REVIEW INTRODUCTION SCHEDULE  
Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
mail
REVIEW

2004年06月17日

ベターポーヅ『ちぎれるほど愛して』06/15-20THEATER/TOPS

 西島明さんが作・演出をされる劇団です。劇団ホームページに“独特の「気分」の表現を実現していく”書かれています。そうですよね、空気というか雰囲気というか。
 初めてベタポを観た時の私の感想は「なんじゃコレ??」でした。でも今は「今日はベタポだ、嬉しいな♪♪」です。

 テーマは「愛」だったようで。登場人物に役者さんの実名を使っているのが、いつものベターポーヅっぽくなくて、不思議であると同時になんだか生々しくも感じました。中心となるストーリーとしては、猿飛佐助さんと吉原朱美さんとの愛の物語でしたが、本編に入るまでが長かったですね。中盤以降にほろりと切ない感が伝わってきましたが、ちょっと遅かった気がします。あと、初日だったからか全体的に堅かったのではないでしょうか。客席全体をそんな雰囲気が支配してしまっていて、私一人だけが長時間、肩を震わせて笑っている時もあり、ちょっと寂しい感じでしたね。

 浮浪者って具体的に目に美しくないですよね。しのぶいちおしの北迫秀明さんデザインの衣装なのですが、浮浪者についてはどうがんばったって「浮浪者」なので美しくない。これは寂しい限りなのです。ベターポーヅというと私にとってはかわいらしい不思議少女たちの禁断エロエロ至福タイムなので(笑)、汚いのはイヤなんです。ロリータ男爵の『タナベさんが水を漏らした』でも思ったことですが、汚いものはできるだけ観たくないというのが私の個人的心情です。だって、本当に美しいものを作れる人達なのに。

 役者さんは皆さん演技が上手いと思います。巨大な新聞紙の掛け布団の下に、吉原朱美さんをかくまって、浮浪者ねえさん達が不良っぽいしゃべり方をするのがかっこ良かったです。何でもできるんだなーって思います。

 ダンスは山田うんさんの振付で、すごくキュートで面白いし、ごく普通の些細な動きの組み合わせで楽しかったり、悲しかったり、様々なニュアンスが出ていました。でも、シーンとしては長く感じました。音楽に合わせ過ぎたのかなぁ。

 最初のレスリングの映像はあまり最後にはつながらなかったですね。シアタートップスでは先日シベリア少女鉄道を観たばかりで、しかも体操関係だし(笑)。最後に何かあるに違いないと勝手に思い込んでいましたが、なかったような・・・。映像の前で猿飛さんがソロで踊られていたのはかっこ良かったな~。

 “教会風下着パブ”サイコーっ!この発想がすごいんですよね、西島さんって。おデブ衣裳も可愛すぎ。
 謎の宇宙人(?)“きたちゃこ”は・・・ものすごかったです。西島さんが暗黒舞踏風の動きで、ちゃんと白塗りをしていて、えっと、これ以上は書いてもしょうがないですね。とにかく一見の価値アリ(笑)。私はひくひく笑い続けてしまいました。“きたちゃこ”って、衣裳の北迫さんのことですよね、こんなところにも実名が・・・(笑)。でも、“きたちゃこ”の衣裳は北迫さんではなく美術の方が作られたそうです。

 どこで静止しても絵になる、動画でありながら静物画のような舞台。ベターポーヅでしか体験できないと断言できるほど、その世界を確立されていますよね。ただ、前回の『おやや ヒューマン スヰッチ』方が良かったと私は思いました。また次(2005年2月)が楽しみです。

作・演出:西島明 振付:山田うん
出演:渡辺道子 阿部光代 猿飛佐助 加藤直美 松浦和香子 山崎和如 大日向美名子 吉原朱美 西島明
美術監督・宣伝美術 東大路道恵 舞台監督:上林英昭 舞台監督助手:金坂友美 照明:大塚之英(ストーリー・レーン) 音響:齋藤貴博(ステージオフィス) 衣装:キタサコ製作所 衣装デザイン:北迫秀明 舞台写真:佐渡谷威昶 映像:ムーチョ村松(トーキョースタイル) 吉田りえ(トーキョースタイル) 美術・小道具助手:市川菜穂 井上真理 辻本直樹 藤原孝子 演出助手:花房ちはる(菩薩友の会) 制作:亀川朝子 制作助手:山崎睦美 協賛:高原書店 協力:蒲田演劇工場
ベターポーヅ:http://www.betapo.com/

Posted by shinobu at 00:28