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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年11月21日

bird's-eye view『nu』11/19-21シアターサンモール

 内藤達也さんが構成・演出を手がけるbird's-eye view(バーズ・アイ・ビュウ)は、本公演とSecond Line(セカンドライン:短編コント集形式)という2種類の公演を打っていますが、今回は前回の三鷹公演に引き続きSecond Lineでした。

 今までと同じスタイルの作風ですが、演出の精度が高くなって、役者には余裕を感じられて、明らかに洗練されていました。
 きれいで、かっこよくて、楽しくて、笑えて、うっとりできたら言うことないですよね。改めてbird's-eye viewの原点を見たような気がしました。やっぱり可愛い女の子っていいな、おしゃれな男の子っていいな、きれいな衣裳っていいな、ハっとさせられる美術っていいな、笑えるって気持ちいいなって。最初から最後まで、すっかり安心して楽しませていただきました。そして、ちょっと笑い疲れた(笑)。

 舞台は2方向から客席に挟まれた真っ白の正方形。平たい舞台上にまんべんなく、縦4本×横4本で計16本の白い三角コーンが等間隔に置かれています。コーンの先端と先端をつなぐ棒を使って空間を区切り、また、照明が仕込まれた白いコーン16本が役者の動作・演技、舞台転換にあわせてそれぞれに点滅するのは見事です。衣裳は舞台の白に映える黒で、空ける素材を使ったグランジ系ドレススタイル。役者一人ずつデザインが変えられています。ポイントにショッキングピンクを加えているのもキュート。ヘアメイクも凝っており、観ているだけで嬉しくなります。そういえば今までよく使われていた映像はありませんでしたね。

 具象的なものが何もない舞台で、あるルール(架空のナンセンスな設定)を決め、その範囲内および外で、匿名の若者たちがそれぞれに主張しあい、短編ごとに独特の世界が作り上げられます。観客が感じる情報の大部分が抽象的なので、観ているだけでもけっこう想像力を使いますね。笑い満載の短編の間に挟まれる身体表現のみのシーン(ダンスも含む)はとても美しいです。

 ピエールこと杉浦理史さんのお馴染みキャラ“まーくん”は完全にひとつのイメージとして確立された感がありました。Second Line常連の櫻井智也さん(MCR)のドスの利いたつっこみはいつもながらスカッと爽快です。人気コーナー“ポスト・ポンキッキーズ”の客演役者いじりも嫌みがなく、いじられる方もアドリブが非常に上手いので存分に笑えました。

 岸田健作さん というテレビに出てらっしゃる俳優(タレント?)さんが出演しているのですが(山本卓(アフロ13)とダブルキャスト)、bird's-eye viewのメンバーとは明らかに毛並みが違いました。異物が混入しているとも言える状態が、さらに作品の幅を広げていたと思います。これもbird's-eye viewという集団の作り出す世界が、ひとつの確かなものとなってきたからでしょう。

 岩渕敏司さん(くろいぬパレード)は今まで観た中で一番魅力的でした。ブラジルで観たときよりも良かったのは意外でしたね。
 山中郁さん。マイクで舞台上の人物のセリフを朗読するのですが、きちんとした発声とかつ舌でとても気持ちよかったです。

構成+演出:内藤達也
出演:杉浦理史 小野ゆたか 山中崇 宮本拓也 日栄洋祐 明石修平 松下好 金崎敬江 山中郁 中村早千水 後藤飛鳥 有川マコト(絶対王様) 岩渕敏司(くろいぬパレード) 櫻井智也(MCR) 小松田あこ 岸田健作/山本卓(アフロ13) (ダブルキャスト)
舞台美術/秋山光洋 照明/榊美香(I's) 音響/佐藤春平(SoundCube) 舞台監督/田中政秀(TEAM COWBOY) コスチューム/伊藤摩美 宣伝美術/草野リカ(alon) プロデューサー/赤沼かがみ 制作/眞覚香那子 保田佳緒 熱海静恵
バーズ・アイ・ビュウ:http://www.b-ev.net/

Posted by shinobu at 2004年11月21日 19:25 | TrackBack (0)