“あなざーわーくす”と“山の手事情社”と“青年団”を合わせて「あなざ事情団」です。
“お客さまに私たちと一緒に『三人姉妹』を作っていっていただく「観客参加型」です”と公言しているちょっと個性的な作品です。
かなりドキドキしながら伺ったのですが、二人の女優さんに全身全霊でサービスしていただいて、思う存分参加(?)して、楽しませていただきました。私はペットボトルをずっと持ってました(笑)。以下、ネタバレします。
客入れの時から自然な感じで女優さんお二人が迎えてくださって、座席にも案内してくれます。こういうのは入り口に入った瞬間が大切ですものね。心得てらっしゃいます。
一番はじめに、ロシアの人々にとっての“モスクワ”について、“モスクワ塚”という爆笑オブジェを使って説明し、次に『三人姉妹』紙芝居であらすじ全てを教えてくれます。だから『三人姉妹』を知らなくても大丈夫。思いっきりくずした作品になっていますが(笑)ちゃんと楽しめると思います。
そして『三人姉妹』の中から3つだけシーンを取り出して演じられます。それぞれの間に“休憩”が挟まれて3幕ものになっていました。休憩の時は、女優さんお二人が舞台のど真ん中に寝そべってダベったりするんです。それも全部ネタなんですけれど、わかってても面白いんだな~。アドリブももちろんあります。
テレビ台の上に置く、テレビの向きを自由に変えるためのプレートを使っていたのが一番面白かったです。あれに体を乗せて回転するなんて・・・(笑)。役者はクリエイティブな職業だな~とつくづく思いました。いろんなアイデアと努力が結集して演劇は出来ていくんですよね。
演出家のわたなべさんが客席で音響オペなどやってらして、時々小道具を役者さんに渡したりします。役者さんは汗びっしょりの全力投球で演技されています。そういうのが手の届きそうな間近にあって、全部丸見えで、さらに自分も他の観客も参加しているので、なんだか劇場の中にいる人たちが全員友達になったような、不思議な連帯感が生まれていました。
心に残るのは女優さんお二人の優しさです。観客をうまく中に引き込んでいき、常に親切・丁寧な態度で、決して礼儀を忘れずに接してくださいます。だから色々やらされても全く不快ではないし、不快どころか楽しいんです。
ひとつだけ難を言わせていただくと、役者さんと一緒になって楽しんだので、めちゃくちゃ疲れました(笑)。1時間10分ぐらいの上演時間だったと思うのですが。終わってみると疲労困憊していました。それほどに役者さんが熱演でしたし、観客も本気で楽しんでいたのだと思います。
出演:倉品淳子(山の手事情社) 松田弘子(青年団)
構成・演出:わたなべ・なおこ(あなざーわーくす)
照明:岩城保 制作協力:菊川朝子(Hula-Hooper)紙芝居の絵:松田弘子 マトリョーシカ提供:倉品淳子
公演公式サイト:http://www.letre.co.jp/~hiroko/threesisters/