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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2005年02月15日

劇団俳優座『三文オペラ』02/10-21紀伊國屋サザンシアター

 『三文オペラ』はブレヒト作、クルト・ワイル作曲の超有名な音楽劇です。俳優座の創立60周年記念公演の最後を飾る作品だそうです。
 去年の劇団、本谷有希子 公演『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』でめちゃくちゃ美しかった森尾舞さんがヒロインということで、当日券で伺いました。

 はじけてなかったですねぇ・・・。教科書どおりというか、ストーリーを脚本のままになぞっているだけのように感じました。『三文オペラ』に私が期待するはちゃめちゃさ、ときめき等のパワーがありませんでした。
 2001年夏にBunkamuraシアターコクーンで上演された、蜷川幸雄演出、加賀丈史、村井国夫出演の『音楽劇 三文オペラ』を観たのですが、あれよりも面白くなかったです。非常に残念。

 まず、歌が弱かった。1曲だけ良かったですけど。主役のマックヒース(武正忠明)を取り合いするポリー(森尾舞)とルーシー(安藤みどり)が歌う“嫉妬のデュエット”は、2人とも歌にも演技にも全力を出すことが出来ていて、おちゃめでとってもキュートでした。
 そう、なんだか役者さんが皆さん、おびえているように見えたんですよね。「正解」というものが歌にも演技にも確実に存在して、それを目指している、つまり、不正解を出すこと、はみ出すことを恐れて全てが小さいサイズに収まってしまっているように見えました。

 お目当てだった森尾舞さんは高音域が出ないようで、ソロの歌は聞いているのがつらかったです。だったら音階を下げて作曲してあげればいいのにって思いました(勝手なこと言ってすみません)。だって、低い音域の歌はすっごく上手なんだもの。声もきれいだし、よく響きました。

 衣裳はしっかりした縫製で生地も凝っていて、とても私好みでした。

劇団俳優座公演 No.276  創立60周年記念公演 No.8
出演:可知靖之 松野健一 遠藤剛 立花一男 中吉卓郎 中寛三 武正忠明 川井康弘 塩山誠二 田中茂弘 渡辺聡 石田大 関口晴雄 齋籐淳 蔵本康文 齋籐隆介 青山眉子 鶉野樹理 早野ゆかり 飯原道代 島美布由 安藤みどり 久保田涼子 森尾舞 川口桂 古賀勝恵 山本祐梨子
スタッフ:作/ブレヒト 音楽/クルト・ワイル 訳/千田是也 演出/安井武 音楽監督/後藤浩明 美術/島次郎 振付/西田尭 照明/森脇清治 音響/小山田昭 衣裳/若生昌 演出協力/可知靖之 舞台監督/石井道隆 制作/武田明日香
平成16年度文化庁芸術団体重点支援事業
公演ページ(写真多数あり):http://www6.ocn.ne.jp/~haiyuza/Pages/sanmon.html

Posted by shinobu at 2005年02月15日 23:39 | TrackBack (0)