2004年04月22日
Bunkamura『カメレオンズ・リップ』02/6-29シアターコクーン
堤真一さんと深津絵里さんを迎えてのケラリーノ・サンドロヴィッチさん(以下、ケラさん)初Bunkamura進出作品。
立見席も満員状態で沸き立つシアターコクーンでした。笑いがいっぱい、仕掛けもいっぱい。3時間は体力的につらかったですが、心から満足でした。
森の中に豪邸に住む若い男ルーファス(堤真一)は、嘘ばかりついて生きていた姉(深津絵里)に心を寄せていた。しかしその姉が失踪してしまい、数年が経った頃には彼は立派な詐欺師になっていた。ある日、姉の前夫(生瀬勝久)とその新しい妻(犬山イヌ子)が訪ねると、そこにはルーファスだけでなく使用人セルマ(深津絵里)も住んでいた。
途中休憩まで観たところで9,000円は安い!と思いました。ケラさんの演劇への妥協のないこだわりとエンターティナー精神、何よりも観客へのサービスに大感激です。
まず最初に舞台を見ると下手に家の壁がそびえ立ち、中央はその家の中庭らしき空間になっていて、庭のまわりは緑で覆われいていました。あぁ、これだけで最後まで何の変化も無くシチュエーション・コメディーになるのかな、ちょっと残念・・・などと思っていたら嬉しい誤解でした。実は下手の家は回り舞台になっていて、巨大な装置がグルっと動き、部屋が舞台中央まで開いて出て来たんです。わおっ!大胆!!
プロローグが終わると、コクーンの大きなプロセニアム・アーチ全てを覆うスクリーンに映し出されるオープニング映像が始まりました。いつものナイロン100℃クオリティーでウキウキわくわく。期待を裏切らないし、ナイロン・ファンとしては嬉しい限り。
家の中も仕掛けが多用されていて、大きな熱帯魚が泳ぐ水槽はそれだけで豪華でしたし、ポルターガイストで皿が割れるのや、犬山イヌ子さんが打たれた時に肉片が飛び散ったのもスゴかったな~。
そしてコクーンといえば水。そう、水、水、水!藤原達也さん主演『瀧の白糸』や松尾スズキさん作・演出『ニンゲン御破産』なども記憶に鮮やかですが、ほんっとーに遠慮なく、存分に水を楽しませていただきました。生瀬さんのエンドレスおしっこは強烈でしたし(笑)、最後の雨はすごく長時間で舞台全体に降っているようでしたよね。大雨の中、白いシャツを着た二人(堤&深津)がびしょぬれになりながら濃厚なキスをします。大スターが、白いシャツを着て、びしょ濡れになって、濃厚なキスを、長時間。これがファンサービスでなくて何でしょう!?どんなお客様も満足するはずです。ケラさん、すごい!したたか!!
役者さんの演技等ついて。2大キャストの堤真一さんと深津絵里さんがちょっと心もとない感じでした。私は特にファンというわけではないのであまり気にならなかったのですが、一緒に観に行った友人たち(堤&深津ファン)は「あれじゃあ堤さんじゃなくてもいいし、深津さんじゃなくてもいい役だ」という感想でした。なるほど、確かにそうかもしれません。犬山イヌコさんと山崎一さんというケラさん作品の常連さんがいたから、作品全体がケラさん色(ナイロン的)になっていたのかもしれないです。堤さんが深津さんの弟役、というのにちょっとムリがあったんじゃないかな~。なにしろ堤さんが深津さんの細い腰をグッと広い腕で抱き寄せるのがドキっとするほどカッコ良くってですねぇ・・・とても弟だなんて思えません!!はぁ~思い出しても恍惚のため息です。イイ男ってこういことなのねーっ。
余貴美子さんが、ポルターガイストにおびえつつ、庭の蛇口から火花が飛び散るのを見て「・・・きれーっ!!」と叫んだのは最高!大拍手してしまいました。
途中休憩の後、後半が始まる時の照明と映像がものすごくきれいでした。キラキラ光る映像が家の壁に映し出されて、その上から照明で色をつけていたのだろうと思うのですが、本当に本っ当に美しくて、まるで星空を眺めているような気持ちになりました。隣の友人に「ほら!きれい!!」と指差して話しかけちゃったほど(笑)。
ケラさんの作品を観る度に、ケラさんのことを好きになっている気がします。
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:堤真一、深津絵里、生瀬勝久、余 貴美子、山崎一、犬山イヌコ、木村悟 林田麻里
音楽:伊藤ヨタロウ 美術:中越司 照明:原田保 衣裳:前田文子 ビューティー・ディレクター:柘植伊佐夫 映像:上田大樹 新見文 殺陣指導:田尻茂一 川原正嗣 前田悟 演出補:福澤諭志 演出助手:山田美紀 舞台監督:青木義博 企画・製作:Bunkamura 主催:TBS Bunkamura
文化村 : http://www.bunkamura.co.jp/