ペテカンは舞台芸術学院出身の劇団です。本田誠人さんが作・演出されています。来年で10周年だそうです。
今回はペテカン初の2バージョン公演。私は男バージョンの初日(公演の初日)に伺いました。
舞台は小ぎれいなマンションの一室。若い男の子達がたわいもない雑談をしたり、ふざけあったりしながら暇な時間をもてあましている。実はそこは男性向けの出張ヘルスクラブの事務所。客からの電話を待ってゲイの男の子達がスタンバイしているのだ。
いやー・・・ペテカンで男娼とは・・・・。ちょっぴり衝撃でした(笑)。ペテカンというと私にとっては若い男の子と女の子達のまっすぐで切ない青春!甘酸っぱい恋!すかさず胸きゅん!とういイメージなので。といってもこれは数年前に観た『嘘みたいな月』の印象なんですけどね。大好きな作品です。
ゲイの恋愛って、映画、小説、漫画など、本当に沢山の分野で表現されていますよね。演劇では上演されていない時期がないぐらいメジャーなテーマです(有名どころだと『蜘蛛女のキス』や『Angels in America』など)。で、この『やわらかな・・・』は、可愛らしい男の子同士の若々しい恋!いや~ん麗しい~っっ!少女漫画のゲイの世界ですね。やっぱ美形はイイよっ!超ミーハー気分になって、テレながら凝視しちゃってました(笑)。女の子には目の保養になるかも♪
ここから所々ネタバレします。読んでから観に行ってもさほど支障はないと思います。
篠原(斎田吾朗)がノンケのミサキ(石曽根有也)とふざけて相撲をとっていたら、だんだん盛り上がってチークダンスに発展し、ほぼ抱擁にまでなっていくシーンは、「いや~ん、ステキィ~っ」ってゾクゾクしちゃったよっ!音楽は明るい目のロック・ミュージック(かな?)で、あくまでも楽しく元気な感じなんですが、照明が舞台奥もしくは横から少しだけ照らしているので、客席からは顔がかすかに見える程度のほぼシルエット状態なんです。篠原が誰と踊っているのかがわからないから、すごくセクシーなんですよね~。
丹野(若狭勝也)が篠原にひざまくらをしてあげながら、篠原の髪をいとおしそうになでるシーンは、素朴で暖かかった。
お話の内容はキャッチコピーにあるように「丹野友則は篠原幸伸が好きだった。ただそれだけのこと」。楽しいおしゃべりで盛り上げながら淡々とゲイの男の子達の日常を綴っていくシンプルなものです。ペテカンのお芝居では「おしゃべり」が大きな要素を占めていて、その中からほんのりと登場人物一人一人の本当の気持ちが感じとられるのが見所です。でも、いつもそれが上手くいくとは限らないんですよね。例えば今回は、クリスマス・パーティーを事務所でやることになって、男の子達がそれぞれで出し物としてコスプレ(?)をするのですが、笑いのためのネタ紹介のように見えました。キャラクター勝負の感もあり、私はあまり楽しめなかったですね。
音響にこだわりを感じました。いい歌を沢山使っていて、よく曲に合わせて演技をしていました。ファミコンの「マリオ・ブラザーズ」をプレイしながら、そのゲームの進行とセリフのやりとりを組み合わせていたのも面白かったですね。しっかり稽古をされているんだろうなぁと思います。ただ、会話や所作が、踊りの振付のように決められているのが見えてしまうと、リアルな世界が一気に崩れてしまいます。リスクが大きいですよね。
斎田吾朗(ときた・ごろう)さん。浮気者の篠原役。全体的に線が細いイメージ。ひょろっとしていて背が高い。目がクリっと大きい。茶色い髪が鼻の頭までかかっている、ふんわりとしたヘアスタイル。・・・イケメンですよ、イケメン!ちょっと怒った顔がまたカッコいいんですよね~、目に力があるから。斎田さんはいつもちょっと三枚目風味なので、今回のように二枚目路線まっすぐというのは私にとっては願ったり叶ったりでした。
若狭勝也さん(KAKUTA)。篠原を一途に愛している丹野役。KAKUTAでも育ちのよい青年役がぴったりの美形男優さんですが、今回もやはり期待を裏切らない、麗しい若きオノコでございました。目がうるうるしてるのがイイ!笑顔が優しい!
本田誠人さん。とさか頭のボブ役。一人芝居が面白かったです。何でもお上手だなーと思います。
女バージョンは、男バージョンと脚本はほぼ同じだったけれども、全然違う空気感の作品に仕上がっているそうです。
作・演出:本田誠人
男ver. 出演:斎田吾朗 若狭勝也 石曽根有也 大治幸雄 本田誠人 福山俊郎(そとばこまち) 堀正哉 恩田隆一 (ONEOR8)
女ver.高山奈央子(KAKUTA) 長峰稔枝 山田佑美 羽柴真希 四條久美子 濱田龍司 笹峯あい(Cast Corporation) 吉田麻起子 (双数姉妹)
美術・舞台監督:濱田 龍司 照明:横幕絵美(満平舎) 音響:斎田吾朗 高橋秀雄(SoundCube) Photo:三浦麻旅子 舞台装置:堀正哉 大治幸雄 web:羽柴真希 演出助手:四條久美子 宣伝美術:田村奈巳 Artist Management:クリオネ 制作:大場裕美 高田喜絵 企画・製作:ペテカン 後援:文化放送
ペテカン:http://www.petekan.com/