2004年10月19日
NBS・日本経済新聞社『エディタ・グルベローヴァ シューベルト、R.シュトラウスの歌曲を歌う』10/19サントリーホール
エディーご降臨!!!!!
世界一のソプラノと名高いエディタ・グルベローヴァのリサイタルです。本当はウィーン国立歌劇場『ドン・ジョヴァンニ』@東京文化会館に行きたかったんですけどね(泣)。
あぁ(涙)・・・神々しい天使の歌声です。彼女は人であって人ではないよっ!女神だよっ!!
グルベローヴァが会場に姿を現した瞬間、目頭が熱くなっちゃいました。彼女が今、目の前にいるだけで感動。まだ歌ってないのに!(苦笑)
今回はシューベルト10曲、シュトラウス6曲のリート(ドイツの芸術歌曲。特にピアノ伴奏つきの独唱曲)のコンサートでした(去年はオペラ・アリアだったそうで、とんでもない人気公演だったそうです。行きたかったなぁ・・・)。今回の 曲目はこちら です。1曲たりとも知りませんでしたが、みんな可愛らしい曲で楽しかったです。てゆーかグルベローヴァなんだもの!彼女の声が聴けるだけで、彼女の姿が見られるだけで、私は満足以上なのです。
なんとアンコールを3曲も歌ってくれました。確かに会場中すごい拍手だったしなー・・・2回までは歌ってくれる雰囲気だったけど3回目はまさかと思いました。マジで?また歌ってくれるの??って。ピアノのハイダーさん(エディーのご主人でもあるらしい)が楽譜を持って出てきてくれた時には、ほとんど反射的に「きゃーっっ!!!」って悲鳴を上げちゃいました。2階席には「ありがとーーーーーっ!」って大きく叫んだおじちゃまがいましたけど(笑)。
実は、このアンコールこそがこのリサイタルの目玉だったんです。コロラトゥーラ(超絶技巧)全開!!
曲目は↓
1.デラクワ「ヴィラネッラ(村娘)」
2.ドニゼッティ「アンア・ボレーナ」より最後のアリア
3.ドニゼッティ「シャモーのリンダ」より
うぇえ~・・・・・・涙がボロボロぼとぼと溢れてこぼれて、体の芯から震えが来ました。ありがとう!ありがとう!!なんて凄いんだ!なんて強いんだ!なんて美しいんだ!!私も、貴女には全然かなわないけど、頑張る!頑張るよっ!!
10月23日(土) 3:00pmから池袋の東京芸術劇場 大ホールでもありますので、お時間のある方はぜひ!ぜひぜひ!!
ピアノ:フリードリッヒ・ハイダー
クラリネット:生方正好(「岩の上の羊飼い」のみ)
主催:財団法人日本舞台芸術振興会・日本経済新聞社
NBS:http://www.nbs.or.jp
シアター1010・tpt『楡の木陰の欲望』10/18-31(10/17プレビュー)シアター1010
ユージン・オニールの戯曲をロバート・アラン・アッカーマンさんが演出し、寺島しのぶさんとパク・ソヒさんが出演するのですから、有無を言わさず必見です。
北千住に新しくオープンしたシアター1010(せんじゅ)のこけら落とし公演のひとつです。芸術監督の朝倉摂さんが美術を担当しています。
さて、久しぶりに私、怒っています。座席のせいでお芝居が見えないなんてこと、S席 8,000円・A席 5,000円も取ってる公演ではあってはならないことです。
2階建ての家屋がそのまま舞台装置になっていまして、前の方の席(私は1階5列21番という席でした)からは、2階でのお芝居が非常に見えづらいのです。2階でお話が進行するシーンがすごく多いので、1階の天井ばかりが視界に入っている状態で、ずーっと首を曲げて見上げていなければなりませんでした。また、2階の部屋のど真ん中にリアルな壁が作られているせいで、自分が座っている席の反対側の壁の向こうでの演技がいっさい見えません。休憩の時に試してみましたが、最低でも12列目よりも後ろで、真ん中ブロックの席じゃないとダメです。
大好きな役者さんを間近で見たいがために早いめにチケットを確保しておいたのが、とんだバカを見るはめになりました。新しい劇場のこけら落としの初日にわざわざ私の家からは遠い北千住まで出向いたというのに、ひどい仕打ちです。心の底からがっかりです。
実は、空調も効き過ぎていてすごく寒かったので、休憩時間に苦情を言って対処していただきました。また、役者さんの声が幾重にも響いてしまって聞こえづらかったです。これはホールの構造の問題なのでしょうから、どうしようもありませんよね。本当の意味での初日なのに、客席の環境をこれほど悪くするなんて、どういう心構えなのでしょうか。この新しい劇場は、最初から悪い印象を私の心に刻ませました。
さて作品についてですが、先に述べたような悪環境ではどんなに役者さんががんばっても挽回は絶望的でした。
厳格で自己中心的で鬼のように残酷な70才の父親エフラム(中嶋しゅう)とその3度目の妻アビー(寺島しのぶ)、そしてアビーと愛し合ってしまう息子エバン(パク・ソヒ)の、ほぼ3人芝居のようなお話です。コアになるのはアビーとエバンの激しい愛なのですが、アビーとエバンが互いに一目ぼれしてしまう初対面のシーンでエバンの姿および表情が“壁のせいで”見えなかったり、父親とアビーがいる寝室の声に耳をそばだてるエバンの演技が“壁のせいで”見えなかったり、2階のエバンの寝室でアビーとエバンが初めてキスをするシーンが“壁のせいで”全く見えなかったり、つまり、愛が生まれて育まれるポイントとなるシーンが欠如しているたため、ストーリーに説得力を感じられませんでした。寺島さんがパクさんを、パクさんが寺島さんを愛しているように見えなければ、何にもならないんですよ。
さて、壁についての苦情はこのあたりにしておきましょう。前半はむさくるしい男たちの男くさいお芝居がしばらく続きます。ヒロインの寺島さんが出てきてから一気に面白くなりました。あの集中力とオーラはさすがだなぁとうっとりしちゃいます。胸元が大胆に開いたドレスもすごくお似合いで、男を悩殺する悪女イメージがしっくり来ました。ドレスの色は赤や紫に部分的な黒のレース使いがポイントになっていて、これまたセクシーさがアップしました。前半は寺島さんのおかげでけっこう楽しかったのですが、後半は寺島さんが真っ黒の服を着ている時点で「あぁ、ここから暗くなるんだな」とわかってしまい、そのままずるると暗いまま終わってしまった印象です。
パク・ソヒさん(エバン役)は弱かったですね。言葉の発声・種類のバリエーションが少なかったです。キスシーンなどのラブ・シーンは相変わらず何度観ても素敵です。
中嶋しゅうさん(父親役)がこんなに激しい役を演じてらっしゃるのは初めて観た気がします。笑って踊って飛び跳ねてましたよね(笑)。しっかりした語り口で言葉を伝えてくださいました。すごく長いセリフも安心でした。
私は朝倉摂さんの美術とは今のところ相性が悪いようです。『薔薇の花束の秘密』は途中休憩で帰りましたし、『海の上のピアニスト』は爆睡しました。オペラ『源氏物語』もすごく退屈だったことを覚えています。tpt『蜘蛛女のキス』は良かったですが、特に美術が良かったという印象では在りませんでした。いつか当たりに出会いたいです。
この作品はベニサン・ピットで観たかったですねぇ・・・。そもそもこの劇場は客席が扇状に広がりすぎているんですよ。“地方の劇場”にこういう構造の劇場が多いと聞きます。シアター1010はそんな劇場を目指しているわけじゃないと思っていたんですけど・・・私の予想(期待)が外れたということでしょう。
作:ユージン・オニール
出演:エフラム・キャボット/中嶋しゅう ある男/高山春夫 シミアン/山本亨 ある女/吉田昌美 ピーター/大川浩樹 老農夫/塾一久 エバン/パク・ソヒ 保安官/深貝大輔 アビー・パトナム/寺島しのぶ バイオリン弾き/片岡正二郎 若い娘/真堂藍 男/由地慶伍 近隣農場の人々/川田朗子 福島園子 石川和利 芥川太一
訳/木内宏昌 演出/ロバート・アラン・アッカーマン 美術/朝倉摂 照明/沢田祐二 衣裳/黒須はな子 音響/高橋 巖 ヘア&メイク/鎌田直樹 舞台監督/久保勲生
シアター1010:http://www.t1010.jp/
tpt:http://www.tpt.co.jp