2004年06月01日
日本総合悲劇協会『ドライブイン カリフォルニア』04/28-5/16本多劇場
日本総合悲劇協会(略称:ニッソーヒ)は大人計画がプロデュースする演劇ユニットです。大人計画以外の役者さんも出演します。
今回が4度目の公演で、第1回作品の再演です。
地方のドライブインを舞台に繰り広げられる、親子3代にわたる我孫子一族の怨念のお話・・・かな?
オープニングがすごかったです。壁が全て透けてバックの竹林が見えるのにはゾっとしました。美術の奇抜な色合いと白い照明がどこかトゲトゲした感覚を生み出しています。役者さんのひょうひょうとしながらも突然ドカンと爆発するような明るい演技が刺激的で、目をぱちくりしちゃいます。
全体として「バラバラだった」というのが主な印象です。プロデュース公演にありがちだと思うのですが、役者さんやスタッフさんなど、一つの作品に参加している人たち全員の気持ちや状態が、同じ方向に昇華されないというか、望まれる段階にいたっていないように感じました。私が観た回がたまたまそうだったのかもしれませんが、初めて観た日本総合悲劇協会の『業音』@草月ホールから考えると、寂しかったですね。
最後に心打たれるセリフがあったのですが、それも覚えていられるほどの印象にはならなかったんですよね。残念です。
歌手になって東京に出たのだが、子供を連れて帰ってきたマリエ(秋山菜津子)が、当時の歌手のコスチュームで出てくるのが痛々しくてきれいで面白かったです。ヘンな歌ばかりなのもいい。秋山さんと田口トモロヲさんとの下着姿のレイプ(?)シーンも大人計画ならではですよね、期待していたので嬉しかった。
役者さんの中では仲村トオルさんがとにかく良かったです。初舞台の『羅生門』@日生劇場もチェックしていたのですが、松尾さんって本当にすごいと思いました。そのままの仲村さんを使って、作品を面白くしているんです。何をしゃべっても、どんな動きをしても、面白かったな~・・・。
そして猫背椿さんが素晴らしかったです。優しくて面白くて、体張ってて。またまたすごく好きになりました。「大人計画らしさ」を代表して表現されていたように感じました。
パンフレットの松尾スズキさんと辛酸なめ子さんのご対面トークが面白すぎました。電車で読んではいけませんね(笑)。
作.演出/松尾スズキ
<出演>小日向文世 秋山菜津子 片桐はいり 小池栄子 猫背椿 村杉蝉之介 田村たがめ 荒川良々 大塚辰哉 松尾スズキ 田口トモロヲ 仲村トオル
舞台監督:青木義博 照明:佐藤啓 音響:藤田赤目 舞台美術:島次郎 衣裳:戸田京子 写真撮影:田中亜紀 イラスト:高野華生瑠 演出う:舛田勝敏 神保愛子 演出助手:大堀光威 佐藤涼子 照明操作:溝口由利子 音響オペレーター:水谷雄治 増田郁子 衣裳助手:伊澤潤子 梅田和加子 美術助手:木村絵美子 劇中歌作曲:星野源 ヘアメイク:武井優子 かつら:山田かつら(佐野則夫) 宣伝写真:種市幸治 宣伝ヘアメイク:大和田一美 宣伝美術:吉澤正美 大道具:C-COM 制作協力(広島・福岡):(株)森崎事務所(大矢亜由美) 製作助手:河端ナツキ 北條智子 草野佳代子 制作:長坂まき子 企画・製作:大人計画 (有)モチロン
大人計画:http://www9.big.or.jp/~otona/
Attic Theater『lenz~トリコ仕掛けの屋根裏~』05/26-30中野MOMO
アティックシアターはサードステージや二兎社で演出助手をされている黒川竹春さんが演出をされる劇団です。だからなのか、いつも豪華な出演陣で惹かれます。
今回も前回に引き続き古屋純一さんの脚本です。
舞台はシンプル&モダンな屋根裏部屋。自主映画の撮影をしているのだが、いい加減な映画監督や遅刻する主演女優のせいで、撮影はプロデューサーの思惑とは全く違う方向へ進んでしまう。見知らぬ男の乱入(実はその部屋の持ち主)や女子高生誘拐事件などとからんでいき・・・。
ドタバタコメディーの色合いが濃い作品でした。何よりも出演者がみな個性的でした。ヰタマキのように新しいキャラクターを作りこむのではなく、役者さんの持ち物を生かす方向の演出だったと思います。
照明がすごく上品で効果的だったので見とれました。最近、派手だったり大胆だったりアイデアがあったりする照明には出会うのですが、上品なのは久しぶりです。
日替わりゲストも豪華。私が観た回は元・ドロンズの大島直也さんでしたが、漫才師さんなだけあってネタが多い(というか濃い)ので、ちょっとしんどかったかも(笑)。欲を言えば京晋佑さんの時に行きたかったな~。だってMOMOで京さんなんて・・・近すぎる!
川上冠仁さん。チャランポランな映画監督役。ほんっとーに可愛らしい方だと思います。笑顔が素敵。何をしてもにくめないというか、嫌みを言っても許せちゃう。
高橋拓自さん(動物電気)。部屋の持ち主役。ドロップキックがうまく決まっていました(笑)。ピタッピタッと静止する体がとても魅力的です。笑いもさすが。
吉冨亜希子さん。スタッフなのに主演女優になってしまうヒロイン。アイドルのように可愛かったです。あの水色の襟のセーラー服を着てるとこちらまでイヤンという気持ちになるほど(笑)。『マホロバ』のヒロインだったんですね。
宮下今日子さん(サードステージ)。女プロデューサー役。スタイル抜群の美人がやる強烈なおとぼけキャラは魅力的。一人芝居をされている時はもっとはじけて欲しかったな~。
作:古屋純一 演出:黒川竹春
出演:川上冠仁 土屋美穂子 古屋純一 吉冨亜希子 横塚進之介(サードステージ) 高橋拓自(動物電気) 西野将史 内野陽子 宮下今日子(サードステージ) 日替わりゲスト
照明:岡野昌代 音響:尾林真理 舞台装置:阿部一郎 舞台監督:金坂友美 宣伝美術:氏家裕太 制作:猪原健 角田菜穂
Attic Theater(劇団アティックシアター):http://www9.ocn.ne.jp/~atticweb/