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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2004年04月27日

reset-N『裸のランチ』04/15-18シアタートラム

 ハードなテキストと達者な役者さん、スタイリッシュな照明・音響で洗練された空間をプロデュースしている劇団。
 大ファンなので賛助会員(Support-N)になりました。

 ウィリアム・S・バロウズ著『裸のランチ』というと、アメリカのビートニク文学(50年代末から70年代にかけてアメリカの若者の間で流行)で、難解な作品だということだけは聞いたことがありました。デーヴィッド・クローネンバーグ監督が映画化したのが有名ですが、私は怖がりだったので見ていません。
 小説なのかエッセイなのか曖昧な作品のようで、なにしろバロウズさんご自身があらゆる覚せい剤を試した人であり、ウィリアム・テルごっこで自分の奥様を射殺とかしちゃったようなパンクな人物なのです。

 『裸のランチ』の登場人物、『裸のランチ』の著者バロウズ、『裸のランチ』を上演しようとしている男(夏井さん?)、が同一舞台上に存在します。そしてそれを見ている観客、というのも最後には重なってきて、非常に構造的に複雑な作品でした。それでいてライブ感覚が極上なんですよね。

 舞台はシアタートラムをほぼそのまま使っていて、内容とすごくマッチしています。舞台奥の壁のど真ん中にある搬入口(シアターコクーンにもありますよね)の真っ赤な扉がポイントですよね。
 照明については、いろ~んな種類の照明器具(パトカーについている回って光るライト、じわ~っと点灯・消灯する蛍光灯など)が、それ自体が舞台装飾になるように設置されています。主張のある照明プランだったな~・・・。ホントかっこいいです。渋いです。舞台美術・照明・音響のトータルデザイン(Massigla lab.)という形なんですね。納得です。

 見終わってから色んな場面が次々と思い起こされて、一体何だったのかよくわからない状態になったのですが、一つだけしっかりと体に残っていた感想は、すごく官能的だった、ということです。ストイックでクールな大人のエロティシズムでした。今思い出しても背筋から首、後頭部にかけてじ~んと来る感覚がよみがえります。

 すごく共感したシーンを1つ。イスに座っている人たちが一つずつずれて移動していき、しばらくは順調に居場所の交換をしていくのですが、何かの拍子で突然一人だけ仲間はずれになります。人間はそうやって仲間を作り、同時に排除していくのだと思います。

 看板女優の町田カナさん。コケティッシュでエキセントリックでセクシー。そして演技も巧い。あぁなんて美しいおみ足。めちゃくちゃカッコいい女優さんだと思います。

脚本・演出:夏井孝裕
出演:町田カナ/久保田芳之/原田紀行/平原哲/文珠康明/奥瀬繁(幻の劇団見て見て)
舞台監督:小野八着(Jet Stream)  グランドデザイン:Massigla lab. (舞台美術・照明・音響のトータルデザイン) 照明協力:木藤歩(barance,inc.) 音響協力:荒木まや(ステージオフィス) 演出助手: 浅香実津夫・山本将也 宣伝写真:山本尚明 宣伝美術:鶴牧万里 company posse:篠原麻美・坂本弓子・吉川和海 制作:秋本独人 制作協力:BankART1929 酒井著作権事務所 製作:reset-N
リセット・エヌ:http://www.reset-n.org/

Posted by shinobu at 22:38

NANYA-SHIP+ウォーキング・スタッフ『カトル(Quatre)』04/16-25HEATER/TOPS

 女優の南谷朝子さんとウォーキング・スタッフのプロデュースです。
 今回はとにかく佐藤康恵さん!きれいで可愛くてスタイル抜群で、もー・・・ずーっと彼女だけを見つめてしまいました。

 『楽屋』(清水邦夫 作)というお芝居を上演している劇場の“楽屋”でのお話。主役を除く3人の女優が、同じ楽屋でそれぞれの初日明けを迎えていた。どうやら上手くいかなかったようで、初日打ち上げも開かれない。1人は「もう出ない(降板する)!」と言って帰ってしまった。次の日の夕方、見知らぬ女が尋ねてきて・・・。

 和田憲明さんのお芝居での役者さんは、いつもすごく生々しくてリアルに感じます。私は生っぽいのはちょっと苦手なのですが、ウォーキング・スタッフでは皆さん本当にうまいと思うんです。劇団ではないので公演ごとに出演者が変わるのですが、毎回そう感じます。何か特有の技術があるのでは??と非常に興味津々です。どうやら公演前に勉強会(オーディションも含む)を開催されているようのなので、そこに行かれればノウハウがわかるのかも。

 ストーリーは、いつものウォーキング・スタッフに比べると最後がちょっと弱かった気がしますが、ここでしか味わえない手に汗握るスリリングな演技対決は、変わらないクオリティーだったと思います。脚本は『楽屋』を題材に新たに書かれたものですよね。登場人物一人一人の設定が非常にきめ細かく作られているからリアルに感じられる、というのもあると思います。

 キッコ(有森成美)が突然に豹変して舞台メイクをしだしたところが私は一番好きでした。それまでは有森さんの嘘っぽい演技がしっくりこなくてイライラしちゃったりしていたのですが、それも全部計算だったのね~。

 佐藤康恵さんの美しさ、可愛さにノックアウトされてしまいました。『ウィー・トーマス』@パルコ劇場で初めて拝見して、きらきら光っているお顔や体(スタイル)に感動していたんですけど、今回はそのお姿を、ほぼかぶりつき状態で堪能させていただきました。いやー・・・私は女性ですしノーマルなんですが、本当に穴が開くんじゃないだろうかと思うほど佐藤さんの体を見つめていました(笑)。だってほんっとーーーーーに、きれいなんだもん!白いレースのキャミソール姿でずーっと舞台上にいるんですよ!?男性必見ですよ、マジで。私、あんなに女性の体に見とれたことないです。
 いや、演技もものすごくお上手で、私も一緒に怖くなったり怒ったり、完全に佐藤さんのペースにはまっていました。ハマる、というよりは、味方になっていたような・・・。とにかく注目の女優さんをまた見つけられました。

脚本・演出:和田憲明
出演:有森也美 佐藤康恵 植松真美 南谷朝子
照明:佐藤公穂 松村光子 音響:早川毅(ステージオフィス) 音響プラン・オペレーション:長柄篤弘(ステージオフィス) 舞台美術:塚本祐介 舞台監督:八重樫慎一 演出助手:小川いさら 小道具:四方智子 衣装:沢木祐子&安才由紀(スタイリストオフィス・バース) 特殊効果:Vanity Factory 宣伝美術:ラヴ&ピース川津 写真:アライテツヤ 制作協力:ネルケプランニング 石井光三オフィス 制作:石井久美子 松田誠 企画製作:NANYA-SHIP+ウォーキング・スタッフ
THEATER/TOPS:http://members.at.infoseek.co.jp/theatertops/
問い合わせ:(有)石井光三オフィス

Posted by shinobu at 22:13