土屋亮一さんが作・演出するシベリア少女鉄道、略してシベ少。もう有名すぎてどうしましょ?!って感じの小劇場劇団です。
とにかく仕掛けが天下一品!見逃せないんですよね~。でも今回はそれほど感動しませんでしたね。なんか物足りなかった。
公演が終わっていますので基本的に(全面的に)ネタバレします。
舞台の両袖の面にテレビが計4台(だったかな?)設置されていましたので、今回も画像でやるんだなぁと、ちょっとがっかりな感じでの始まりでした。でも幕が開いて装置を見たとたん、私は爆笑(笑)。
『VR』って何?と思ってたんですが、アメリカのTVドラマ『ER』と掛けてたんですね。きれいな病院の一室に医者がいて、吹き替えドラマにそっくりの話し方でリアルに『ER』の世界を演じるんです。こういうネタとしては何度か観たことがありますが、ここまで立派に長々とやられると圧巻です。
そして『VR』は、Virtual Realityの略になってます。そろそろ『ER』のうさんくさい世界も飽きてきたなぁと思った頃に、実は今までの全てがネットでつながった対戦型のテレビゲームであったことがわかるのです。両脇のテレビでは、いまどきの普通の若者が「じゃぁ30分休憩ね~」と言って、それぞれに好きなことをしはじめる映像が流れます。コンビニに買い物に行ったり、ビデオレンタル屋に行ったり、壷を打ったり(笑)。皆がマイク付きイヤホンをつけたままでいるために、それぞれの声が画面(舞台)上の『ER』の世界でも流れてしまうというのが仕掛けです。
舞台上では若い医師たちが、予想外の事態に追い込まれて必死で働いているのですが、口から出るセリフは「巨乳」とか「弁当温めてください」とか「『タッチ』全巻、果たして読み終えられる?」とかなんです。演技とセリフのアンマッチが不謹慎な方向に行くほど面白かったですね。
こんなに内と外が乖離した演技をするのは大変だと思います。役者さん、ありがとうございます。でも面白いのでもっとやってもらいたい(笑)。
ただ、今回はそれだけで終わっちゃっいましたね。シベ少というと、こういう凝りに凝った仕掛けがあるだけではなく、真面目で前向きな主張もしっかりと差し挟まれている所が好きだし、凄いと思っているので、今回は残念だったな。
舞台装置は床をスライドさせて場面転換するのが秀逸です。下北沢駅前劇場でこういうのが観られるのってすごく嬉しいですね。
終演後に「すごいでしょ!映像は使ってるけど、これってテレビではできないよね、舞台だからできるんだよね!」って興奮気味に帰っていく観客がいましたが、そうは思わなかったですね。今回のアイデアは、やり方次第ではテレビでも実現出来るんじゃないかな。というか、ぜひぜひシベ少にはテレビでも活躍してもらいたいです。
こんなものを買った。-ムダ遣い日記- にレビューおよび関連サイトなどまとめてリンクが張ってあります。これほどネットでレビューが書かれる劇団って少ないんじゃないでしょうか。しかも皆さんめちゃくちゃ早くUPされてましたよね。
作・演出:土屋亮一
出演:藤原幹雄 横溝茂雄 前畑陽平 秋澤弥里 水澤瑞恵 篠塚茜 佐々木幸子 白井暁子 出来恵美 木田ゆう子 ほか
舞台監督/谷澤拓巳 音響/中村嘉宏(atSound) 照明/伊藤孝(ART CORE design)映像/冨田中理(Selfimage Produkts) 宣伝美術/土屋亮一 音源製作/霜月若菜制作/渡辺大 制作助手/保坂綾子・安元千恵 製作/高田雅士
シベリア少女鉄道:http://www.siberia.jp/