2005年02月28日
ジンガロ「エルメスブティックがジンガロ特設シアター内にオープン!」
3/12(土)初日より、ジンガロ特設シアターにエルメスのお店がオープンします!今公演限定デザインのスカーフは全部で5種類。他にもブレスレットやペンダントなどのアクセサリーも販売されます。
有名レストランも出店予定ですよー♪
ジンガロ日本公演公式サイト→ http://www.zingaro.jp/
2005年02月27日
こまつ座『円生と志ん生』02/05-27紀伊國屋ホール
井上ひさしさんの新作です。演出は鵜山仁さん。
前売り完売、追加公演も完売、通路いっぱいに出された補助席もぎっしり。大賑わいの紀伊国屋ホールのカーテンコ-ルでは、いつもの心のこもった大きな拍手に出演者も涙顔。こまつ座は何が何でも必見です。
次回公演は4演目となる『國語元年』06/03-12紀伊国屋ホール(2月からツアー開始)。昨年12月に香港公演が実現した辻萬長&西尾まり版『父と暮せば』が6/14、15に再演決定!
キャッチコピーは「空前絶後の二人のはなし家が、占領下の大連を流浪する、爆笑の地獄巡り」。
舞台は昭和20年(1945年)夏から22年春の大連。噺(はなし)家の円生(角野卓造)と志ん生(辻萬長)は、日本軍からお給料をきちんともらえるし、白いご飯も食べられるし、平和だし、と期待に胸を膨らませて大連に渡ったのだが、あっという間にソ連侵攻、敗戦となり、封鎖されて地獄と化した大連から出られなくなってしまった。
こまつ座は私にとって、もう「演劇」ではなくなっています。笑えて泣ける「学校」です。開演前にハンカチを用意するのが必須(笑)。最近は母親と一緒に観に行くことが多くなりました。いつの日か子供と一緒に観に行きたいと思っています。こまつ座の演劇は、そうやって子から孫へと受け継いでいくべき日本の財産だと思います。
ソ連侵攻→命からがら大連にたどり着く→引き上げ船で帰国、というのが私の頭の中での“引き上げ”だったので、封鎖されていた数年間を初めて知りました。「28万人もの日本人が閉じ込められていた」んですね(こまつ座HPより)。中国残留孤児がなぜ生まれたのかも少しわかりました。
円生と志ん生が助け、助けられる大連の日本人の女達を、4人の女優さんが何度も着替えて何役も演じます。“戦犯”となった円生と志ん生をソ連軍から逃がすシーンで、旅館の女将(久世星佳)が、ふぐぞうすいが入った土鍋ごと手渡すのには、爆笑しながら涙がぼろぼろ流れました。
青銅色の柱や欄間に電球が仕込まれて、歌と踊りのシーンでぴかぴか光るのはレビュー(revue)の電飾ですね。「つげ口、陰口、わる口。まっすぐに言葉を話せる世界に戻して欲しい」という歌が良かったです(歌詞は正確ではありません)。録音でもう一度この曲が流れてしまったのは私にはちょっと興ざめでしたが、歌と音楽(ピアノの生演奏を含む)には、満足を超えて感謝しています。ありがとう!!
ラストがぷっつりと突然に訪れるたのはちょっと物足りなかったです。説明セリフが多いと感じることもしばしばあり、戯曲の完成度としては少々低い目かもしれません。「遅筆堂」先生の新作ですし(笑)、それはそれとして、再演を待ちたいと思います。
【言及ブログ】
No hay banda(はなし家風レビュー。面白い!)
踊る芝居好きのダメ人間日記
藤田一樹の観劇レポート
Somethig So Right
みどりのアート観賞日記
「。はにかむ」
《東京公演後→鎌倉・山形県川西町》
作:井上ひさし 演出:鵜山仁
出演:辻萬長 角野卓造 久世星佳 神野三鈴 宮地雅子 ひらたよーこ
音楽:宇野誠一郎 美術:石井強司 照明:服部基 音響:秦大介 PA:大坪正仁 衣裳:黒須はな子 振付:西祐子 宣伝美術:和田誠 演出助手:城田美樹 舞台監督:増田裕幸 制作:井上都 高林真一 谷口泰寛
こまつ座:http://www.komatsuza.co.jp/
サイスタジオ主催・Happy Hunting Ground『Visions of Tokyo』02/10-27サイスタジオ小茂根B(2回目)
1度目は初日観劇で完成度が低かったようなので、千秋楽に再び拝見してきました。
初日と違ったのはスピード感。そして、笑いがめちゃくちゃ多くなっていたこと。この戯曲でここまでさわやかに笑えるのは意外でした。
シーンのひとつひとつの完成度が上がっていたのはもちろんで、役者さんの演技にも全く迷いがなく、やっぱり芝居は進化するんだなぁとしみじみ感心。私は同じ演目を2度以上観ることはほとんどありませんので、久しぶりのこの感慨でした。
初日は「作品の意味があんまりわかってないのかな・・・」という印象でしたが、千秋楽は「なるほど、こういう視点からの、こういう演出意図なんだな」と納得ができました。携わる人間が違えば、その人数分の解釈があって、手法があって、同じ戯曲でも全く違う作品になります。人間って素晴らしいなって思います。
ただ、今回のが私の好みだったかというとそうではないのですけどね。やっぱり軽すぎたかな~。そして、初日同様にラストのヤザキ(浅野雅博)の長セリフには疑問でした。
終盤、ヤザキは土嚢(どのう)の下敷きになっていたニカイドウ(石橋徹郎)の楽譜を見つけます。そこにはニカイドウがアタックしたホルン奏者の女の子からのお返事が書かれていた・・・ということになっていて、ヤザキはそれを読み上げます。でも途中からその楽譜を見ないで話し始めるのです。つまり、返事は書かれていなかった(もしくは途中までだった)という解釈ですね。ニカイドウの死後、ヤザキが彼のためか自分のためか、勝手に想像して作った内容だったという演出でした。そのヤザキのセリフの話し方がすごく晴れ晴れとした表情で、明るい物語を語るような優しい語り口だったんです。
腑に落ちなかったな~。内容が内容なのでね(ホルン奏者の女の子はオーケストラの中のリーダー的存在の男性と関係を持って妊娠していた。たしか不倫・・・?このホールでの演奏の後、自分はオーケストラをやめて子供とともに生きる云々)。
初演でヤザキを演じられた鶴牧万里さんはあくまでも「書かれたものを読んでいる」演技で、最後の方の少しだけ楽譜を見ないで話していたように思います。つまり、楽譜に手紙が書かれていたのかどうかは観客に委ねられました。そしてすがすがしいお顔ではなかったですね。熟考しているような、とても落ち着いていて静かな状態でした。
う~ん・・・今、これを書いていて感じたんですが、やっぱり時代が変わったから演出が(解釈が)変わったのかもしれないですね。
初演は2002年の1月ですからもう3年経っています。この数年は時の流れがめちゃくちゃ速くなって、時代の変化も然り。悲惨で残虐な事件が起こり過ぎました。「プルトニウム」という物体についての捉え方も変わって、以前よりももっと軽いものになった気がします。だって、何が起こってももうおかしくないって私も感じてますし、そうなるとほんの目の前の未来や、今この瞬間の自分のことしか大切に考えられなくなりますよね。だから「笑う」のかも・・・。それは恐ろしいことです。
クラモト(高橋克明)がニカイドウ(石橋徹郎)バイオリンを蹴り飛ばして、それが壁に当たって思いっきり割れたのにはびっくり!さすが千秋楽!?(笑)
夏井孝裕2作品連続公演『Visions of Tokyo』,『knob』
※『knob』は1999年に第四回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
【出演】Happy Hunting Ground(ハッピーハンティンググランド)
「knob -ノブ- 」:加納朋之・古川悦史・川辺邦弘・亀田佳明・斉藤裕一・征矢かおる・添田園子
「Visions of Tokyo -ヴィジョンズ・オブ・トーキョー-」:高橋克明・浅野雅博・石橋徹郎・細貝弘二
「動物園物語より」(ポケットシアター) : 古川悦史・助川嘉隆
作 夏井孝裕 エドワード・オールビー「動物園物語より」 演出:高橋正徳 美術:乗峯雅寛 照明:中山奈美 企画・制作:吉田 悦子・Happy Hunting Ground 主催:サイスタジオ 協力:文学座企画事業部 サイ(株)スタジオ事業部
公演サイト:http://www.saistudio.net/html/studio_performance_vol14.html
2005年02月25日
創作ネットワーク委員会+Ort-d.d『昏睡』02/24-28にしすがも創造舎 特設劇場
[戦場][時刻][文明][退屈][夢想][接合][遺骨]という7編の男女二人芝居から成る永山智行さん(こふく劇場)の脚本を、4人の演出家が演出します。総合演出は倉迫康史さん(Ort-d.d)。
宮崎、東京、北九州、山口、鳥取の劇作家・演出家・俳優が参加するプロジェクトで、廃校になった旧千川小学校から生まれた東京の演劇人の理想の稽古場“にしすがも創造舎”での初の演劇公演でもあります。
『昏睡』ツアー日記では美しい舞台写真もアップされています。
懐かしい匂いのする体育館に居ながら、長い、長い、旅をしました。生まれるずっと前から、死んだずっと後まで。遥かに時を越えて、世界中、宇宙中を飛び回りました。終演の長い暗転で、自分が真っ黒な無限の空間(宇宙)に溶け出していくように感じました。そしてカーテンコールの明かりが点いた時、涙が溢れました。
総合演出の倉迫さんが当日パンフレットに書かれています。「短編のオムニバス作品だからといって、ただ二人芝居を羅列するのではなく、七本で一本の作品となるような世界観を背景に置いた。『昏睡』を避難民たちによる物語としたのだ。」
ストーリーも、役者も、演出も全く違う7つの世界は、互いに強い個性を主張し合いながら共存していました。決して混じり合わさることのない異文化が、同じ瞬間に一緒に存在していたことは確かです。これを調和というのかしら。だとすると調和ってものすごいパワーがあるんですね。
形式的には7つのオムニバスでしたが、セリフを発する2人以外の役者さんも舞台によく登場しますので([接合]以外)、二人芝居だという印象はありませんでした。
体育館でこの作品を観られたこと。これが最も大きな喜びでした。体育館の中にあんなに立派な舞台装置が設置されているとは予想していませんでした。体育館の設備も存分に使って演技スペースがものすごく広く取られていました。
照明がまた凄かった。役者、装置、劇場(体育館)そして客席も、全てがライトアップされる対象でした。木藤歩さんの照明を観るといつも思うのですが、光と影との両方で「照明」なんですね。
[戦場]。言葉が通じない敵同士の男女の対話。涙が溢れて、溢れて、たまんなかった・・・。これが最初のエピソードだったので、全体的に泣きモードに入っちゃいました。あべゆうさん(こふく劇場)の声がめちゃくちゃきれい。
[時刻]が私には一番難解でした。最後にやっと子供と母親の話だとわかりました。深い脚本です。
最終話[遺骨]のペア(泉陽二さんと田丸こよみさん)が、現代の人間としてずっと舞台に出ていたことで、全てのエピソードが今とつながっていました。
←こちらは門川公演の写真です。プロセニアムの舞台での上演だったので、舞台奥や両袖は黒幕になっているんですね。暗い空間に人物が浮かび上がっています。けれど東京公演では黒幕はいっさい使われておらず、体育館の天井や壁をそのまま露出させて、ドアやキャットウォークも使う演出になっています。
にしすがも創造舎にはオープン前に一度見学に伺ったことがあったのですが、本格稼動している姿を見て、またまた感激しました。誰も使わなくなっていた小学校が活気に満ち溢れているんですよ!どんどこ何かが生まれ出てくる音がしています。2階にはコーヒーやお茶などがセルフサービス(100円)で自由にいただけるカフェ“Camo-Cafe”もオープンしていて、2月27日(日)16時からは『昏睡Cafe』も開かれるそうです。
《宮崎→山口→東京》
作:永山智行(こふく劇場・宮崎)
演出:倉迫康史(Ort-d.d・東京/宮崎) 自由下僕(POP THEATRE Я・山口) 泊篤志(飛ぶ劇場・北九州) 森本孝文(演劇企画 夢ORES・鳥取)
出演:[戦場]寺田剛史(飛ぶ劇場・北九州)あべゆう(こふく劇場・宮崎)[文明]岡田宗介(東京)市川梢 (東京)[退屈]有門正太郎(飛ぶ劇場・北九州)橋本茜(飛ぶ劇場・北九州)[接合]山路誠(ユニークポイント・東京)上元千春(こふく劇場・宮崎)[時刻]国崎砂都美(POP THEATRE Я・山口)西田純子(POP THEATRE Я・山口)[夢想]宮島健(東京)三橋麻子(東京)[遺骨]泉陽二(東京)田丸こよみ(東京)
総合演出:倉迫康史 美術:伊藤雅子 照明:木藤歩(balance,inc.) 衣裳:竹内陽子 ヘアメイク・宣伝美術:田丸暦 舞台監督:弘光哲也 主催:創作ネットワーク委員会 製作:Ort-d.d 助成:財団法人セゾン文化財団
公演サイト:http://ort.m78.com/consui.html
しすがも創造舎:http://www.anj.or.jp/anj/sozosha/index.php
2005年02月24日
ジンガロ「馬たちが到着!!」2/24朝日新聞夕刊(東京版)
本日早朝、成田空港にジンガロの主役である馬たちが到着いたしました!フランスから11時間半の長旅もなんのその、とっても元気です。
本日(2/24)の朝日新聞夕刊(東京版)に白い馬のカラー写真入りで記事が掲載されています。到着したのは馬19頭、ロバ1頭、ガチョウ30羽。
ジンガロ日本公演公式サイト→http://www.zingaro.jp/
ホリプロ/テレビ東京『デモクラシー』02/22-28青山劇場
鹿賀丈史さんと市村正親さんの26年振りの舞台共演というのが売り文句になっている作品です。『You are the Top』で残念ながら実現しなかったんですよね。青山劇場での初日に伺いました。
冷戦時代の西ドイツ首相(ヴィリー・ブラント:鹿賀丈史)の秘書(ギョーム:市村正親)が、なんと東ドイツのスパイだった。実話を元にした戯曲です。あらすじは公式ページでどうぞ。
真っ黒な舞台でじっくり聞かせる会話劇でした。これは小さな劇場だったら最高だったかもしれません。きっとシアター1010(2/11-19)の方が良かったでしょうね。
前半は残念ながら退屈で眠ってしまったところもありましたが、後半は緊張感のあるセリフの応酬を集中して観る事ができました。
ブラントは東ドイツにとってはいわば味方というか、歓迎すべき西側の首相で、ギヨームは決して彼を陥れるのではなく、反対に彼をサポートする必要不可欠な存在だったというのが面白いです。
秘書のギヨームがスパイかもしれないという疑念をブラント首相が持ってからの、互いの心を探りあうやりとりがスリリングでした。
時代を映す密度の濃い男芝居、というだけでかなり面白い脚本だと思いました。でも、地味すぎた演出に疑問でしたね。照明は部分を照らすサスなどは多用されていましたが、色については白っぽいものばかりで、暗くなったり明るくなったりの非常にシンプルな変化しかありませんでした。森の中のシーンぐらい森っぽくすればよかったんじゃないかしら。音響については、効果音はあったけれど音楽がなかったですね。鳥の声とか風の音とかもなかったなぁ。全体的に地味すぎたと思うんです。
手塚の一行レビューに「「コペンハーゲン」の続きみたい」と書かれていますが、ほんと『コペンハーゲン』に似てると思いました。
《北千住→青山→銀座》
出演:鹿賀丈史 市村正親 近藤芳正 今井朋彦 加藤満 小林正寛 石川禅 温水洋一 三浦浩一 藤木孝
脚本=マイケル・フレイン 演出:ポール・ミラー 装置:堀尾幸男 照明:沢田祐二 衣裳:小峰リリー 音響:高橋巌 舞台監督:渋谷壽久
※演出家が変更になりました。
公演ページ:http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=49
2005年02月23日
Bunkamura/朝日新聞社『マシュー・ボーンの白鳥の湖』2/22-3/12Bunkamuraオーチャードホール
マシュー・ボーンの"SWAN LAKE"がカムバック!去年は驚きの大ブームでしたよね。当日券に長蛇の列で連日満員御礼。再・追加公演もありました。アダム・クーパーさんが出演されていたのも人気の要因だったようですが、とにかく作品が素晴らしいんです!去年も感動したんですけど、私は今年の方がかなり良かった気がします。涙が流れちゃうシーンがいっぱいありました。
→公開舞台稽古(写真あり)
これから3/12までの東京公演の後、4月初旬まで全国ツアーが続いて、また東京に戻ってきます。そして4月後半はなんと生のオーケストラ演奏付き!!これはもう一度観たいな~。
バレエの名作中の名作、チャイコフスキーの『白鳥の湖』の音楽をそのまま使って、マシュー・ボーンさんが新しく振付・演出された作品です。本来ならバレリーナ(女性)が踊る白鳥を男性が踊るのが特徴ですが、それはあくまでもこの作品の一要素であり、ストーリー、キャスト、ダンス、美術、衣裳、照明などの演出全てがみどころです。
官能的なダンスに身体がじ~んと震えたり、美しいシーンやドラマティックな展開に息をのんだり、成就しない想いに胸が締め付けられて、涙がぼろぼろこぼれました。見た目ももちろんですが中身がとても美しい作品です。
ラストは王子と白鳥のドラマにすっかり入り込んで、涙が溢れて舞台が見えなくなるほどでした。作品のおおかたの内容については去年のレビューをご覧ください。
ここからネタバレします。
『白鳥の湖』ですのでついつい白鳥ばかりを想像しがちですが、盛り場のクラブでのダンスシーンや宮殿の舞踏会シーンはスタイリッシュで現代的なダンスに胸躍ります。
イギリス王室がモデルだと言われている王子と女王のシーンで、母親である女王の愛を、求めても求めても得られずに、王子が徐々に心を病んでいく様子に胸が痛みました。王子と女王の距離のとり方が絶妙です。触れそうで触れない、抱きそうで抱かない。
劇中劇、四羽の白鳥のシーンはコミカルな要素が増えていたように思います。エスプリも効いていて、クスッと笑えました。シーンの完成度が上がっていたんじゃないでしょうか。
ガールフレンドに裏切られ、世間の冷たさにさらされて絶望してしまった王子が公園で白鳥に出会うシーンはとても幻想的です。あの白鳥のダンスはきれいというよりは怖いです。動物の野生を感じます。
王宮で開かれるダンス・パーティーに人間に姿を変えた白鳥が現れるのですが、白鳥と王子との成就することの無い愛が夢の中のダンスで表され、切なく、苦しくなります。
美術のセンスが素晴らしく、場面転換するたびにうっとりとため息をつくほどです。照明でさらに魅力を増していたように思います。白い壁の小さなドアから女王が出てくる時の、あのドアが開いたところから洩れる光がすごかったな。影のでき方が計算されているのかしら。
私が観た回の主役の白鳥役はジェイソン・パイパーさん。小柄でしたが野性的な魅力があり、多数の白鳥の中でもやはりダントツに光ってらっしゃいました。
王子役はクリストファー・マーニーさん。去年観た方よりもダンスも演技もお上手だったように思います。中でも白鳥に恋焦がれる演技が良かった。
※配役は開場時に発表されます。事前には知ることは出来ないようです。
初日ということで客席は豪華絢爛。首藤康之さん(王子役)や、ホセ・ティラードさん(白鳥役)も客席にいらっしゃったようです。スタンディング・オベーションしてる方が大勢いらっしゃいましたね。これはまたリピーターが増えるんじゃないかな。
《東京公演後→大阪、名古屋、滋賀、松本、そして再び東京》
東京公演について→4/6-17(追加公演)、4/19-27(東京フィルによる生オケあり公演)
演出・振付・脚本 マシュー・ボーン(99年トニー賞最優秀演出賞・最優秀振付賞受賞) 美術 レズ・ブラザーストン(99年トニー賞最優秀衣裳デザイン賞受賞) 音楽 ピョートル・チャイコフスキー 出演 ニュー・アドベンチャーズ
【私が観たステージの主な配役】ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:ジェイソン・パイパー 王子:クリストファー・マーニー 女王:オクサーナ・パンチェンコ 執事:アラン・モーズリー ガールフレンド:リー・ダニエルズ ほか
公式サイト:http://www.swanlake.jp/
2005年02月22日
ヨーロッパ企画『平凡なウェーイ』02/16-22下北沢駅前劇場
京都を拠点に活動するヨーロッパ企画。『サマータイムマシーン・ブルース』映画化のニュースには驚かされました。今年の7月~8月に京都・東京で再演されるそうです。
私がこの劇団の公演を観るのは『囲むフォーメーション』以来です。永野宗典さんがP.T.i.『あしたの情~基本的に、スーパースター~』に客演されているのを観て、勝手に何作品も観たような気持ちになっていたのですが、まだ2回目でした(笑)。
シチュエーションが丁寧に作りこまれており、かなりブラックな笑いと豊かな示唆を含んだ作品だったと思います。
「道を見くびってると、死ぬ。」という意味深なキャッチコピーにちょっと心構えをしつつ、慎重に拝見しました。前置きが長くてですねぇ(笑)、やっとこさ本編が始まったと思ったら、突然ものすごい事件が起こって、胸が苦しくなるほど不謹慎な状況に陥ります。のんきに繰り広げられる登場人物全員の無自覚、無慈悲、無責任な行動の連続に、しばらくはムカムカしちゃっていたのですが、終盤の急展開からやっと設定として受け入れることができるようになりました。最後にはなるほどな~と納得させられました。
「道なんかいらないよね」というセリフ、凄いと思うんです。今日の便利すぎるインターネット社会を象徴していると思います。ネットに接続して検索・クリックすれば数秒で世界中どこにでも行けますし、顔を見なくてもメールやチャットで会話できますし、携帯電話の画面で顔を見ながら話もできます。人間と人間を阻むものといえば、もう道(距離、つまり土地、地球)ぐらいしかないんですよね。しかし、「物流を制するものは商流を制す」等とビジネス界でも言われますように「道」をあなどってはいけないんですね。
最初、この作品で言う「道」って華道、書道、柔道、剣道などに使われている意味の「道」かなぁと想像したのですが、単なる深読みでした(笑)。
ここからネタバレします。
最初の30分はずっと映像でした。登場人物のバックグラウンドを細かく紹介していきます。テレビドラマみたいでした。登場人物はプロ野球選手になる夢を捨てきれない元・高校野球児、鉄砲玉に任命されてしまったチンピラ、倒産しそうなAV製作会社の社員、オセロ選手権決勝に勝ち進んでいる女、ガリ勉の男子中学生、読書中毒の女子中学生、ひきこもり気味のプラモデルおたく等、わが道を突き進むのに必死で周りが見えていない人ばかり。これらの全く共通点のなさそうな人たちが、ある小さな交差点でばったりと出くわすところから、舞台の幕が開きます。
その、出くわした拍子に大事件が起こるのですが、みんなで責任の擦り付け合いをするのが見苦しいんです。自分には関係ないってことをみんな必死で主張するんですが、めちゃくちゃブラックな笑いとともに、どんどんエスカレートしていきます。通りがかってしまった人を逃げないように縛ったりとか、アリバイ工作のためにビデオ録画をしたりとか・・・。私にはこれがかなりきつかった。息苦しくも感じました。やっと少し大人になりかけている多感な中学生の前で、大の大人が、目の前にある死体という事実を隠そうとするんですから、こんなに情けない恥さらしなことってないですよね。でも、これって今の日本でよく起こっていることですよね、悲しいことなのですが。
そして、なんだかんだとじたばたするシーンでたくさん笑いを取りつつ、お天道様の下で起こってしまった事件をうまく丸め込めないまま、実生活の方で取り返しのつかない失敗をする人が出てきます。例えば、AV製作会社の社員は社長への反駁がバレてクビになり、チンピラは1発しか入っていないピストルの弾を勝手に発砲され、その弾で2人の野球少年は腕と足をそれぞれ打たれてしまいます。後も先も無くなって逃げ場もなくなって、失うものがなくなった人々は、やけくそになって道に身を投げ出し、同じく道に居た浮浪者と一緒になってその場で酒盛りを始めます。その場にいる人全員を巻き込んで妙な連帯が生まれていく様は、地獄かはたまた天国かといったカオス状態でした。
この気持ちはよくわかります。みんな人との係わり合いが欲しいんですよね。たくさん集まって飲み会を開いたりとか、合コンとか。自分の部屋に篭ってプラモデル作りに没頭していた若者も、「女の子と話とかしてみたい」って言い出しますし。
この酒盛りからさらにエスカレートして、人々が泥棒や暴徒と化していくのがまた、超ブラックなんですよね。しまいには「道に住もう!」みたいな勢いになっちゃいます。しかしながら、誰にも何の断りも無く、幸か不幸か、天から雨が降り始めます。あれほど盛り上がっていた人たちですが、雨から逃げるようにあっという間にちりぢりにその場から消えていきました。残されたのは一体の死体ばかり・・・。
「道」はいつもそこにあり、無情に人々を事件に陥れ、しかしおおらかに彼らを見守り、そして勝手に雨を降らせます。否応なしにインターネットに没頭しながら育ってきた世代が、目の前のちっちゃな石ころにつまづいた時に社会・世界を学び知る、というような、人生の大切な1シーンを見せてもらった気がしました。上手い伏線がはりめぐらされた、笑いが満載のお芝居なのですが、ヨーロッパ企画という劇団の「今」に出会えたことが、私は楽しかったです。作・演出(そして映像出演)の上田誠さんは25歳だそうです。やっぱり若いですよね。
映像は手作り感覚が見え隠れする、しかしこだわりを感じられる完成度でした。これからテレビでもきっと活躍されるのでしょうね。
《京都→東京→大阪→東京(多摩)》
作・演出:上田誠
出演:石田剛太 酒井善史 清水智子 諏訪雅 中川晴樹 永野宗典 本多力 松田暢子 角田貴志 土佐和成 西村直子 山脇唯 他
舞台監督:石田剛太 舞台美術:酒井善史 角田貴志 映像:上田誠 井村慎介 撮影:チーム学生グルメ 音響:上田誠 照明:松谷弘 仕掛け:丹原康博 衣装:西村直子 小道具:永野宗典 松田暢子 宣伝美術:諏訪雅 坂井奈穂 パンフ:永野宗典 坂井奈穂 仲井華子 制作:井神拓也 浦口千絵子 吉永祐子 諏訪雅 本多力 ヨーロッパ企画
公演ページ:http://www.europe-kikaku.com/projects/e17/e17.htm
2005年02月20日
三条会『若草物語』02/18-23ホール椿
三条会独特の世界を体感したくて、片道1時間30分かけて西千葉まで行きました。
演出家の関美能留さんが、第3回千葉市芸術文化新人賞を受賞されました(今年2/10発表)。
『若草物語』というと、あの4人姉妹が出てくるアメリカの有名な小説です。三条会版『若草物語』は3部構成になっており、「1幕 便所 便所が何より楽しい。」「2幕 学校 異性のことだけを考えていた。」「3幕 友情 男女間なり国家なりを越えた友情なんて妄想かしら。」という筋書がパンフレットにありました。わけわかんないなー(笑)。
三条会のお芝居について、難しいことは私にはわからないです。頭がぐっちゃぐちゃになって、客席で「一体どうしたらいいのかわっかんないよ!!(爆笑)」と言いたくなる、三条会独特の熱い可笑しみというのを、私は好きなんだと思います。汗とか唾とか鼻水とか、ちょっと気になるんですが(笑)。
ここからネタバレします。
赤白のお祝いの幕で舞台が隠されています。幕が開くと、なんと客席よりもずっと狭い、横長のステージでした。おそらくホールを通常ではなく縦に使っているのでしょうね。
1幕は、とりあえず坊主頭の男優さんが4人、ずらりと舞台に並んでキバっています。坊主なのに毛糸のおさげ髪をひっつけているのが可笑しいです。で、うんこしてるポーズなんだな、コレが(笑)。おそらく洋式トイレですね、あの腰の高さは。思いっきりキバりながら、ずっと若草物語のセリフをしゃべるんです。すごく苦しそうに、時にはスッキリしたように。お客さん、どうしたらいいのかわからないですよね、いきなり目の前でキバられちゃったら(笑)。とにかく全力でキバっているのに言うことは「お母様にプレゼントを差し上げましょうよ!!!」みたいな敬虔な言葉なので、おかしくっておかしくって(笑)。苦笑の連続でした。長いキバりシーンの後に、きれいなドレスの女優さんが4人出てきました。彼女達も4人姉妹の役でした。
2幕は、女優さん達の出番。長女のメグ(寺内亜矢子)と次女のジョー(大川潤子)がダンス・パーティーに招待されて、何を着ようかしら、手袋は必要かしら、などと身支度について喧々諤々しゃべりまくります。そうね、女の子なら誰しもデートの前に命がけで悩むんですよ、着る服について。でも、スカートに焼け焦げがあったり、手袋がしみだらけだったり、髪をカールしようとしたら燃やしちゃったり、てんでうまく行かないんですよね。その様子をものすごく大げさに演じるので、さらに笑いを誘います。
ジョー役の大川潤子さんの鍛え上げられた肉体美が迫力でした。ダンスっていうのか舞踏っていうのか、あの舞(?)にはただただ圧倒されてですねぇ、夢に見そうです(笑)。
3幕は、4人姉妹以外の登場人物が出てきて、原作をよく覚えていない私にはちんぷんかんぷんな世界になってしまいました。まあ、ストーリーが大事なのかどうかもわかりませんので、その雰囲気だけ味わえればいいのかなぁと思っていたのですが、全てが私にとって唐突過ぎて、残念ながら眠たくなってしまいました。女優さんが着物を着て出てきたのはきれいでしたね。
4人の男優と女優がてんやわんやに暴れまくって(私にはそう見えました)、ラストもやっぱりキバって終わりした。うんこって、人間なら絶対にしなきゃだめだし(しないと死んじゃうし)、人類共通の事象ですよね。結局人間って、生まれて死ぬまでうんこし続けるし、どんなに成長してもしなくても、うんこはするんですよね。歌舞伎やアメリカ、清純な成長物語などをちょっとちゃかしながら、人間って可笑しいよね、可愛いよねってことを表していたのかなぁと思いました。
作/ルイザ・メイ・オルコット 演出・構成/関美能留
出演:寺内亜矢子(ク・ナウカ) 大川潤子 阿佐見真紀 舟川晶子 立崎真紀子 三村聡(山の手事情社) 榊原毅 橋口久男 中村岳人
照明:佐野一敏 音楽:粟津裕介(発条ト) 宣伝美術:川向智紘 制作:高辻千浩
三条会:http://homepage2.nifty.com/sanjokai/
2005年02月19日
ク・ナウカ『ぼくらが非情の大河をくだる時』02/17-20下北沢ザ・スズナリ
ク・ナウカのスズナリ連続公演第1段です。先日の『幻に心もそぞろ・・・』で清水邦夫さんの脚本の言葉が素晴らしいなぁと思ったのと、「このコトバ、凶暴につき -近づくなら、客席までに。」というこの公演のキャッチコピーに惹かれて伺いました。岸田戯曲賞受賞作なんですね。演出の仲田恭子さんは2004年利賀演出家コンクール最優秀賞を受賞してらっしゃいます。
戯曲では舞台は公衆便所なのですが、完全に抽象化された、白と黒のモノトーン空間が出来上がっていました。パンフレットによると少年院に入所中の少年たちによる劇中劇という形式を取っていたようですが、観ている分にはその設定はわかりませんでしたね。
普通の生々しい演技とロボットみたいにルール化された演技が混ざっていて、何がやりたいのか私にはよくわからなかったです。言葉の解体等もしていると思うのですが、三浦基さんの演出作品(『三人姉妹』『雌鳥の中のナイフ』)を観た私にとっては、響くものがありませんでした。
上演時間は1時間強、でしたかね。すごく長く感じました。睡魔に勝てなかった。
清水邦夫さんの1972年代の脚本で、連合赤軍事件を踏まえた作品でもあるそうです。それを今、上演するにあたり、独創性の有る斬新な演出にチャレンジをすることは正しいと思いますし、興味もあります。ただ、今作品については私の好みではありませんでした。ところどころ伝わってきた言葉は魅力的だったので、また違う演出で観てみたいです。
作:清水邦夫 演出:仲田恭子
出演:中野真希 大内米治 大道無門優也(高澤優也改メ)
衣装: 多々良秀典 音響: 金子由布樹 照明: 松本伸一郎 美術: 青木祐輔 舞台監督: 小金井伸一 制作: 久我晴子、田中美季
公演ページ:http://www.kunauka.or.jp/jp/suzunari2005/hijyo01.htm
2005年02月18日
阿佐ヶ谷スパイダース『悪魔の唄』02/17-03/02本多劇場
2004年度の朝日舞台芸術賞を受賞されたばかりの長塚圭史さん率いる、阿佐ヶ谷スパイダースの新作です。NHKトップランナーにも先日出演されたばかりでしたよね。
私は2000年ごろから阿佐スパを拝見しているのですが、この作品に一番感動しました。
前売りは完売ですが、当日券は毎回数十枚発行されます。今日も補助席は空いている箇所がありました。休憩無しの2時間30分。長塚さんの本気と出会えます。
山本(吉田鋼太郎)は妻の愛子(伊勢志摩)を連れて、東京からとある山奥の一軒家に引っ越してきた。自分の浮気のせいで精神を病んでしまった愛子の療養のためだ。家に着くと、知らない女(小島聖)が勝手に家に入ってイスに座っていた。彼女の夫(長塚圭史)が迎えに来てとりあえず帰ったが、夜中にまた現れた。女は携帯電話をえさに愛子を呼び寄せて、地面に穴を掘るよう依頼する。その穴から、第二次世界大戦で戦死した日本兵のゾンビ(山内圭哉、中山祐一朗、伊達暁)が出てきたのだ。
戦争を描く舞台作品というと、戦中日本をご存知の井上ひさしさんの作品を上演するこまつ座のスタンスもありますが、今一番人気といっても過言でない若手劇団がエンターテインメント作品の中で戦争についての率直な考えを描いていることに、まず大きな価値があると思います。
劇中では戦死日本兵と現代日本人が対話しますし、日本が敗戦したことを知った日本兵ゾンビ3人も、三人三様の本音を話しあいます。戦中、戦後で急激に変化した日本の政策・教育によって、すっかり分断されていた日本人同士の心が、時代を超えて交流するのです。観客と作品の作り手、観客同士の間でも間違いなく深いコミュニケーションが生まれているでしょう。生の舞台作品だからこそ実現できたことではないでしょうか。
ここからネタバレします。
チラシビジュアルを一目見てもわかりますが、ホラーです。グロテスクなゾンビが出てきますので、スプラッター(血がとび散ったり、内臓がぶら下がったり、残酷描写の多い)映画みたいなシーンがたくさんあります。仕掛けが凄くて舌を巻きます。『ウィー・トーマス』同様にB級映画っぽい笑いになりますので、それはそれで阿佐ヶ谷スパイダースの醍醐味といえると思います。
山本と愛子の悲しいすれ違いや、戦死した婚約者(立花伍長:中山祐一朗)をずっと待ち続けている幽霊サヤ(小島聖)と、サヤを愛していた夫(眞:長塚圭史)の三角関係など、恋愛ドラマにも濃い味わいがあります。
この物語だけに当てはまる設定(幽霊とゾンビの違い等)が少し強引でわかりづらいかもしれないですが、私はあまり気に留めずにいました。身体に降り注がれるこの作品のまっすぐなパワーを、そのままに浴びることに専念しました。
吉田鋼太郎さん。最初、うろたえる姿があまりに似つかわしくなくてちょっと戸惑いましたね、吉田さんはいつも荘厳たる立ち姿の俳優さんなので(笑)。でも、徐々に現代の不幸な中年男に同情できるようになってきて、ラストの表情には私も涙しました。
長塚圭史さん。赤い目で出てきた時は本気で怖かったです。やっぱり役者、長塚さんの大ファンですね、私は。出てくるたびに長塚さんだけを見つめてしまいます。何か違うオーラが出ている気がするんです。
当日パンフレットが2,000円で販売されており、なんと戯曲『悪魔の唄』が全編収録されています。パンフ冒頭の制作代表の伊藤達哉さんの文章に心動かされました。私も同じ世代だからかもしれません。戦争を扱うことのリスクを承知の上でこの作品を作られ、戯曲を掲載していることからもその覚悟がわかります。
下記、ラストシーンで特に私の心に残ったセリフです。パンフより引用します。
立花伍長「・・・たくさんの仲間がそうやって執念深く待つ女たちを守るため戦って命を落とした。俺の周りには皇国日本のためでなく、愛する者のために死んだ奴等ばかりだったよ。平山もそうだ。」
山本壱朗「・・・君もそうなのか・」
立花伍長「・・・いや、俺は違う。ただ今は、そんなただの戦争好きみたいな奴の身代わりとなって死んだ奴等の為に死にたい。そう思っている。」
山本壱朗「・・・。」
立花伍長「あんたは日本が好きか?」
山本壱朗「・・・まあ平和な日本は好きだ。過ごしやすいし。」
立花伍長「俺も日本が好きだ。意志の強い国だ。」
山本壱朗「・・・。」
立花伍長「目標はノーフォーク。」
鏡石二等兵「え? ワシントンではないのですか?」
立花伍長「予定変更だ。ワシントンには民間人が多すぎる。無抵抗の者を殺しても民族の恥だ。ノーフォークには米軍最大の海軍基地があると貴様言っていたろう?」
言及ブログ↓
踊る芝居好きのダメ人間日記 (阿佐スパといえばこの方!)
《東京公演後→大阪・札幌・仙台・名古屋・福岡・広島》
出演:吉田鋼太郎 山内圭哉 小島聖 伊勢志摩 池田鉄洋 中山祐一朗 伊達暁 長塚圭史
舞台美術:加藤ちか 照明:佐藤啓 音響;:加藤温 山本能久 衣装:木村猛志(衣匠也) ヘアメイク:綿貫尚美 演出助手:山田美紀 舞台監督:福澤諭志+至福団
宣伝美術:Coa Graphics(藤枝憲 高橋有紀子 河野舞) web:山川裕康 制作助手:山岡まゆみ 辻未央 西川悦代 大野志穂子 制作:伊藤達哉 岡麻生子 製作:阿佐ヶ谷スパイダース
主催:(社)日本劇団協議会 創作劇奨励公演/TOKYO FM
公演サイト:http://www.spiders.jp/as/performance/akumanouta.asp
2005年02月17日
ペンギンプルペイルパイルズ『機械~メッキ仕上げ~』02/17-03/06下北沢OFF OFFシアター
岸田國士戯曲賞を受賞している倉持裕さんが作・演出する劇団ペンギンプルペイルパイルズの新作です。【メッキ仕上げ】と【鏡面仕上げ】の2ヴァージョン公演。THE SHAMPOO HATの赤堀雅秋さんが出演されている【メッキ仕上げ】初日を拝見しました。
上演時間はわずか1時間ちょっと。4人だけの出演者が小さな、小さな空間で密度の高い会話劇を見せてくれます。少々難解かもしれませんが、東京の小劇場界でこれを観ないで何を観る?!と声高に問いかけたい気持ちです。これこそfringe(フリンジ:小劇場)なのだと思います。
演劇公演として、最高のエンターテインメントだったのではないでしょうか。気合う仲間と1時間ちょっとの異世界に浸り、夜8時過ぎからビールをお供にしっとりと芝居の話をしながらディナータイム・・・理想ですよ、理想!(誰と一緒に観るかが決め手?)でも、開演が19:00っていうのは早いかな。19:30だったら文句なし!
今日はこの公演の初日でした。役者さんのコミュニケーションもこれから質が上がっていくと思われます。
観に行くと決めてらっしゃる方は、これ以降、何も読まずに行かれることをお薦めいたします。
≪あらすじ≫
水が滴る音が響く、岩に囲まれた暗い穴ぐら。得体の知れない物体“機械”を前に、男と女が立ち尽くす。「これ、どうやって上に持っていくんだよ!?」。
八巻(玉置孝匡)と椿(ぼくもとさきこ)は2年かけて必死で組み立てた“機械”を評価してもらうために、コンテスト会場(?)のある地上へとその機械を運ぼうとしていたのだが、キャスターが機械の重さに耐え切れずに壊れてしまったのだ。成すすべも無く立ち往生していると、見知らぬ男、芹沢(赤堀雅秋)が現れた。2人が居たのはちょうど芹沢の家の真ん前で、芹沢はこれから妻と一緒に映画を見に行くと言う。しかし妻はなかなか出てこない。そうこうしている内にまた一人、男が現れて・・・。
≪ここまで≫
影絵でオープニング・・・その時点で私の心の盛り上がりは最高潮!2人の人間が協力して何かを運んでいる影絵でした。運んでいる物体(機械)に何か異変が起きて、イガイガに尖がったウニが出てきてましたよね。ありえないってホント。「駄目だ、そこを触ったら、ウニー!」って、何それ(爆笑)!
舞台の世界は富裕層が住まう地上と、貧民が暮す地下に別れており、貧民は地上に機械を持っていって評価をしてもらいます。入選(?)したら賞金がもらえて、地上で暮していけるお金が手に入る・・・らしい。
八巻らが2年かかって作り上げた“機械”は、パンは焼けるし音楽は鳴るし、偽札も製造するし携帯電話のような機能もある、ヘンな箱でした。
芹沢(赤堀雅秋)以外の登場人物は芹沢の知人の辰巳(松竹生)で、辰巳は機械について色々なことを知っていました。彼も5年前に機械を組み立てて、すでに評価をしてもらうために地上に持っていった一人だったのです。彼の整理番号は899番。もう5年待っています。
いつか誰かが褒めてくれてご褒美をくれるから、何なのかわからないものだけど必死で作ってみる。何年もの月日を、労力を、得体の知れない物体のために費やし、やっと完成した時にはそれを誰かに提出して手放してしまう。番号札を大事に持ちながら、いつか誰かが褒めてくれる日を、何年もずっと待ち続ける日々・・・。
自分よりも位が高い(と勝手に思い込んでいる)人や組織から認められたい、褒められたいと、漠然と思いながら、わけもわからず言われるがままに何かを作ったり手伝ったりしているというのは、現代を生きる私たちのことを表していると思います。また彼等が暮す世界に仲間入りすることが目的だというのも、「勝ち組」「負け組」というように世界を二極に分けてとらえがちな世界で、やみくもに「勝ち」の方へと死に物狂いで頑張る姿に重なります。
突然、機械が男の声を傍受します。それは椿がずっと探してた増尾という男の声でした。増尾は「機械を完成させて、提出した。入賞した、みとめられた!」と言います。899番の札を大事に持っていた辰巳は増尾が900番代だったと知って、自分の順番が飛ばされた=認められなかった事に気づきますが、それを受け入れられません。わなわなとしている間に大切な札を失くしたことに気づき、さらに慌てふためいて、札を探すために深い穴に飛び込み、そして、おそらく死んでしまいます。
増尾が穴に落ちる前に八巻はその札を見つけていたにも関わらず、彼が飛び込むままにしました。番号札欲しさに彼の命を捨てたのでしょう。なんとも醜い、恐ろしい瞬間でした。
機械から増尾の声が聞こえて来た時の椿のおびえ様から、彼女が機械を怖がっていたのは、増尾から逃げるためだったとわかります。2年間、八巻のことを手伝って一緒に暮らしている内に、椿は八巻のことを好きになってしまっていたんですね。その椿と八巻のラブシーンが素晴らしかったです。
八巻(玉置孝匡)「お前、俺のことが好きか」。椿(ぼくもとさきこ)「はい」。気の弱い八巻は椿の方に近寄り、そっと両腕を彼女の肩へと伸ばそうとしますが、椿の方も八巻に触れようとします。しかし八巻は椿の手を振りのけて、もう一度自分の方から椿に触ろうとする。だけどあまりにスローだから、やっぱり椿の方からサッと手を伸ばす。再び椿の手を払いのける八巻。そしてもう一度自分から椿に手を触れようとしたが、今度は椿がそれを叩き落とす!互いの手を払いのけ合い、取っ組み合いになり、やっと、2人で強く抱擁・・・。きっと、2年間ずっとプラトニックだったんです。初めての抱擁ですよ、おお、2年越しの恋の成就!!・・・と思ったら、今度はすっぽんのように、タコの吸盤のように、椿が八巻から離れない。ロマンティックな見せ場の後にはちゃーんとギャグを入れて、ほほえましく収めて下さいました。
芹沢(赤堀雅秋)のラストのセリフ「(機械に触れて)下で見つけて、下で作ったんなら・・・始めから下で使う物なんじゃないか?」に、愕然。
自分の世界で自分が材料をみつけて自分の手で作ったものを、見知らぬ誰かに自ら進んで引き渡して、その品定めをしてもらうのを何年も待つなんて、しかもそのまま返って来る保証も、代償が得られる約束もありません。つまり盗まれたも同然です。また、その機械が一体何なのかもわからずに、ただあった部品をすべて使うということだけに集中して完成させたので、自分が作りたくて作ったわけではないのです。
噂話や得ダネ、耳寄りな話に自分からどっぷり浸かって、実体のない“幸せ”を得るために、何年も必死で不必要なものを作り続ける。しかもそのために人殺しまで犯してしまう・・・不毛、不毛、不毛!なんてすごい戯曲なんだ。
下北沢OFF OFFシアターのあの狭い舞台がぎっしりと岩で囲まれて、岩から水がしたたり落ちている場所が2~3箇所ありましたよね。すっばらしいこだわり!最後にブラックライトで天井部分の岩が蛍光黄緑色に光って、地下世界の宝石が見えた気がしました。
赤堀雅秋さん。怪演でした・・・もう、赤堀さんしか見えないわっ!!っていうシーンが何度もありましたね(笑)。つめを噛み続けるとか、いろいろ細かいキャラクター作りに見とれました。
ところでチラシのイラスト、最高にかっこいいですよね。日本総合悲劇協会『ドライブイン カリフォルニア』のチラシ・パンフレットも描かれていた高野華生瑠さんの絵です。
※セリフは劇場で購入した脚本より引用いたしました。
出演:ぼくもとさきこ 玉置孝匡 (両公演共通)
【メッキ仕上げ】松竹生 赤堀雅秋(THE SHAMPOO HAT)
【鏡面仕上げ】山本大介 村岡希美(ナイロン100℃)
作・演出:倉持裕 舞台監督:橋本加奈子(SING KEN KEN) 丸岡祥宏 舞台美術:中根聡子 照明:清水利恭(日高照明) 音響:高塩顕 音楽:SAKEROCK 衣裳協力:田中美和子 宣伝美術:岡屋出海 宣伝イラスト:高野華生瑠 宣伝写真:引地信彦 制作:土井さや佳 企画製作:ペンギンプルペイルパイルズ
ペンギンプルペイルパイルズ:http://www.penguinppp.com/
オフオフ劇場:http://www.honda-geki.com/aaa/offoff1.html
2005年02月16日
Bunkamura『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』02/05-28シアターコクーン
清水邦夫さんの1975年の作品を蜷川幸雄さんが初演出。コクーンの蜷川作品のいつもの豪華キャストです。長いタイトルですが、声に出してみるときれいな言葉ですね。
戦闘で頭を怪我した平将門(堤真一)は、自分が将門ではなく、将門を宿敵として長年追っている人物であると思い込んでいる。家臣らは、にせの将門(影武者)を何人も用意するなどして将門を守ってきたが、将門の変貌振りに動揺を隠せない。戦況はどんどんと思わしくなくなっていき・・・。
舞台装置(中越司)と照明(原田保)が素晴らしかったなー・・・スモークを思いっきり炊いた劇場は、真っ赤な照明に照らされて全体が地獄の炎に包まれたようになり、炎の向こうにうっすらと映る人影から聞こえてくる、おどろおどろしい叫び声のような言葉達。迫力満点のオープニングに、思わず身を乗り出してしまいました。
美術が舞台床から天井まで一気に続く階段になっているのは、去年の『リア王の悲劇』@世田谷パブリックシアターに似ていますが、あの時よりもずっと余裕が感じられて俳優に優しい装置に見えました。舞台の上下(かみしも:右と左)も階段になっているのが珍しいそうです。
石が天井からどんどんと降って落ちてくるのは『パンドラの鐘』でもありましたが、今回の方がずっと効果的でフィットしていたと思います。『近代能楽集』では赤い椿が落ちてきましたよね。あの、ボトン、ゴツッと床が鳴るのがいいんですよね。
オープニングは照明か映像で雪が降るのを表していましたが、後半では思いっきり紙吹雪が降り注いで豪華でした。前から2列目までのお客様は頭にいっぱい白いものを乗せたままの観劇でしたね。臨場感あるな~、うらやましい。
ストーリーを追うことはできたし結末も見届けることもできたのですが、戯曲が伝えようとしている意味はよくわからなかった、というのが正直なところです。長いセリフが多くて、2人きりでずっとしゃべり続けるシーンでは途中で眠たくなったりしました。すごく良いセリフがいっぱいあったと思うのですが、2時間55分(うち休憩20分)は集中力が持たなかったですね。パンフレットにセリフがたくさん載っていて、それを読むと少しずつ意味がわかりかけてきました。
平将門とその家臣たちのお話ですが、あくまでもそれは題材であって、人間の心の深い部分にある欲望や信念を描いていたのではないかと、漠然とですが、思いました。自分達は死んでも将門だけを守り抜いて逃がし、永遠に消えない夢になるという結末には、70年代の魂を近くに感じられたような気がしました。今も昔も、人にはそんな気持ちがありますよね。
役者さんでは、将門の影武者の一人、五郎役の高橋洋さんがとても良かったです。高橋さんの熱い演技が武者姿にばっちりなんですよね。前半は高橋さんの独壇場だったと言えるのではないでしょうか。
作:清水邦夫 演出:蜷川幸雄
出演: 堤真一 木村佳乃 段田安則 中嶋朋子 高橋洋 田山涼成 沢竜二 松下砂稚子 他
美術:中越司 音楽:笠松泰洋 照明:原田保 衣裳:前田文子 音響:井上正弘 ヘアメイク:鎌田直樹 殺陣:國井正廣 演出助手:井上尊晶 舞台監督 :明石伸一
公演サイト:http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/maboroshi/index.html
2005年02月15日
劇団俳優座『三文オペラ』02/10-21紀伊國屋サザンシアター
『三文オペラ』はブレヒト作、クルト・ワイル作曲の超有名な音楽劇です。俳優座の創立60周年記念公演の最後を飾る作品だそうです。
去年の劇団、本谷有希子 公演『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』でめちゃくちゃ美しかった森尾舞さんがヒロインということで、当日券で伺いました。
はじけてなかったですねぇ・・・。教科書どおりというか、ストーリーを脚本のままになぞっているだけのように感じました。『三文オペラ』に私が期待するはちゃめちゃさ、ときめき等のパワーがありませんでした。
2001年夏にBunkamuraシアターコクーンで上演された、蜷川幸雄演出、加賀丈史、村井国夫出演の『音楽劇 三文オペラ』を観たのですが、あれよりも面白くなかったです。非常に残念。
まず、歌が弱かった。1曲だけ良かったですけど。主役のマックヒース(武正忠明)を取り合いするポリー(森尾舞)とルーシー(安藤みどり)が歌う“嫉妬のデュエット”は、2人とも歌にも演技にも全力を出すことが出来ていて、おちゃめでとってもキュートでした。
そう、なんだか役者さんが皆さん、おびえているように見えたんですよね。「正解」というものが歌にも演技にも確実に存在して、それを目指している、つまり、不正解を出すこと、はみ出すことを恐れて全てが小さいサイズに収まってしまっているように見えました。
お目当てだった森尾舞さんは高音域が出ないようで、ソロの歌は聞いているのがつらかったです。だったら音階を下げて作曲してあげればいいのにって思いました(勝手なこと言ってすみません)。だって、低い音域の歌はすっごく上手なんだもの。声もきれいだし、よく響きました。
衣裳はしっかりした縫製で生地も凝っていて、とても私好みでした。
劇団俳優座公演 No.276 創立60周年記念公演 No.8
出演:可知靖之 松野健一 遠藤剛 立花一男 中吉卓郎 中寛三 武正忠明 川井康弘 塩山誠二 田中茂弘 渡辺聡 石田大 関口晴雄 齋籐淳 蔵本康文 齋籐隆介 青山眉子 鶉野樹理 早野ゆかり 飯原道代 島美布由 安藤みどり 久保田涼子 森尾舞 川口桂 古賀勝恵 山本祐梨子
スタッフ:作/ブレヒト 音楽/クルト・ワイル 訳/千田是也 演出/安井武 音楽監督/後藤浩明 美術/島次郎 振付/西田尭 照明/森脇清治 音響/小山田昭 衣裳/若生昌 演出協力/可知靖之 舞台監督/石井道隆 制作/武田明日香
平成16年度文化庁芸術団体重点支援事業
公演ページ(写真多数あり):http://www6.ocn.ne.jp/~haiyuza/Pages/sanmon.html
2005年02月14日
西永福『ハローハロー、へび女』12/27, 28下北沢OFF OFFシアター
下北沢OFF OFFシアターでやる、年末平日2日間だけの女2人芝居。西永福という女優2人ユニットは、この作品で旗揚げのようです。
チラシビジュアルやキャッチコピーから、オムニバス・コントかと思っていたのですが、きちんとした3幕もののストーリー芝居でした。
苗字の発音が同じ、愛川かつ子(永野麻由美)と合川まき子(西森光枝)は高校時代の同級生。元・ちびっこアイドルで今もきゃぴきゃぴしているかつ子が、十数年(?)振りに田舎に帰ってきて、惣菜屋で働く地味で冴えないまき子に会いに来た。
劇場中央に簡単なテーブル1台とイスが2脚あり、2方向から客席が舞台を挟む形でした。喫茶店、居酒屋、うなぎ屋で、かつ子とまき子が面と向かい合って、話し続けます。キャラクターとしては、かつ子がボケでまき子がツッコミですね。けっこう笑えました。
第1幕、第2幕で徐々に物語の設定や2人の性格が明らかにされてきて、第3幕のどんでん返しが痛快でした。女子高校時代の切ない思い出や、ひた隠しにしてきた本音が可愛らしいセリフとともに少しずつ明かされ、2幕までに起こった出来事の裏側・真相がぽろり、ハラリと暴かれていきます。
昔から詩が好きだったまき子が、第3幕で「私、詩集を出すの」と言った時はじーんと来ちゃいました。それもまた裏返しになってしまうのが、上手い脚本です。脚本を書かれた鈴木健志さんは東京小店という劇団の所属のようですが、今度本公演を観てみたいですね。
2人とも出ずっぱりでしゃべりっぱなしの1時間20分。当然ですが、お稽古も大変でしょうし、本番も緊張の連続ですよね。ベテラン俳優が出ているものでも2人芝居ってすごいなーと思うんです。正直なところ全然期待していていなかったんですが、すごく面白かった。
脚本についても演技についてもまだまだ改善できる点があると思いますので、再演をされてはいかがでしょうか。装置もほぼいらないですし、気軽にカフェとかで。また観たいです。
脚本:鈴木健志(東京小店)演出:西永福
出演:永野麻由美(Rel-ay) 西森光枝
舞台監督:天谷俊介 照明:柳本友紀 音響:秋山龍(Rel-ay) 制作:Rel-ay西永福制作部 協力:東京小店 Rel-ay
Rel-ay内・西永福:http://www.rel-ay.com/play/nishi-eifuku/
2005年02月13日
シベリア少女鉄道『<死ぬまでにしたい12個目のこと> アパートの窓割ります』02/11-20THEATER/TOPS
作・演出の土屋亮一さんにいつも驚かせてもらって、役者さんの滅私奉公な演技に笑わせてもらっている、シベ少。やっぱり今回も観に行ってしまいました。
次回公演はなんと紀伊国屋サザンシアター!終演後にチケットを受付で販売しています。すごい!買ってる方、いっぱいいましたよー。
シベリア少女鉄道vol.13『笑顔の行方』05/06-11紀伊国屋サザンシアター だそうです。
社会人野球をしている若者たちのお話。あだち充の人気漫画「H2」(そして部分的に「タッチ」)とかぶり気味な設定の野球青春ラブ・コメディーの様相で、ラストは・・・。
“衝撃”はそれほどありませんでしたが、私は前回の『VR』より今回の方が好きですね。最初の1時間のドラマがしっかりした脚本だったので、それだけでもちょっとイイ感じでした。
高校球児時代からずっとライバルだった2人のカズヤ、一也(いっくん:吉田友則)と和也(わっくん:横溝茂雄)の間には、いつも同級生の真弓(篠塚茜)がいて・・・という少年漫画の理想の恋の設定です。真弓は最初はいっくんと付き合っていたけれど、今はわっくんと付き合っていて、だけど真弓はまだいっくんに未練があるようで・・・という「んもうっ!じれったいわっ!一体どっちが好きなのよ?結局どっちとひっつくの??」と、観ている方がもじもじしつつ、わくわくドキドキできる胸きゅんラブ・ストーリーをしっかりと演出してくれていました。
最初の方は役者さんのセリフも演技もおぼつかなくて、かなりわかりづらかったのですが、徐々に意味がわかってきた頃にはすっかりお話にのめり込んでいました。土屋さんはお決まりのパターンというのを完全に頭の中でシュミレーションできてらっしゃるんでしょうね。
ここからネタバレします。
試合の結果は?真弓の恋人は誰に?いっくんの病気は?社会人野球部はつぶされるの?等の疑問が、最初の1時間で思いっきりドラマチックに盛り上げられます。
実は白血病だったいっくんが、命を掛けてわっくんとの試合に臨むのですが、9回裏のいっくん(投手)とわっくん(打者)の最期の勝負のシーンが、2ストライク・3ボールのところでぷっつりと途切れ、暗転します。勝負の結果も恋の行方も全ておあずけにされ、すぐに「エピローグ」が始まります。そのエピローグがめちゃくちゃ長くてですねぇ、結果を言いそうで、全然言わないんです。そのじらし方が底抜けにバカバカしいんです!これが今回のシベ少、だったようです。
最高に私のツボだったのはこちら→ いつもの喫茶店に灰色っぽいスーツを着たわっくんが入ってきて、おもむろに「お墓参りに行って来た」と言うので、「え?やっぱりいっくんは死んだの??」と思うじゃないですかぁ、なのに「織田信長の墓に」って言うんです!その後すぐに織田信長が本能寺で殺されるシーンを再現しちゃうのも究極にバカバカしくって、もう、ずっと笑いが止まらなかった(笑)。
他にもさんざん思わせぶりなセリフを使い、演技でじっくりじらして、結局、最後まで何も教えてくれないまま、作品は終了しました。客席の明かりがついた時、客席から「・・・え?(これで終わり??)」という声が聞こえましたね(笑)。
駄目押しに、制作さんが「本日はご来場ありがとうございました。試合の結果ですが、わっくんがホームランを打って、いっくんは死にました。そして野球部はつぶれませんでした」と、そっけなくアナウンス・・・あきれて、また笑えましたね(笑)。そうね、結局“どうなって、どうなったのか”をすっごく知りたかったから、教えてもらえてすっきりましたが、土屋さんの言うとおり、期待していたものとはかけ離れた結果でした(笑)。
作・演出/土屋亮一
出演/藤原幹雄 前畑陽平 吉田友則 横溝茂雄 出来恵美 篠塚茜 ほか
舞台監督/谷澤拓巳 音響/中村嘉宏(atSound) 照明/伊藤孝(ARTCORE design) 映像/冨田中理(Selfimage Produkts) 宣伝美術/チラシックス(冨田中理・土屋亮一)音源製作/霜月若菜 制作/渡辺大 制作助手/保坂綾子・安元千恵 製作/高田雅士
公演サイト:http://www.siberia.jp/nextstage.html
《お知らせ》池内美奈子 主催【ショーケース】2/26, 27森下スタジオ
新国立劇場の俳優養成サマーコースや、ネットワークユニットDuoの俳優指導者養成ゼミの講師でもいらっしゃる池内美奈子先生から「レクチャー&デモンストレーションと ショーケースのご案内」をいただきました。
※「レクチャー&デモンストレーション」は2月10日開催でした。
【showcase (ショーケース)】
日時:2005年2月26日(土)19:00~20:30、
2005年2月27日(日)19:00~20:30
会場(いずれも):森下スタジオ Aスタジオ (東京都江東区森下3-5-6)
■showcase (ショーケース)とは…
イギリスやアメリカの演劇界にはショーケースという機会があり、アーティストたちはその機会を利用して自分には何が出来て、どういうことをやりたいのかを披露します。
劇作家であれば、新しい本のアイデアを披露するため、共感してくれる俳優の協力を得てプロデューサーや演出家に本読みをきいてもらいます。プロデューサーや演出家はその後、「ここはよかったがあそこはだるい」、「アイデアは面白いが、展開は未熟だ」など、それぞれにフィードバックします。そこで得た様々な声を、劇作家は次の創作段階に持っていきます(もしくは次はないものと諦めます)。
ここで大事なのは、ショーケースは決して完成したものを見せるのではなく、方向性を指し示す場であるということです。そして同じ演劇に携わる人たちにコメントしてもらったり、共感者や出資者を得て、まわりとの接触を持ちながらアイデアを育てていく出発点なのです。
ヴォイスのコースで行う私たちのショーケースは、個々の俳優が『自分はどういう作品をやりたいのか、どういう役柄を演じたいのか』を披露する場です。俳優には、「自分の役柄の幅を広げたい」、「今までキャスティングされていた役とは違うものに挑戦したい」と言う理由で、挑戦したい役柄、場面を持ってきてもらい、ショーケースにかけるようトレーニングします。
ショーケースをご覧いただいた、プロデューサー、制作者、演出家、俳優には、『こんな俳優がいて、こんな技量があって、こんな台詞があったんだ』等々・・・色々な刺激を受けていただき、「一緒にやってみたい」、「冒険してみたい」・・・と次の企画、作品への素材、ヒント、アイデアとして生かしていただきたい、と思っております。
★池内美奈子(ヴォイス・コーチ) プロフィール
1991年英国ヨークシャーにあるARTTS International 校にて演出ディプロマを取得。2000年度文化庁在外研修にて、ロンドンのセントラル校(Central School of Speech and Drama)のヴォイス・コースに学び、ヴォイス&スピーチ講師術を修得。ヴォイス学修士(MAVS)を取得。ロンドンではセントラル校、RADA日本人ワークショップ、メアリーマウント演劇校などでヴォイスを教える。日本では演劇集団円、NLT、桃園会などの劇団や新国立劇場オペラ研修所や桐朋学園などの養成機関、各プロダクションに出張してヴォイスを教える。2004年は新国立劇場の俳優養成サマーコースのヴォイス担当。また香港のカンパニー「劇場組合」に招かれヴォイスを教える。
《お申し込み&お問い合わせ》
出席希望者は、名前、社名(所属)、連絡先TELをご記入の上、FAXかメールでお申し込みください。
・teamBooGie(チームブーギー)
TEL/FAX: 03-3916-9016
e-mail: teamboogie@myad.jp
2005年02月12日
AND ENDLESS『西遊記~百花繚乱~』02/08-13全労災ホール/スペース・ゼロ
アンドエンドレス(通称:アンドレ)は西田大輔さんが作・演出、そして出演している劇団です。紀伊国屋サザンシアター、俳優座劇場など大きな劇場に進出されているので、いつか観たいと思っていました。今回は新宿のスペース・ゼロ(今作品の客席数は330席/1ステージ)。
“千変万化”、“百花繚乱”の2バージョン公演で、私は“百花繚乱”を拝見しました。2つとも新作で、上演時間は休憩15分を含む3時間。物語の時系列的には“千変万化”が先で“百花繚乱”が後になるそうです。
『西遊記』ですので、三蔵法師、孫悟空、猪八戒、沙悟浄らが登場します。天竺への道中、年を取らない(同じ時間が繰り返されている)国でトラブルに巻き込まれて・・・。盛り込まれたテーマは友情、恋愛、家族愛、勧善懲悪など。何度も何度も突然に始まるダンスタイムと大人数の殺陣シーンに圧倒されました。胸から火花が飛び散ったり、剣から火柱が立ったり、最後に出てきた巨大な物体にはびっくり。ギャグもわんさかありましたね(孫悟空役の西田大輔さんがいつも飛ばしてました)。そういえば映像もチラリと。
面白いこと、楽しいことが盛り沢山のアクション・エンターテインメント・ショー、と言うのが適当かしら。アニメの舞台化ってよくありますが、こんな風に仕上がるのかも。将来サンシャイン劇場に進出しそう。
客層が『セーラームーン・ミュージカル』に似ている気がしました。固定ファン層をしっかり獲得しているんですね。ファンクラブがあり、開演前のロビーでは会員証にスタンプを押してもらっている人や、役者のブロマイド的なポストカード(1枚150円)を何枚も買っている人がいました。きっと1人の観客が何度も観に来られるんでしょう。お話に関係ない人物がいきなり現れて、明らかにもう片方のバージョンを宣伝しているシーンが多々ありました。こういうのがあるとファンなら観たくなるのかな。
私が行ったのは2/10(金・祝)の夜公演で、ロビー開場のまま劇場に入るまで20分待ち、開演は10分以上遅れていました。どうやら昼公演と夜公演の間が短すぎるようです。それにしても3時間の新作を2本作るってすごいと思います。たしか前もそういう公演だったと思うので、アンドレといえば1つの作品で6時間ってことなのでしょうか。いろんな意味でパワフル、でした。
作・演出:西田大輔
出演;西田大輔 岡崎司 加藤靖久 窪寺昭 佐久間祐人 田中覚 村田雅和 村田洋二郎 八巻正明 大森裕子 木村智早 菅原麻子 田中良子 中川えりか 渕上善一
岡本勲(劇団ショーマ) 梶武志(Team AZURA) 小林洋貴(epitaph) 谷口賢志 塚本拓弥 町田誠也(R:MIX) 秋野ひとみ(T1 Project) 後藤藍(東宝芸能ダンスセクション) 南口奈々絵(劇団ショーマ)
舞台美術:深海十蔵 照明:千田実(CHIDA OFFICE) 音響:前田規寛(M.S.W.) 楽曲提供:vague イリュージョンプロデューサー:ANXRA 映像:影乃造 衣装:増田晶 ヘアメイク:村田さやか 東京モード学園 メイク・ヘア学科 振付:松尾耕(M.K.M.D.C) 浅井みどり(THUG LIFE) 殺陣指導:清水順二(Team AZURA)梶武志(Team AZURA) 舞台監督:下柳田龍太郎 撮影:colors imagination 舞台写真:土屋勝義 宣伝美術 サワダミユキ 題字:八巻明 印刷 ㈱トレーノ 制作:小比賀祥宣 安井なつみ プロデューサー:下浦貴敬 企画・製作:AND ENDLESS 主催 :(株)Entertainment Capital 協賛:(有)ルーポプロジェット 株式会社グローバルホットライン
公演サイト:http://www.andendless.com/special/saiyuki/index.html
fringeの「劇団員に誰かお知り合いはいませんか」撲滅運動に賛同します
小劇場演劇を支援するサイトfringeのfringe blogの記事より。劇場の受付で、当日券のお客様に受付の人が尋ねるセリフ「劇団員に誰かお知り合いはいませんか」を、fringeでは「絶対に禁句」としています。理由はこちら。
先日、前売りチケット(当日精算券)を予約して、ある小劇場劇団の公演を観に行ったのですが、受付で「半券にお名前をお書きください」と言われました。「なぜですか?」とたずねたら、「劇団員にお客様のことを知っている人間がいるかもしれないので」というお答えでした。私は「知り合いは居ません」と返事して、名前を書くことを拒否しました。
東京に旅公演に来ていた劇団だったから、こういう驚くべき対応があったのかもしれません。これも劇団員のノルマを数えるためですよね。劇団員のノルマ確認のためにお客様の名前を聞く(書かせる)なんて、前売りだろうが当日だろうが、とってもヘンです。前売り券を買って映画館に行った時、もぎりの方に名前なんて聞かれませんよね。その映画の関係者に知り合いがいるかどうかを聞かれても・・・困ります。
私は演劇ファンがもっともっと増えて欲しいと願っていますので、fringeの「劇団員に誰かお知り合いはいませんか」撲滅運動に賛同します。
ポケットシアター『動物園物語より』02/22,26,27サイスタジオ小茂根B
古川悦史さんと助川嘉隆さんによるエドワード・オールビーの『動物園物語』です。再々演ということで息のあった楽しい二人芝居を見せてくださいました。
公園のベンチに座って読書をしているピーター(助川嘉隆)に、見知らぬ男・ジェリー(古川悦史)が話しかけてきます。
ジェリーがつっこみで、ピーターがボケだったかな?とにかく漫才みたいにめちゃくちゃ笑えました。
ジェリーがピーターに何度も「ごめんねー」って謝るのが、良かったです。
22日,26日,27日の『Visions of Tokyo』or『knob』終演20分後にポケットシアターを上演。
作=エドワード・オールビー「動物園物語より」 出演=古川悦史・助川嘉隆
企画・制作:吉田 悦子・Happy Hunting Ground 主催:サイスタジオ 協力:文学座企画事業部 サイ(株)スタジオ事業部
公演サイト:http://www.saistudio.net/html/studio_performance_vol14.html
サイスタジオ主催・Happy Hunting Ground『Visions of Tokyo』02/10-27サイスタジオ小茂根B
reset-Nの夏井孝裕さんの脚本を文学座所属の演出家、俳優が上演。『Visions of Tokyo』はreset-Nのシアタートラム初進出作品でした。
サイスタジオって有楽町線小竹向原から歩いてすぐなんですね。可愛らしいカフェや雑貨屋さんと同じビルの2階なので、開演前にウィンドウショッピングしてゆっくりお茶しちゃいました♪
劇場の壁がほとんど露出したままの殺風景な舞台には、積み上げられた土嚢(どのう)の山が一つ。その場所(部屋?)を訪れる男、男、男。静かで恐ろしい4人芝居です。
reset-Nによる初演(2002年1月)に比べると、全体的に軽いタッチで作られているように思いました。登場人物の一人一人があまり気持ちの上で交わらないで、それぞれが自分の世界を保ったまま、その中で葛藤している状態で、観客に対しても現実世界に対しても、ちょっと距離を感じさせる仕上がり具合だったのではないでしょうか。一人一人についてはなるほどなぁと納得だし、素敵だなぁと思ったりできたのですが、作品全体のパワーとしては想像していたよりは弱かったように思います。
でも、やはり脚本が素晴らしいので見ごたえはあります。今月末までです。
ここからネタバレします。
放射性物質(プルトニウム等)を土嚢の下に隠していた2人の研究員(クラモト:高橋克明、フジタ:細貝弘二)は、彼らなりに悩んだ結果、致し方なくプルトニウムを持ち出したという解釈に取れました。初演では冷徹無比、人殺しなんて朝飯前&四六時中OKのような人物だったクラモトですが、今作では人間味のある人物でしたね。クラモトの部下のフジタ(細貝弘二)も、自分のミスのせいで地下50mのコンサートホールに危険物質を隠すハメになったけれど、必死で安全処理をしようとする善意の若者でした。
最初はちょっとしたきっかけでしかなかったのであろうクラモトの欲が、雪ダルマ式に大きな野望となり、部下のフジタを巻き込んで猛スピードで闇へと突っ走り、決して消えない罪へとなっていった様子が目に見えるようでした。そこは初演とかなり違う印象で面白かったです。
放射性物質の扱いについての演出に少し疑問を感じました。例えばラストでジュラルミンケースの蓋を開けて、5kgと5kgのプルトニウム同士を近づけていたようなのですが、照明が光っていただけで爆発等は起こりませんでした。たしか2つを近づけると「東京が吹っ飛ぶ」と言っていた気がするんですが・・・。また、蓋を開けるだけで「いや~な死に方をする」のでしたら、彼らと同じ空間(客席)に居た私も「あぁ、その蓋を開けないで!私は“いや~な死に方”をしたくない!」って思いたかったですね。蓋を開けるシーン、プルトニウムを近づけるシーンの両方が、サラっとしすぎていたんじゃないでしょうか。
※脚本家の夏井さんからご指摘をいただきました。プルトニウムそのものは爆発せず、臨界反応を起こして強烈に放射線を出すそうです。「壊滅」という台詞が使われていたようで、私のうろ覚えでした。ごめんなさい。
2人の研究員と、ホルン奏者の女の子に恋をしたヴァイオリン奏者のニカイドウ、ずっと自分の死に場所を探していたヤザキ(浅野雅博)という4人が、「死」を目の前にして自分自身について深く考え、行動を起こしていく様には感情移入できましたし、発する言葉にもそれぞれのにリアリティがありました。でも、この作品は登場人物一人一人についての群像劇に納まるものではない気がしている私にとっては、ちょっと物足りなかったかもしれません。
4人の俳優と40名ほどの観客、そしてプルトニウムという圧倒的な破壊力を持った決死の危険物質が同時に存在する空間で、人間、地球、命、という大きなテーマを感じたかったです。プルトニウムが入った禁断の箱を開ける瞬間、恐怖と歓喜が入り混じった、言葉では表現できないような高揚した感覚をヤザキは身体で感じたと思うのですが、観客の私もそれを共有したかったですね。
作:夏井孝裕2作品連続公演『Visions of Tokyo』,『knob』
※『knob』は1999年に第四回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
【出演】Happy Hunting Ground(ハッピーハンティンググランド)
「knob -ノブ- 」:加納朋之・古川悦史・川辺邦弘・亀田佳明・斉藤裕一・征矢かおる・添田園子
「Visions of Tokyo -ヴィジョンズ・オブ・トーキョー-」:高橋克明・浅野雅博・石橋徹郎・細貝弘二
「動物園物語より」(ポケットシアター) : 古川悦史・助川嘉隆
作 夏井孝裕 エドワード・オールビー「動物園物語より」 演出:高橋正徳 美術:乗峯雅寛 照明:中山奈美 企画・制作:吉田 悦子・Happy Hunting Ground 主催:サイスタジオ 協力:文学座企画事業部 サイ(株)スタジオ事業部
公演サイト:http://www.saistudio.net/html/studio_performance_vol14.html
2005年02月10日
モダンスイマーズ『デンキ島 松田リカ編』02/08-13中野ザ・ポケット
モダンスイマーズは蓬莱竜太さんが脚本・演出を手がける劇団です。主宰は西條義将さん。蓬莱竜太さんは劇団外でも大変なご活躍で、今年8月に世田谷パブリックシアターで上演される『世界の中心で、愛をさけぶ』の脚本を担当されるそうです。これはびっくりですね。
以前の作品『デンキ島』の続編ではなく、完全な新作だそうです。
スミエ、マコ、リカは高校の仲良し3人組。卒業したら3人一緒に東京に行こうと約束をしている。スミエは建築家を目指しており、マコは美術の道に、リカは柔道が特技だというだけで、特に東京に行く目的がはっきりとしているわけではなかった。リカの母親は男を作って出て行ってしまっており、兄が田んぼを耕して家計をまかなっているが、父親がバクチと酒に溺れているため、暮らし向きは悪くなるばかり。リカも毎日バイトに明け暮れている。
ある日、本土からヤクザの一味が島にやってきた。高校の男子生徒がその仲間に入れられたり、父親のバクチの借金を取り立てに来るなど、リカは闇の世界へと否応なしに引きずり込まれていく。
数ヶ月前から「作品が良い」という噂を友人から聞いていました。なのに今日まで行かなかった理由は、私がたまたま中野MOMOで芝居を観た日に、中野ザ・ポケットの入り口に受付待ちの長蛇の列を作っていた劇団が、このモダンスイマーズだったからです。受付で待つかもしれない・・・という不安から、今まで遠ざかっていました。で、今日も案の定ちょっとした行き違いがあり・・・・。
そういう、入り口でのマイナスがあったのが原因なのかどうかは、はっきりとはわからないのですが、どうしてもこの作品の空気に溶け込めませんでした。よく出来た脚本だなーとか、役者さんも一人一人個性があって素敵だなーとか、観ている最中に感心するところも沢山あったのですが・・・。
演出で意図的に作っているのでしょうけれど、全体にあきらめたような気持ちが広がっていたように思います。私も日本の本島から離れた小さな島に行ったことがあるので、まんべんなく、どうという理由も無く、ただ、ダラっと停滞している状態というのは体験したことがあるのですが、この作品における空気はそれとも少し違う気がしました。いつも卑屈さと隣り合わせになっているというか、基本的に後ろ向きな雰囲気で、私にはそれが合わなかったかもしれません。でも、2時間10分の内容はとても濃かったし、この作品だけで蓬莱竜太さんやこの劇団の作風がわかるとは思えないので、ぜひ次回も観に行きたいと思います。
ここからネタバレします。
オープニングは誰かが死んで1年経ったシーンでした。その誰かが死ぬ前から、物語は始まります。死ぬのは前向きで善良そのものの性格のスミエ(加藤亜矢子)だということは徐々にわかってくるのですが、スミエだ死んだ後、つまりオープニングに話が追いついたところから、ぐんと話が面白くなります。
リカ(中島佳子)と番長のケンジ(小椋毅)が一緒に暮らすようになり、ケンジの元彼女のエリコ(野口かおる)とリカがアパートの前で口論するシーンはドラマティックでしたね。リカが隠し持っていた拳銃が地面にすべり落ち、それを見てケンジがリカに別れを告げるところは涙が出そうになりました。
脚本・演出:蓬莱竜太
出演:津村知与支 古山憲太郎 西條義将 田口朋子 加藤亜矢子 高橋麻理 中島佳子 野口かおる 小椋毅 正村嘉浩 高橋康則 成瀬功 菅原大吉
美術:伊達一成 音響:藤平美保子 照明:松本由美(東京舞台照明) 宣伝美術:小原敏博(アカエボシ) 衣裳協力:小原敏博(コブラ会) 表紙イラスト:蓬莱竜太 制作:神野和美 松尾由紀 制作協力:(株)オフィスPSC 重留定治 広川由季
ハバネラ:http://www.japan-pr.com/habanera/
ポケット&MOMO:http://www005.upp.so-net.ne.jp/thepocket/
2005年02月08日
こまつ座『円生と志ん生』追加公演!
『円生と志ん生』追加公演!
前売り完売で泣いておりました、こまつ座『円生と志ん生』の追加公演が決まりました!
2月26日(土)18:30~@紀伊国屋ホール
http://www.komatsuza.co.jp/kouen_new/index.html
ただいまこの電話番号でチケット申し込みが出来ます。
こまつ座 03(3862)5941
今すぐ電話してGETしましょう!!
2005年02月06日
Oi-SCALE '05concept灰色3部作 1/3『model-gun モデルガン(Bプログラム)』01/29-02/06シアターブラッツ
3バージョンある内の2本目観劇。Cの次にBを拝見しました。Aプログラムは残念ながら見逃しました。Cプログラムの感想はこちら。
キャストが変わると意味もすっかり変わりますね。ほとんど同じで結末だけが違うと言っていい脚本なのですが、全く違う味わいでした。
Bプログラムの出演者は、全体的にコミュニケーションできていないように感じました。セリフを言う時は一人で言葉を放っていて、相手のセリフを受ける演技が非常に少ない。図らずして不条理演劇っぽさが追加されていたように思います。
結末は、やはり新田(星耕介)が犯人なのですが、殺した女は中谷(町田水城)の彼女で、しかもその彼女を殺した罪を中谷に押し付けて終わります。うわっ、悪者!しかも、新田は中谷の彼女の吉美のことを好きだっただけでなく、他に自分の彼女もいるんです。わおっ、憎たらしい!(笑)。だから、どうにも好きになれませんでしたねぇ~。Cプログラムの新田(仁志園泰博)がか弱くて、切なくて良かったな。まあこれはただの好みの問題です。
中谷がポケットの中に隠していたものが、3バージョンでそれぞれ違うというのが面白いですね。Cプログラムでは出て来なかったように思います。Bプログラムでは拳銃、Aプログラムでは新田と中谷のおそろいの腕時計だそうです。
※Cプログラムのポケットの中身、教えていただきました。「吉美の財布」だそうです。なるほど、あれはポケットから出してたのか~。そこは見逃していました。
オイスケールのHPで今後、この作品の解説が掲載されるとのこと。楽しみです。
脚本・演出・写真・デザイン:林灰二
《Aプログラム》清水慎太郎/小林篤/トモヒカン/清成慎太朗/清水徹也(クロム舎) /高橋唯子(projectサマカトポロジー)/渡辺詩子
《Bプログラム》星耕介/町田水城(はえぎわ)/中野博文/吉河童夢/中村太陽 /ドロレスヘンダーソン/フルサワミオ
《Cプログラム》仁志園泰博/林灰二/川崎賢一/野村貴志/斉藤岳夫/ヒマラ
ヤ軒/平田暁子
美術:仁平祐也 音楽・音響効果:ナガセナイフ 舞台監督 ego-eco 照明:中山仁((株)ライトスタッフ) 衣装制作:森光あきこ 演出助手:中村太陽 映像:木村樹 小道具:NYチーズケーキ 宣伝美術:清水慎太郎 演出部:高橋唯子 吉川童夢 ヒマラヤ軒 齋藤岳夫 制作 僕AREA←Spectators[B.A.S.]
オイスケール:http://www.oi-scale.com/
オイスケール内:http://www.oi-scale.com/model-gun/model_fs.html
2005年02月05日
新国立劇場演劇研修所、第1期研修生募集中!(2/14締め切り)
新国立劇場が、日本初の国立の現代演劇の俳優養成学校を創設します。願書の受付は既に始まっており、来る2月14日(月)が締め切りです(2月14日消印有効)。
この、願書の提出がかなりやっかいなのです。我こそは!と思う18歳以上30歳以下の役者さんは、今すぐこちらから募集要項と願書を請求する紙(PDF)をダウンロードして、必要事項を記入し、120円分の切手を貼った返信用封筒(A4を折らないで入れられる角2封筒など)を同封して、新国立劇場に郵送してください。
2月11(金)は建国記念日で祝日ですし、郵便のシミュレーションを考えてもかなりギリギリです(地域によって差があります)。
8日(火)請求票を、返信封筒を同封してポストに投函する
↓
9日(水)新国立劇場に届く
↓
10日(木)新国立劇場から募集要項・願書が発送される
↓
11日(金)募集要項・願書が届く
↓
↓ 12日(土)、13日(日)で、願書に記入する
↓
14日(月)の午前中にポストに投函する
(できれば13日の深夜に投函しておきたいですね)
下記、募集概要をちょっと要約してみました。
【応募資格】
・高等学校卒業もしくは同等の資格を有すること
・平成17年4月1日現在、満18才以上、満30才以下
【試験日程(予定)】
・第1次試験 2月26日(土)
・第2次試験 2月28日(月)、3月1日(火)
・第3次試験 3月3日(木)
※受験料:無料
※試験会場:上智大学四谷キャンパス、新国立劇場稽古場
【研修概要】
・研修期間:3年間
・研修時間:週5日のフルタイム(午前10時から午後6時)
・授業料:年額18万9千円(消費税込み。月額1万5750円)
※最初の2年間は奨学金が支給されます(月額6万円)。
“これからの日本の舞台芸術を支え、リードする俳優”とは、一体どんな人材なのか。募集要項と願書を見るだけでも何かがわかるはずです。そして願書に書き込んでみることです。自分がどんな役者なのかを見つめなおすことができるかもしれません。
募集人員は15名と少ないですが、チャレンジしてみることで、何かが変わるはず。
募集期間が短いことやアナウンスが劇的に遅かったことは、考えてみれば大チャンスです。該当するのにこの情報を手に入れられなかった俳優が、山ほどいるでしょうから。
《言及ブログ》
ネットワークユニットDuo 新国立劇場演劇研修所、第1期研修生募集!
fringe blog 1回目というだけで受ける価値がある
tanise-etc 徹底した俳優養成
少年王者舘KUDAN Project『劇終/OSHIMAI~くだんの件』01/26-02/01横浜相鉄本多劇場
10年前から何度も再演を重ねられている天野天街さん作・演出の作品です。『真夜中の弥次さん喜多さん』と同じく小熊ヒデジさん(てんぷくプロ)さんと寺十吾さん(tsumazuki no ishi)さんの2人芝居。
3月に『真夜中の弥次さん喜多さん』名古屋・大阪公演があります。超お薦め!
浦島太郎と名乗る男(寺十吾)が風呂敷こづつみ片手に、ある店に訪れる。店員(小熊ヒデジ)との摩訶不思議なやり取り。
『くだんの件』の後に『真夜中の・・・』が作られたのですから当然といえば当然かもしれないのですが、「『真夜中の・・・』の方が面白かったなぁ」と、比べる視点のまま観終わってしまいました。また、相鉄本多劇場は初めてだったので座席のことなど全然考えずに伺ったら、超満員で桟敷席観劇になってしまったんです。体勢がずっとつらくてですねぇ、作品に集中できなかったんです、残念ながら。
ここからネタバレします。
舞台上でピザ屋に電話してデリバリーを注文するのは、『真夜中の・・・』ではうどんでしたね。暗転して最後に舞台装置が完全に撤去されて素舞台が現れるのも同じでした。それでもやはり面白い作品だとは思います。再演があったら行くか、と問われると・・・NOかもしれないですけど。あ、イス席だったら行けるかも(笑)。
新作『百人芝居 真夜中の弥次さん喜多さん』が名古屋で上演予定だそうです。超楽しみですね。しかし行けるかしら・・・愛知万博と合わせて、かな。
[第44回岸田戯曲賞最終選考ノミネート作品]
作・演出:天野天街 出演:小熊ヒデジ、寺十吾
舞台美術:田岡一遠 照明:小木曽千倉 音響:椎名KANS(マナコ・プロジェクト)、宮袋充弘 映像:浜嶋将裕、鎌田千香子 大道具:小森祐美加、中村公彦(イリスパンシブルティ) 小道具:石丸だいこ 衣装:田村英子(マナコ・プロジェクト) 作曲:珠水(少年王者舘) 舞台監督:井村昂(少年王者舘)宣伝美術:アマノテンガイ
ロゴ:田岡一遠 制作:山崎のりあき、小熊秀司 横浜制作:大西一郎(横浜演劇計画)
企画・製作:KUDAN Project
KUDAN Project:http://www.officek.jp/kudan/
くだんの件:http://www.officek.jp/kudan/kudan.shtml
2月5日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演します。
FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたします。
オイスケール『モデルガン』の観劇感想を話し、2月のお薦めお芝居を3本紹介する予定です。
西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
2月5日(土)21:30~22:00
FM 84.2MHz
たけがき2(ツー):http://takegaki.k-free.net/
劇団タコあし電源+デジタルハリウッド大学院『面接の人達2006 90分でわかる内定のとり方』01/28-02/07中野MOMO
劇団タコあし電源は『阪神淡路大震災』を見逃してから、いつか行きたいと思っていました。私のいちおし企画ユニット、ブラジルの作・演出家ブラジリー・アン・山田さんが演出されるし、企業の匂いがぷんぷんするチラシのビジュアルにも惹かれて、観に行きました。
就職活動の塾に通っている人たちのそれぞれの就職活動、そして結果を描きます。就職活動の説明芝居でありノウハウ伝授芝居、でした。ちょっぴりお涙頂戴もある、大衆向けドタバタ青春コメディー風味。
私は新卒の就職活動の経験がないので、それほど共感はありませんでしたが、就職活動を経験した知人・友人からチラホラと聞いていた実態とほぼ変わらない内容だったので、「へ~そうなんだ~、なるほどね~」という感じで、反発することなく受け入れられました。
客席にリクルートスーツを着ているお客様が多かったのに驚き!芝居が終わった時には「これを就職活動中、または前に観られるとすごく気持ちが楽になるんじゃないか」とも思いましたので、企画として成功しているのではないでしょうか。
脚本担当に4人も名前が挙がっていることからもわかるように、様々なエピソードが組み合わさって、一つのストーリーになっています。だから、内容がちょっとデコボコした感じなんです。登場人物のキャラクターが激しく変わりすぎてたり、おそまつな会話と説得力の有るセリフが混在していました。
60社以上受けて全部すべってきた男の子が、最後の最後にいやいやながら小さな冷凍食品の会社の面接を受けるシーンのセリフが良かったな~、あのシーンはどなたが書いたのかしら。
人事部のオヤジの言い分にも納得だし、就職活動連戦連敗の男子学生の熱さにも好感が持てました。学生が面接官に向かって「俺とあなたは本当は同等なんだ!」と言い切ったのは清々しかったです。「就職活動で、初めてこんなに自分と向き合った。自分と戦った」と言うのにも納得。私は就職活動をやりたくなかったし、やらなくて良かったと思ってますけど(笑)、やった人のことは素直に尊敬していました。だって、自分が何をやりたいのかを自分で必死で考えて、自分の言葉で口に出して他人に伝えて、しかもその他人に気に入ってもらわなければならないんですよね、ものすごい試練ですよ。それに立ち向かっていくことだけでも素晴らしい経験だと思います。
この2人の激しいセリフバトルでは、ブラジリー・アン・山田さんらしい、体と心の手抜きのない戦いが見えた気がします。
発泡スチロールで作られた壁やオブジェで全てを表現する、抽象的な舞台美術でした。何もかも真っ白なので、照明の表現が多彩で生きていました。壁の色の変化によって素早く場面転換するのも良かったですね。
岩下貴子さん。アパレル志望の主役の女の子役。清潔感があって、演技も上手いですねー。クサいセリフをものすごく自然に、魅力的に話してくださいました。舞台経験はあまりなく、映像方面で活躍されている女優さんだそうです。
サブタイトルに「90分で分かる~」とありますが、110分ありましたね。ちょっと長かったかな。
あと、細かいことですが、ひとつひっかかった点。酒造の跡取り息子がゼネコンに受かったエピソードがありましたが、「家が自営業だったら落ちる」という内緒のルールもあったと思います。いつか会社を辞めて家を継いじゃう可能性がありますからね。西武鉄道は・・・このご時世なのでスルーしました。
脚本 岡本貴也、イケタニマサオ(くろいぬパレード)、池谷ともこ、みつだりきや(デジタルハリウッド大学院)
演出:ブラジリィー・アン・山田(ブラジル)
出演:岩下貴子/桜井聖/荻原政樹/川口直人(SET)/住吉玲奈(SET)/芳賀恵子(虎のこ) 三嶋幸恵/前田宏(くろいぬパレード)/中澤徳泰/松島浩平/石坂いつか/いぬいりさこ/重見将臣/上村敬治(タコあし電源)/小川直美(タコあし電源)/志田健治(タコあし電源)/森本展弘(タコあし電源)/大木凡人(映像出演)
照明:泉次雄(RISE) 音響:玖島博喜(TEAM URI-Bo) 美術:原田勲(CERAH) 舞台監督:鈴木のり子 制作:デジタルハリウッド大学院演劇プロジェクトチーム 宣伝美術=スズキサナエ
公演サイト:http://www.dhw.co.jp/gs/mentachi/index.html
バック・ステージ内:http://www.land-navi.com/backstage/report/takodeji/index.htm
2005年02月03日
Oi-SCALE '05concept灰色3部作 1/3『model-gun モデルガン(Cプログラム)』01/29-02/06シアターブラッツ
林灰二さんが作・演出・デザインなどトータルに手がけているオイスケールの新作は、1つの脚本に全く違うキャストが出演するA、B、Cの3バージョン公演です。結末もそれぞれ違うそうです。
私はCプログラムを初めに拝見したのですが、AもBも観たくなりました。今週末の予定を大幅に変更しなければ・・・(汗)。なんと、一度観てその半券を持って行けば他バージョンは500円で観られます(当日券扱い)。千秋楽に近づくにつれてどんどんと混んでくるのは違いないですね。ご予約はお早めに!(って、自分に言い聞かせている・・・)
2人の若い男が合コン帰りの深夜に、酔っ払って通りを歩いている。中谷(林灰二)はすっかり泥酔し、ゲロを吐きつつ管を巻いている。比較的しっかりしている新田(仁志園泰博)は彼女の吉美を呼ぼうと携帯から電話をしようとしていた。そこに運悪く警官が2人(川崎賢一と野村貴志)通りがかった。職務質問を受けるのだが、中谷は悪態をつく。そういえばサイレンの音も多く聞こえるし、どうやら今夜は何か事件があったらしい。
交番まで連れて行かれた2人は調書にサインし、持ち物検査もするハメに。素直に言うことを聞けばすぐに家に返してくれるのに、中谷は反抗してポケットの中身を見せようとしない。もしかして中谷は今夜の事件に何か関係があるのか?
定食屋の出前持ちの若者2人(斉藤岳夫とヒマラヤ軒)と幻のような女(平田暁子)もやんわりと登場し、謎はますます深まっていく。
ストーリーにも引き込まれましたが、舞台と照明が非常にうまく使われていて、そちらに心奪われました。シアターブラッツはただでさえ奥行きが普通よりも大きいのに、舞台を客席側にさらにせり出して作っており、手前と真ん中、そして奥と、演技スペースを深く確保していました。
真っ暗闇にぼんやりと浮かび上がってくる美しいドレスを着た女、とか、懐中電灯を足元に照らしながらふらふら、ゆらゆらと、一人分の足取りだけが歩み寄ってくる、とか。照明で暗さを際立たせたシーンがかっこ良かったです。
舞台にはほぼ何もなく、シーンごとに机やイス、扉が出てくる程度。いつものオイスケールの舞台に比べるとずいぶんシンプルに押さえてありましたが、何もない空間自体が、演出によって効果的な美術になっていました。
中谷が酔っ払いながら自分の気持ちを垂れ流すようにしゃべり続けるのですが、いわゆる「社会に対する反抗」とレッテルを貼られそうな言葉たちでした。でも、飾り気のない素直で正直な気持ちが語られる中で、私自身の心の根っこの方にある「あれがしたい」「これが嫌い」「あれが欲しい」というわがままな衝動に、光を当てることが出来ました。
私たちは当たり前、常識とされていることや、それに反するがゆえに異端、非行、犯罪とされていることを、あまりに素直に受け入れすぎていると思います。もちろん、ただわがままでいることは決して良いことではないです。でも、「果たしてそれは本当か?」と自分に問いかける姿勢を忘れてはいけないんですね。
私は脚本・演出の林さんが出演するCプログラムから拝見したのですが、A→B→Cの順番で観るとよりわかりやすいようです。Cプログラムの結末が一番難解だということらしいんですが、私は面白かったです。
ここからネタバレします。
中谷が怪しい、と誰もが思う前半ですが、徐々に正気のはずの新田の発言がおかしくなってきて、中谷だけでなく新田も、若い女性を襲った犯人である可能性が出てきます。
Cプログラムでは、一目ぼれした女の子(平田暁子)に吉美という名前を勝手につけ、ストーカー行為をしていた新田が、彼女なしでは生きられないと思いつめるようになり、とうとう鉄パイプで彼女に殴りかかってしまった、というのが真相でした(他バージョンはまだ観ていないのでどう違うかはわかりません)。
一番最後は、血まみれになった新田が鉄パイプを持って交番に飛び込んでくるシーンで終わるのですが、吉美が迎えに来たのも幻想、交番に居たことも幻想、中谷という友人がいたことさえも幻想だったことがわかる仕組みになっています。おそらく新田が交番に飛び込んだその一瞬間に新田が見た夢こそ、このお話の全てだったのではないでしょうか。
開演してすぐ、新田と中谷が道路でだらだらとしている時に、客席から不穏な人物が走りこんできて鉄パイプを新田に渡します。警官に囲まれた時、新田はそれを放り捨てるのですが、中谷が拾ってきて新田に返します。そして、交番で一人でいる時には謎の出前持ちの若者に、血まみれになった鉄パイプを渡されるんです。『ヒミズ』でも“バケモノ”がいつも主人口の住田(村田充)に金属バットを渡していました。
人間が暴力を振るう時って、決してその本人だけが原因だとは決められないのです。それは誘惑に負けたせいでもあるでしょうし、何らかの抗いがたい重圧のせいでもあるのです。
もちろん戦争がいけないように、暴力もいけません。私たちはそれに立ち向かう勇気を持つと同時に、自らがそれを起こす原因になってしまっていないかと自分自身に問う必要があると思います。
脚本・演出・写真・デザイン:林灰二
《Aプログラム》清水慎太郎/小林篤/トモヒカン/清成慎太朗/清水徹也(クロム舎) /高橋唯子(projectサマカトポロジー)/渡辺詩子
《Bプログラム》星耕介/町田水城(はえぎわ)/中野博文/吉河童夢/中村太陽 /ドロレスヘンダーソン/フルサワミオ
《Cプログラム》仁志園泰博/林灰二/川崎賢一/野村貴志/斉藤岳夫/ヒマラヤ軒/平田暁子
美術:仁平祐也 音楽・音響効果:ナガセナイフ 舞台監督 ego-eco 照明:中山仁((株)ライトスタッフ) 衣装制作:森光あきこ 演出助手:中村太陽 映像:木村樹 小道具:NYチーズケーキ 宣伝美術:清水慎太郎 演出部:高橋唯子 吉川童夢 ヒマラヤ軒 齋藤岳夫 制作 僕AREA←Spectators[B.A.S.]
オイスケール:http://www.oi-scale.com/
オイスケール内:http://www.oi-scale.com/model-gun/model_fs.html
2005年02月02日
ジンガロ「2/5(土)15:30~16:25 テレビ朝日で特番放送!」
テレビ朝日で特番放送が決定しました!
フランスから初上陸!
騎馬オペラ「ジンガロ」スペシャル
『舘ひろしと鶴田真由の
パリ近郊 極上 二人旅』
2/5(土)15:30~16:25 @テレビ朝日(関東地方のみ)
公演詳細はこちら→ ジンガロ日本公演公式サイト
TBS『音楽劇 コーカサスの白墨の輪』01/30-02/20世田谷パブリックシアター
串田和美さんが演出するブレヒト作品で松たか子さん主演というと、『セツアンの善人』が記憶に新しいですね。毬谷友子さんも中嶋しゅうさんも出演されるし・・・と思ってチケットを買いました。
開場時間に舞台上で役者さんがパンフレットを販売しています。谷原章介さんが完全に売り子になってらっしゃいました。松たか子さんを指名して握手してもらってた人もいました(笑)。これから観に行かれる方、パンフレットはロビーではなく劇場に入ってからお求めくださいね♪
世田谷パブリックシアターの中央に円形舞台があり、客席がぐるっとその舞台を囲みます。円の周囲で俳優がスタンバイし、それぞれ自分の出番になると円の中に入って演じていく形式でした。シアターコクーンの『VOYAGE』を思い出しました。
他人の子供を必死で育てる不幸な若い女(松たか子)の話と、なぜか裁判官になった飲んだくれの中年男(串田和美)の話の2つが交互に物語られます。
音楽劇ということで、出演者が歌ったり楽器を演奏したり、2階のキャットウォークには楽隊もいて、ほぼ常に何らかの音・音楽が鳴っている状態。観客も連れ出して舞台で踊ったりします。素の状態の演技や観客を巻き込むにぎやかし、外国人俳優が沢山出演していることなどを考えると、『セツアンの善人』とよく似たジャンルではないでしょうか。
休憩15分をはさんでカーテンコール込みでほぼ3時間半・・・。これも『セツアンの善人』と同じかな。私の感想もほぼ同じですね。
ここからネタバレします。
一つ一つのシーンについて、やりたいことを存分にやられたんじゃないでしょうか。終わってみたらそれほど重要じゃないと思われるシーンが、めちゃくちゃ長かったりしました。早く終わらないかなぁと、腕時計を何度も見ちゃいました。でも、本当の母親はどちらかを見極めるために、子供の腕を引っ張らせる話がこの作品から来てたのが分かったので、最後まで観てよかったです。
ラストの大団円の後、観客を客席からどんどん舞台へと連れ出してダンスを踊ります。存分に踊りまくって全員退場してから、カーテンコールがありました。拍手が鳴り止まないために2度目のカーテンコール。その場で歌う予定をしていた歌を全員で合唱し、さらにまたカーテンコール・・・・私の席は劇場入り口から遠い方のド真ん中だったので、出るに出られないし。
疎外感と疲労でつらかった思い出が大きくなりすぎて、良かったシーンがなかなか思い出せないなぁ。それでも毬谷友子さんの歌声と、松たか子さんと谷原章介さんのプラトニックなラブシーンが美しかったことは、はっきりと胸に残っていますね。
ロビーで、首の後ろのタグは串田さんデザイン、文字は松たか子さんデザインのTシャツが売ってたのですが、セリフにあった「恐ろしきは善の誘惑(だっけ?)」の英文(The fearness is the temptation of the goodnessだったかな?これもあいまい)が大きく前と後ろにプリントしてあるんです。あれはかっこいいなーと思いました。黒と白しかなかったんですが、他の色だったら買ってたな(2,500円)。
作:ベルトルト・ブレヒト 演出・美術・出演:串田和美
出演:松たか子/谷原章介/毬谷友子 中嶋しゅう 内田紳一郎 大月秀幸 さとうこうじ 春海四方 斎藤歩 草光純太 田中利花 稲葉良子 あさひ7オユキ 尾引浩史 岡山守治 鈴木光介 串田和美 ほか
衣装:ワダエミ 音楽:朝比奈尚行 翻訳:松岡和子 照明:齋藤茂男 音響:市来邦比古 技術監督:眞野純 舞台監督:大垣敏朗
主催:TBS 提携:世田谷パブリックシアター 企画・製作:TBS/まつもと市民芸術館/北海道演劇財団
地方公演→ 宮城、北海道、長野
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-48.html
2005年02月01日
ジンガロ「マリ・クレール 2005年3月号 カラー8ページ」
マリ・クレール3月号に騎馬オペラ「ジンガロ」特別リポートがオールカラーで8ページに渡って掲載されています。
写真もたっぷりで、本拠地での「ジンガロ」の様子がよくわかる特集になっています。
<マリ・クレール特別リポート>
フランスの騎馬オペラが日本発上陸
あの「ジンガロ」がやってくる!
メルマガ 2005年02月のお薦め舞台
2005年2月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 8 2005.2.1 393部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎このメルマガについて
年間200本以上の様々な舞台作品を観ている高野しのぶが発行する、
“今、東京で観られる面白い演劇”をご紹介するメルマガです。
ご登録いただきありがとうございます!
演劇は、その時その場所でしか味わえない、とっておきの感動体験です。
世界中で最も公演数が多いと言われている東京では、
毎日、たくさんの劇場で初日の幕が開いています。
そこで、過去6年間で1300本もの舞台作品を観てきた私の目で確かめて、
オンタイムでお薦め演劇情報をお届けするのが、このメルマガです。
毎月1日に私が観るお薦め公演10本のご紹介メールを配信します。
そして、実際に観に行って面白い作品に出会ったら、
その翌日の午前中までに、お薦め作品の“号外”を配信します。
これで、とっておきの公演を見逃すことはありません♪
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○○ 今回のもくじ
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◆1【今月のお薦め8本+α(合計10本)】
◎No.1→ こまつ座『円生と志ん生』
02/05-27紀伊国屋ホール
井上先生、脚本完成してらっしゃるのでしょうか・・・
でも早々に前売り完売(笑)。当日券狙いで!
http://www.komatsuza.co.jp/
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→ 小鳥クロックワーク『わが町』
01/14-17駒場小空間
http://kotori_clockwork.at.infoseek.co.jp/
◆3【国立の俳優養成機関の募集概要発表!】
◎新国立劇場演劇研修所の第1期研修生募集は今月締め切り!
http://www.nntt.jac.go.jp/release/r395/r395.html
◆4【読者からのメールのご紹介】
◆5【編集後記 & ジンガロ(ZINGARO)情報】
◎2004年の観劇ベストテンがfringeのTOPICに取り上げられました!
◎朝日新聞社舞台芸術賞贈呈式
◎PR 騎馬オペラ ジンガロ『ルンタ』チケット発売中!
テレビ朝日で特番放送決定! 2/5(土)15:30~16:25
http://www.zingaro.jp/
◆6【このメルマガについての注意事項】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め10本+α】
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※★印がいちおし公演です(3本)。
※私が観に行く順に並べています。
※掲載内容:主催・『タイトル』・日程・会場・URL・コメント
★1.こまつ座『円生と志ん生』
02/05-27紀伊国屋ホール
《東京公演後→鎌倉→山形》
☆井上ひさしさんの新作。「大爆笑の大悲劇!」だそうです。
前売り完売ですが、こまつ座はとにかく必見。
http://www.komatsuza.co.jp/
●お薦めポイント●
井上ひさしさんと同じ時代に生きていることに感謝しています。
角野卓造さんと辻萬長さんが2人のはなし家だそうで。
こりゃ爆笑間違いないっ(笑)。
若手で青年団のひらたよーこさんが出演されますね。
2.ベターポーヅ『しみひとつない』
02/02-07THEATER/TOPS
☆西島明さんの独特の不思議ちゃんワールドを味わえます。
再演なのでクオリティーが高いのではないか、と。
http://www.betapo.com/
3.パルコ『SHAKESPEARE'S R&J』
02/01-20パルコ劇場
☆バレエ・ダンサーの首藤康之さん出演。
ペンギンプルペイルパイルズの小林高鹿さんも楽しみ。
http://www.parco-play.com/web/page/information/r_and_j/
★4.サイスタジオ主催・Happy Hunting Ground
『Visions of Tokyo』,『knob』
02/10-27サイスタジオ小茂根B
☆reset-Nの夏井孝裕さんの作品を2作連続公演。
文学座所属の役者さんが出演。1ステージ40席という高密度。
浅野雅博さんが出演する『Visions of Tokyo』が楽しみ。
http://www.saistudio.net/html/studio_performance_vol14.html
5.ペンギンプルペイルパイルズ『機械』
02/17-03/06下北沢OFF OFFシアター
☆作・演出:倉持裕
【メッキ仕上げ】と【鏡面仕上げ】の2ヴァージョン公演。
ナイロン100℃の村岡希美さん、THE SHAMPOO HATの赤堀雅秋さん出演。
http://www.penguinppp.com/all_frames.html
6.三条会『若草物語』
02/18-23ホール椿(千葉)
☆演出・構成/関美能留
ク・ナウカの寺内亜矢子さんと山の手事情社の三村聡さんが出演。
http://homepage2.nifty.com/sanjokai/
7.ホリプロ/テレビ東京『デモクラシー』
02/22-28青山劇場
《北千住→青山劇場→銀座》
☆鹿賀丈史さんと市村正親さんが26年ぶりに舞台共演。
『You are the Top』で果たせなかったことが成就?
演出家が交代したそうで、ちょっと不安ですが・・・。
http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=49
★8.創作ネットワーク委員会+Ort-d.d『昏睡』
02/24-28にしすがも創造舎 特設劇場
《宮崎→山口→東京》
☆宮崎、東京、北九州、山口、鳥取の作家・演出家・俳優が参加。
にしすがも創造舎での初の演劇公演。
http://ort.m78.com/consui.html
9.10.は残念ながら該当作品なし。
今月は初見チャレンジ本数が多いので、そのせいかもしれません。
+αの1(私はおそらく行けません)
アートスフィア『no・mad・ic project 7 fragments in memory』
02/24-27アートスフィア
☆金森穣 Noism05のダンス公演。
http://db.tennoz.co.jp/art/FMPro?-DB=emmoku.fp5&-Lay=input&-Format=art_list.htm&Serials=30293&-Find
+αの2(私はおそらく行けません)
パルコ・ソニー・ミュージックアーティスツ提携公演
『ローリー博士の異常すぎる愛情とその影と光』
02/25,26パルコ劇場
☆ローリーは生のパフォーマンスもすごく素敵なんです。
サービス精神の過剰さに感動。シャンソンは聴き応えあり。
http://www.color-by-technicolor.com/rolly/
◎しのぶの2月の全予定(25本+α)はscheduleに掲載しています。
キャスト・スタッフ情報あり♪
http://www.shinobu-review.jp/schedule.html
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◆2 【先月のベスト3】
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1.小鳥クロックワーク『わが町』
01/14-17駒場小空間
http://kotori_clockwork.at.infoseek.co.jp/
☆これから日本演劇界をリードして行ってくれるであろう、
演出家・西 悟志さんの若さがはじけていました。
*レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0130220949.html
2.青年団リンク・地点
『雌鶏の中のナイフ Knives in Hens』
01/01-23アトリエ春風舎
http://www.seinendan.org/jpn/infolinks/infolinks041208.html
☆三浦基さんの演出と安部聡子さんの演技の上手さに卒倒。
*レビューはまだアップしていません
3.ホリプロ主催 ブロードウェイミュージカル
『サウンド・オブ・ミュージック』
01/06-23東京厚生年金会館
http://www.horipro.co.jp/ticket/kouen.cgi?Detail=45
☆映画が超有名ですが、ミュージカルの方が先なんですよね。
やはり名曲は名曲!清らかな歌声に心洗われました。
*レビューこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0107011830.html
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
今月は残念ながら発行しませんでした。
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◆3 【国立の俳優養成機関の募集概要発表!】
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◎前回のメルマガでもお知らせしましたが、
現代演劇初の国立俳優養成機関である、
「新国立劇場演劇研修所」がとうとう開所します。
http://www.asahi.com/culture/update/1223/004.html
その、第1期生募集概要が発表されました!
http://www.nntt.jac.go.jp/release/r395/r395.html
(募集要項を取り寄せて、2/1(火)~14(月)に郵送で提出)
今年4月から3年間、(月)~(金)の朝10時から夜6時までの全日制。
奨学金も出るんですね。
募集人員はなんと、15名!・・・少なっ!!
去年8月の俳優養成サマーコースは20名だったのに・・・。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/special/sp04091001.htm
超エリート教育なんですね。3年後が楽しみです。
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◆4 【読者からのメールのご紹介】
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2004年しのぶの観劇ベストテンを発表した後に、
アメリカ在住のクワストさんからメッセージをいただきました。
「しかし257本とはすごいですね。毎月コンスタントに20本
以上ご覧になっていて。(中略)
メルマガで「屋根裏」がロスアンジェルスにくるという情報を
読んで、できれば見たいなと思いました。」
燐光群の傑作『屋根裏』は東京でのプレビュー公演が終わり、
現在アメリカ(NY、LA、Miami、Pittsburgh)ツアー中で、
3月下旬~4月に東京・梅ヶ丘BOXに再登場するそうです。
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/yaneura2005.html
アメリカで観るのは一味もふた味も違うでしょうね~。
クワストさんは「ビッグ・リバー」応援サイト
http://www.geocities.jp/bigrivermusical/index.html
でもご縁があり、
「(日本に)招聘してもらいたい海外ミュージカル」アンケート
http://www.frontiernet.net/~fujithedog/survey.html
に参加させていただきました。
お便りをありがとうございました!
◎皆様の観劇感想をお寄せ下さい!
このメルマガについてのご感想でももちろん結構です♪
ご感想は転用させていただくことがあります。
お便りはこちらへ→ 《 shinobu@mtr-standard.co.jp 》
※件名は「メルマガ感想」としてください。
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◆5 【編集後記 & ジンガロ(ZINGARO)情報】
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◎2004年しのぶの観劇ベストテンがfringeのTOPICに取り上げられました!
http://fringe.jp/topics.html (2005年1月10日)
fringeは、演劇を作る側にとって必要不可欠な演劇情報サイトです。
◎朝日新聞社舞台芸術賞贈呈式およびパーティーに参加しました。
やっぱり受賞する人って輝いてるんだなーとしみじみ。
◎PR 騎馬オペラ ジンガロ『ルンタ』チケット発売中!
土日が大人気!特に3月は売切れステージ続出です。
ジンガロ『Loungta(ルンタ・風の馬)』
3/12-5/8木場公園内ジンガロ特設シアター
http://www.zingaro.jp/
☆テレビ朝日で特番放送が決定しました!
フランスから初上陸!
騎馬オペラ「ジンガロ」スペシャル
『舘ひろしと鶴田真由のパリ近郊 極上 二人旅』
2/5(土)15:30~16:25 @テレビ朝日
※私はジンガロ日本公演実行委員会事務局に勤務しています。
ジンガロ情報は“しのぶの演劇レビュー”内でフォローしています。
http://www.shinobu-review.jp/review.html
◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
私が書いた劇評が掲載されている雑誌です。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9978823190
◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
◎皆様の観劇感想をお寄せ下さい!
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ご感想は転用させていただくことがあります。
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◆6 【このメルマガについての注意事項】
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このメルマガは、高野しのぶの演劇への情熱で書かれています。
沢山の人に演劇に触れてもらいたい!ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪
☆ご友人、お知り合いにどうぞこのメルマガをご紹介ください!
(以下をそのまま転送してくださいね♪)
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⇒ http://www.mag2.com/m/0000134861.htm
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「高野しのぶのメルマガで知った」等、書いていただけると嬉しいです♪
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◎掲載内容には細心の注意を払っておりますが、
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