素朴におどけた感じだったので、本当に笑えました。
 
 しかし、ラストを祭り太鼓にしちゃうのは・・・メタリック農家『男』@中野テルプシコールと一緒ですよっっ!!そんなことしちゃぁイカンと思うのです。

 朝倉伸二さん。実は、兄ではなく彼が「競馬で当てよう」と提案したのがバレるシーンで、「ごめんなさい!」と連呼するのが可愛いらしかったです。

原案:長塚圭史(阿佐ヶ谷スパイダース)
台本・出演:中西良太 演出:中嶋しゅう
出演:河西健司/あめくみちこ/小嶋尚樹/朝倉伸二/増田英治/塩野谷正幸
美術/加藤ちか 照明/沖野隆一 照明オペ/RYU CONNECTION 音響/藤田赤目 舞台監督/小林清隆(ジ・アクト) 太鼓指導/金刺敬大(は・や・と) 写真/安田末範 題字/梅津 榮 コピー/大貫千賀子 演出助手/藤原邦章 協力/ラヴァンス フレンドスリー オフィスピーエスシー オフィスボードビル シアター・ブラッツ 阿佐ヶ谷スパイダース 制作/コットンクラブ 企画製作/エム・アール ネルケプランニング
コットンクラブ:http://homepage2.nifty.com/cottonclub/

Posted by shinobu at 19:15 | TrackBack