2005年04月30日
ジンガロ「当日券情報(4月29日)」
シアターへ行く道に咲くハナミズキ
騎馬オペラ・ジンガロ「ルンタ」は、おかげさまで前売り券が完売いたしました。本当にありがとうございます!当日券は若干枚数ご用意しております。
4/29(金)は17:00開演でしたので、15:30から当日券の販売を開始いたしましたが、その時点で30~40人のお客様が並んでいらっしゃいました。この日、当日券として販売されたチケットは20枚前後で、日に日にその枚数は減ってきております。
当日券完売後は、ご希望のお客様にキャンセル待ちの整理番号券を配布いたしました。開演直前にキャンセルが出たものを、整理番号の若い方から順番にご購入いただきましたが、枚数は4枚ぐらいだったと思います。
今後もこの日と同様に当日券が販売されるかどうかはわかりませんし、キャンセルが出るかどうかも、その時にならないとわからないという状況です。座種(プレミアム、SS、S、A)もまちまちです。
より多くの方に「ジンガロ」をご覧いただきたいと思っておりますが、座席数にはどうしても限りがございます。どうぞご了承くださいませ。
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ジンガロ情報はこちらのページにまとめております。
文学座ファミリーシアター『風をつむぐ少年』04/29-05/08全労済ホール/スペース・ゼロ
『アラビアン・ナイト』『眠り姫』に続く、文学座のファミリー・シアター第三段。
いや~・・・いいお話でした~・・・・。ちょっと長かったですけど(135分休憩ナシ)。最後にはじわんと涙ぐみました。
ファミリー向けということでお子様連れのお客様もいらっしゃいましたが、うるさくなったりすることは全くなく、心地よい環境で観劇できました。
17歳の少年が交通事故で18歳の少女を死なせてしまった。死んだ少女の母親から「娘によく似た風見人形をアメリカの四隅に立てて欲しい」と言われ、少年は一人、償いの旅に出る。
優しい芝居だったなー・・・。鵜山仁さんの演出だからなのか、文学座だからなのか、暖かいサービス精神があって、すごくアットホームで、だからといってベタになったり説教くさくはならない、ロード・ムービーならぬロード・プレイ(演劇)でした。シンプルな回り舞台の軽快なフットワークで、さらりと爽やかな仕上がりでした。
ここからネタバレします。
原作のタイトル("Whirligig" )でもある風見人形というのは、風力で動く木製のオブジェのこと。アメリカの大きな一軒家(民家)の玄関に飾ってあるような・・・と言えばわかるかしら。原作本のカバーデザインは風見人形の絵です。
主人公の少年がアメリカの四隅に風見人形を立てていく話の間に、少年とは直接関係のない人々の、風見人形に関わる4つのエピソードが挟まれます。将来の夢や恋に胸はずませる思春期真っ只中の少女、夫婦仲がうまくいっていない中年男、バイオリンの英才教育に少し嫌気がさしている少年、死期が迫ったユダヤ人老婆、という4つの独立したお話でした。彼等はみな、自分のそばにあった風見人形から大切な何かを教わったり、励まされたりしていきます。
主人公の少年が最後の4つ目の風見人形を立てる話になった時、実は独立した4つのエピソードに出てきた風見人形は、全て少年が立てたものだったことがわかります。バラバラだったたくさんの物語が一気に一本の線でつながって、体がじーんと震えました。
少年は転校してきたばかりの学校で、好きになった女の子の前で恥をかかされて自暴自棄になり、ハイウェイを高速でぶっ飛ばしながら、自殺するつもりで目をつぶるのですが、自分は死なずに後続車を運転していた少女・リーが死んでしまいました。死んだ少女の母親が「起こることには必ず何か意味がある」と言います。死んでしまった娘は生き返らないし、事故で人を殺してしまった少年の罪も決して消えることはありません。でもその悲劇は起こるべくして起こってしまったことであり、この作品では、その悲劇が起こった意味は何だったのか、起こったことで何が生まれたのかを綴っていき、人が生きていることはそれだけで独立しているのではなく、あらゆるもの・ことに繋がり、影響を及ぼしているということを表していました。風は目には見えないけれど、風見人形が回ったら、そこには風があることがわかります。そしてその逆もまた然り。風が吹かなければ、風見人形は動かないのです。
4つのエピソードの中では、中年の労働者の話とユダヤ人老婆の話がちょっと退屈でしたね。一人芝居と二人芝居でしたから演じる難易度も高いのだと思います。バイオリン少年の話はギャグ調だったから楽しかったですが、先に挙げた2つと同様、もうちょっとスマートにできるんじゃないかと思いました。というのも、一番最初に出てきた思春期の少女2人のエピソードが最高に面白かったから。2人とも魅力に溢れ、輝いていたからです。
舞台美術は舞台奥以外の三方が客席に囲まれた、ほぼ正方形の舞台で、シンプルで抽象的なデザインでした。床は海に囲まれた北アメリカ大陸が絵本調に描かれていたように見受けられました。その床はドーナツ型の盆になっており、回転して場面転換します。舞台中央の奥に船の帆を表すような布状の壁があり、時々映像が映し出されました。エピソードごとに場所がぽんぽん変わりますから、回り舞台は効率的で良かったと思います。
アメリカの四隅をバスで旅するので、「アメリカ」という国を表す要素が散りばめられていました。大きな公園でテントを張るキャンパー(実は泥棒)との出会い、ユースホステルに泊まっている海外の学生たちとの交流、メキシコの国境近くで働くプエルトリカンとの会話など。
山田里奈さん。風見のオブジェを見て、恋や人生の喜びに気づく少女役、ユダヤ人の老婆の孫娘役などを演じられました。言葉もはっきりしているし、長いセリフも全然退屈しませんでした。何と言っても存在に前向きな輝きがありました。文学座のお芝居で何度か拝見していますが、どんどんと美しくなってこられているようです。演技もお上手だし、注目して行きたい女優さんです。
浅野雅博さん。医者を目指すドイツ人学生役。その他、ものすごく沢山の役を演じてらっしゃいましたが、総じてお笑い担当(笑)。コメディーセンス抜群!ジャグリングまでお出来になるとは驚きました。浅野さんも山田さんと同様、すごく光を放ってらっしゃいます。俳優って一体何者なんでしょう。なぜ光るんでしょう。その光に触れたいから、私はまた彼等がいる劇場へと足を運ぶのです。
原作 : ポール・フライシュマン(「風をつむぐ少年」あすなろ書房刊より)
"Whirligig" by Paul Fleischman
訳・脚色 : 坂口玲子 演出 : 鵜山仁
出演:倉野章子・山本道子・山田里奈・頼経明子・石川武・大滝寛・浅野雅博・植田真介・斉藤祐一
美術:横田あつみ 照明:中山奈美 音楽:川崎絵都夫 衣裳:原まさみ 振付:新海絵理子 舞台監督:三上博 演出補:中野志朗 制作:矢部修治 富田欣郎 票券:最首志麻子 企画原案:杉本正治
一般 5500円 学生 3800円 (取扱い文学座、スペース・ゼロチケットカウンターのみ) 小・中学生 2800円
文学座内:http://www.bungakuza.com/about_us/p2k5/2k05-kaze.html
2005年04月29日
動物電気『寝太郎の新作カレー』04/27-05/01本多劇場
結成12周年を迎える動物電気の初・本多劇場進出公演です。ほんわかファミリー・ストーリーを主軸に、男の子が脱いで、女の子が叩かれて、お馴染みキャラが身体を張って観客にサービスする、いつもの動物電気のお芝居でした。
舞台はゴミ袋が山と積まれた小さなカレー・ショップのこ汚い店内。もう10日以上休業中。というのも、オーナー兼シェフののぼる(小林健一)が全くやる気がない引きこもり君だから。ある日、のぼるの母親(政岡泰志)が帰ってきて言うことには、「お父さんの堪忍袋の緒も切れた。1ヶ月以内にこの店を盛り立てないと、お前は戦場行きよ!」。個性の激しいキャラクターがじゃんじゃか登場する中、がんばるのか、がんばらないのか、微妙な感じで徐々にカレー屋は立て直されていく。
本多劇場だからといって特に変わったところはなかったように思います。舞台と客席が広かったぐらいかな(劇場がそうだから当然ですね)。だとするともったいないですよね。小林さんがふんどし一丁になって、ひとりギャグ連発したり、辻さんがいつものタイツ姿で身体ネタをやったり、政岡さんがおばちゃんキャラで気持ちよく突っ込みを入れたり、それはそれで安定したクオリティーですが、もっと大きな変化や見せ場、主張などが欲しかったですね。
「いつか、どうにかなるさ」と漠然と人生をやり過ごしてきた30代独身男が、少しずつ社会性を身につけて自立していくというのが本筋だったと思いますが、完全にネタの方がメインになっていました。
身体を張った「8時だヨ ! 全員集合」のようなギャグの連発が動物電気の持ち味ですが、これは毎度のことだから面白いのか、それとも初めての方が驚きも加わってさらに笑えるのかよくわかりませんが、私はそもそも笑いだけが目的のギャグや演技は好きではないので、あまり笑いません。「ほーっ」と言って感心して眺めています。役者の皆さん、演技は相当上手いと思うので、キャラより演技で魅せて欲しいなーと毎回思います。でもそれだと動物電気じゃなくなるんでしょうね。アドリブはさすがに面白かったです。ああいう生の状態をうまく作り出して魅せきるのは、ハイレグ・ジーザス出身の方(作・演出の政岡泰志さん等)ならではなのかな。
動物電気は必ず本編とは関係ない前座のコントから始まるのですが、これが大好き。てゆーか、これが好きだからまた観ちゃうのかな、と思うぐらい。本編よりも好き(笑)。
コント終了後、幕が開いたらいきなり雇われコック(鬼頭真也)とウェイトレス(伊藤美穂)の濃厚かつ長時間のキスシーンでした。思い切りが良いので、こっちが照れることなく笑って観ていられます。しかも美男・美女だから良かったわー。
演技、というか、佇まいが印象に残ったのは準主役の浮浪者役の森戸宏明さん。あと、きれいで面白い女優さんが沢山いらっしゃるのに、男優さんに比べて活躍していないのが寂しいです。
作・演出:政岡泰志
出演:小林健一 辻修 森戸宏明 高橋拓自 伊藤美穂 鬼頭真也 多田淳之介 石川明子 松下幸史 石崎和也 芹澤セリコ 盛島仁 坪内有子 中村まど加 森山夕子 馬場太郎 政岡泰志
舞台監督:松嵜耕治(至福団) 舞台美術:田中敏恵 大道具:横尾友広 照明:シミズトモヒサ 音響:田上篤志(at Sound) 選曲:小笠原静香 衣装:太田家世(自由創作師) 小道具:松浦孝行 宣伝美術:岡屋出海 制作助手:梶丸千佳 制作:横内里穂 製作:動物電気
前売り3500円 当日3800円【全席指定】
動物電気:http://www.doubutsu-denki.com/
2005年04月27日
ジンガロ「感動の声、続々 3」
ジンガロ4コマ漫画
騎馬オペラ・ジンガロ「ルンタ」は全ての公演において前売り券が完売いたしました!ありがとうございました!
今日は当日券が若干枚数出ました。申し訳ございませんが、公演終了に近づくに連れて枚数が少なくなると思われます。どうぞご了承ください。
私のお友達が感想を送ってくれました。お二人ともOLさんです。
≪Tさんのご感想≫
昨日ジンガロ見てきました!もう、超感動、
久しぶりに爆弾級のすんばらしいものみちゃった感じです。
改めて感謝しますぅ。高いお金払って見るかちあり、どころか、おつりが来るくらいかしら。
特にガーコ(アヒルです)の集団にはいたく感服いたしました。
馬クンたちも騎士(ダンサー?)の皆さんもびゅーちふる、どの瞬間を切ってみても絵画のような、加えて音楽も神秘的だし、まさに四次元の芸術、って感じでした。
≪Sさんのご感想≫
とても楽しませて頂きました。すごく感動しました。
とくに数頭の馬が駆け巡るラスト!
(“ちびくろサンボ”のライオンのようにバターになってしまうのではないかと思いました)
馬が走り抜けるたびに頬に風を感じて、まるでそれがチベットの風のようで、閉じた空間であることを忘れるほどの臨場感でした。暗く狭い空間でしたが、不思議と見終わった後に瞼の裏に浮かんで見えたのはチベットの大草原と青空でした。
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2005年04月25日
パルコ・プロデュース『Shuffle-シャッフル-』04/16-05/08パルコ劇場
大王こと後藤ひろひとさんが脚本・演出を手がけるノンストップ・ラヴ・コメディー。伊原剛志さんと奥菜恵さんを主役に迎えてパルコ劇場で大暴れ、というところですね。130分休憩ナシ。
熱血刑事のイヌイ(伊原剛志)は仕事が出来るキレ者の色男。次から次へとブラックジャックのカードのように女を取っては捨てる面食いプレイボーイだから、呼び名はshuffle(シャッフル)。
ある日、窃盗団“チップス”(風花舞、山内圭哉、松谷賢示の3人組)に時価数十億の宝石「レディー・マーキュリー」が盗まれた。チップスの顔を見たブサイクな警備員・三つ葉(奥菜恵)とともにチップスのアジトに乗り込んだが、シャッフルは高い窓から落ちて頭を打ってしまい病院に運ばれる。奇跡的に体は無傷で数日後に目覚めたシャッフルだったが、知っている人の顔が別の人物の顔に見えるようになってしまっていた。詳しいあらすじはこちら。
後藤ひろひとさんならではの凝りに凝った設定で、伏線もきっちり張られて、物事が巧妙にうまく行かないようになっており、大スターによるコミカルな演技もラヴシーンもあって、いわゆるサービス満点のエンターテインメント作品でした。
チラシのビジュアルから想像される内容を裏切らない作品になっていましたが、比べるとちょっと質感が安っぽかったようにも思いました。
ここからネタバレします。
特に衣裳はちょっと軽すぎるような。シャッフルの着ている黄色いスーツの背中が透けて、中のストライプのシャツがうっすらと見えていたのはあんまりでした。また、奥菜さんのキメ服のショッキングピンクのドレスはどう考えても似合ってなかったですよね。どうせなら『キレイ』の時のようなふんわりフレアスカートがいいと思うんです。奥菜さんはすっごく細くて小さい方だから。
シャッフルが、泣きじゃくる三つ葉の頭を優しくなでるシーンはちゃんとラヴ・シーンになっており、伊原剛志さんはセクシーだし、ブサイクな三つ葉メイクの奥菜恵さんもすごく可愛かったです。声がいいんだよなー。
超軽いコメディー路線を突っ走っていたのに、シャッフルの同僚刑事(三上市朗)がチップスの下っ端に殺された時は衝撃でした。「え?殺しちゃうの??」って。でも、ラストシーンが良かったんですよね。チップスの生き残り(山内圭哉)がサラリとJOKER(後藤ひろひと)に殺されたのは痛快でした。
石野真子さんが石野真子さんご自身の役で出ていたのはちょっと寂しかったですね。シャッフルの理想の女性ということで、犯人やブサイクな三つ葉が石野真子の姿に見えてしまうというのは笑いにつながるし、クライマックスでもシャッフルを悩ませる存在になりえるのですが、できれば石野さんの普通の演技も見たかったな。
役者さんでは課長役の平田敦子さんが拍手が出るほどの笑いを取ってらっしゃいました。私も見事だなーと思ってほれぼれ眺めておりました。
窃盗団のリーダー・ハート役の風花舞さんも、宝塚出身の女優さんならではの身体のキレや腹の底からズシンと響く声が生かされて、適役だったと思います。
あ、主役シャッフルの伊原剛志さん。デカイ!(笑)。カッコイイです。
私が一番笑ったのは大王が妖精役で出てきたところでした。安いなー、私(笑)。
《東京、名古屋、新潟、仙台、福岡、大阪》
作・演出:後藤ひろひと
出演:伊原剛志 奥菜恵 山内圭哉 三上市朗 風花舞 平田敦子 松谷賢示 澤田育子 後藤ひろひと 石野真子 鹿内孝
美術:島川とおる 照明:笠原俊幸 音響:井上正弘 衣裳:関けいこ ヘアメイク:西川直子 演出助手:高野玲 舞台監督:二瓶剛雄 宣伝美術:永瀬祐一 宣伝ヘアメイク:石田賢治 宣伝衣裳:矢野恵美子 広報:ディップスプラネット プロデューサー:尾形真由美 制作協力:(株)吉本興業 企画・製作:(株)パルコ
¥7,500(全席指定)
パルコ劇場:http://www.parco-play.com/web/page/information/shuffle/
2005年04月24日
新国立劇場演劇『コミュニケーションズ─現代劇作家たちによるコント集─ 』04/08-24新国立劇場 小劇場
新国立劇場で渡辺えり子さんが演出するコント集。有名な劇作家の名前がつらねられています。が、客層とフィットしていなかったのが明らか。みょうちきりんな空間でした(笑)。
何があろうと役者っていうのは舞台で輝いて欲しいのですが、自信なさそうにしている人が多く、ちょっと寂しくなりました。舞台写真はこちら。
とりあえず「コント集」なのにスカッと笑えません。今作品の演出をされた渡辺えり子さんは自称アングラ系のようで(新国立のThe Atreに書いてありました)、「単に面白おかしいものにするつもりはない」とおっしゃっていました。そういえば渡辺さんが書かれた作品はあきらかにアメリカを批判するブラックな短編でしたしね。でも着ぐるみだけで笑わそうとしているシーンもあり・・・。未就学児童じゃないんですから、着ぐるみでは笑えないですよ。つまり、わざと笑えなくしている以上に、笑えなかったのです。
山崎清介さんのことがお気に入りなのか、山崎さんばかりが主役を張っていました。でもね、山崎さんは一人だけ白塗りで赤い頬紅をしてらっしゃったんです。それって道化っていうことですよね。わざとらしい気がしてしらけちゃいました。
竹内佑さんの作品が2つ以上あった気がします。でも一番面白くなかったんですよね。たぶん竹内さんの脚本の意図が渡辺さんにはわからないんじゃないんでしょうか。竹内さんというと大阪のデス電所という劇団の主宰で、すごく若い方です。なぜ彼の作品が多く採用されていたのかも疑問でした(ポスター・チラシに名前が掲載されていたのに上演されなかった劇作家もいたので)。
最もひどかったのは出演者による楽器の生演奏です。アコーディオンとかギターとかならまだしも、なぜ俳優にトランペットとか、難しい楽器を演奏させるのでしょう。腹筋善之介さんはちゃんと吹けなくって(実際、音もひどかった)、あからさまに困った表情をしていました。照れくさそうに頭を掻いたりも。困るのは役者さんだけじゃないんですよね。観客もどうしたらいいのか困り果てます。どういう演出意図かはわかりませんが、とにかく役者さんはがんばってもらいたかったです。どんなシーンでも輝いて欲しい。
『コミュニケーションズ』という作品を上演している劇団を描くスタンスで、劇中劇のように演出していましたが、うまく機能していませんでした。もったいないなぁと思いましたが、劇中劇自体が面白くないからどうしようもないです。
不条理コントとして深い味わいもあり、笑えたのは別役実さんの作品でした。電信柱で自殺しようとしている夫と、夫を殺して保険金をもらおうとしている妻の話で、その夫は電信柱を持っていろんなエピソードに登場します。あと土田英生さんのも笑えましたね。じらしてじらして、しどろもどろして、最後にドカン、です。意地悪でよかった。ケラさんのはいつものケラさんの作品で、「これだったらナイロン100℃で見るほうが面白いよね」って思いました。でも笑えました。
構成・演出 : 渡辺えり子 作 : いとうせいこう ケラリーノ・サンドロヴィッチ 杉浦久幸 鈴江俊郎 高橋徹郎 竹内佑 鄭義信 土田英生 別役実 日本劇作家協会戯曲セミナー第1~4期生 筒井康隆(原作使用)
出演:綾田俊樹 石井里弥 円城寺あや 片岡弘貴 金内喜久夫 神保共子 腹筋善之介 矢崎広 山崎清介
A席=6,300円 B席=3,150円 Z席=1,500円 当日学生券=50%割引
新国立劇場内:http://www.nntt.jac.go.jp/season/s260/s260.html
みどころを大解剖! イープラス:http://eee.eplus.co.jp/spu/communications/index.html
2005年04月23日
ジンガロ「本日、特番放送!4/23(土)15:30~16:25@テレビ朝日
シアター敷地内テラス
本日テレビ朝日で『ジンガロ』の特番が放送されます(関東地区のみ)。
フランスが生んだ、馬と人の織りなす極限の芸術
『騎馬オペラ ジンガロ』
祝 日本初上陸SP「ジンガロ」を100倍楽しむ方法!!
4月23日(土) 15:30~16:25
出演/舘ひろし・鶴田真由 他
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2005年04月20日
ジンガロ「チケットのご予約はお早めに」
会場入口のチケットボックス
先週末から一挙にチケットの売り上げが伸びはじめ、A席に続いてS席も風前の灯となっております。ありがとうございます!
ゴールデンウィークを含む土日・祝日は特にチケット入手が困難になって参りました。
★つまり平日が狙い目!
平日は(月)(木)が休演日で、19:30開演です。
(19:15までには会場にご到着ください)
こちらにお電話していただければ、当日会場にてご精算していただけるチケットが予約できます。
チケットスペース 03-3234-9999
(平日10:00~12:30/13:00~18:00)
ジンガロの「ルンタ」を日本で観られるのはこの公演限りです。
5月8日(日)が千秋楽。どうぞお見逃しなく!
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2005年04月19日
キョードー東京『トスカ』04/11-24草月ホール
大地真央さんが400人キャパの劇場でストレートプレイに出演されます。脇を固めるのは美形&実力派男優5人。そして演出は栗山民也さん、となると必見だと思ったのですが空席が目立ちました。イープラスで当日受け取りもやってますし、売れてないんですね。
確かに6人芝居で10,500円っていうのは高い気もします。でも高いから観ないというのはもったいない、密度の濃い作品でした。上演時間は休憩なしの2時間でしたが、体感時間は2時間半ぐらいありましたね。プロだなーと思いました。
『トスカ』というとプッチーニのオペラが最も有名です。あらすじは下記(イープラスの特設ページより引用します)。
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フランス革命直後のローマ。画家マリオ・カヴァラドッシ(綱島郷太郎)のもとに、脱獄した政治犯チェザレ・アンジェロッティ(小林十市)が現れる。父とチェザレが同志だったこともあって、マリオは恋人のフロリア・トスカ(大地真央)にも秘密で彼をかくまう。
しかし、マリオを怪しんでいた警視総監スカルピア(篠井英介)は、まるでマリオに女がいるような芝居を打ち、嫉妬深いトスカの性格を利用して脱獄犯をあぶり出す計画に出るのだが……。
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市民が勝利を収めたフランス革命の直後で、緊張状態が続いている王政ローマが舞台です。私はオペラで一度拝見したことがありますが、オペラよりもシリアスで、ずっしり重く考えさせられる作品でした。でも、大地真央さんファン(おそらく少々年配の女性が多いのではないか、と)が安心して観られる、わかりやすさも備えた娯楽作品でした。
ここからネタバレします。
画家のカヴァラドッシが政治犯のアンジェロッティをかくまって追っ手から逃げ失せるまでは、サスペンス調でちょっとわくわくするような逃亡劇の様相でしたが、情熱的で嫉妬深い歌姫トスカが登場したとたん、思わず声を出して笑っちゃうほどのラブ・コメディーになります。カヴァラドッシへの恋が溢れ、同時に嫉妬心も熱く燃え、トスカは盆と正月、結婚式とお葬式が同時に来たみたいな状態(笑)。これが意外でしたね~。「いいのかなぁこんなにトスカが面白キャラで??」とちょっと不思議に思いつつも、大地さんのコロコロと自在に変化する演技に見とれて、楽しく中盤へと進みました。
しかしながら、スカルピアがトスカの嫉妬心を煽って彼女を利用し、カヴァラドッシの隠れ家を見つけ出してからは、ドスンとまっさかさまに暗いムードに転落。カヴァラドッシが拷問され、トスカはアンジェロッティの居場所を自白するよう強要されます。この拷問シーンが長い!つらい!!圧政下でよく生まれる人間の最悪の行為です。信心深いトスカが脅迫に屈する姿が悲しい。そして篠井英介さん演じるスカルピアの憎たらしいこと!顔も演技もすっごく怖い!
トスカが自白してしまい、スカルピアの部下がアンジェロッティが隠れている井戸に駆けつけた時には、既に彼は自決していました。カヴァラドッシは政治犯を逃がそうとした罪で牢屋に入れられ、トスカも共犯者としてスカルピアの城に連行されます。そこで、スカルピアがトスカに持ちかけます。「私のものになれば、お前もカヴァラドッシも助けてやってもいい・・・。」
なんと言っても大地真央さんと篠井英介さんの演技合戦が見ものです。緻密に作り上げられた言葉による戦闘シーンで、お二人ともものすごい迫力と緊張感でした。一つ一つのセリフと動きに、意味、意志、感情がしっかり乗っており、一寸たりとも目が離せません。
スカルピアの誘いに乗った振りをして、トスカは渾身の一撃でスカルピアを刺殺します。ここまでの二人の駆け引きをものすごくじっくり見せるのです。トスカが信心深く、気高い女性だということがよく伝わってきました。だからこそ、彼女が堕ちて行く姿がものすごく悲しいのです。
カヴァラドッシの死刑についてスカルピアは、「空砲で銃殺したように見せかけて彼を逃がしてやる」と約束したのですが、実はそれは嘘で、何発もの銃弾を浴びてカヴァラドッシは処刑されてします。カヴァラドッシは生きていると信じていたトスカが、動かない彼に気づくまでの時間がすごく残酷で切ないです。ここもかなり時間をとっていました。「助けてやる」と言っておきながら殺してしまう強者と、すっかり騙されて佇む弱者の構図が浮かび上がります。
舞台美術は、ところどころ黒くひび割れた、大きな青い壁で囲まれている抽象的なものでした。照明が変化して場面転換します。特に良いとか悪いとかあまり思わなかったですね。
最後にトスカが城壁から飛び降りるシーンが美術も照明も含めて大きな見所でした。舞台奥の壁が左右に開き、その奥から白い照明がトスカを照らします。トスカは両手を広げて身体を回転させながら、舞台中央から奥に向かってゆっくり進んでいきます。光に包まれたトスカのシルエットは、城壁から地面へと落ちていく様子を表していました。兵隊が城壁の上から銃を連射する音、ゴゴゴゴ・・・と何かが壊れていく音が鳴りひびきます。最後にトスカはカクっと手を曲げて静止し、その瞬間、暗転します。地面に身体が叩きつけられた音が聞こえたような気がして、私はギュっと身体をすくめました。悲しい、恐ろしいエンディングです。ただ、トスカが回転している(墜落している)時間はちょっと長すぎたんじゃないかなぁと思いました。
ということで、中盤以降はものすごく暗くて深刻で悲しいお話になるんですね。だから前半はユーモアたっぷりで明るくつくり、後半と対比させたんだと思います。でないと2時間は緊張が続きすぎてつらくてもたなかったかも。
大地真央さん。実は私、初めて拝見しました。ものっすごくきれいで、チャーミングな方。ユーモアのセンスもあるし、ダンスもできるし、声はきれいだし、スタイル抜群だし、演技も上手い。何をとってもプロフェッショナルです。大地さんを見るために劇場に通う人の気持ちがわかります。一人の女優さんとしての在り方が、大竹しのぶさんと似てるなぁと思いました。
篠井英介さん。警視総監スカルピア役。ここまでくると気持ちよくなるほどの悪人役です。めちゃ怖かった・・・。大地さん同様、演技の切り替えが見事でどんなに長いセリフもじっと飽きずに聞き続けることが出来ました。相当長いセリフだったと思うんですよ、でも、それに気づかなかったです。ただ、トスカに対して嫉妬と憎しみを含んだ執着心といえる愛情を持っていたようには、あまり見えなかったです。怖いし、凄みがあるし、憎たらしかったけど、いやらしさがなかった。
石田圭祐さんはスカルピアの直属の部下役でした。石田さんの出番があれだけっていうのはめちゃくちゃもったいなかったです。でも石田さんだからこそ出来た演技もあったとは思います。
※これからチケットを買われる方へ
私はA列で観たのですが、A列は前から4列目ぐらいの席で、最前列と床の高さが同じなので(段差がない)、前の列の人の頭が気になって観づらかったです。B列から段差が始まりますので、ぜひB列以降を購入されることをお薦めします。バレエ・ダンサーの首藤康之さんがいらしてたのですが、首藤さんはたぶんC列かD列だったと思います。そのあたりが一番観やすい席なのでしょうね。
≪東京、大阪≫
原作:ヴィクトリアン・サルドウ 上演台本:笹部博司 演出:栗山民也
出演:大地真央、綱島郷太郎、小林十市、細貝弘二、石田圭祐、篠井英介
美術:島次郎 照明:勝柴次朗 音響:山本浩一 衣裳:前田文子 小瀬川雅敏(大地真央) ヘアメイク:嶋田ちあき 亀田まき子 カメラマン:富田眞光 演出助手:大江祥彦 舞台監督:中村信一 制作:前田三郎 高頭和貴 制作助手:本郷みつ子 主催:ニッポン放送・キョードー東京 製作:キョードー東京
前売り・当日共に10,500円(全席指定)
キョードー東京:http://www.kyodotokyo.com/
イープラス:http://eee.eplus.co.jp/s/tosca/
記者発表:http://www.theaterguide.co.jp/pressnews/2005/03/14.html
大地真央オフィシャルファンクラブ:http://home.att.ne.jp/wood/MAO/
2005年04月17日
北九州芸術劇場プロデュース『ルル~破滅の微笑み~』04/08-17世田谷パブリックシアター
秋山菜津子さんが魔性の女“ルル”を演じます。脚本に能祖将夫さん、構成・演出に白井晃さんという、去年すばらしかった音楽劇『ファウスト』のスタッフが勢ぞろいで、期待どおりの芸術的舞台空間を見せて頂けました。
身体の全ての感覚を自由にしながら研ぎ澄ませて、美術、映像、衣裳、音響、そして役者さんの姿、動き、声を、与えられるがままに浴びて、吸い込んで、満足以上のものを得られた、豊かな“芸術浴”でした(森林浴、みたいな)。
上演時間は休憩を挟んで3時間以上あったと思います。場面と場面の間に映像と踊りのイメージシーンが挟まれ、それがそれぞれ長かったので長時間の作品になったのでしょう。でも長さはまったく苦痛にはなりませんでした。家に着いてから疲労困憊している自分に気づきましたけど(笑)。
ストーリーは追うだけでも充分面白かったですが、私はタイトル・ロールのルルに魅了されたり、彼女に翻弄される男達の群像劇を味わったりは、特にしませんでした。とにかくストイック、クール、スタイリッシュな舞台空間に身を任せて、思う存分に心を浮遊させた幸せな時間でした。
ここからネタバレします。最後まであらすじを書いてみます。
≪第1幕≫
どんな男も魅了する美貌の小悪魔ルル(秋山菜津子)は、年配の男(小田豊)と結婚している。ある日夫はルルが若いカメラマン(みのすけ)に迫られているところを目撃し、ショック死してしまう。
ルルは遺産をがっぽりもらってカメラマンと結婚した。実は彼女は長年にわたって大手新聞社社長(古谷一行)の愛人であり、社長はやっかい払いしようと彼女をどんどん結婚させていたのだ。ある日カメラマンはその事実を知って自殺してしまう。
社長の息子(増沢望)は舞台の演出家で、ルルは息子の劇団の女優になる。社長が婚約者を連れて舞台を観に来たことに激怒したルルは、口論して社長を追い詰める。社長は自分がルルと離れられないことを認め、婚約を破棄する。
めでたくルルは社長と結婚したが、男遊びの癖は治らない。息子もルルに愛を告白してしまう始末。その様子を隠れて見ていた社長は、とうとう堪忍袋の緒が切れてルルに銃で自殺するよう促すが、ルルはとっさに社長を撃ってしまう。
≪第2幕≫
ルルは夫殺害の罪で投獄される。ルルを愛してしまった者たちの必死の取り計らいで、ルルは1年半後に脱獄する。ルルは息子と偽装結婚し、仲間と逃避行の旅をする。財産を使い果たしながら逃げている最中、ルルの弱みに付け込む輩も出てくる。ルルは持ち前の魅力と二枚舌でうまく切り抜けるが、息子が持っていた株が大暴落して二人は無一文になる。
ルルと息子、そしてルルの父親の3人の生活は、ルルを売春婦にして客を取らせるほどに落ちぶれる。初めて街に立った日、ルルは何人もの男を引き込むが、最後の一人がジャック(古谷一行)だった。ジャック、つまりジャック・ザ・リッパー(切り裂き魔ジャック)は、ルルを愛していた女流詩人(根岸季衣)とルルを刺し殺し、ルルの子宮を切り取って、街へと姿を消す。
音楽と映像はnido(古谷建志、上杉俊佑、 吉川寛、武田真治)によるもので、昔の映画のようにすこしぼやけたモノトーンが渋かったです。文字映像と重なったりするので全体としてはあくまでも現代風。アコースティックな音と電子ノイズ音がまざった音楽とも相性はバッチリ。衣裳や美術とももちろん合っていました。うわー・・・とうっとり見とれることが多かったです。
※古谷一行さんとのご縁から音楽がnidoになったそうです(Dragon Ashの古谷建志さんは一行さんの息子さん)。
ダンスの振付はイデビアン・クルーの井手茂太さん。ダンスというよりは簡単な動きの組み合わせという感じ。広い八百屋舞台を何らかのルールに沿って縦横無尽に動く俳優達は、一人一人が主役の群像劇である側面と、全員が交換可能な駒(ロボット・部品)として見せる側面との両方を感じ取ることができました。
これら全ての指揮をとった白井晃さんの演出手腕に感嘆のため息です。非常に芸術的で独特な一つ一つの要素を適材適所にはめこみ、組み合わせ、混ぜ合わせて、完成した姿はシンプル、ストイック、クールなんです。
装置の演出でも素晴らしいところが一杯あったのですが、特に私が感動したのは、刑務所から脱走したルルが社長の息子が逃亡生活をし始めたところで、場面がカジノへと転換するところ。上から十数個のランプがススーっと降りてきただけでもカッコいいのに、そのランプ達がぐるりと回転すると、舞台の上下(かみしも)と平行に並んでいたのが、垂直の2列に並び変わるんです(あぁ説明が全くできてません、ごめんなさい)。うわー・・・・って声出ちゃったよ、感激して。
秋山菜津子さん。奔放で、コケティッシュで、子供っぽくて、素直なルルでした。悪女ってやっぱり端から見て名づけられるんですね。彼女そのものは自由で正直なだけなんですね。私はこういうルル像に共感。
スタンドマイクで歌うシーンが一番、秋山さんが美しく見えました。若い娘が歌うシャンソンのように、可愛らしい声でほっそりと自然に歌われました。たぶんフルコーラスありましたよね。聞き惚れ、見惚れました。そして劇団で舞台に立つシーンのなまめかしい踊りも凄かった。
古谷一行さんは、ご自身もアフタートークでおっしゃっていましたが、ジャック役の時がものすごく生き生きしてらっしゃいました(笑)。あれは気持ちの良い残虐性でした。
増沢望さん。社長の息子アルヴァ役。増沢さん、私の中ではひさびさの大ヒット!!情けないボンボン役が素敵だったわ~。美形であることの利点も最大限に発揮してくださったし、おまぬけさんキャラもばっちりでした。特に最終幕の屋根裏部屋での演技が良かった気がします。
【アフタートーク】 私が覚えている限りですので、完全に正確では在りません。
司会:能祖将夫さん(脚本)
参加者:古谷一行さん(シェーン)、秋山菜津子さん(ルル)、白井晃さん(演出)
能祖:演出の白井さん、「ルル」とはどういう女なのでしょう。
白井:自分の思いに正直に生きた女。男は彼女に夢中になるのだけれど、社会との折り合いをつけるために彼女を切り離していく。そういうふうに描こうと思いました。
能祖:役に飛び込んでいく女優と言われる秋山さん。今回演じられたタイトル・ロール「ルル」は、オペラでも演じるのが難しいとされる役ですが、秋山さんにとっては何が難しかったですか?
秋山:いわゆる「悪女」として演じるのは簡単だと思うのですが、奔放さゆえ悪女に見えただけであって、また、無邪気だからといってお馬鹿さんではない。その微妙なところが難しかったです。
能祖:金田一耕介など、正義の味方の役を演じられることが多い古谷さんですが、今回のシェーン(社長)は古谷さんにとってどんな役でしょう?
古谷:ルルが社会の枠にとらわれない、埒(らち)に入らない人間であるとすると、僕が演じるシェーンは、欲望、エゴ、権力、暴力と言いましょうか、狂気に走ったところからは悪ですね。
能祖:白井さんの演出は、ストイックでスタイリッシュな方向へと向かわれているようですが。
白井:80年代は、どこか懐かしかったり、優しさを全面に出している作風でしたが、それはあの頃、いつも何かと戦っていたような、空洞感があって、風が吹きすさぶような時代であり、自分回帰というか自分を見つけようとしていたからだと思います。しかし95年から2000年にかけて、社会の動きがあまりに早く、激しくなったため、人間は(それについていけなくて)控えめになってきた。そういう現代にフィットする演出になってきたのだと言えます(←このあたりはちょっと曖昧です)。この作品の登場人物はみんな生きたがっている、生きようとしている。そこに自分が表現したいものがある。
能祖:イメージシーンとアクトシーンが交互に繰り返される構成でしたが。
白井:映像と音楽については、古谷さんとご一緒したご縁でnido(古谷建志、上杉俊佑、 吉川寛、武田真治)とやることになりました。頭の中のイメージを抽象的に表現し、肉感的な、感覚的なものにしたいと思いました。ルルから見たシェーン、シェーンから見たルル、というように、網膜から見た人間のイメージを表す映像を作ってもらいました。
観客(女性):自分が女だからだと思うが、ルルのことはやはり好きにはなれない。違和感が有るセリフがある。それは意図的ですか?
白井:十人十色じゃないでしょうか。ルルじゃなくても、誰でも少なからず奔放だったりわがままだったりする。突拍子もないことを言ったりやったりする。女性なら誰しも(ルルのような性質を)持っているところがある。人間はお互いに求めている。生きたいと思っている。ルルは少し正直に生きただけ。
観客(男性):シュバルツァは原作では画家でしたが、今作ではカメラマンですね。それは現代的なイメージからですか?
白井:そうですね、現代的なという意味もあります。画家というと今の時代はあまり(少ない)。目に焼きついた相手の姿のイメージを映像で使い、その印象を残していきたいと思ったので。
観客(男性):ラストシーンはイメージシーンで、ルルが一人で歩いていくのを男達が見ている様子でしたが、あれはルルが男達を救ったのではないかと私は思いました。
白井:いいお客様だ~っ!そうです!その意図はありました!原作だと刺された女流詩人が「ルル!」と叫んで終わるという本当に凄い(救いのない)ラストなのですが。ルルは死にましたが、彼らを救済したのです。
《北九州 東京 松本》
脚本:能祖将夫 構成・演出:白井晃 原作:フランク・ヴェデキント
出演:秋山菜津子 古谷一行 根岸季衣 増沢望 浅野和之 みのすけ 小田豊 岸博之 石橋祐 まるの保
美術:松井るみ 照明:高見和義 音響:井上正弘 音楽:nido(古谷建志、上杉俊佑、 吉川寛、武田真治) 衣裳:前田文子 振付:井手茂太 ヘアメイク:林裕子 演出助手:豊田めぐみ プロダクションマネージャー:堀内真人 舞台監督:安田武司 技術監督:眞野純(世田谷パブリックシアター) 宣伝美術:高橋雅之(タカハシデザイン室) 制作:田上佐知子 坂本孝子 黒崎あかね 国好みづき(北九州芸術劇場)プロデューサー:能祖将夫 津村卓 制作進行:大迫久美子 制作協力:(有)遊機械オフィス
前売り4,800円 当日5,800円(全席指定) 学生割引あり
世田谷パブリックシアター内:http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-71.html
北九州芸術劇場:http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/
僕AREA←Spectators[B.A.S.]/Oi-SCALE企画公演『オムニバス of OiOi』04/13-17下北沢駅前劇場
主催のOi-SCALE(オイスケール)を含む約8劇団が短編を上演するイベント公演です。私は4/16(土)ソワレを拝見いたしました。出演劇団はブラボーカンパニー、Nine-States、Rel-ay(リレイ)、コスモル、Oi-SCALEで、持ち時間は各20分間。
自分が関係する劇団が参加している公演ですので、レビューは控えます。
・Oi-SCALE『キサソン(kiss+marathon)』
作・演出:林灰ニ 出演:星耕介 清水慎太郎 中村太陽 ヒマラヤ軒 トモヒカン 浅見千代子(「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」キスおばちゃん)
・Nine-States『フレンドリー』
作・演出:中村太陽 出演:斎藤岳夫 吉河童夢 内倉弘貴(劇団ハパナーズ) 山下純(こどもとあそぶ) 古池清貴 西村友見 フルサワミオ 坂上信次 中村太陽
・ブラボーカンパニー『ホテリア』
作・演出:福田雄一 出演:山本泰弘 金子伸哉 野村啓介 鎌倉太郎 佐藤正和 太田恭輔 蘭真人
・Rel-ay(リレイ)『のこり香』
作・演出:かあきじいんず 出演:永野麻由美 長井教行 辻憲太郎
・playunit-fullfull『ゴミと陰謀』
作・演出:ヒロセエリ 出演:青山貞子 広瀬喜実子 杉木隆幸(以上playunit-fullfull) 森川佳紀(sunny side walker) 菊池美里(トリコ劇場) 芳賀晶(カノン工務店)
・コスモル『脈』
作・演出:ケン※ショクヨー 出演:石橋和加子 砂糖マキ 門田純 加地久美子 町田恵 大数みほ
・メガロザ『ラブ ラブ ラブホテル』
作・演出:目黒貴之 出演:磯野友子 小山祐子 目黒隆之
・フラミンゴ『(未定)』
作・演出:フラミンゴ 出演:オレンヂ 竹森千人 吉田敬太
・他シークレットゲスト予定
構成・デザイン/林灰二 美術/仁平祐也 音響・音楽/ナガセナイフ 舞台監督/ego-eco 照明/高野由美絵((株)綜合舞台サービス) 衣装制作/森光あきこ 演出助手/中村太陽 写真/ボクダ茂 映像/木村樹 小道具/NYチーズケーキ 宣伝美術/清水慎太郎 演出部/ヒマラヤ軒 斎藤岳夫 制作部/高橋唯子 企画・製作/僕AREA←Spectators[B.A.S.]
前売:2500円 当日:2800円
Oi-SCALE:http://www.oi-scale.com/
2005年04月16日
劇団、本谷有希子『乱暴と待機』04/08-17新宿シアターモリエール
劇団、本谷有希子はその名のとおり本谷有希子さんが作・演出する劇団ですが、専属の役者さんがいないプロデュースユニットです。今回は馬渕英里何さん主演の4人芝居。私にとっては、前作よりもずっとずっと面白かったです。いやらしさがツボ。
前売りは完売ですが、当日券は毎回若干枚数を発行予定(開演1時間前より受付)。
舞台は古びていて決して清潔とは言えそうにない居間兼ベッドルーム。二階建てベッドが置いてあり、銀縁メガネで灰色スウェット上下の冴えない女(馬渕英里何)と、その女が「お兄ちゃん」と呼ぶ、これまたメガネをかけていて地味~な男(市川訓睦)が同居している。
お兄ちゃんはスウェット女のせいで人生を狂わせられたと思っており、彼女に対してどんな復讐をしようか毎日考えている。スウェット女は奴隷のようにお兄ちゃんに尽くしつつ、彼が自分に復讐してくれるのをずっと待っている。そうして2人暮らしを続けてもう12年(12年じゃないかも。5~6年?)。
お兄ちゃんは刑務所で働いている。ある日、一緒に死刑執行のボタンを押す仕事をしている同僚(多門優)に、スウェット女と同居していることがバレた。同僚は奇妙な同棲カップルの生活を面白がり、自分の彼女(吉本菜穂子)をお兄ちゃんの家に行かせて、二人にちょっかいを出し始める。
ここからネタバレします。
お兄ちゃんとスウェット女は小さい頃に家族ぐるみで付き合いをしていた幼なじみで、二人が同乗していた交通事故でお兄ちゃんの両親が死に、スウェット女は助かったが、お兄ちゃんは片足が不自由になったことが明かされます。それだと普通の復讐物語なのですが、実はスウェット女の本性は・・・。
物語の前提やストーリーにはところどころ腑に落ちないことがあったし、ラストも私には特に響くものがあるわけではなかったのですが、さらりとしながら非常に狡猾でいやらしい精神的SMの世界に、どっぷりはまり込んでめちゃくちゃ楽しませていただきました。あの少し冷めた視線からのどん底のいやらしさは、女性ならではのものじゃないかなぁ。いや、本谷さんならでは、なのかもしれませんね。
スウェット女は「人に嫌われたくない」だから「頼まれたら断れない」という性格ゆえ、男に「ヤらせて」と言われたら断らずにヤらせる女です。サイテーですね。だから高校時代はいじめられっ子でした。クラスメートだった同僚の彼女(吉本菜穂子)は、スウェット女のことを「イライラする女」だと言いますが、ほんっとにイライラします。言動にいちいちムカムカします。そのスウェット女がドつぼにはまっていくのが痛快で、私自身の怒りや残酷さにちょっと罪悪感を感じつつ、やはり超カワイイ馬渕さんがいじめられる様子を気持ちよく眺めていました(笑)。すっかり本谷さんの術中にはまったということでしょう。
序盤の馬渕英里何さんの失禁シーンがめちゃくちゃ私好みでした。会話をさえぎってはいけない、話しかけられたら答えなきゃいけないと思うばかりに、おしゃべりの途中で「トイレに行ってきます」の一言が言えず、そのまま我慢の限界が来て、スウェット女は居間でおしっこをもらしてしまいます。・・・私には「萌えー!」ってヤツでしたよ、マジで!(告白ですね、コレ)。あと、同僚の彼女が高校時代のクラスメートだったことがわかり、彼女に嫌われたくない一心で、同僚に脅されながらセックスをする、しかも天井裏からお兄ちゃんがその情事を覗きやすい場所をわざと選ぶという状況もタマりません(笑)。
お兄ちゃんを笑わせようと、スウェット女は笑いについて研究をしているのですが、ベタとかシュールとかを馬渕さんが例証していくのが笑えます。確実な笑いでした。
馬渕英里何さんの灰色スウェットの上下がめちゃくちゃいやらしいです。これをいやらしいと思ってしまっている時点で私の好み(嗜好)ってヘン?男性っぽいでしょうか?
美術はペンギンプルペイルパイルズの美術でいつも素敵だなーと思っている中根聡子さん。斜めの線がかっこいいです。シアターモリエールの舞台がとても深く、広く見えました。
役者さんは皆さんとても魅力的でした。
特に馬渕英里何さんは、劇団☆新感線や商業演劇での存在感とは違った意味で、演技に体当たりする姿にほれぼれしました。
同僚役の多門優さんの、スケベで、ねっとりとずる賢くて、でもひょうひょうとした若者像に惹かれました。馬渕さんとのラブ・シーンがセクシーでした。
本谷有希子さんの馬渕英里何さんってお二人とも25歳で同級生なんですって。なんか凄い。新しい世代の作品ですね。
【言及ブログについてまとめられています】
こんなものを買った。
デジログからあなろぐ
作・演出:本谷有希子
出演:馬渕英里何 市川訓睦(拙者ムニエル) 多門優(THE SHAMPOO HAT) 吉本菜穂子
舞台監督:宇野圭一+至福団 舞台美術:中根聡子 照明:中山 仁(ライトスタッフ) 音響:秋山多恵子 演出助手:福本朝子 小道具:清水克晋(SEEMS)+山本愛 衣装:金子千尋 宣伝美術:風間のう 宣伝写真:引地信彦 WEB担当:関谷耕一 制作助手:嶋口春香 制作協力:(有)ヴィレッヂ 制作:寺本真美 中島光司
前売:3,500円 当日:3,700円(全席指定)
劇団、本谷有希子内:http://www.motoyayukiko.com/ranbou/index.html
青年座『妻と社長と九ちゃん』04/08-17紀伊國屋ホール
ラッパ屋の鈴木聡さんが青年座に初の書き下ろし。それを宮田慶子さんが演出するという嬉しい公演です。
いかにも新劇だなぁという演技、演出もありますが、笑えて泣けて(私は泣きすぎかもしれないけど)、超感動!
《あらすじ》
舞台は、東京は日暮里にある老舗企業・昭和文具の社長、春日浩太郎(久保幸一)の自宅。肝臓病に倒れた浩太郎の後継に、息子の昭一(横堀悦夫)が選ばれてからというもの、浩太郎はめっぽう機嫌が悪い。
ガンコでワンマンな昭和の社長、浩太郎の大のお気に入りは、心意気はあるが要領が悪く、デキの悪い団塊の世代を代表するようなオチこぼれサラリーマンの九ちゃん(岩崎ひろし)。友人や他の社員の言うことはいっさい聞かず、用もないのに九ちゃんを自宅に呼び寄せたりしているので、息子の昭一を含む会社の役員達もしぶしぶながら九ちゃんには一目置いている。
浩太郎は妻が死んだ後1年も経たずにホステスの佐和子(増子倭文江)と結婚した。昭一も長女(那須佐代子)も佐和子のことは認めておらず、浩太郎、佐和子、昭一の3人が同居する家では父と息子の言い争いが絶えない。
《ここまで》
ものすごいスピードで劇的に変化し続けている平成と、既に過ぎ去った古きよき、懐かしき昭和が対比されます。
社長(久保幸一)が経営する昭和文具は、本社グランドで「春の花見、夏の盆踊り、秋の運動会、冬の餅つき」をご近所の皆様に提供してきた会社です。会社というものが今とは違って、ただの経済システムの一つではなく、もっと人々の生活に密着した組織だったんですね。そういえば社員旅行とか、最近は少なくなってるそうです。
小学校の校庭での盆踊り、町内会の空き地で餅つきなど、私が子供の頃は近所の大人たちにとても大事にしてもらっていました。今、私が住んでいる町もありがたいことに町内会活動がとても盛んで、昔みたいに色んな催し物があるのですが、新しくできた町や、繁華街・ビジネス街になって過疎になった場所では、昔ながらのつながりは必然的に少なくなってきているでしょうね。
私は文字にすることができる経歴や身分、実績よりも、顔や声、意志の強さなどを感じて人付き合いをするタイプで、人情にほだされやすいし涙もろい人間です(なんか恥ずかしい・・・)。社長や妻の佐知子、九ちゃんに同調する方なんですよね。それでこんなに涙がボロボロ流れたのかしら。いえ、それだけじゃない気がします。私も昭和生まれの昭和育ちです。昭和の良かったところをそのまま「あれは良かったよね」と言ってもらえて、私は嬉しくなったのだと思います。
作者の鈴木聡さんと演出の宮田慶子さんの緊急対談に、このお芝居が伝えんとしている意味が簡潔に書かれています。下記、対談から抜粋します。
鈴木「今、情報が多くてチョイスすることが面倒臭い。要するに良いものを残し、これは残さなくていいと、いちいち検証するのがみんな大変な気がしてると思うんですよ。」
宮田「もう、手におえないですよね。」
鈴木「だけど、結構そこに重要なものがある気がします。昭和といっても嫌なことはいっぱいあります。だけども良いこともある。良いものは残し、良くないことは変えていくことが大事な気がしますね。
宮田「そうですよね。凶悪犯罪が増えたり、地震が起きたりと、日本人が自信を無くすことがいっぱいある。そういうこの芝居を通して「日本人はいいじゃん」とちょっと思える。」
鈴木「今回の芝居の中心になっているのは、会社や家族。妻と社長と九ちゃん3人の共同体があり、これを登場人物皆が持っているということで、すごく勇気づけられ明るく暮らしていける。僕はその楽しい共同体を作るのが実は日本人のすごく得意とする事だと思います。強みだと思うんです。」
九ちゃんが社長のお葬式で必死に話すセリフが胸に残りました。
「会社は人間の集まりだ」「色んなヤツがいるから会社なんだ。」
「いいものは残してもいいじゃないか。何もかも壊して新しくすることないじゃないか。」
九ちゃんの「九」は憲法第九条の「九」だということが社長の葬式のシーンではっきりとわかります。憲法第九条についてもそうですよね。「戦争を永久に放棄する」のは明白に良いことです。時代・事情がどう変化しようが、良いものは残せばいい。ここで面倒くさがって、流行にのって、怠けてはいけないと思います。
美術(横田あつみ)は味のある昭和の時代の格式高い一軒家で、舞台転換をする度に小道具で季節の風情を出していたのが素晴らしかったです。玄関の靴箱の上に置いた生け花が毎回変わりましたし、居間のお座布団が冬用から夏用になったり、柱に風鈴がついたり、細かいところまで行き届いた演出でした。
イヤ~な中年男をやらせれば新劇界一(?)の横堀悦夫さんは、嫌みで意地悪な新・社長役をやはり好演されていました。でも、ちょっとクールすぎた気もします。もうちょっと壊れても、可愛げが出てよかったのではないかと思います。
出演=岩崎ひろし/久保幸一/増子倭文江/横堀悦夫/那須佐代子/田中耕二/加門良/松熊明子/長克巳/山口晃/青羽剛/若林久弥/田島俊弥/川上英四郎/高義治/もたい陽子/緒方淑子/布施幾子
作=鈴木聡 演出=宮田慶子 装置=横田あつみ 照明=中川隆一 音響=高橋巖 衣裳=半田悦子 舞台監督=尾花真 製作=森正敏 佐々木聡一
一般:5,000円
青年座内:http://www.seinenza.com/performance/178/
らくだ工務店『鯨』04/13-17下北沢「劇」小劇場
らくだ工務店は石曽根有也さんが作・演出・出演する劇団で、2004年3月の第13回ガーディアン・ガーデン演劇フェスティバルに出場しています。役者さんがペテカン、bird's-eye view、G-upプロデュースなどに客演されたり、他劇団の客演役者さんを多数呼んだり、活動の幅を広げています。
舞台は新聞配達をしている青木(一法師豊)の部屋。昭和の匂いがプンプンする古びたアパート。先輩の沼田(桜田真悟)がやってきた1年前のあの日と、旅に出た沼田が突然無言で帰ってきた、今日のお話。
いわゆる“静かな演劇”というジャンルに入る作品です。今回は客演の役者さんが4人いて、いつものらくだ工務店らしい作風に新しい見所が付加されていました。また、そのおかげでらくだ工務店らしさというのも引き立っていたと思います。
ところどころ腑に落ちない展開もありましたが、ある劇団がその作風を確立し、さらに改良していくのが観て取れるのは嬉しいことです。
ここからネタバレします。
沼田が死体になって青木の部屋に運ばれてきた現在のシーンから幕開けです。そして沼田が生きて青木の部屋に居た一年前の春のシーンになり、過去と現在が交互に上演されます。クラシックピアノ(だったかな?)の音楽が徐々に大音量になるのと同時に照明がじんわりと変化して、暗転はせずにシーンが転換します。音量が大きすぎたのか、音が割れて聞こえたのはちょっと苦しかったですが、何度も暗転するよりは良かったかな。
「人が死んでいる」という状態だけでちょっと私は引いてしまいます。また、セリフとセリフの間に妙な間が空いたり、リアルな中に作り物(嘘)だとわかるやりとりがチラリと見えてしまうと、それだけで物語には入っていけなくなります。“静かな演劇”って難しいですよね。でも徐々にですが、自然体の登場人物に惹かれていき、素直に受け入れられるようになりました。
中盤の、沼田の今の彼女(滝沢恵)と昔の彼女(瓜田尚美)が沼田の死体を前に出くわしてしまうあたりから、ぐっと面白くなりました。そこに本気の女がいるってことがわかりました。
クライマックスおよびエンディングでは、周りに散々迷惑をかけておきながら何の償いもなしにぽっくり死んでしまった困ったチャンの沼田のことを、青木はすごく好きだったんだということを表していたと思うのですが、それほどビビっとは伝わってきませんでした。セリフがとても少なかったし、ニュアンス重視に偏り過ぎだったのではないかと思いました。
らくだ工務店ならではの息の合ったコント風の笑いもあり、気持ちよくワハハと笑わせていただきました。特に面白かったのは、サラリーマンの井本(粕谷吉洋)が死人をよみがえらせる呪文をとなえるところ、そして沼田の彼女だった女2人の本気のぶつかり合いの直後に、マヌケな携帯着信音が鳴っちゃうところ。青木と沼田がギターでフォークソングを歌うところも楽しかった。
滝沢恵さん(THE SHAMPOO HAT)の存在感はやはり大きかったです。沼田に片思いをしている演技がものすごくキュートでした。やっぱりそこに、そのまま、在るってことが凄いのかな。
舞台は細かいところまでこだわって作られたリアルな部屋で、ふすまの向こう側の、客席からはほとんど見えない壁にもしっかりと装飾がほどこされています。今まではシアターモリエールで公演されることが多かったですが、「劇」小劇場も作風にすごく合っているんじゃないかと思いました。
作・演出:石曽根有也
出演:一法師豊 志村健一 今村裕次郎 兼島宏典 瓜田尚美 石曽根有也 粕谷吉洋 滝沢恵(THE SHAMPOO HAT) 佐藤洋行(明日図鑑) 桜田真悟(明日図鑑) 福島悠騎 石曽根有也
作・演出:石曽根有也 美術:福田暢秀 照明:三瓶栄 音響:判大介 舞台監督:一法師豊 美術製作:F.A.T STUDIO 宣伝美術:C-FLAT 制作:山内三知 高橋邦浩 企画・製作:らくだ工務店
前売り2800円 当日3000円(全席指定)
らくだ工務店:http://www.rakuda-komuten.com/
2005年04月13日
メルマガ号外 半額!『SWAN LAKE』
Bunkamura・他 主催
『マシュー・ボーンの白鳥の湖』
http://www.swanlake.jp/
レビューはこちら
★半額です!(4/15~17 残り5ステージ)
お申し込みはこちら→イープラス得チケ
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“しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.15 2005.4.13 420部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お薦めの公演の『半額』お値打ちチケットが出ています!
・・・・・━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★★★★★
Bunkamura・他 主催
『マシュー・ボーンの白鳥の湖』
http://www.swanlake.jp/
レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0223015636.html
◎東京追加公演(4/6~17)についてイープラスで得チケあり!
★半額★です!空席あり!
http://mars.eplus.co.jp/ss/kougyou/syosai.asp?kc=003355&ks=27
(イープラス会員のみ購入可能・クレジットカード決済限定)
≪得チケ価格≫
S席 12,000円→6,000円
A席 10,000円→5,000円
B席 8,000円→4,000円
≪タイムテーブル≫
4月15(金)19:00
16(土)13:00/18:00
17(日)13:00/18:00
●公演情報●
★イープラス特集ページ
http://eee.eplus.co.jp/s/swanlake2005/
【東京】
会場:Bunkamuraオーチャードホール
4/6-17(追加公演)←←←イープラス★得チケ対象公演
4/19-27(東京フィルによる生オーケストラあり)
お問合せ Bunkamura:03-3477-3244
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/event/swanlake/
【神戸】
会場:神戸国際会館こくさいホール
5/3-4(日本最終公演 千秋楽)
お問合せ キョードー大阪:06-6233-8888
http://www.kyodo-osaka.co.jp/schedule/E001328-1.html
《チケットについて》
◎正規価格
S席 12,000円(15,000円)
A席 10,000円(13,000円)
B席 8,000円 (11,000円)
※( )内は4/19~4/27のオーケストラ付き公演(東京)
◎当日券情報
開演の1時間前より発売開始。
(キャストは当日券発売時に発表)
《コメント》
まだご覧になっていない方はこのチャンスを逃さないでください!
チケット代は高いですが、オーケストラ付きの公演も魅力ですね♪
ハイライト映像はこちら↓
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/event/swanlake/index.html
レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0223015636.html
《ご覧になった方のレビュー》
“脅威の中学生レビュアー”藤田一樹くんの感想です。
・藤田一樹の観劇レポート
http://white.ap.teacup.com/kazudon/177.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 【 編集後記 & ZINGARO(ジンガロ)情報 】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎PR 騎馬オペラ ジンガロ『ルンタ』上演中!
メルマガ号外も発行いたしました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0314235616.html
日本で観られるこの機会をどうぞ逃さないでください!
プレミアム席:24000円 SS席:18000円 S席:14000円 A席:8000円
★4/16(土)は全席完売、A席は全公演完売、S席も残席僅か!
電話予約で当日受付精算も可能です。まずはお電話を!!
チケットスペース:03-3234-9999
当日券は開演の1時間半前より販売しております。
騎馬オペラ・ジンガロ『Loungta(ルンタ・風の馬)』
3/12-5/8木場公園内ジンガロ特設シアター
★約2ヶ月の公演も、ちょうど折り返し地点になりました。
http://www.zingaro.jp/
※私はジンガロ日本公演実行委員会事務局に勤務しています。
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2005年04月10日
Bunkamura『KITCHEN(キッチン)』04/05-24シアターコクーン
アーノルド・ウェスカーがジョン・オズボーンの『怒りをこめて振り返れ(Look Back in Anger)』に触発されて書いた作品だそうで、彼も1960年代イギリスで活躍した若手小説・戯曲作家の旗手“Angry Young men(怒れる若者たち)”の一人です。
NINAGAWA VS COCOON'05という、シアターコクーンにおける蜷川幸雄さん演出の舞台シリーズ(4作品)の第2段で(第1段は『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』)、タイトルどおり、調理場が舞台です。
舞台上で俳優が全身全霊で戦っており、人種、文化、世代の異なる人間同士の本気の対話が実現していました。ラストは私の好みではないですが、もう一回観たい、体感したいと思える舞台でした。当日券は開演の1時間30分前から劇場の当日券売場で販売しています。お問い合わせはBunkamura(03-3477-9999)へ。
公演公式サイトで出演者のインタビューや稽古場風景が動画で(!)観られます。すっごく面白い!
ここからネタバレします。
舞台は庶民向けの食堂「チヴォリ」の調理場。チヴォリはンチタイムに2000食もの料理を作るかなり繁盛しているレストランで、イギリス人、ドイツ人、イタリア人、キプロス人、ユダヤ人など、さまざまな人種のコックや給仕が働いている。負けん気が強くて若いドイツ人コックのペーター(成宮寛貴)は、昨日もキプロス人コックのガストン(大川浩樹)と殴り合いをした。年上の恋人モニック(杉田かおる)ともケンカが絶えない。
今日もいつもどおり調理場は戦場。新入りアイルランド人コックの(長谷川博己)は早くも音を上げそうだ。ランチタイムとディナーの間はつかの間の休憩時間。ペーターは調理場に残った数名に、それぞれの夢について話すように語り掛けた。
シアターコクーンのほぼ中央に舞台があり、通常の客席と舞台奥の客席との2方向から挟まれています(藤原竜也さん主演の『ハムレット』と形式は同じ)。ステンレスで出来た業務用の調理場がリアルに再現されています。再現というか、本物が置いてあるように見えます。
一幕では、早朝からランチタイムまでのチヴォリがダイナミックに迫力満点に描かれます。皿やグラスは実物が出てきますが料理は全てマイムで、それがすごくリアル!役者さんは相当お稽古を積まれていると思います。パティシエ(細かく丁寧で、静か)とコック(動きが激しく、色んな音が鳴る)の動作の違いが面白かったです。
二幕では、母国語が違う者同士が歯に衣着せぬ言葉で本気で語り合い、役者さんの血の通った会話から登場人物それぞれの悩み、怒りが吹き出しました。人と人が激しいぶつかり合い、「いがみ合う」「受け入れられない」等のディスコミュニケーションが舞台上に在りました。
調理場の同僚達に「夢について話せ」と吹っかけながら、ペーターは自分の夢については一言も具体的に言葉にすることができませんでした。それは夢がか弱いからであり、か弱い夢はかなわないのです。「ここは自分の居るべき場所ではない」「もっと素敵な場所があるはず」というのは現代の私達も陥りがちな精神状態ですが、不満をぶちまけているだけでは、前に進めません。
パンフレットに「ウェスカーは我々に夢を鍛え直せと語りかける」と翻訳者の小田島雄志さんが書かれています。本当にその通りだと思いました。
愛する彼女モニック(杉田かおる)に裏切られて(3度も中絶)、ウェイトレスに自分の持ち場を侵されて、自己の存在が危うくなったペーターが、肉切り包丁を持って調理場から店内へと襲い掛かっていくのは心が痛いです。モニックとの恋にリアリティがあれば、もっと切実になったと思うのですが。
『ペリクリーズ』や『ハムレット』で使われたのに似ている、ドラマティックで意味が大きく付加される音楽は、ちょっと影響が大きすぎる気がしました。また、ラストシーンの約10分間は、私の好みではないです。私の感覚では、ペーターは気が狂ってチヴォリを立ち去るだけではないと思いたいからです。
役者さんは皆が全力で、本気で、舞台に存在しているのが伝わってきて、またこの人達に会いたい!と思いました。杉田かおるさんはもう一歩でしたが。
成宮寛貴さん。主人公ペーター役。光ってます。目が離せません。『マダム・メルヴィル』とは全然違う悪ガキでした。藤原竜也さん然り、彼もまた天才と呼ばれるべきものを持っていると思います。ラストは顔も動きも生々しくて、怖すぎ、やりすぎでしたけど、そういう演出意図でしたから仕方ないですね。私の好みではなかったです。
役者が外国語を話すと、電光掲示板で日本語字幕が出るのがすごく嬉しいです。映画「Love Actually」を観た時も思ったのですが、ロンドンでは色んな人種が普通に生活しているんですよね。私は日本に住む日本人で、相当ドメスティックな環境で生きているなのだなぁと思いました。
翻訳:小田島雄志 演出:蜷川幸雄 原作:アーノルド・ウェスカー
出演:成宮寛貴 勝地涼 高橋洋 須賀貴匡 長谷川博己 杉田かおる 津嘉山正種 鴻上尚史 大石継太 品川徹 大川浩樹 戸井田稔 妹尾正文 飯田邦博 月川勇気 岡田正 塚本幸男 鈴木豊 山口詩史 片瀬左知子 春日井静奈 香月弥生 魏涼子 石井智也 一戸奈未 鈿理衣 妻鹿有花 豊川栄順 松坂早苗 名塚裕美 宮田幸輝
美術:中越司 照明:原田保 音響:井上正弘 衣裳:中西亜矢子 紅林美帆 伊藤まり 振付:広崎うらん ヘアメイク:スタジオAD 演出助手:井上尊晶 石丸さち子 舞台監督:芳谷研 技術監督:白石良高 宣伝美術:トリプル・オー
S席8,500円 A席7,500円 コクーンシート4,500円(全席指定)
チケットぴあ≪舞台のツボ≫:http://www.pia.co.jp/mail/play/050111.html
Bunkamura内:http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/kitchen/index.html
シアターX『母アンナ・フィアリングとその子供たち』04/01-07シアターX
ブレヒト原作の『肝っ玉おっ母とその子供たち』をイスラエル人の女流演出家ルティ・カネルさんが演出されます。主演は吉田日出子さん。シアターX(カイ)の“2年がかりのブレヒト的ブレヒト演劇祭”の最後を飾る演目です。
こちらのブログと、べた褒めの朝日新聞の劇評(田之倉稔さん)を読んで、当日券で伺いました。
残念ながら私は一度も『肝っ玉おっ母とその子供たち』を観たことがありません。あらすじを読んでいつも観に行くのをやめていました(結末まで必ず書いてあり、それがとても暗いので)。たぶん原作により近い演出の作品を観ていたら、今回のこの作品をもっともっと楽しめただろうと思います。
三十年にわたる宗教戦争時の17世紀ドイツが舞台で、戦争を恨みながらも戦争に食べさせてもらっているという、大きな矛盾のど真ん中で死に物狂いで生きているある家族のお話です。主人公のアンナ・フィアリングは兵隊相手に行商する肝っ玉おばさん。息子2人と言葉が話せない長女の3人の子供がいるのだが・・・この後のあらすじはこちら(2000年の俳優座公演)でどうぞ。
古ぼけて、傷だらけになったトランク鞄を用いて、舞台上に現れるほぼ全てのモノを表現します。壁になったり椅子になったり、小さいものだとビールのジョッキや銃にもなります。舞台には袖幕はなく、役者さんが舞台の上手と下手で待機しているのが露出した状態です。『赤鬼 タイバージョン』や『セツアンの善人』に似ています。
オープニングが超かっこよかった!涙出そうになりました!舞台上にトランクを積み重ねて石垣のようにびっちりと組み立てられた壁がそびえており、生演奏(アコーディオン、ヴァイオリン、テューバ)の音とともに徐々に、しかし突発的にその箱が崩されていきます。舞台中央の天上からぶらさげられたロープに、アンナの家族が持っているトランクをぶら下げ、下から数人でそのトランクをかかえて舞台上をぐるぐると歩き回り、アンネの家族の持つ幌車を表現していました(チラシビジュアルはそのイメージイラストですね)。実際に車が大道具として存在するよりもずっと面白いです。
口がきけない末娘が敵の侵攻を知らせようと、屋根の上にのぼって太鼓を叩くシーンは涙が出ました。ロープで吊り上げられて、銃で撃たれた時には舞台中央で宙ぶらりんになるんです。苦しいよー。
演出全体としては劇評に書かれているほど斬新ではなかったので、当日券で駆け込むほどではなかったなぁと思いました。好みも分かれるとは思います。でも、同作品を上演した他の公演写真(2000年俳優座、2000年レパートリーシアターKAZE)を観る限りでは、この作品は相当に面白かったのかも。2002年コリーヌ劇場@パリは凄そうだなー。
主役の吉田日出子さんがよくセリフを間違われました。カンペを小道具に貼り付けているのも(桟敷だったからもありますが)よく見えてしまい、さびしかったです。でも歌はパワフルでかっこよかった。
真那胡敬二さんと冨岡弘さんもよく間違われていました。吉田さんともどもアドリブが多くて、舞台を楽しんでらっしゃるのがわかりましたが、私はなんだか中ぶらりんな感じがしました。皆さん、自由劇場出身の役者さんですね。
「すごく普通だけど、どこかヘン」というようなセリフが2度繰り返されるのですが、あれはぜひ戯曲を読んで覚えたいと思いました(まだ買ってないけど)。
【当日券対応】
ちょうど劇評が出た日の翌日に伺ったのですが、私は当日券番号18番でした。10番までは補助席が出て、それ以降は桟敷席だと言われました。たぶん25~30人は並んでいたと思います。
舞台と客席の最前列との間に一列ざぶとん席が設けられたのですが、舞台までの距離もゆったりあって、比較的快適に観られるなぁと思ったのもつかの間(笑)。トランクをばんばん振り回したり、ぶつけたり、床に叩きつけたりしますので、埃がわんさか立つのです。鳥の羽を使われた時はもう大変!鼻がむずむず、目がしばしばしはしてしまい、花粉症用のマスクをつけての観劇となりました(苦笑)。でも、座席を急遽作って劇場に入れてくださってありがたかったです。
『肝っ玉おっ母とその子供たち』(千田是也訳)
原作 : ベルトルト・ブレヒト 演出:ルティ・カネル 美術:ロニ・トレン 音楽:ロネン・シャピラ 衣裳:加納豊美 照明:清水義幸 文芸部 : 原牧生 山本健翔 入市翔 翻訳 : 菅生素子 福室 満喜子
出演:石田知生 木室陽一 ケイタケイ ささいけい子 高川裕也 谷川清美 冨岡弘 長畑豊 西巻直人 ハンダイズミ 響巳夏 真那胡敬二 三谷昇 三宅右矩 三宅近成 山本健翔 山本哲也 吉田日出子
演奏:ロネン・シャピラ(アコーディオン) 波田生(ヴァイオリン) 三原田賢一(テューバ)
シアターX:http://www.theaterx.jp
2005年04月08日
ジンガロ「オペラ・エケストル(騎馬オペラ)」5/4(水)18:00~WOWOW
ジンガロ初来日公演記念企画として、『オペラ・エケストル(騎馬オペラ)』(1991年発表)がWOWOWで放映決定!
5/4(水)18:00~@WOWOW
詳細はこちらです。
【情報】Ort-d.d『俳優向けワークショップ』06/01-07/26にしすがも創造舎
倉迫康史さんが主宰する演劇プロジェクトOrt-d.d(オルト・ディー・ディー)が出演者募集も兼ねた俳優向けのワークショップを開催するようです。
詳細は こちら(BBS) 。
Ort-d.dについては2004年しのぶの観劇ベストテン内の●企画●に、去年の上演作品をまとめています。今年2月に宮崎、山口、東京で上演された『昏睡』は、NHK芸術劇場でも大きく取り上げられました。
2005年04月07日
双数姉妹『ラバトリアル lavatorial』04/01-10THEATER/TOPS
双数姉妹は早稲田大学演劇研究会から生まれた劇団で、作・演出は小池竹見さんです。最近は美術も担当されていますね。今年6月上演の花組芝居の新作『ゴクネコ』の脚本を書き下ろされます。
双数姉妹というと私はこれが3度目の観劇になるのですが、一番初めが2000年の『ニセオレ~偽俺~』@THEATER/TOPSで、2度目が同じく2000年の『双数姉妹~神無きフタリの霊歌~』@紀伊国屋サザンシアターでした。しばらくご縁がなくて久しぶりに拝見したのですが、ストーリーも演出もとても面白かったです。
脚本が書けない脚本家が会社のトイレに篭ってしまうという設定で、彼が若い頃に所属していた劇団のエピソードも出てきます。いわゆる私の苦手なタイプの作品(演劇で演劇を扱う)だったはずなのですが、全く引きませんでした。久しぶりにストーリーにも演出にも引き込まれて、どうなるんだろう!?とわくわくしながらの観劇になりました。今週末の4/10(日)まで新宿でやってます。お薦めです。
ここからネタバレします。
脚本家のノムラ(今林久弥)はやっぱり締め切りになっても脚本が書けない。テレビドラマのプロデューサーのヤギサワ(小林至)とディレクターのフルイド(佐藤拓之)に追いかけられながらも、いつもどおりに自分の居場所のトイレに逃げ込むが、そこには清掃婦のおばちゃん(野口かおる)がいて・・・。
脚本家ノムラは洋式トイレの小さな部屋に閉じこもっているのですが、そのドアの外側で、小劇場劇団の稽古場風景およびその劇自体、ノムラの結婚生活、会社での日常など、ノムラの過去と現在が演じられます。その様子をノムラと掃除のおばちゃんがこっそり覗いているという舞台設定で、色んなエピソードが同時に舞台に存在したり、重なったりします。役者さんの演技もすごく安定しているし、とてもリラックスして観劇に集中できました。
タイトルの「lavatorial」は「トイレのような」という意味だそうです(当日パンフより)。フルイドが脚本家に向かって言うセリフが心に残りました。
「オナニーでもない。ただの排泄だよ。だって、やったって気持ちよくもないんだから」
辛らつなせリフですよね。でも納得でした。トイレに篭りながらノムラは自分の過去を思い起こしていくのですが、劇団に居た若い頃も、テレビドラマの脚本を書くようになってからも、良い思い出が全くないのです。仕事は仕事としてやらなければいけない。好きなことばかりやって生きていけれるわけじゃない。脚本を書いていて自分が幸せになれるのならまだしも、脚本家でいることがめちゃくちゃつらくって不幸なんです。仕事だからという理由でそれがすっかり日常になっている毎日。トイレみたいな、便所みたいな日々、生活、人生。
でも実は排泄ってどんな人間にも生きていくためには絶対必要なことなんですよね。トイレのちっちゃな部屋の中で時を越え、空間を飛び超え、夢も現実も何もかもが同時に、瞬時に生まれて流れ去っていく。必死でがんばったって、がんばらなくたって、そうなっちゃう人生。そんな人生でもいいんじゃない?と、自戒も込めた(笑)ささやきが聞こえてくるようでした。
劇中劇の「言葉をおぼえた野獣と、家族から逃亡した孤独な男の話(←こんな感じのタイトルだったように思います)」がかなり面白かったです。野獣のような少女マサメを演じた帯金ゆかりさん(北京蝶々)がフレッシュでとても魅力的でした。
トイレ掃除のおばちゃん(野口かおる)と脚本家(今林久弥)のラブシーンにうら若き恋のときめきを感じました。久しぶりだったわ~、あのハッピーな気持ち♪ 奥さんがいる男を愛してしまった女が、仕事だと言って部屋から出て行こうとする彼を、そっと背中から抱きしめて引きとめようとします。そんなテレビドラマによく出てきそうなシーンなのですが、野口さんの演技から本物の愛が見えたので、男が仕事をキャンセルしようとするのがとても自然で、ほほえましくもありました。
カーテンコールの時に役者さんがめちゃくちゃフレンドリーに客席に話しかけるのですが、なんだかすごく懐かしい雰囲気というか、学生劇団っぽい感じでした。
《言及ブログ》
某日観劇録
出演:佐藤拓之 今林久弥 野口かおる 井上貴子 五味祐司 小林至 中村靖 阿部宗孝 大倉マヤ 近藤英輝 吉田麻起子 帯金ゆかり(北京蝶々)
作・演出・美術:小池竹見 照明:斎藤真一郎(A.P.S.) 音響:島貫聡 音楽:コブラ会 演出助手:小林英明 舞台監督:村岡晋 美術製作:コイケ左官工房 宣伝美術:高橋歩 宣伝写真:引地信彦 制作:津田はつ恵 企画・製作:双数姉妹
学生:2,500円 前売り・当日3,500円
双数姉妹:http://www.duelsisters.com/
2005年04月05日
ジンガロ「横内謙介さんの感想」
劇団扉座の主宰・劇作家・演出家である横内謙介さんも「ジンガロ」を観にいらしたようです。
下記、web日記「横内Diary」の2005年4月から引用します。
**********
土曜日 (2005.04.03)
《中略》
四月一日に、ジンガロを観る。
大きな動きが始まるまでの瞑想タイムのような厳かにして静かな前半部分、結婚記念日のシャンパンに心地よくなっていた私は、不覚にも半分彼岸へ渡りかけていた……
しかし、バルタバスっておっさんが出てきて、手綱を持たずに、馬と踊り出した時、なんか不思議な光を見て、蘇生したというか、突然覚醒した。
それはサーカスでも、アートでもなく、なんちゅーか、神秘体験の儀式のようであったな。
面白いとか、つまんないとか、そういうことを超越した一期一会的な体験であった。
専門的に言えば、
なんかわかんねえけど、スッゲエもの、観ちゃったよ。
って感じかな。
世界にはいろんな人がいて、いろんなことやってるねえ。
わしらも負けずに、いろんなこと考えて、やってこうな。
**********
ジンガロ情報はこちらのページにまとめております。
2005年04月04日
STスポット・チェルフィッチュ『ポスト*労苦の終わり』03/18-23 STスポット
チェルフィッチュは、去年5月の『三月の5日間』で岸田國士戯曲賞を受賞されたばかりの岡田利規さんお一人の演劇ユニットです。今作は去年の11月に上演された『労苦の終わり』の再編集+加筆+新結末とのこと。
あらすじや概要については初演のレビューをご覧ください。
全体的に、前回よりもビジュアル的に、そして音(言葉、音楽など)的に、スタイリッシュかつクールになっていると思いました。セリフのやりとりや役者さんの動きもさらに振付に近い形になっているようで、しっかりとしたストーリーがあり、意味のある言葉の洪水ではあるのだけれど、演劇というよりはパフォーマンスに近い作品だったと思います。
初演との最もあからさまな違いは、テレビが舞台のほぼ中央に鎮座していることです。ビデオカメラも舞台上に設置してあり、下手の壁側にレンズを向けて舞台を撮影し続けます。でも壁に焦点を合わせてはいないので、演技をしている役者さんはいい感じにピンボケして映ります。これがとてもかっこいい。
最後のガン寝シーンで、山縣太一さんがカラフルなマフラーを手で揺らし、画面のすみっこにマフラーの先っぽがゆらゆらと映っていたのがめちゃくちゃおしゃれできれいでした。役者さんが手のひらに文字を書いて、その手をカメラのレンズにぴたっとつけて、手書きの文字(文章)をテレビに映すのも面白かったです。
舞台上にパイプ椅子が数脚おいてあり、会話をしている役者さん以外の役者さんがずーっと舞台上で座っていたりします。はけたり、また出てきたり、突然話し出したりするのですが、普通に歩いているようで実はルールに沿った動き(振付)であるように見えてきます。
自分自身の性格についてやっと気づいてきたのですが・・・私は根本的にストーリーのある作品が好みなんですよね(今更なに言っとんねん)。「この先どうなるの!?」と思いながらぐいぐいと引き込んでくれるタイプの脚本が好きなのです。なので、この作品は初演を観ているのでストーリーがわかっているし、まだ日も経っていないので内容のかなり詳しいところまで頭に残っていたため、わくわくすることが少なくて退屈しました。
また、私は幕が開いて一番はじめに発せられる言葉がとても大切だと思うのですが、たまたま私が観た回の初めのセリフ(山崎ルキノさんのセリフだったと思います)が、いかにも「セリフ」に聞こえてしまったことが残念でした。空気に完全に溶け込んだ自然な会話から幕開けするのがチェルフィッチュの独特の手法であり、魅力だと私は思っています。初演の時は役者さんの演技がちょっとおぼつかない感じだったのが、かえって初々しく生っぽい質感で臨場感があったのですが、今回は再演だったこともあり、演技もこなれてしまったのか、役者さんの会話が今、目の前で起こっているコミュニケーションであるように感じにくかったです。もしかすると今回は意図的にそういうのを狙ったのかしら。
「顔にかけるの、あれはAVの世界だけだよ」という非常に下品な(笑)会話をするシーンがあります。初演ではトチアキタイヨウさんのセリフだったのですが、今回は違う男性(おそらく増田理さん)が語っていて、ずいぶんソフトでした。また、そのシーンが今回はラストの方ではなく途中で出てきたので全然引きませんでしたし、私にとっては可笑しみと寂しさを感じられるシーンになりました。
『労苦の終わり』を観ずに『ポスト*労苦の終わり』を観られたらよかったかもな~・・・と、ムリなことを思ったりしました。
《言及ブログ(順不同)》
オム来襲(チェルフィッチュ『ポスト*労苦の終わり』)
オム来襲(饒舌ミニマル)
中西理の大阪日記
博愛は主義じゃあない
ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。
わぁ。(驚きに満ちた小さな悲鳴)
△ ゾウの猿芝居 ▽
作+演出=岡田利規
出演=山崎ルキノ/山縣太一/松村翔子/トチアキタイヨウ/増田理
企画&プロデュース:田中啓介 制作&アシスタント:加藤弓奈 主催:STスポット
一般前売 2500円/一般当日 2800円 学生前売 1800円/学生当日 2000円
チェルフィッチュ:http://homepage2.nifty.com/chelfitsch/
チェルフィッチュ・ブログ:http://chelfitsch.exblog.jp/
舞台写真(STスポット):http://www.jade.dti.ne.jp/~stspot/stage/index.html#cheru
2005年04月03日
4月2日(土)夜にFM西東京「たけがき2」に出演しました。
FM西東京の演劇情報番組「たけがき2」に出演いたしました。またもや告知が遅れてしまいました。ごめんなさい。基本的に毎月第一土曜日に出演することになりました。よろしくお願いいたします。
騎馬オペラ・ジンガロ『ルンタ』の観劇感想をお話し、4月のお薦めお芝居を3本をご紹介。
西東京市およびその周辺地域でお聴き頂けます。
4月2日(土)21:30~22:00(のうちの約10分間)
FM 84.2MHz
たけがき2(ツー):http://takegaki.k-free.net/
G2プロデュース『Candy's』03/30-04/10/本多劇場
G2プロデュースの第9回目の公演は、G2さんが作・演出するラブ・ストーリーです。あらすじと見所は公式サイトにはもちろん、こちらにも非常に詳しく書かれています。
舞台はとある石鹸工場。昭和30年代とその20年前とを行き来するお話で、社長の娘とガンコ職人の間にほんのり生まれる恋と、その職人の隠された過去の謎解きを軸に、何度も何度も時間を行ったりきたりしながら、時には明るく元気に、時には感傷たっぷりに昭和の時代の日本人を描くエンタテインメント作品でした。
チラシのビジュアルから王道のラブ・ストーリーかと想像していたのですが、オープニングのちょっとホラーめいた演出に驚かされました。今までのG2プロデュース作品とはちょっと違う、深刻な怖さがありました。
恋愛がもちろん中心にあるのですが、プライドを持って仕事に打ち込んだ昔ながらの職人の人生と、一途な若者の熱くて切ない青春を描いた作品だという印象が強く残りました。そして、とても悲しいお話でした。
ここからネタバレします。
2つの時代を頻繁に行き来して、しょっちゅう場面転換があり、すべてがスムーズに進んでいるようには見えませんでした。初日があけてすぐの回だったせいか、まだ役者さんの演技がこなれていなかったのかもしれません。
上演時間は2時間弱。石鹸職人の渡部(長谷川朝晴)が心を閉ざしてしまった原因が明かされるまでが、少し長く感じました。時代設定や物語の進行についての説明的なセリフやシーンが多かったようにも思います。
ラストが妙に素早い展開になり、あっという間に完全なハッピーエンドになってしまったのは拍子抜けでした。職人と芸術家の違いについて石鹸工場の社長(山西惇)が熱く語ったり、石鹸職人の親方(久保酎吉)が西洋石鹸の模倣をしていた自分を恥じて、自分が作った石鹸「牛若丸」の大切さに気づいたり、心にずしんと重く響くセリフやエピソードがありましたので、ラストは軽くせずにそのまま直球で悲劇になっても良かった気がします。
これはかなりミーハーな感想なのですが、ヒロイン美雪(須藤理彩)とガンコ石鹸職人の渡部(長谷川朝晴)とのキスシーンが良かったわ~。シャイで不器用な男の子が、和服の女の子を強引に抱き寄せてキスして押し倒す(!)のはたまりませんでした(笑)。この骨太でストイックな素晴らしいラブシーンが、不幸な事件を巻き起こしてしまうという展開が憎いですよね。ちょっと分かり易すぎる感もありましたが。
役者さんでは、社長役の山西惇さんと石鹸職人の親方役の久保酎吉さん、そして美雪の婚約者役の木下政治さんの演技がとてもよかったです。言葉に重さがあり、リアリティーを感じました。
録音機デンスケを持って登場するラジオ局員の菅原永二さん(猫のホテル)のギャグは最高でしたね。
《東京→福岡、大阪》
作・脚本:G2
出演:須藤理彩/長谷川朝晴/竹下宏太郎/新谷真弓/木下政治/内田滋/豊原里美/草野徹/菅原永二/廣川三憲/山西惇/陰山泰/久保酎吉
美術:横田あつみ 照明:倉本泰史 音楽:佐藤史朗 音響:井上正弘 スタイリスト:堀口健一 劇中歌:瓜生明希葉 演出助手:山田美紀 舞台監督:青木義博 木村力 宣伝美術:東學 宣伝写真:伊東俊介 衣裳協力:OKA MASATO ヘアメイク:高野健太郎 Web:河村公一 酒井元舟 橋本徹子 制作:千葉博美 尾崎裕子 伊東妙子 藤田早苗 プロデューサー:大西規世子 製作総指揮:G2 企画・製作・主催:ジーツープロデュース
全席指定:5800円
G2プロデュース内:http://www.g2produce.com/g2p/g2p09/
G2プロデュース内『Candy's』総力特集:http://www.g2produce.com/ms/hal/hal01.html
チケットぴあ特集1:http://t.pia.co.jp/news/candys/candys.jsp
チケットぴあ特集2:http://t.pia.co.jp/promo/play/g2_candys.jsp
エビス堂大交響楽団『カラクリ少女』04/01-03中野ザ・ポケット
エビス堂大交響楽団は大阪を拠点に活動する劇団です。2000年から東京公演も行っています。私は初めて伺いました。
2人の女の子がなぞかけのような呪文を唱えるシーンから開幕します。生まれながらにして呪われている2人の少女が、その運命に振り回される様を時系列で描いていきます。あらすじはこちら。「舞台は中世ヨーロッパ風の架空の世界」と書いてあるのは正直ですね(笑)。衣裳や小道具から、たしかにそうなんだろうなぁとは思えました。
2人の少女の内の1人であるタカメ姫(浅田百合子)に、“いのちの水”を飲むよう勧めたモンティーヌ(入谷啓介)という男がキーマンなのですが、彼と2人の少女との関係が明らかになり、非常に皮肉で残酷な真実が暴かれるのは面白かったです。ただ、その本筋以外のところで物語が二転三転して、何を伝えたかったのかよくわかりませんでした。
あからさまに感情を盛り上げようとする音楽(交響曲なのかな?)がかかり、クライマックスのようなシーンが何度も繰り返されたのは観ていてつらいですね。
初見なのでこういう作風が売りの劇団なのかどうかはわからないのですが、この作品については脚本にムリがあったと思います。殺陣とかもがんばってると思いますが、あまり必要性を感じませんでした。
《大阪→東京》
作・演出:オカモト國ヒコ
出演:山本操 浅田百合子 入谷啓介 猪平浩美 渡辺智寛 有牛望 岩本由佳里 酒井俊紀 渡辺恵 佐伯美佳 岩崎仁美 岩田裕美 五島清富 谷本修一
ゲスト:井田武志(劇団☆世界一団) 木内義一
舞台監督:武吉浩二(CQ) 舞台美術:岡一代(池田意匠事務所) 照明:三浦あさ子(賽(sai)) 音響:三宅住絵 衣裳・小道具:水野泰彰(A-Sura) 宣伝美術:末満健一(ピースピット) 制作:表雄一郎(_brand) 制作協力:枡田聖美 近藤のり子 蓮池奈緒子 企画・製作:エビス堂大交響楽団
エビス堂大交響楽団:http://bravo.jp/~yebisu-do/
前売¥2800 当日¥3000 学生割引その他あり。
2005年04月01日
メルマガ 2005年04月のお薦め舞台
2005年4月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 10 2005.4.1 417部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎とうとう春がやってきましたね!
「騎馬オペラ・ジンガロ」スタッフとして木場公園に通う日々なのですが、
公園の木々が芽吹いていく様子を毎日見ることができて幸せです。
東京都心の桜も咲き始めたそうです。お花見したいな~。
◎このメルマガについて
年間200本以上の様々な舞台作品を観ている高野しのぶが発行する、
“今、東京で観られる面白い演劇”をご紹介するメルマガです。
ご登録いただきありがとうございます!
演劇は、その時その場所でしか味わえない、とっておきの感動体験です。
世界中で最も公演数が多いと言われている東京では、
毎日、たくさんの劇場で初日の幕が開いています。
そこで、過去6年間で1300本もの舞台作品を観てきた私の目で確かめて、
オンタイムでお薦め演劇情報をお届けするのが、このメルマガです。
毎月1日に私が観るお薦め公演10本のご紹介メールを配信します。
そして、実際に観に行って面白い作品に出会ったら、
その翌日の午前中までに、お薦め作品の“号外”を配信します。
これで、とっておきの公演を見逃すことはありません♪
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○○ 今回のもくじ
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◆1【今月のお薦め10本+α】
◎No.1→ 北九州芸術劇場プロデュース
『ルル~破滅の微笑み~』
04/08-17世田谷パブリックシアター
《北九州 東京 松本》
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-71.html
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→ ク・ナウカ『山の巨人たち』
02/25-03/06下北沢ザ・スズナリ
http://www.kunauka.or.jp/jp/suzunari2005/yama01.htm
◆3【編集後記 & ジンガロ(ZINGARO)情報】
◎久しぶりに映画を観ました(レンタルビデオで・・・笑)。
◎PR 騎馬オペラ・ジンガロ『ルンタ』上演中!
4/16(土)は全席完売、A席は全公演においてほぼ完売です。
急いでチケットGET!
http://www.zingaro.jp/
◆4【このメルマガについての注意事項】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め10本+α】
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※★印がいちおし公演です(3本)。
※初日の早い順に並べています。
※掲載内容:主催・『タイトル』・日程・会場・URL・コメント
1.明治座『あずみ~AZUMI on STAGE~』
04/03-26明治座
☆原作:小山ゆう(小学館刊『あずみ』)
出演:黒木メイサ/山本亨/山崎銀之丞/涼風真世/的場浩司/他
映画もパート2が上映中の漫画「あずみ」の舞台化。
かなりの豪華キャストです。
http://www.meijiza.co.jp/info/2005/04/main.html
2.Bunkamura『KITCHEN キッチン』
04/05-24シアターコクーン
☆演出:蜷川幸雄 原作:アーノルド・ウェスカー
出演:成宮寛貴 高橋洋 杉田かおる 津嘉山正種 鴻上尚史 ほか
成宮寛貴さんと杉田かおるさんの恋愛モノ?鴻上尚史さんの出演も話題。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/kitchen/index.html
★3.北九州芸術劇場プロデュース『ルル~破滅の微笑み~』
04/08-17世田谷パブリックシアター
《北九州 東京 松本》
☆脚本:能祖将夫 構成・演出:白井晃 原作:フランク・ヴェデキン
美術:松井るみ 照明:高見和義 音響:井上正弘 衣裳:前田文子
振付:井手茂太 音楽:nido(古谷建志、上杉俊佑、吉川寛、武田真治)
出演:秋山菜津子 古谷一行 ほか
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-71.html
●お薦めポイント●
去年すばらしかった音楽劇『ファウスト』のスタッフが勢ぞろい。
秋山菜津子さんが“魔性の女”を演じるというだけでも必見。
4.新国立劇場演劇『コミュニケーションズ─現代劇作家たちによるコント集─ 』
04/08-24新国立劇場小劇場
☆脚本:いとうせいこう、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、別役実、筒井康隆、他
構成・演出:渡辺えり子
新国立劇場はやはり豪華キャスト&スタッフ。
チラシは私好みのビジュアルではないですが。
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s260/s260.html
★5.青年座『妻と社長と九ちゃん』
04/08-17紀伊国屋ホール
☆NHK連続ドラマ小説『あすか』の脚本も書かれた
ラッパ屋の鈴木聡さんが青年座に初の書き下ろし。
宮田慶子さんが演出されるのですから、これは面白いでしょう!
http://www.seinenza.com/performance/178/
6.劇団、本谷有希子『乱暴と待機』
04/08-17新宿シアターモリエール
☆小説も書かれている本谷有希子さんの最新作。男女2人ずつの4人芝居。
馬渕英里何さんが新宿シアターモリエールという客席200席未満の
小さな劇場に出演するのもすごい。
http://www.motoyayukiko.com/ranbou/index.html
7.キョードー東京『トスカ』
04/11-24草月ホール
☆出演:大地真央、綱島郷太郎、小林十市、細貝弘二、石田圭祐、篠井英介
大地真央さん主演・栗山民也さん演出。
豪華キャストで総出演者数6人。少数精鋭ですね。
客席数400席の草月ホールというのも見所じゃないでしょうか。
http://www.kyodotokyo.com/
★8.青年団プロジェクト公演『隣にいても一人』
04/14-17こまばアゴラ劇場
☆作・演出:平田オリザ
珠玉の4人芝居。私はおととし拝見し、第1幕で感動の涙がボロボロ。
http://www.komaba-agora.com/line_up/2005_4/tonari.html
レビューはコチラ↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/0620002932.html
9.パルコ『Shuffle -シャッフル-』
04/16-05/08パルコ劇場
《東京、名古屋、新潟、仙台、福岡、大阪》
☆作・演出:後藤ひろひと
出演:伊原剛志 奥菜恵 ほか
“大王”こと後藤ひろひとさん作・演出の探偵ものコメディー。
テレビのスターと小劇場の俳優が競演。
http://www.parco-play.com/web/page/information/shuffle/
10.サモ・アリナンズ『AB男』
04/21-24全労災ホール/スペース・ゼロ
☆野田秀樹作品やストレートプレイでもご活躍の小松和重さんの劇団。
峯村リエさん(ナイロン100℃)や池田鉄洋さん(猫のホテル)が出演。
http://www.samoari.com/
+αの1(私はおそらく行けません)
フジテレビジョン『理由なき反抗』
04/03-24東京グローブ座
☆脚本:中津留章仁 演出・脚本:堤幸彦
出演:二宮和也 貫地谷しほり 郭智博 野添義弘 大島蓉子 他
ジャニーズ事務所所属のスターが出演するお芝居。
TVドラマ『ケイゾク』、『トリック』、映画『溺れる魚』等で有名な
堤幸彦監督が演出・脚本を手がけられます。
http://www.tglobe.net/
◎しのぶの今月の全予定(30本+α)はscheduleに掲載しています。
(※今月は私が観にいけないものもアップしています。)
キャスト情報あり!
http://www.shinobu-review.jp/schedule.html
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◆2 【先月のベスト3】
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1.ク・ナウカ『山の巨人たち』
02/25-03/06下北沢ザ・スズナリ
http://www.kunauka.or.jp/jp/suzunari2005/yama01.htm
☆演劇への愛が溢れる野心作。
不可能を追いかける、自由で終わりのない大冒険。
観劇後、「これだから私は演劇が好きでたまらないのだ」と思いました。
*レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0306190210.html
2.フォルクスビューネ『終着駅アメリカ(Endstation Amerika)』
03/25-28世田谷パブリックシアター
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/04-2-4-65.html
☆ドイツのフォルクスビューネが初来日。
『欲望という名の電車』を大胆に、過激に脚色・演出した問題作。
*レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0327023051.html
3.五反田団『キャベツの類』
03/08-13こまばアゴラ劇場
http://www.uranus.dti.ne.jp/~gotannda/
☆質素でシンプルな不条理劇。
ものすごく身近なのに、実は神話でもあるラブ・ストーリー。
*レビューはこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0309003226.html
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
今月は騎馬オペラ・ジンガロ『ルンタ』の号外を出しました。
http://backno.mag2.com/reader/BackBody?id=200503142350000000134861000
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◆3 【編集後記 & ジンガロ(ZINGARO)情報】
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◎久しぶりに無性に映画が観たくなって、レンタルビデオ屋さんへ。
2つ借りて2つとも当たりでした♪
『ビッグ・フィッシュ』
・・・泣けるファンタジー。ティム・バートン万歳!
http://www.big-fish.jp/contents.html
『ラブ・アクチュアリー』
・・・イギリス人のさまざまな恋愛模様。軽快でちょっとリアル。
http://www.loveactually.jp/
◎PR 騎馬オペラ ジンガロ『ルンタ』上演中!
メルマガ号外も発行いたしました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0314235616.html
日本で観られるこの機会をどうぞ逃さないでください!
プレミアム席:24000円 SS席:18000円 S席:14000円 A席:8000円
4/16(土)は全席完売、A席は全公演においてほぼ完売です。
電話予約で当日受付精算も可能です。まずはお電話を!!
チケットスペース:03-3234-9999
当日券は開演の1時間半前より販売しております。
騎馬オペラ・ジンガロ『Loungta(ルンタ・風の馬)』
3/12-5/8木場公園内ジンガロ特設シアター
http://www.zingaro.jp/
※私はジンガロ日本公演実行委員会事務局に勤務しています。
ジンガロ情報は“しのぶの演劇レビュー”内でフォローしています。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0509000000.html
◎パフォーミング・アーツ・マガジン[バッカス]02号
私が書いた劇評(Ort-d.d『四谷怪談』について)が掲載された雑誌です。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9978823190
◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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◆5 【このメルマガについての注意事項】
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