2004年02月15日
裸伝Q『夜のドウブツたち』02/12-5新宿パンプルムス
裸伝Q(はだかでんきゅう)は鍋島松涛さんのプロデュース方式の演劇ユニットです。今回は私が制作をしているRel-ay(リレイ)の役者、桜井昭博が出演させていただきました。
結婚式の帰りに友人が酔っ払って階段から落ちてしまった。待合室で手術が終わるのをずっと待っている。久々に再開した大学時代の同級生たちの会話。
学生時代、劇団で芝居をやっていたけれど卒業後は皆それぞれの道へと進み、サラリーマンになっていたりアルバイターだったり。私はお芝居を題材にした演劇ってちょっと苦手なんですよね。
最後の爆発に至るまでずーっと静かな時間が流れていましたが、ちょっともったいない気がします。中盤に少しぐらい盛り上がるところがあればなーと思いました。
オープニングの裸電球と緑の照明がすごく面白い演出でした。エンディングも白いゴミ袋から明るい照明が煌々と透けて照ってきれいでした。
中盤で役者さんが下手にはける時の、突然脈絡無く小走りするような動作は面白いですね。たしか前に見た『該当者ナシ』でもそういうのがあったような。
作・演出:鍋島松涛
出演:日高啓介 桜井昭博(Rel-ay) 森竜太郎(たくま社宅) 智恵 三谷智子
舞台監督:因幡能敬 照明:松本永(光円錐) 宣伝美術:大西由美子 制作:大神舞子
劇団HPはないようです。
ブラジル『バレンタインデー・キス』02/11-16王子小劇場
ブラジリィー・アン・山田さんが作・演出をする演劇ユニットのブラジル。所属役者さんは辰巳智秋さんお一人で、毎回他劇団から役者さんを集めるプロデュース形式です。
今回も確実に“苦笑系”演劇でした。いっぱい笑ってとっても面白かった上に、なんと、涙が出てしまいました。
女子高生がバレンタインチョコを渡そうと意中の彼を倉庫に呼び出したが、なんとその倉庫は銀行強盗たちの集合場所でもあった。何もかもが上手くいかず、予定外の鉢合わせとドタバタの連続。
犯罪ものを本筋に、青春ラブ・コメディー路線とアンダーグラウンドな設定を盛り込んだ、先のわからないエキサイティングな展開。芸達者な役者さんの個々のファインプレイが生々しさをさらに盛り上げます。破廉恥なセリフや演技(そしてあの小道具)も、こっ恥ずかしさを感じつつ苦笑させていただきました。
とにかく役者さんが体を張っています。ダンボール箱が所狭しと転がる舞台で、トラブルが常に起こっているような状態。段取り通りの演技をすることがまず困難です。プロデュース公演にありがちなキャラクター勝負に陥ることを防ぎ、一人一人の個性は生かしながらも一体感のある作品に仕上がっているのは、脚本と演出のしたたかな狙いだと思います。
なぜ涙が出ちゃったのか自分でも理解不可能でした。今考えると映画『ラストサムライ』と同じものを感じたような気がします。暴力、暴力、暴力、その空しさ。どうでもいいことに必死になる人間の滑稽さと悲しさ。舞台上の役者さんたちの生の熱さがそれを本物として伝えてくれたのではないでしょうか。
王子小劇場の個性をうまく利用した美術ですね。お値段も安く抑えてらっしゃるのでしょう。だけど臨場感ばっちり。
ラストに流れる音楽「守ってあげたい」が効果的。
前述のとおりトラブル続出で段取り通りにいかないことが多かったからか、途中で不自然に止まっているようなこともありましたが、それは気になりませんでした。
辰巳智秋さん。チョコを渡したい女子高生役。おデブ体型のキュートなセーラー服姿で、反射神経と柔軟な演技と爆発力がすごいです。
作・演出:ブラジリィー・アン・山田
出演:辰巳智秋 佐藤亜紀(bound) 岩渕敏司(くろいぬパレード) 近藤美月(bird's-eye view) 伊藤伸太朗(チャリT企画) 内山奈々(チャリT企画) 武藤心平(クロム舎) 日栄洋祐 安元遊香(Saliva) ハセガワアユム(caprico)佐藤春平(少年社中) 白坂英晃(はらぺこペンギン) 近藤英輝(双数姉妹) 中谷真由美(シアトル劇団子) 小田さやか 久保貫太郎(演劇弁当猫ニャー) 石川ユリコ(拙者ムニエル)
音響:島貫聡 照明:シバタユキエ 舞台監督:鈴木たろう 衣装製作:太田家世(自由創作師) 宣伝美術:川本裕之 宣伝写真:岩崎詩子 チラシモデル:佐藤亜紀 演出助手:恒川稔英 制作:吉野礼・ブラジル事務局
ブラジル : http://www.medianetjapan.com/10/drama_art/brazil/