2004年03月11日
珍しいキノコ舞踊団『FLOWER PICKING』03/10-14CLASKA
珍しいキノコ舞踊団は伊藤千枝さんが構成・演出・振付する女の子ばかりのコンテンポラリー・ダンス・グループです。新作を発表する度に話題沸騰ですよね。今回の舞台は今、話題のホテルCLASKA(クラスカ)。チケットは早々に完売していました。
楽しかった~・・・。力の抜け具合がかっこいいです。珍しいキノコ舞踊団の作品はこれまでに2度拝見しているのですが、構成、美術など空間演出が優しくてふんわりしてて可愛くて、それでいてピリリと刺激的。絶対に見逃したくないって思わせます。この人たちを嫌いな人いないんじゃないかな。
それでは、いろいろネタバレしますがご容赦ください。
クラスカの1階ロビーにいつもはない大きなテーブルがあるな~と思ってはいたのですが、まさかそこでダンスが始まるとは!通路にいた観客は「出てきた!」とばかりにそのテーブルに集中しましたが、ロビーのお客様が得等席でしたね。う~ん入っていれば良かった~。キュートな女の子達が楽しくお茶をしてるかと思ったら徐々に激しくダンス。衣装も可愛い!
ダンサー達はエレベーターで2階へ移動。観客も後からぞろぞろと階段で2階へ移動。これがのろのろで窮屈だし不恰好(泣)。でも2階ギャラリーに入ると誘導の間ずっと伊藤千枝さんが持ち歌(笑)を何曲も披露してくださり、観客もリラックスして席に着きました。そのままふんわりと歌が歌われる間にダンスが始まりました。このさりげなさと気楽さがいつもすごいと思います。
全体的に白でまとめられたギャラリーに小さなお部屋やソファ、すべり台。いつも通り活発にに繰り広げられるキュートなキノコダンス。
衣装はいつも素敵ですが今回はピンクが多かったですね。グレーの使い方が上手だなーと思います。ナイキの靴もかっこいい。
観客を移動させたり躍らせたり動画中継したり、盛り沢山にもてなして下さいました。ダンサー達の可愛らしい歌声もご披露。終演後のワンドリンクも余韻を楽しむ最高の演出でした。ダンスをしたギャラリーにそのまま残っていいし、実際に使われた音楽がかかっているし。
色々語りたくなることの多い作品でしたが、中でも新人の女の子(篠崎芽美)のソロがすごかった。♪グライダー~♪というような日本語の歌詞の激しいロック音楽に乗せて、音楽同様に激しく止まることなく踊り続けるのです。あどけない、みずみずしい笑顔の小さな女の子の体から溢れ出す人間の体のダイナミズムを目の当たりにして、私の目からは涙が溢れて溢れて前が見えなくなりそうになって「やばい!踊りが見えない!」と焦りつつ、やっぱり涙は止まってくれることなく・・・。最初からなんか異色な子がいるなぁとは思っていたのですが、まさかソロでこんなに踊るとは。必見です。
構成・演出・振付:伊藤千枝
出演:井出雅子/山田郷美/佐藤昌代/飯田佳代子/篠崎芽美/伊藤千枝
演出助手:小山洋子 舞台監督:野口毅 楽曲提供:ammakasie noka 照明:関口裕二(balance,inc.DESIGN) 照明オペ:木藤歩(balance,inc.DESIGN) 音響:金子伸也 浅田耕作 美術:久保英夫 美術協力:鶴見泰裕 萩原安雄 衣装:NEW WORLD SERVICE(清水美枝子 小松真紀 宮部恵) 映像効果:藤本康生 宣伝美術・イラスト:生意気 伊藤桂司 スチール:アーノルド・グロッシェル 片岡陽太 映像収録:熊澤森郎 チャーリー 岡田準一 制作:パブロフ(大桶真 長谷川純子) 制作協力:カンバセーション(前田圭蔵 久保風竹)
珍しいキノコ舞踊団 : http://www.strangekinoko.com/
Studio Life『MOON CHILD -月の子-』03/04-16アートスフィア
『月の子』は清水玲子さんのSF少女マンガ大作です。これを舞台化しちゃう倉田淳さんって毎度の事ながら本当に偉大だと思います。
2002年が初演で今回が初の再演。私は初見です。
満月の晩、ニューヨークに3人の天使が舞い降りた。人魚族の子供たちが200年に一度の産卵期をむかえ、生まれ故郷の地球に帰って来たのだ。1980年代に実際に起きた事故とアンデルセンの童話「人魚姫」をからめた壮大なスケールの恋物語です。
休憩をはさんで3時間強、お尻はさすがに疲れましたがお話が確実に面白いので最後まで楽しく拝見しました。ラスト30分ぐらいはラブも事故も白熱ですよね~。日本の少女漫画の大切な要素を歪曲することなく伝えてくれる倉田さんのセンスは、いつもまっすぐで素敵です。そこを信じているからスタジオライフ通いはやめられません。
でも今回は面白いと感じられるまでが長かったですね。特に幕開けが弱いと思いました。主役の人魚ベンジャミン(及川健)が恋に落ちる人間の男アート(姜暢雄)が心もとなくって、観ている方がどぎまぎしちゃいました。前半も終わりの方、ティルト(笠原浩夫)が出てきてからやっとスタジオ・ライフらしさが復活したような。
『トーマの心臓』@アートスフィアでも感じましたが舞台空間が埋まってないですよね。満月や原発事故の写真、水や魚の動画などきれいな画像が次々と大きく映し出されましたが、世界全体を変える要素にはなっていませんでした。スタジオライフ作品だと紀伊国屋ホールでも紀伊国屋サザンシアターでも感動したんだけどなー。東京芸術劇場小ホールもすごく良かった。シアターサンモールは最高でした。スタジオライフの複雑かつ繊細な耽美的世界を表現するためにはアートスフィアは大きすぎるのではないかしら・・・。
私が観たのはSerenade(A)チーム(笠原浩夫さん、曽世海児さん、山崎康一さん目当て)です。ダブルキャストですのでキャストによって感想も全然違ってくる気がします。
笠原浩夫さん(ティルト役)。安定した演技で決してはずさない。やっぱりこの人が決め手ですねー。松葉杖が倒れるハプニングもサラっと自然にこなしてくださいました。
曽世海児さん(ショナ役)。どうしちゃったのかしらと思うほどズレてましたね。いつものかっちりした演技が逆にクサくなっちゃって。ファンとしては残念な限りです。
山崎康一さん(ティルトに横恋慕するリタ役)。ひとつひとつがとても丁寧。いつもキャラクターがしっかり作られていてお上手だと思います。素敵です。
姜暢雄さん(アート役)。ルックス&人気重視ということで目玉俳優さんのようですが、私はあんまり・・・。セリフも動きも軽い気がします。
山本芳樹さん(セツ役)。なよっとした輪郭が耽美派美少年ストーリーにはまるのかもしれないですけど、私はちょっぴり苦手です。姜さんと同じような意味かもしれません。
パンフレットでも少し触れられていましたが清水玲子さんの『ジャック&エレナ』シリーズもいつか舞台化? 絶対観たい!数バージョン作られちゃったら困るだろうなー(笑)。
[原作]清水玲子 [劇作・脚本・演出]倉田淳
[出演]〈Aチーム〉[出演]笠原浩夫/及川健/姜暢雄/曽世海児/山本芳樹/奥田努/佐野考治/山崎康一/他 〈Bチーム〉[出演]伊藤高史/及川健/岩崎大/高根研一/舟見和利/小野健太郎/深山洋貴/石飛幸治/他
美術:松野潤 照明:森田三郎 舞台監督:北条孝、土門眞哉(ニケステージワークス)、倉本徹 音響:竹下亮、中田摩利子(Office my on) ヘアメイク:角田和子 衣裳:竹原典子、今村あずさ、矢作多真美 照明オペ:森川敬子、エルプス ベルント、松本大介 ムービング:(有)ライトオープン 美術助手:小野寺綾乃 映像アートディレクター:河合恭誌(VIA BO, RINK) 宣伝美術:河合恭誌、菅原加奈(VIA BO, RINK) 宣伝写真:峯村隆三 デスク:釣沢一衣、岡村和宏 制作:稲田佳雄、中川月人、赤城由美子 CUBE STAFFプロデューサー:北牧裕幸、高橋典子 制作:北里美織子 宣伝:米田律子 制作協力:RICOMOTION
Studio Life : http://www.studio-life.com/